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1章
30-1
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――翌日、診療室内
「というわけで、今日はアオさんの召喚術講師として、ここにやってきましたー!」
夕刻。おおよその診療も終わり、俺とシャーロットしか居ない診療室内に、今日も元気なキーファが現れた。
「召喚……術?」
聞き慣れない単語に、俺は今日の患者の症状をノートに、まとめて居た手を止めた。
「面白そうですねぇ!!」
本日の売上計算が終わり、金庫を閉めたシャーロットは目を輝かせて小さく手を叩いている。
「団長からの依頼っす。っても、戦えって事じゃなくて、あくまで護身用。今後アオさんの身に何か起きた 時に身を守るものっすね」
「成程イーサンからの……」
確かに昨晩あれから彼の部屋に帰った後の心配度合いは異常だったし、何をするのにも常に隣に居て、なんなら風呂にすら1人で入らせてもらえなかった。どうにか未遂に終わったがベッドの中でも、普段以上にねちっこかったな……
『まだ意識飛ばすのは早いだろアオ。夜はこれからだ』
思い出された昨日の記憶を、ぶるぶるっと首を振って打ち払う。
「何だか日に日にイーサンの、度を超えた過保護が目につくようになってきた気がするんだよね」
まぁ、その……全く嫌では無いし……俺の心は喜んでしまっているのだか。
思わず閉じたノートの上に項垂れながら零した言葉は、横から刺さるニンマリとした視線から察するに、また2人の活力剤となったようだ。
「アオさんは、癒し以外の魔法を使った事はないんすよね?」
キーファと共に待合のソファへと腰掛け、渡された分厚い本をパラッと捲ってみる。
なんだこの、文字の超満員電車は。
医学書並ともいえる文字の羅列に、思わず俺の顔面が引き攣る。
「ないかな。召喚術ってあれ? なんか伝説級の聖獣呼んだりする」
キーファは笑顔で「そっすよー! まー、難しくないんで、大丈夫」なんて言っているが。ゲームでよく見た、フェニックスやらなんやらを呼ぶ俺の姿なんて想像出来ないが!?
「間近であのキーファさんの魔術を見られるなんて……こんな感動的な事は無いです! 先生のところに勤めていて良かった~」
キーファと俺に、お茶を出してくれるシャーロットのテンションがやけに高い。
「そ、そんな凄いの? キーファって」
本当に申し訳ないが、毎日イーサンかジェイスに顎で使われている彼の実力を、俺は知らない。
「嘘でしょ先生。キーファさんは、入隊2年目で騎士団魔法部隊の総団長に成られた天才、ですよ?」
それって、イーサンと同じ立場って事か?
「シャーロットさん大袈裟っす。もう『元』ですからね! 今はただのジェイスさんの犬っす」
――いや、そこ笑顔で言うところじゃないだろう。
「……つかぬ事をお聞きしますが、第2騎士団の皆様は実は凄い人達だったりします?」
訊ねた先の彼女の顔は、まさに絵に描いたようなドン引き顔。流石にそれは美人が台無しだよシャーロット。
「せ、先生、何言ってるんですか。先生の恋人、イーサン団長は、史上最年少で騎士団の上から2番目『聖騎士』の称号を得た方です、よ……?」
「火事での後遺症なのかしら」と、シャーロットはよく分からない解釈をし始めたので、有難くそれに乗っかる事とした。
「そう、まだ記憶が混濁していて。……あれ、イーサンってそんな凄い人だったんですか?」
「そうっすね。騎士団内での実力は文句無しのナンバー2っす! 因みにナンバー1はお兄さんのアレフさんで、彼は騎士団トップの『総司令官』の称号をこれまた史上最年少で得た……まぁ、才能しかない兄弟っすね」
「へ、へぇ……」
「因みに、副団長をされているギルバートさんは、そんなアレフさんが団長になる迄の元相棒。本人のご希望により称号こそ得てないものの、その実力はクライヴ家ご兄弟と大差ないとの噂もあります」
追加でキーファとは逆の場所に立ったままのシャーロットがそう教えてくれた為に、俺の首は忙しなく動く。
「あの、ギルバートさんが?」
「ジェイスさん家は、代々王国お抱え軍師の、超絶頭良い家系の人っすよ」
ジェイスは、何となくしっくりくる。
も、もしかしてあの人たち、毎日あれだけ巫山戯てるのに、凄い人達だったりする!?
「団長が持ってる剣、見たことあります?」
「あぁ、あの青い綺麗な剣のことかな」
いつもイーサンが腰に下げている美しい剣。多くの武器が並ぶ部屋の武器立ての中でも一際異彩を放つその存在を、俺は頭の中で思い出した。
「そそそ! あれ聖剣デュランダルって言って、剣が持ち主を選ぶと言われている伝説の剣で……500年ぶりに主として認められた相手が団長なんっすよー」
「……は!?」
え、俺、『凄い! 綺麗な剣だね』って軽率に触ったりしたけど……なにあれそんな国宝級なの!?
「まぁ他も、アレフさんは倶利伽羅大剣、ギルバートさんは聖槍グングニル、ジェイスさんは異国の魔刀・妖刀村正という、全員が伝説級の武器を扱うバケモン集団っす」
どうしよう、情報が過多すぎる。そんな猛者の集まりだなんて、俺聞いてない。
「という訳、で! 話を戻して、アオさんの召喚術講座第1回目、いってみましょー」
キーファとシャーロットが元気に「おー!」と腕を振り上げる中、俺だけが脳内の情報処理に頭を抱えていた。
「というわけで、今日はアオさんの召喚術講師として、ここにやってきましたー!」
夕刻。おおよその診療も終わり、俺とシャーロットしか居ない診療室内に、今日も元気なキーファが現れた。
「召喚……術?」
聞き慣れない単語に、俺は今日の患者の症状をノートに、まとめて居た手を止めた。
「面白そうですねぇ!!」
本日の売上計算が終わり、金庫を閉めたシャーロットは目を輝かせて小さく手を叩いている。
「団長からの依頼っす。っても、戦えって事じゃなくて、あくまで護身用。今後アオさんの身に何か起きた 時に身を守るものっすね」
「成程イーサンからの……」
確かに昨晩あれから彼の部屋に帰った後の心配度合いは異常だったし、何をするのにも常に隣に居て、なんなら風呂にすら1人で入らせてもらえなかった。どうにか未遂に終わったがベッドの中でも、普段以上にねちっこかったな……
『まだ意識飛ばすのは早いだろアオ。夜はこれからだ』
思い出された昨日の記憶を、ぶるぶるっと首を振って打ち払う。
「何だか日に日にイーサンの、度を超えた過保護が目につくようになってきた気がするんだよね」
まぁ、その……全く嫌では無いし……俺の心は喜んでしまっているのだか。
思わず閉じたノートの上に項垂れながら零した言葉は、横から刺さるニンマリとした視線から察するに、また2人の活力剤となったようだ。
「アオさんは、癒し以外の魔法を使った事はないんすよね?」
キーファと共に待合のソファへと腰掛け、渡された分厚い本をパラッと捲ってみる。
なんだこの、文字の超満員電車は。
医学書並ともいえる文字の羅列に、思わず俺の顔面が引き攣る。
「ないかな。召喚術ってあれ? なんか伝説級の聖獣呼んだりする」
キーファは笑顔で「そっすよー! まー、難しくないんで、大丈夫」なんて言っているが。ゲームでよく見た、フェニックスやらなんやらを呼ぶ俺の姿なんて想像出来ないが!?
「間近であのキーファさんの魔術を見られるなんて……こんな感動的な事は無いです! 先生のところに勤めていて良かった~」
キーファと俺に、お茶を出してくれるシャーロットのテンションがやけに高い。
「そ、そんな凄いの? キーファって」
本当に申し訳ないが、毎日イーサンかジェイスに顎で使われている彼の実力を、俺は知らない。
「嘘でしょ先生。キーファさんは、入隊2年目で騎士団魔法部隊の総団長に成られた天才、ですよ?」
それって、イーサンと同じ立場って事か?
「シャーロットさん大袈裟っす。もう『元』ですからね! 今はただのジェイスさんの犬っす」
――いや、そこ笑顔で言うところじゃないだろう。
「……つかぬ事をお聞きしますが、第2騎士団の皆様は実は凄い人達だったりします?」
訊ねた先の彼女の顔は、まさに絵に描いたようなドン引き顔。流石にそれは美人が台無しだよシャーロット。
「せ、先生、何言ってるんですか。先生の恋人、イーサン団長は、史上最年少で騎士団の上から2番目『聖騎士』の称号を得た方です、よ……?」
「火事での後遺症なのかしら」と、シャーロットはよく分からない解釈をし始めたので、有難くそれに乗っかる事とした。
「そう、まだ記憶が混濁していて。……あれ、イーサンってそんな凄い人だったんですか?」
「そうっすね。騎士団内での実力は文句無しのナンバー2っす! 因みにナンバー1はお兄さんのアレフさんで、彼は騎士団トップの『総司令官』の称号をこれまた史上最年少で得た……まぁ、才能しかない兄弟っすね」
「へ、へぇ……」
「因みに、副団長をされているギルバートさんは、そんなアレフさんが団長になる迄の元相棒。本人のご希望により称号こそ得てないものの、その実力はクライヴ家ご兄弟と大差ないとの噂もあります」
追加でキーファとは逆の場所に立ったままのシャーロットがそう教えてくれた為に、俺の首は忙しなく動く。
「あの、ギルバートさんが?」
「ジェイスさん家は、代々王国お抱え軍師の、超絶頭良い家系の人っすよ」
ジェイスは、何となくしっくりくる。
も、もしかしてあの人たち、毎日あれだけ巫山戯てるのに、凄い人達だったりする!?
「団長が持ってる剣、見たことあります?」
「あぁ、あの青い綺麗な剣のことかな」
いつもイーサンが腰に下げている美しい剣。多くの武器が並ぶ部屋の武器立ての中でも一際異彩を放つその存在を、俺は頭の中で思い出した。
「そそそ! あれ聖剣デュランダルって言って、剣が持ち主を選ぶと言われている伝説の剣で……500年ぶりに主として認められた相手が団長なんっすよー」
「……は!?」
え、俺、『凄い! 綺麗な剣だね』って軽率に触ったりしたけど……なにあれそんな国宝級なの!?
「まぁ他も、アレフさんは倶利伽羅大剣、ギルバートさんは聖槍グングニル、ジェイスさんは異国の魔刀・妖刀村正という、全員が伝説級の武器を扱うバケモン集団っす」
どうしよう、情報が過多すぎる。そんな猛者の集まりだなんて、俺聞いてない。
「という訳、で! 話を戻して、アオさんの召喚術講座第1回目、いってみましょー」
キーファとシャーロットが元気に「おー!」と腕を振り上げる中、俺だけが脳内の情報処理に頭を抱えていた。
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