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それって呪いみたいだね小鳥遊君
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俺はなぜか先生にプリントの準備とか用具の片づけとか、そういうものを頼まれやすい。
今日も総合探求の時間のためのプリント冊子づくりを放課後に担任に頼まれてしまった。
仲良くなった友達は今日に限って皆用事があって帰ってしまった。
仕方がなく、一人でプリントを重ねてはホチキスでとめている。
なんか多い気がしたけど、どう考えても、隣のクラスの分も入ってるよこれ。
はあ、とため息をついているともう帰ったと思っていた小鳥遊君が教室に入って来た。
やっぱり眼鏡とマスクをしている。
だけど、小鳥遊君が俺を見てかなり驚いた顔をしていた。
俺が残っていた所為でカメムシ臭がすごかったんだろうか。
思わず自分の腕の匂いを嗅ごうとしてやめた。
気を取り直したように小鳥遊君が俺に話しかけてきたからだ。
「曽山君はなにしてるの?」
まさか話しかけてくるとは思わなかった。
挨拶位ならするだろうけど、匂いが嫌だろうからすぐに出て行ってしまうものと思っていた。
多分、小鳥遊君は忘れものでもしただけだろうし。
だから、話しかけられて少し驚いた。
「先生に頼まれて……」
そういう風に答える以外の言い方がよくわからなかった。
多分小鳥遊君は俺のやってることに本当に興味がある訳じゃないだろうし。
「じゃあ、俺も手伝う」
そう言って小鳥遊君は俺の隣の机に座った。
「紙の方かして。
俺がまとめて、曽山君がホチキスでとめて」
普通だった。
なんていうか普通。
小鳥遊君は俺のことをオメガだって知っていて、多分嫌な匂いがしていて、だけどすごい普通。
俺は内心びっくりしていた。
それでもちゃんと手は動かしていた。
自分で使ってるホチキスの小さなカツンという音だけが教室によく響く。
「ねえ、俺といて具合悪くならない?」
ずっと気になっていたことだ。
本当はデリカシーが無くて聞いちゃいけない事なんだろう。
特に第二の性別にかかわる病気なのだとしたら。
「あー、このマスクだよね。
気を悪くさせてたらごめんね」
「そ、そんな気を悪くなんて……」
俺は答えた。
「曽山はどこまで知ってるの?」
「オメガの匂いに過剰反応するって」
「あー、まあそんな感じ」
二人で作業をしながらぽつりぽつりと話す。
「一時的なものらしいんだけどね」
「へえ、そうなんだ。
早く治るといいね」
そういえば入学式の時はマスクしてなかった。
「なんかこういう言い方するの恥ずかしいんだけど“思春期”特有の病状ってやつらしい」
ネットで調べた記事には書かれていなかった言葉だった。
「思春期って自分で言うの恥ずかしいのは俺も分かる」
小鳥遊君の過敏症はいつかは治るものらしい。
だからなるべく俺とかに対して分け隔てなく接してくれているのかもしれない。
治った時に気まずいから。
「……それで、本当にカメムシみたいな匂いがするものなの?」
俺が聞くと、小鳥遊君君は急にむせた様にせき込んで「な、なにそれ!?」と言った。
それから、俺が「ネットに書いてあったから」というと少し納得した感じだった。
そのことに気を取られてしまいホチキスで自分の指を巻き込んで針を刺してしまった。
「痛っ……」
「だ、大丈夫!?」
少しかすっただけで血が滲むけどそんなに心配されるほどのものではない。
けれど小鳥遊君はじっと俺の指を見ると、それから慌ててティッシュを渡された。
「曽山君は休んでて後は俺がやるから」
小鳥遊君はそう言った。
一人で俺よりも効率よく作業を進めるを小鳥遊君ぼんやりと眺める。
ドジとか何も言われなかったことに少し驚いてはいた。
「……匂いは人によると思う。
少なくとも俺はカメムシに悩まされてはいない」
そうか、カメムシに悩まされている訳じゃないのか。
俺はちょっとほっとした。
「じゃあ、どんな匂いがするからマスクをしてるの?」
俺は思わず聞いてしまったけれど、小鳥遊君は答えてくれなかった。
「少なくともカメムシよりはいい匂いだよ」
小鳥遊君はそう言った。
そうして、ほとんど小鳥遊君の頑張りによって作業は終わった。
昇降口で帰るときに、小鳥遊君は何度も「ちゃんと手を消毒してね」と繰り返していた。
これは単に俺のミスの所為なのに、まるで小鳥遊君の所為で怪我をしたみたいな口ぶりで少し驚いた。
今日も総合探求の時間のためのプリント冊子づくりを放課後に担任に頼まれてしまった。
仲良くなった友達は今日に限って皆用事があって帰ってしまった。
仕方がなく、一人でプリントを重ねてはホチキスでとめている。
なんか多い気がしたけど、どう考えても、隣のクラスの分も入ってるよこれ。
はあ、とため息をついているともう帰ったと思っていた小鳥遊君が教室に入って来た。
やっぱり眼鏡とマスクをしている。
だけど、小鳥遊君が俺を見てかなり驚いた顔をしていた。
俺が残っていた所為でカメムシ臭がすごかったんだろうか。
思わず自分の腕の匂いを嗅ごうとしてやめた。
気を取り直したように小鳥遊君が俺に話しかけてきたからだ。
「曽山君はなにしてるの?」
まさか話しかけてくるとは思わなかった。
挨拶位ならするだろうけど、匂いが嫌だろうからすぐに出て行ってしまうものと思っていた。
多分、小鳥遊君は忘れものでもしただけだろうし。
だから、話しかけられて少し驚いた。
「先生に頼まれて……」
そういう風に答える以外の言い方がよくわからなかった。
多分小鳥遊君は俺のやってることに本当に興味がある訳じゃないだろうし。
「じゃあ、俺も手伝う」
そう言って小鳥遊君は俺の隣の机に座った。
「紙の方かして。
俺がまとめて、曽山君がホチキスでとめて」
普通だった。
なんていうか普通。
小鳥遊君は俺のことをオメガだって知っていて、多分嫌な匂いがしていて、だけどすごい普通。
俺は内心びっくりしていた。
それでもちゃんと手は動かしていた。
自分で使ってるホチキスの小さなカツンという音だけが教室によく響く。
「ねえ、俺といて具合悪くならない?」
ずっと気になっていたことだ。
本当はデリカシーが無くて聞いちゃいけない事なんだろう。
特に第二の性別にかかわる病気なのだとしたら。
「あー、このマスクだよね。
気を悪くさせてたらごめんね」
「そ、そんな気を悪くなんて……」
俺は答えた。
「曽山はどこまで知ってるの?」
「オメガの匂いに過剰反応するって」
「あー、まあそんな感じ」
二人で作業をしながらぽつりぽつりと話す。
「一時的なものらしいんだけどね」
「へえ、そうなんだ。
早く治るといいね」
そういえば入学式の時はマスクしてなかった。
「なんかこういう言い方するの恥ずかしいんだけど“思春期”特有の病状ってやつらしい」
ネットで調べた記事には書かれていなかった言葉だった。
「思春期って自分で言うの恥ずかしいのは俺も分かる」
小鳥遊君の過敏症はいつかは治るものらしい。
だからなるべく俺とかに対して分け隔てなく接してくれているのかもしれない。
治った時に気まずいから。
「……それで、本当にカメムシみたいな匂いがするものなの?」
俺が聞くと、小鳥遊君君は急にむせた様にせき込んで「な、なにそれ!?」と言った。
それから、俺が「ネットに書いてあったから」というと少し納得した感じだった。
そのことに気を取られてしまいホチキスで自分の指を巻き込んで針を刺してしまった。
「痛っ……」
「だ、大丈夫!?」
少しかすっただけで血が滲むけどそんなに心配されるほどのものではない。
けれど小鳥遊君はじっと俺の指を見ると、それから慌ててティッシュを渡された。
「曽山君は休んでて後は俺がやるから」
小鳥遊君はそう言った。
一人で俺よりも効率よく作業を進めるを小鳥遊君ぼんやりと眺める。
ドジとか何も言われなかったことに少し驚いてはいた。
「……匂いは人によると思う。
少なくとも俺はカメムシに悩まされてはいない」
そうか、カメムシに悩まされている訳じゃないのか。
俺はちょっとほっとした。
「じゃあ、どんな匂いがするからマスクをしてるの?」
俺は思わず聞いてしまったけれど、小鳥遊君は答えてくれなかった。
「少なくともカメムシよりはいい匂いだよ」
小鳥遊君はそう言った。
そうして、ほとんど小鳥遊君の頑張りによって作業は終わった。
昇降口で帰るときに、小鳥遊君は何度も「ちゃんと手を消毒してね」と繰り返していた。
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