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第4話
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今日は午前全てを使い、魔法を使う実技試験の日だ。
学園の敷地内にある広場を使い、2人1組で魔法の試合を行うこととなっている。
魔法の試合は攻撃側と防御側の魔法による戦闘を今後に一度行い、攻撃側の魔法を防御側の人が打ち消すというものだ。
魔法使いは基本的に近距離で戦う人の後ろで魔法を使うものだから、魔法はお互いの生徒の前に用意している鉄の棒に当てなければならない。
鉄棒の後ろにいる生徒に魔法をに当てることは禁止されているけど、間違いで攻撃が当たる時もある。
回復魔法が使える先生が待機しているから大事にはならないけど、オリドスは魔法で私を攻撃しようと考えていた。
試合を行う2人組は事前に決められていて――私は、オリドスと魔法の試合をすることになっている。
「俺が攻撃してシンディが魔法で防ぎ、その後シンディが魔法で攻撃して俺が防ぐ……ルールはこれだけだ」
「はい。魔法を当てるのは私達の前にある鉄棒です」
生徒達が遠くで見学していて……私の正面にはオリドスがいる。
「俺は最近覚えたばかりの魔法を使う。制御できずシンディに当たってしまうかもしれないが、それは事故だ」
「……そうですね」
「俺はこの後、ヨハンとも試合をすることになっている。俺はこの日を楽しみにしていた!」
クラスの人数が奇数だから、オリドスが提案することでヨハンと試合をすることになっていた。
どうやらオリドスはヨハンとは組むなとクラスの人達に言っていたようで……私を魔法で攻撃した後、ヨハンにも同じことをするようだ。
全てオリドス本人から聞いていたシンディは――ヨハンを守るために、昨日自らの命を絶っていた。
生徒が魔法で亡くなったとなれば試験どころではなくなり、オリドスとヨハンが戦わなくて済むと考えていたからだ。
「オリドス様。私も言っておきたいことがあります」
「なんだ? これは試験なのだから止めることはできない。魔法が使えないのか試す必要はあるだろう」
「そうですね。昨日から私は魔法が使えるようになったみたいなので……オリドス様が言った理由と同じように、制御できず攻撃が当たってしまうかもしれません」
私が魔法を使えるようになったことを話すけど、オリドスは信じていない。
「ふん。どうせ夢でも見たのだろう……それなら、俺の魔法を打ち消してみろ」
私の威圧を受けて恐怖していたことはもう忘れたのか、オリドスは自信満々に宣言する。
会話を終えて、私はオリドスから離れていく。
前方の魔法の攻撃を当てる鉄棒とはかなりの距離があって、普通なら生徒に当たることはなさそうだ。
オリドスとは更に距離があって、先生が合図を出す。
それと同時にオリドスは右手を振るい、膨大な炎の渦を発生させて――炎の魔法を繰り出したオリドスが、勝ち誇った様子で叫ぶ。
「強力過ぎて制御できないようだ! シンディに当たるが事故だから仕方ない!」
オリドスは、明らかに私を狙って炎魔法を使っている。
先生に対して私に魔法を当てる理由をオリドスが説明しているけど、炎の攻撃が私に当たることはない。
私も右手を振るい――炎の渦を掻き消して、オリドスは唖然とする。
「――はぁっ?」
「防御に成功しましたので、交代でよろしいですね」
「は、はい。そうですね」
私が先生に確認すると、驚いた様子でも納得してくれた。
そして――私は右手をオリドスの前方にある鉄棒に向けて、抑えた魔力の閃光を飛ばす。
金色の魔力による閃光は、強度があると聞いていた鉄棒を砕き――大地を抉る程の衝撃が発生して、直撃したオリドスは吹き飛んでいく。
「ぐぉぉぉぉっっ――っっ!?」
オリドスは魔法で打ち消そうとしたけど一切効かず、地面に打ちつけられて意識を失っていた。
全身が激痛を受けたようだけど、先生の回復魔法で助かったようだ。
「シンディ様……とんでもない魔力による魔法ですね……」
「はい。オリドス様が先ほど言っていましたけど、私もあまり制御できませんでした」
これは試験中に起きた事故という扱いになって、私は最初のやり返しに成功する。
オリドスに対してのやり返しは、まだはじまったばかりだ。
学園の敷地内にある広場を使い、2人1組で魔法の試合を行うこととなっている。
魔法の試合は攻撃側と防御側の魔法による戦闘を今後に一度行い、攻撃側の魔法を防御側の人が打ち消すというものだ。
魔法使いは基本的に近距離で戦う人の後ろで魔法を使うものだから、魔法はお互いの生徒の前に用意している鉄の棒に当てなければならない。
鉄棒の後ろにいる生徒に魔法をに当てることは禁止されているけど、間違いで攻撃が当たる時もある。
回復魔法が使える先生が待機しているから大事にはならないけど、オリドスは魔法で私を攻撃しようと考えていた。
試合を行う2人組は事前に決められていて――私は、オリドスと魔法の試合をすることになっている。
「俺が攻撃してシンディが魔法で防ぎ、その後シンディが魔法で攻撃して俺が防ぐ……ルールはこれだけだ」
「はい。魔法を当てるのは私達の前にある鉄棒です」
生徒達が遠くで見学していて……私の正面にはオリドスがいる。
「俺は最近覚えたばかりの魔法を使う。制御できずシンディに当たってしまうかもしれないが、それは事故だ」
「……そうですね」
「俺はこの後、ヨハンとも試合をすることになっている。俺はこの日を楽しみにしていた!」
クラスの人数が奇数だから、オリドスが提案することでヨハンと試合をすることになっていた。
どうやらオリドスはヨハンとは組むなとクラスの人達に言っていたようで……私を魔法で攻撃した後、ヨハンにも同じことをするようだ。
全てオリドス本人から聞いていたシンディは――ヨハンを守るために、昨日自らの命を絶っていた。
生徒が魔法で亡くなったとなれば試験どころではなくなり、オリドスとヨハンが戦わなくて済むと考えていたからだ。
「オリドス様。私も言っておきたいことがあります」
「なんだ? これは試験なのだから止めることはできない。魔法が使えないのか試す必要はあるだろう」
「そうですね。昨日から私は魔法が使えるようになったみたいなので……オリドス様が言った理由と同じように、制御できず攻撃が当たってしまうかもしれません」
私が魔法を使えるようになったことを話すけど、オリドスは信じていない。
「ふん。どうせ夢でも見たのだろう……それなら、俺の魔法を打ち消してみろ」
私の威圧を受けて恐怖していたことはもう忘れたのか、オリドスは自信満々に宣言する。
会話を終えて、私はオリドスから離れていく。
前方の魔法の攻撃を当てる鉄棒とはかなりの距離があって、普通なら生徒に当たることはなさそうだ。
オリドスとは更に距離があって、先生が合図を出す。
それと同時にオリドスは右手を振るい、膨大な炎の渦を発生させて――炎の魔法を繰り出したオリドスが、勝ち誇った様子で叫ぶ。
「強力過ぎて制御できないようだ! シンディに当たるが事故だから仕方ない!」
オリドスは、明らかに私を狙って炎魔法を使っている。
先生に対して私に魔法を当てる理由をオリドスが説明しているけど、炎の攻撃が私に当たることはない。
私も右手を振るい――炎の渦を掻き消して、オリドスは唖然とする。
「――はぁっ?」
「防御に成功しましたので、交代でよろしいですね」
「は、はい。そうですね」
私が先生に確認すると、驚いた様子でも納得してくれた。
そして――私は右手をオリドスの前方にある鉄棒に向けて、抑えた魔力の閃光を飛ばす。
金色の魔力による閃光は、強度があると聞いていた鉄棒を砕き――大地を抉る程の衝撃が発生して、直撃したオリドスは吹き飛んでいく。
「ぐぉぉぉぉっっ――っっ!?」
オリドスは魔法で打ち消そうとしたけど一切効かず、地面に打ちつけられて意識を失っていた。
全身が激痛を受けたようだけど、先生の回復魔法で助かったようだ。
「シンディ様……とんでもない魔力による魔法ですね……」
「はい。オリドス様が先ほど言っていましたけど、私もあまり制御できませんでした」
これは試験中に起きた事故という扱いになって、私は最初のやり返しに成功する。
オリドスに対してのやり返しは、まだはじまったばかりだ。
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