クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第1章 解放

第35話 祝福

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 聖域ニルヴァーナ。この世界の最北端に位置する神の領域と呼ばれる場所。神聖皇国ロギアが管理しており、そこを囲う結界はあらゆる魔物を排除する効果を持つ。
 しかし近年、この結果が原因不明に力が弱まっており、近頃は魔物の侵入を許してしまっているらしい。
 僕はこれを修復する依頼を引き受け、今やっと思いで一つめの神殿の建造を終えた。

 しかし思ったより神殿防衛が厳し過ぎる。依頼書にあった難易度Aでは、この厳しさに似合わない。
 グレイ達が信じられない程にその存在を驚き恐れていたガウェインと呼ばれる黒騎士が現れる分、下手すれば難易度Sはいくと僕は考えた。
 理由としてはもう一つ有り、この防衛戦は全部で4回あることにある。一回目でさえもグレイやグレイブは死に物狂いで戦っていた。魔物の大群は僕の目と鼻の先にまだ群を成して結界の外で待機している。
 僕も一回目ですら三度も死を直感した。これはあまりにも酷い。

 僕が考えるには神聖皇国ロギアは冒険者の強さを過信しすぎているかも知れない。これくらいの難易度ならAで十分だろうという油断が見え透いている。
 報酬も500万オロという破格で、何も知らない冒険者がこれを引き受けた場合、一体何人の冒険者が死ぬことになるだろうか。

 僕は難易度の訂正と何も強力してくれることは無いのか聞こうと、ロギアへ戻った。

 ロギアに戻れば、変わらず大門の前に二人の門番がいた。

「む、戻ってきたか。まだ終わってないようだが……?」

「はぁ、こんなの難易度Aなんてものじゃない。一体誰がこれを依頼したんだい?」

「これは……我ら教皇様が決めた依頼である。教皇様は神ゲルニクスの声を唯一間近に重要な啓示を聞き入れることが出来るお方だ」

「なら、今すぐ呼んできてくれ。なに、君たちに迷惑をかけるつもりはない。だが見たまえ、一回目の防衛作戦に行っただけでこの有様だ。これが難易度AならBから難易度が跳ね上がり過ぎだ。
 もし僕たち意外が無謀に何も知らずにこの依頼受けたら、一回も神殿を守れないだろう。ましてや多くの死者が出る可能性がある。
 これから聖徒になるかもしれない人たちが死ぬのは君たちも本望ではないだろう?」

「ぐぬぬ……分かった。良いだろう。しかし、我々に教皇様を呼び出す権利は無い。上のものに知らせるから少し時間が掛かる。すこし待っていろ」

「分かった。いくらでも待つよ」

 そうして待つこと約40分。突如ロギアの大門が轟音を鳴らしながら開けば、中から白装束のフードを深く被り、顔が見えない多くの人達が綺麗な列を為して出て来た。
 誰もがブツブツと何かしら祈っており、恐らく聖徒なりの習慣なのだろう。
 そして列の1番前に立つのは、他より豪華な刺繍が施された真っ白なロープを着ている白髪のお爺さんだった。

「ようこそ我ら神聖皇国ロギアへ。彼らに神の加護があらんことを。話は聞きました。少しでも手伝って欲しいと。
 勿論。全力で手伝いましょう。しかし、門番からも話は聞いているでしょう。我らは結界が弱まっているせいで本来の力が引き出せないのです。期待はなさらぬようお願い致します」

「うん。君たちの力がどう言うものなのかは分からないけど、事情を一番知っている君たちがいるなら心強い」

「それでは行きましょう。第二の神殿へ!」

◆◇◆◇◆◇

 第二の神殿建造場所に到着。僕は1回目と同じように全員に合図してから、地面に神殿建造装置を刺す。

「さぁ、来るぞ!」

 同じく僕の足元に真っ白な魔法陣が展開する。そうすれば、遠くから黒い瘴気を纏った魔物が群を為して襲ってくる。
 そこが聖徒たちの出番だった。

「それでは我が神に祈らましょう。
 ᛈᛚᛖᚨᛋᛖ ᚷᛁᚣᛖ ᛏᚹᛖᛗ ᛈᚱᚩᛏᛖᚳᛏᛁᚩᚾ ᚩᚠ ᚷᚩᛞ.
 ᛈᛚᛖᚨᛋᛖ ᛈᚢᚱᛁᚠᚥ ᚨ ᛗᛁᚨᛋᛗᚨ ᚠᚱᚩᛗ ᛒᚨᛞ ᛈᛖᚩᛈᛚᛖ」

 いつぞや聞いた意味不明な発音。
 その言葉を一文一句逃さず聴くと、僕の体が急に軽くなり、目の前から襲ってくる魔物の瘴気が確かに薄くなった。つまりは強化と弱体化か? これはすごい。きっとさっきより戦いやすくなっただろう。

 さて、二回目の魔物は一回目と同じではないようだ。向こうは多様の魔物を用意し、こちらの頭を使わせて集中力も削ってくる。
 次の魔物はルーガルー三体による一斉攻撃。一体だけでも目で追うにはギリギリだというのに、三体の同時攻撃は避けようにも避けきれない可能性がある。
 僕の固有能力じゃ、そろそろどうにもならないってことだ。だからこそ今回は仲間に協力してもらう必要がある。

「グガアアァッ!」

 凄まじい速さで動く物体が三体もいるせいで、周囲から風を切る音が響き続ける。そして三体の息が合った瞬間に僕に向かって同時攻撃。

「グレイブ!」

「せえぇやあぁ!」

 グレイブに合図すれば、ルーガルーと僕の間に入り込むと、回し蹴りで三体とも蹴り飛ばした。なんと体術も持っていたとは。剣は一回目でぽっきり折れたんだっけ。
 僕は蹴り飛ばされた三体のルーガルーに近づき、地面に落ちる前に同時に自分の剣で切り裂く。

「よし! 次だ!」

 次は……地面を泳ぐ蛇のような土竜もぐらだった。全長は数十メートルありそうで、体幅は5メートルを超え、それはそれはかなり大きなかった。

 バルが叫ぶ。

「あれはティフロス!? おいおいこの聖域って化け物ばかり集まるじゃねぇか! あいつこそ難易度S級の魔物だぞ! こんなの勝てる訳が無えだろ!」

 しかしそこで教皇が静かに唱える。

「心配はありません。我々にお任せを……!
 ᛚᛁᚷᚨᚱᛖ ᛋᚳᛖᛚᛖᛋᛏᚢᛋ ᚨᚢᚱᛖᚨ ᚳᚨᛏᛖᚾᚨ」

 また一つ解読不可能な発音。それが発せられれば、突然地面から黄金の鎖が飛び出し、ティフロスを勢いよく縛り上げた。これまた鎖の強度も凄まじく、多少ティフロスも身じろぐが、ガチャガチャと音がなるも一切解ける気配がしない。
 これが神の力なのだろうか?

「みんな一斉攻撃だ!」

 僕はみんなに指示する。こんなデカブツは一人で攻撃してもあまり意味が無さそうだからだ。
 みんなは僕の指示に合わせて一斉攻撃を仕掛ける。ティフロスの外皮は意外に柔らかく、グレイブの折れた剣やバルの大盾の角もぐっさりと刺さり、切り裂かれる。

 そしてグレイブの渾身の一撃。ティフロスの外皮に折れた剣を深々と刺し込むと、そのまま尾部に向かって走り、巨大なティフロスの身体を走り切り裂いていく。

「うおおおおおおぉ!!」

 ティフロスの体長は約20メートルもあった。グレイブが頭部から尾部まで外皮を走り斬れば、巨大な切り口から赤々としたドロドロの体液が滝のように流れ出した。

「ギィイイイイィイッッ!?」

 ティフロスは耳を劈く奇声を上げれば、漸く絶命した。教皇様さまさまだね。

 さて、一回目の流れから見て次が最後の魔物の筈だが……
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