○○過敏症な小鳥遊君

渡辺 佐倉

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距離が近い気がします小鳥遊君

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翌日、ホチキスでできた傷のことをとても小鳥遊君に心配された。
かすっただけで、お風呂でさえ別にしみなかったのに。

「絆創膏持ってきたんだ」

小鳥遊君はそう言って俺に絆創膏を渡した。
本当に大した怪我じゃないのに。

普通そんなもの持ちあるからないから、俺のために準備をしたのだと思う。
まめな人だ。

アルファっぽい威圧感が無いのは眼鏡とマスクの所為だろうか。
それとも小鳥遊君がフェロモン過敏症という病気になっているからそんな風に思い込んでいるのだろうか。


その日を境に、なんでか分からないけれど小鳥遊君はよく俺に話しかけてくるようになった。

ただ、普段はお互い仲がいいのは違うグループで。
だからお昼を一緒に食べるとかそういうんじゃなくて、ちょっと話しかけられる感じ。

さっきの国語の授業は眠くてヤバかった。とか、選択授業どうする?とか。

文化祭のアンケート書いた?とか。
なんか、俺に聞かなくてもという話をいつもしに来てくれる。

ただ、ちゃんと答えなきゃという威圧感は全然なくて、俺も適当に「暖かくなると眠くなるよね」とか答えられた。
友達って言えるのかはちょっとよくわからないけどちょっとした顔見知り?よくわかんないけどよく話すクラスメイトみたいになっていた。

アルファでそういう気楽な関係の人ができるのは初めてで少し新鮮な気もした。
それから、小鳥遊君は妙に俺にお菓子とかをくれる。

チョコレートとか飴とか。
一粒だけだけれど、「そういえば」と言ってブレザーのポケットから出して俺にくれる。
そして、俺が口に入れるところをじっと見る。

それはホチキスの傷をじっと見ていた時の小鳥遊君を思い出してなんだか少し居心地が悪い。

だけどなんだろう。上手く言葉にできなくて。
見ないでくださいって言うのはちょっと自意識過剰が気もしたし、俺は視線を少しずらして小鳥遊君を見ないようにすることしかできなかった。

僕がチョコレートを飲み込むと小鳥遊君は何やら一人で納得したらしく薄く笑みを浮かべる。
口元がどうなっているかはマスクでよくわからないので目が細くなるのを見た感じそういう顔をしている。

人に何かを食べさせるのが好きなのかもしれない。
それか、俺が少しやせすぎなのかもしれない。

「俺、もう少し太った方がいいかな?」

思わずそれを口にすると「え? どっちでもいいと思うけど」と小鳥遊君は答えた。
太らせたいという人じゃない事だけだけはとりあえず分かったのでよしとした。

俺が何かに納得した様子なのを小鳥遊君は困惑した顔で見ていた。
困惑しているのは俺の方だというのに。

少しだけ面白くて、ふふっと声を出して笑ってしまった。
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