クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第1章 解放

第34話 守護者

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 神聖皇国ロギアの依頼を引き受けて、結界の修復の為に神殿の建造中。
 僕はグレートウルフを撃破し、次の魔物と対峙する。
 次の魔物は人型二足歩行で、全身に体毛を生やした人狼だった。

「あいつはルーガルーだ! この聖域ってどんだけ魔物集まりやすいんだよ! 動きがめちゃくちゃ速い狼だ。ハクさん気をつけて!」

「グガアアァァッ!!」

 これも変わらず黒い瘴気を体に纏った魔物だ。この瘴気の正体はなんなんだろう?
 そう考えていると、ルーガルーと呼ばれる魔物は雄叫びをあげ、どうやら自分を鼓舞したようだ。
 気づけば目の前からルーガルーは消えていた。そして突然【回避】が発動する。ルーガルーの鋭い爪が僕の頭の真横から迫ってきていた。

「あぶなっ!?」

 ルーガルーの攻撃を避ければ、【回避】のスローモーションは解けるが、ルーガルーの攻撃は【回避】の発動と解除が何度も連続的に発し、僕はただ攻撃を避けるのに精一杯だった。

「やあああぁぁ!!」

 攻撃を避け続けることしか出来ない僕にいつまでも攻撃を仕掛けるルーガルーの背後からレイカが突進し、素早く後頭部のうなじを短剣で切り裂こうとする。

「グアアアアッ!」

 しかしルーガルーは僕への攻撃で牽制を続けながら、流れるように後ろ回し蹴りにモーションを切り替え、レイカを蹴り飛ばす。
 だが此処に僕へ勝機が舞い込む。後ろ回し蹴りに移行したルーガルーの攻撃は僕をも巻き込み、レイカを蹴り飛ばすまで【回避】が発動していた。
 僕はその瞬間を見逃さず、レイカが蹴り飛ばされ、能力が解除しているにもかかわらず、剣をルーガルーの腹に突き刺す。

「このっ!」

 僕はルーガルーの腹に突き刺さった剣を捻り回し腹を抉ると、勢いで剣を横に振り切る。

「グガアアァァッ!??」

 雑に切り裂かれたルーガルーの腹からは、体液では無い、黒い気体が血飛沫のように噴出する。

「せいっ!」

 更にすかさず僕はルーガルーを剣で一刀両断。ルーガルーは絶命した。

 バルが神殿に振り向き叫ぶ。

「神殿の建造はまだか!」

 それにグレイブは声を上げて状況を伝え、とにかく耐えるしか無いと大声で鼓舞する。

「まだ半分すらできていない! 全員、兎に角耐えろぉ!」

 次の相手は……これは魔物なのだろうか? 変わらず体から黒い瘴気を発しているが、見た目は完全なる人間。
 真っ黒なフルプレートアーマーを装備し、身長は3メートル超え、両手に一本のグレートソードを構え、それから伝わってくる厳格さが流石の僕でも冷や汗が流れるね。

「アイツは……嘘だろ? ガウェインがなんでここに!」

 ガウェイン? アーサー王物語に登場するあのガウェイン? いや名前だけかな。にしてもあれは勝てるだろうか……。

「なんでも良いから神殿を守れえええぇ!」

 バルがガウェインに大盾で全力突進を仕掛ける。が、ガウェインはこれを両手の大剣で防ぎ、なんとバルごと大剣で吹き飛ばした。
 直後、ガウェインは大剣を振り上げ、地面に大剣を叩きつける。
 すると衝撃波が三方向に枝分かれする様に発生。僕は【回避】が発動すると、どう考えても避ける方法が思い付かないので、後方へ走り、ガウェインの後ろに回り込むように走り、剣をガウェインの腰めがけて振るう。

 ガキンと高い金属音を鳴らし、僕の剣は弾かれた。また此処で時が遅くなる。それに気づいた頃には、ガウェインの大剣が僕に目掛けて大振りに振り切られようとしていた。
 僕は咄嗟にしゃがみ、ガウェインの股下へスライディング。

 剣が効かないなら素手はどうだ。僕の固有能力による攻撃威力倍増は、剣の時と違って素手の場合は鈍器と変わらない力を発揮する。鎧を破壊するならうってつけでは無いだろうか。
 股下を潜ると、僕は素手で腹部を本気で殴る。

 ゴーンと低く鈍い金属音が響けば、ガウェインは後方へ少しだけ下がっていた。
 効いた。破壊は出来なかったがやはり鎧には鈍器が有効のようだ。
 しかしそう喜んでいると、いつのまにかガウェインの大剣が僕の首を切断しようとスレスレにまで近づいていた。

 不味い。避けられない。死んでしまう!

 ガウェインは僕に向かってほぼゼロ距離にまで近づいており、大剣の根本を僕の首に当てて、今から手前に引くことで切り飛ばそうとしていた。

「させるかあああぁ!!!」

 グレイブの渾身の叫び声。グレイブは僕とガウェインの間に入り込み、真下からガウェインの大剣を持ち上げるようにして弾いた。
 そこからグレイブの追撃。ガウェインの鎧。腰部分に剣を当て、力任せに振り切る。これはもはや斬撃ではなく、絶対に壊れない鎧に対し剣の重さで鎧自体を吹き飛ばした。
 その衝撃にグレイブの剣が根本から勢いよく折れる。

 これによってガウェインは再度後方へ押される。だめだ、コイツは強すぎる。僕が戦うには早過ぎる相手だ!
 次は安心なんてしない。僕はガウェインの行動をよく見る。次の行動は大剣を片手に持ち換え、遠距離から槍投げの要領で投げるようだ。
 僕は咄嗟にグレイブの頭を押さえ付け、避けさせる。

 僕の頭上を通り過ぎた大剣は大盾を構えるバルの元へ飛んでいく。

「バル!」

「うおおぉらああぁ!!」

 バルは一直線に飛んできた大剣を大盾で弾き飛ばした。大剣は凄まじい力で上空へ吹き飛び、宙を舞う。
 だがこれでも安心は出来なかった。縦回転しながら上空へ吹き飛ぶ大剣を見上げると、なんとガウェインはこれを空中でキャッチした。 あの黒騎士。なんて機動力なんだ!?

「オオオォ!!」

 ガウェインは大剣を空中で掴むと僕たちを狙うのではなく、神殿に向かって投げた。
 不味い。最悪だ。僕の苦労はこれでパァになるのかい?

 そう考えると大剣が神殿に衝突する直前に神殿は激しく光り輝く。
 光が収まると、投げられた大剣は粉々に吹き飛んでいた。
 そう、第一の神殿建造が丁度終わったのだ。神殿の前に立つ白銀の鎧を纏った巨大な守護者。体長は余裕に8メートルを超える。

 守護者はその瞬間に何かを察したのか、両手に大剣を素早く構えると、上空から落下しようとしているガウェインに向かって、大剣を振り下ろした。
 たったその一振りで僕たちさえも吹き飛びそうになる衝撃波が発生する。

「みんな! 何かに捕まれ!」

 グレイブは何かに捕まれと叫ぶが周囲は平地で掴むものなんて地面しかない。僕は、全力で地面にしがみ付き、吹き飛ばされるのを防いだ。

 上空にいたガウェインは跡形も無く消し飛んでいた。鎧の一片さえも周囲に見当たらなかった。
 黒騎士を撃破したことが分かると、守護者は持ち場に戻り、大剣を地面に突き立てる姿勢に戻る。
 すると神殿から神々しく眩い光を出したことに、神殿の建造が完了したことを見せていた。

 僕は今度こそ安心しきり、地面に座り込む。

「なんてことだ……。これをあと三箇所だって?」

「絶望的だな」

「ハクさん。これ本当に難易度Aなんだよね?」

「うん。それは間違いない。恐らくこの難易度は神聖皇国ロギア側が、冒険者の強さを過信しすぎている可能性がある……。
 ちょっとロギアに戻ろうか。事情を話せば何かあるかも知れない……。ふぅ……」
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