クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第1章 解放

第32話 聖域ニルヴァーナ

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 僕は一つの依頼から入った多額の報酬で個人用の馬車を手に入れ、今の所あまり意味は無いが、遠出と遠くの場所の依頼を受けられるようになった。これによってグレイブの革命活動がより大きくなった。

 そうして今回受けたのは帝国より真北、言わばこの世界の最北端にある聖域ニルヴァーナを拠点とした、神聖皇国ロギアの依頼。
 依頼内容は神聖皇国ロギアに下されたとか言う神ゲルニクス様からの啓示より、『魔物の大群を退け、要所に神殿を建造せよ』とのこと。

 魔物の大群と言うので、僕は前の狼の縄張り制圧より度が違うと考え、グレイブと二人で達成出来るものでは無いとして、折角冒険者ランクがシルバーになったので、この世界に来てから僕を最初に助けてくれたグレイ達に協力を要請した。
 グレイ達は快く引き受けてくれた。僕は早速馬車に全員で乗り込み、神聖皇国ロギアへ出発した。

「ところで神聖皇国ロギアってどんな場所なんだい? グレイブが知らないならグレイなら分かるんじゃ無いかな?」

「うーんそうだな。知ってるっちゃ知ってるけど、俺もそんなに詳しく無いんだよな。神聖皇国ロギアは、簡単に言ってしまえば完全宗教国家だ。それだけ。
 ロギアの中を見たこともどんな場所かさえも情報は完全に隠されていてさ、一応聖徒って呼ばれてる人達は各国に点々といるにはいるんだけど、みんな口止めされているかのように何にも教えてくれないんだ。
 もっと分かりやすく言えば、熱狂的な信者の言っていることが全く分からないってのが現状かな」

 信者の言っていることが分からない……? 言っていることがまわりくどすぎるってことかな?

「なるほど。つまり何も分からないってことだね? 分かった。後は現地に行けば分かるかな」

 そう雑談しながら僕の馬車アルヴィズを何気に最大速度でかっ飛ばしながら約6時間。突然何かの衝撃波が体を伝ったかと思えばアルヴィズの速度が急激落ちた。

「あれ? アルヴィズ? どうしたんだ?」

 グレイの仲間バルが答えた。

「こいつぁ、神聖力だな。噂には聞いていたがマジであんのかよ」

「神聖力? 正に今からいく所にお似合いな言葉だね?」

「おうよ。神聖力ってのは俺らが普段使っている魔式とは全く異なる性質を持っていてな。逆に魔式の効果を薄める力が働く。
 この神聖力についても噂程度だから詳しくは無いんだが、なんて言ったらいいのやら。『神より授かりし天啓』っていうらしいぜ?」

 神より授かりし天啓。はぁーなるほど。そりゃ性質が違う訳だ。要はこの世界にはれっきとした神が存在するってことかな。そして神聖力は神の力だ。魔式を制限する意味が分からないけど。
 僕の予想としては神聖皇国ロギアに住む人々は魔式という此処の人間が開発した力ではなく完全に神の力を用いて生活しているってことになる。と考えた方が自然かな。
 そしてアルヴィズの速度が急激に落ちた理由は、魔式では無いけれど神聖力以外で身体強化されているから、本来の力が弾かれたんだ。

 ということはだ。今回の依頼。一筋縄ではいかないかもね? そもそも僕の固有能力は魔力を消費しないから魔式とは無関係なんだろうけど、そこはどうなんだろう?
 もし僕の固有能力を完全に制限されたら、僕は本当の意味で雑魚同然になってしまう。喧嘩すら苦手の僕が普段の反射神経で、敵の攻撃を避けられるはずが無いだろう。
 つまり、最悪の場合僕は死ぬ。そうならないことを願おう。

 急激に速度を落としたアルヴィズに乗ってとぼとぼと歩くこと約1時間。出発から大分時間が経ってしまった。恐らく時間は午後の3時くらい。日射しは真っ昼間だ。
 恐らくここが神聖皇国ロギアの入り口だろう。閉じた大門の前に二人門番が居る。

「そこの者、止まりなさい。ここより先は神聖皇国ロギアになる。聖徒でない者の立ち入りは禁じられている。速やかに引き取り願う」

「いや、僕たちはここの依頼を受けた冒険者なんだけど……」

「それでも駄目だ。話は聞いている。しかしこの先に入る許可にはならない。ここ、聖域ニルヴァーナは本来強力な結果により如何なる魔物でも侵入不可能。若しくは消滅か弱体化する。
 しかし近頃、原因不明の力により結界の力が弱まっている。その結果、結界の周囲にいた魔物が軍を率いて侵入してくるという神の啓示を受けた。
 貴様ら冒険者にはその魔物の大群の撃退。そして結界の修復に必要な神殿を四つ、聖域の四方の隅に作って欲しい。
 本来ならこれくらいならば我々の力でやるべきなのだが、結界の弱まりに伴い我々の使う神聖力も総合的に低くなり、襲ってくる魔物の撃退がままならないのも事実。
 だから今回は冒険者に依頼した」

「なるほど。分かった手を貸してあげよう。それはそうと、魔物の大群っていつ来るんだい?」

「それは今は絶対に来ることは無い。魔物の習性は繁殖率を高めるために、より大きく縄張りを広げ、巣を作る必要がある。
 よって魔物は他の魔物の縄張りを奪おうとすることから神聖力によって保護されている領域を縄張りだと認識し、本来侵入不可能でも襲ってくる性質がある。
 そこからがこれの出番である。神殿の建造だ。神殿は建造する際、守護者ガーディアンの召喚と共に強大な神聖力を生み出す。これによって他の魔物の縄張りに対する抵抗力が強まり、結果的に神殿を破壊しようと大群で魔物が襲ってくるのだ。それを貴様らに撃退してほしいのだ」

 ははー、完全に理解した。要は大切な物を破壊しようとする輩が来るから守ってねってことだね。良いだろう。やろうか。

「じゃあ、早速やってくるよ。それで神殿を作る道具は?」

「あぁ、これだ。それともう一つ忠告しておこう。今は結界の弱体化により貴様が連れてきた馬車の馬は弱体化で済んでいるが、結界が完全に修復されれば、もれなく消滅するだろう。神殿建造前にそれを結界の外へ出しておくのが賢明だ」

 えー。せっかくの移動手段が……。でも仕方が無いね。消えてしまったら元も子もないか。

「だからここは高速移動用に我々の力を多少授けよう。本来聖徒では無い者に神聖力を分け与えることは禁じられているが、聖徒の協力者となれば話は別。聖徒が非力な協力者に力を貸さないとは、人間に対する冒涜となる。神はこれを解さないだろう。よっては我は貴様らに神聖力を最低限分け与えよう、
 さすれば貴様はこの結界内にいる間なら馬車の代わりになる力を得るだろう」

 そう門番は僕たちに両手をかざすと、僕とグレイブとグレイ達の身体が眩く輝きだす。すぐに輝きは収まったが、身体強化されたような感覚は一切ない。
 そこでグレイの背後に立っていたグレイの仲間のレイカが驚きの声を漏らす。

「わぁ……! すごい! 私浮いてる! あはははは! 速い速い!」

 ふとレイカの方を振り向けば、なんとレイカが地面から若干足を浮かせ、空中を滑らかに移動しまくっていた。簡単に言えばホバリング移動かな。
 これは便利だ。歩くも走るも体力を必要としないなんて。

「その力は神聖力による力である。この結界内では少しでも神聖力を持っていれば、分け与えた規定の量まで常に神聖力が結界から補充されるため、効果を失うことは絶対に無い。
 さぁ、貴様らの力で聖域ニルヴァーナの結界を修復せよ」

「よし分かった! 出来る限り早く終わらせよう!」

 そうして僕は神殿建造の為に馬車を結界外に出してから出発した。
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