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第1章 解放
第33話 大群
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僕が今回選んだ依頼は、神聖皇国ロギアからの聖域ニルヴァーナの結界の修復。ロギアを見張る門番に四つの神殿建造用の道具を渡された。
見た目は厚さ75mm程度棒状の筒。全体が白銀色できめ細やかな装飾が施されており、これを地面に突き刺すことで起動するらしい。
僕は一つ目の要所に到着した。建造する場所は聖域ニルヴァーナの四隅。結界は内側から見ると虹色透明で、薄い膜が貼られているようで分かりやすく作られている。
それも何処か結界の角なのかもはっきり分かるほどに、直角に折れ曲がった結界の境界線がよく見える。
ただこれから『神殿』を建造するんだ。そこそこ大きな建物だと思う。神殿建造によって召喚される守護者は自身から強力な神聖力を生み出すと聞いたけど、ただこれを結界の本当の角に設置しても意味が無いだろう。あくまでも結界内だからこその守護者であり、外では神聖力を生み出す機械にしかならないと思う。
という訳で僕は結界の角から大体10m離れた地点に立つと思いっきりひとつめの神殿建造機を地面に突き刺す。
「これで良いのかな?」
「ハクさん! 地面に魔法陣が!」
「え?」
グレイの叫び声にふと地面、僕の足下を見ると、それは巨大な大体半径30mくらいの円の真っ白な魔法陣が展開していた。
それに続き起こる細かい地響き。すると、とてつもなくゆっくりだが、真っ白な神殿らしき建物が3Dプリンターの如く、下から順に『建造』を開始していた。
「ハクさん! 来たぞ! 魔物の大群だ!」
「おいおいなんだありゃ? あんなの俺らがぶっ倒せってか?」
「え、ちょっと多すぎない?」
グレイ達が唖然とした表情で見つめるその先には、真っ暗な瘴気を煙のように湧き上がらせ、全体的に体が黒く染まった魔物の大群がこちらに向かって来ていた。
ただその数は正に『大群』と呼ぶに相応しく、僕ら五人じゃどうこうできる数とは到底思えない。しかしやらなければ死ぬ。やるしか無かった。
「うわぁ、これはちょっとまずいねぇ」
魔物の大群もただの馬鹿ではなく多少の知能はあるようで。僕らに波状攻撃をする陣を取る。最初は弱く、後半は強くすることで僕らの体力と集中力を確実に減らしていく戦法だ。
最初に来たのは狼五体とかつて戦ったグレートウルフ。まさか、あの群の中で一番弱いのがアレって言うのかい? 結構苦労したんだけどなぁ。
「アオオォンッ!」
戦いが始まる合図は、グレートウルフの遠吠えから放たれる容赦のない落雷だ。
そこで時が遅くなる……? いや、これまでのほぼ止まっている速度では無い。確実に。いや、かなり早く雷が、されどゆっくり落ちてくるのが見えた。
よく見れば避けられなくなは無いくらいの速さだ。
「あぶないっ!?」
ちなみに僕はこの戦闘において決してダメージは受けてはならない。僕の現在のレベルは8。つまりステータスはオール8なんだ。狼の突進攻撃すら耐えられる気がしない。一撃でも食らったら僕は死ぬ。
僕は雷の落下地点を良くみながら避けつつ、周囲にいる普通の狼を【回避】の性質を使って次々と殴り飛ばす。剣も一応新調はしたが、最初から素手攻撃になれていたせいか剣を咄嗟に引き抜く動作を思いつかない。
「はああぁっ!」
その隙にグレイブは新たに新調した鉄剣でグレートウルフの足元に近づき、片足を勢いでぶった斬る。流石はレベル40。その一撃だけで足を切断した。
片足が切り離されたグレートウルフはそれだけで勢いよく態勢を崩し、まえめのりにぶっ倒れる。
「さすがグレイブ! みんなチャンスだ!」
「おりゃああっ!」
「おらぁぁ!」
「せいっ!」
グレイは自前の鉄剣で倒れたグレートウルフの身体に斬撃を与え、バルは重そうな大盾で頭部を叩き潰し、レイカは短剣で眼を貫く。うわぁ、こっちも容赦無いね。
「グガアアァァッ!」
グレートウルフはのたうちまわり、一本切断された三本の足でなんとか立とうするが、切断された足は前左足。バランスがなかなか取れずにまたドスンと地を響かせて態勢を崩す。
すると、遠吠えの姿勢に入れないことから口を大きく開き、青い稲妻を溜め始めた。
「まずいっ、何か来る! みんなは全力で避けろ!」
次の瞬間、首も振ることができないグレートウルフは一直線に口から稲妻を光線にさせて勢いよく発射。ただ普通の光線ではなく、電流が光線の通過点にばら撒かれる。
直撃すれば100%死。金属に対して若干の追尾性能がある電流も下手したら死ぬ。
流石に追尾軌道までは【回避】で見れない為、僕は咄嗟に剣を引き抜くのではなく、投げた。
「そぉい!」
空中に投げられた鉄剣は電流が集中し、バチバチと音を立てる。直線攻撃を回避した僕は電流がこちらに来る前に、正面に突っ走りグレートウルフの頭を勢いよく蹴り飛ばす。
僕の足に衝撃が走るほどの一撃。確実に頭蓋骨にひび入ったんじゃないかな。
「ガフッ!?」
稲妻光線の攻撃は止み、電流で宙に浮いたまま停止していた剣が地面に落ちると、僕はそれをすぐに拾い思いっきりグレートウルフの脳天目掛けて投げる。
この倒し方は以前とやり方は違うが、致命傷は同じ。脳天を切り裂くことでグレートウルフは絶命する。
頭の中で何かが弾ける音が響く。レベルアップのお知らせだ。僕はこれで8から11になった。これまでに3も上がったことはこれが初めてだ。
もしかしてこの依頼に出現する黒い魔物はえげつない経験値でも持っているのだろうか?
さて、グレートウルフを倒せば次の敵だ。僕はこの世界にきてからウルフを数匹とグレートウルフ、エンシェントゴーレムしか戦った経験がない。だからこれから来る魔物は完全初見。攻略法がさっぱり分からない。冷静に避けつつ考えよう。
見た目は厚さ75mm程度棒状の筒。全体が白銀色できめ細やかな装飾が施されており、これを地面に突き刺すことで起動するらしい。
僕は一つ目の要所に到着した。建造する場所は聖域ニルヴァーナの四隅。結界は内側から見ると虹色透明で、薄い膜が貼られているようで分かりやすく作られている。
それも何処か結界の角なのかもはっきり分かるほどに、直角に折れ曲がった結界の境界線がよく見える。
ただこれから『神殿』を建造するんだ。そこそこ大きな建物だと思う。神殿建造によって召喚される守護者は自身から強力な神聖力を生み出すと聞いたけど、ただこれを結界の本当の角に設置しても意味が無いだろう。あくまでも結界内だからこその守護者であり、外では神聖力を生み出す機械にしかならないと思う。
という訳で僕は結界の角から大体10m離れた地点に立つと思いっきりひとつめの神殿建造機を地面に突き刺す。
「これで良いのかな?」
「ハクさん! 地面に魔法陣が!」
「え?」
グレイの叫び声にふと地面、僕の足下を見ると、それは巨大な大体半径30mくらいの円の真っ白な魔法陣が展開していた。
それに続き起こる細かい地響き。すると、とてつもなくゆっくりだが、真っ白な神殿らしき建物が3Dプリンターの如く、下から順に『建造』を開始していた。
「ハクさん! 来たぞ! 魔物の大群だ!」
「おいおいなんだありゃ? あんなの俺らがぶっ倒せってか?」
「え、ちょっと多すぎない?」
グレイ達が唖然とした表情で見つめるその先には、真っ暗な瘴気を煙のように湧き上がらせ、全体的に体が黒く染まった魔物の大群がこちらに向かって来ていた。
ただその数は正に『大群』と呼ぶに相応しく、僕ら五人じゃどうこうできる数とは到底思えない。しかしやらなければ死ぬ。やるしか無かった。
「うわぁ、これはちょっとまずいねぇ」
魔物の大群もただの馬鹿ではなく多少の知能はあるようで。僕らに波状攻撃をする陣を取る。最初は弱く、後半は強くすることで僕らの体力と集中力を確実に減らしていく戦法だ。
最初に来たのは狼五体とかつて戦ったグレートウルフ。まさか、あの群の中で一番弱いのがアレって言うのかい? 結構苦労したんだけどなぁ。
「アオオォンッ!」
戦いが始まる合図は、グレートウルフの遠吠えから放たれる容赦のない落雷だ。
そこで時が遅くなる……? いや、これまでのほぼ止まっている速度では無い。確実に。いや、かなり早く雷が、されどゆっくり落ちてくるのが見えた。
よく見れば避けられなくなは無いくらいの速さだ。
「あぶないっ!?」
ちなみに僕はこの戦闘において決してダメージは受けてはならない。僕の現在のレベルは8。つまりステータスはオール8なんだ。狼の突進攻撃すら耐えられる気がしない。一撃でも食らったら僕は死ぬ。
僕は雷の落下地点を良くみながら避けつつ、周囲にいる普通の狼を【回避】の性質を使って次々と殴り飛ばす。剣も一応新調はしたが、最初から素手攻撃になれていたせいか剣を咄嗟に引き抜く動作を思いつかない。
「はああぁっ!」
その隙にグレイブは新たに新調した鉄剣でグレートウルフの足元に近づき、片足を勢いでぶった斬る。流石はレベル40。その一撃だけで足を切断した。
片足が切り離されたグレートウルフはそれだけで勢いよく態勢を崩し、まえめのりにぶっ倒れる。
「さすがグレイブ! みんなチャンスだ!」
「おりゃああっ!」
「おらぁぁ!」
「せいっ!」
グレイは自前の鉄剣で倒れたグレートウルフの身体に斬撃を与え、バルは重そうな大盾で頭部を叩き潰し、レイカは短剣で眼を貫く。うわぁ、こっちも容赦無いね。
「グガアアァァッ!」
グレートウルフはのたうちまわり、一本切断された三本の足でなんとか立とうするが、切断された足は前左足。バランスがなかなか取れずにまたドスンと地を響かせて態勢を崩す。
すると、遠吠えの姿勢に入れないことから口を大きく開き、青い稲妻を溜め始めた。
「まずいっ、何か来る! みんなは全力で避けろ!」
次の瞬間、首も振ることができないグレートウルフは一直線に口から稲妻を光線にさせて勢いよく発射。ただ普通の光線ではなく、電流が光線の通過点にばら撒かれる。
直撃すれば100%死。金属に対して若干の追尾性能がある電流も下手したら死ぬ。
流石に追尾軌道までは【回避】で見れない為、僕は咄嗟に剣を引き抜くのではなく、投げた。
「そぉい!」
空中に投げられた鉄剣は電流が集中し、バチバチと音を立てる。直線攻撃を回避した僕は電流がこちらに来る前に、正面に突っ走りグレートウルフの頭を勢いよく蹴り飛ばす。
僕の足に衝撃が走るほどの一撃。確実に頭蓋骨にひび入ったんじゃないかな。
「ガフッ!?」
稲妻光線の攻撃は止み、電流で宙に浮いたまま停止していた剣が地面に落ちると、僕はそれをすぐに拾い思いっきりグレートウルフの脳天目掛けて投げる。
この倒し方は以前とやり方は違うが、致命傷は同じ。脳天を切り裂くことでグレートウルフは絶命する。
頭の中で何かが弾ける音が響く。レベルアップのお知らせだ。僕はこれで8から11になった。これまでに3も上がったことはこれが初めてだ。
もしかしてこの依頼に出現する黒い魔物はえげつない経験値でも持っているのだろうか?
さて、グレートウルフを倒せば次の敵だ。僕はこの世界にきてからウルフを数匹とグレートウルフ、エンシェントゴーレムしか戦った経験がない。だからこれから来る魔物は完全初見。攻略法がさっぱり分からない。冷静に避けつつ考えよう。
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