○○過敏症な小鳥遊君

渡辺 佐倉

文字の大きさ
4 / 5

これってどういうことですか?小鳥遊君

しおりを挟む
小鳥遊君にとってクラスで一番仲のいいオメガは多分俺。

と言ってもチョーカーをしてないオメガが他にどれくらいいるかを俺自身ちゃんと知らないので、『俺調べによる』というだけだけれど。


優越感が無かったと言えば嘘になるのかもしれない。
カメムシ臭ではないと知った後も、まあ楽しい事じゃないから大変だろうなって思っていた。

そのことを俺だけが知っているかもしれないという優越感もあったのかもしれない。
だからきっと罰があたったのだ。


* * *

小鳥遊君と俺はクラスでは別々のグループに属している。
だから常に一緒に過ごしてはいない。
小鳥遊君はいわゆるクラスの人気者という感じの人たちと大体一緒にいる。
なんか目立っているって感じの人たちが多い。

だからその人たちといるときに俺は小鳥遊君には話しかけない。

俺にだって友達はいるし、そちらと行動も一緒にしているし、普段彼がどんな話をしてるとかはあまり知らなかった。

小鳥遊君も友達の話は全然しなかったし。
ただ、俺にくれるみたいにチョコレートとかを渡しているのかは気になった。

それだけ。
うん。それだけならよかった。


俺は目の前の光景にひゅっと息を飲んだ。

小鳥遊君のグループの人達が目の前にいた。
そこには小鳥遊君もいた。

それだけなら普通の光景だ。
ただ、俺が驚いたのはそれではなかった。

小鳥遊君が眼鏡もマスクもしていないのだ。
思春期の一時期だけのことだという言葉を思い出すけれどそれもすぐ消える。
今日教室では普通に眼鏡もマスクもしていた。

オメガがいないからという理由も一緒にチョーカーをつけたオメガがいたから違う。
確か、小鳥遊君の友達の誰かと付き合っているとかそういう話は頭の中に浮かぶけれど上手く形にはならない。

だって、小鳥遊君はオメガがいてもマスクも眼鏡もしていない。

あの時教えてくれたことは嘘だったのか。
それとも眼鏡とマスクは何だったのか。

よく分からない。

上手く言葉が出ない。

『小鳥遊君、治ったの?』

なんて気軽に俺には聞けない。

どうすればいいのか俺には分からず、無視して通り過ぎようかと思った。

その時、じゃなかったのかもしれない。
思ったより無駄に考えて無駄に時間が経っていたのかもしれない。

小鳥遊君が突然、ばっとこっちを見た。
それから酷く咳き込みだした。

これは俺でも分かる。
小鳥遊君は俺に対して何か症状があるのだ。

俺にだけ辛い症状が出てしまうのだ。

俺は持っていた教科書をぎゅうと握ったまま小鳥遊君に背を向けると走って逃げることに決めた。
足は俺の意思よりもずっとちゃんときちんと動いてくれた。

見なかったこと、無かったことにすればいい。
そう決めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

素直になれなくて、ごめんね

舞々
BL
――こんなのただの罰ゲームだ。だから、好きになったほうが負け。 友人との、くだらない賭けに負けた俺が受けた罰ゲームは……大嫌いな転校生、武内章人に告白すること。 上手くいくはずなんてないと思っていたのに、「付き合うからには大切にする」とOKをもらってしまった。 罰ゲームと知らない章人は、俺をとても大切にしてくれる。 ……でも、本当のことなんて言えない。 俺は優しい章人にどんどん惹かれていった。

俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。

黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。 ※このお話だけでも読める内容ですが、 同じくアルファポリスさんで公開しております 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 と合わせて読んでいただけると、 10倍くらい楽しんでいただけると思います。 同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。 魔法と剣で戦う世界のお話。 幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、 魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、 家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。 魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、 「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、 二人で剣の特訓を始めたが、 その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・ これは病気か!? 持病があっても騎士団に入団できるのか!? と不安になるラルフ。 ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!? ツッコミどころの多い攻めと、 謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの 異世界ラブコメBLです。 健全な全年齢です。笑 マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。 よろしくお願いします!

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

青龍将軍の新婚生活

蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。 武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。 そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。 「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」 幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。 中華風政略結婚ラブコメ。 ※他のサイトにも投稿しています。

もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた

谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。 就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。 お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中! 液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。 完結しました *・゚ 2025.5.10 少し修正しました。

もしも願いが叶うなら、あの頃にかえりたい

マカリ
BL
幼馴染だった親友が、突然『サヨナラ』も言わずに、引っ越してしまった高校三年の夏。 しばらく、落ち込んでいたが、大学受験の忙しさが気を紛らわせ、いつの間にか『過去』の事になっていた。 社会人になり、そんなことがあったのも忘れていた、ある日の事。 新しい取引先の担当者が、偶然にもその幼馴染で…… あの夏の日々が蘇る。

優等生αは不良Ωに恋をする

雪兎
BL
学年トップの優等生α・如月理央は、真面目で冷静、誰からも一目置かれる完璧な存在。 そんな彼が、ある日ふとしたきっかけで出会ったのは、喧嘩っ早くて素行不良、クラスでも浮いた存在のΩ・真柴隼人だった。 「うっせーよ。俺に構うな」 冷たくあしらわれても、理央の心はなぜか揺れ続ける。 自分とは正反対の不良Ω——その目の奥に潜む孤独と痛みに、気づいてしまったから。 番なんて信じない。誰かに縛られるつもりもない。 それでも、君が苦しんでいるなら、助けたいと思った。 王道オメガバース×すれ違い×甘酸っぱさ全開! 優等生αと不良Ωが織りなす、じれじれピュアな恋物語。

君に二度、恋をした。

春夜夢
BL
十年前、初恋の幼なじみ・堂本遥は、何も告げずに春翔の前から突然姿を消した。 あれ以来、恋をすることもなく、淡々と生きてきた春翔。 ――もう二度と会うこともないと思っていたのに。 大手広告代理店で働く春翔の前に、遥は今度は“役員”として現れる。 変わらぬ笑顔。けれど、彼の瞳は、かつてよりずっと強く、熱を帯びていた。 「逃がさないよ、春翔。今度こそ、お前の全部を手に入れるまで」 初恋、すれ違い、再会、そして執着。 “好き”だけでは乗り越えられなかった過去を乗り越えて、ふたりは本当の恋に辿り着けるのか―― すれ違い×再会×俺様攻め 十年越しに交錯する、切なくも甘い溺愛ラブストーリー、開幕。

処理中です...