婚約破棄で見限られたもの

志位斗 茂家波

文字の大きさ
7 / 7

オマケの話

しおりを挟む
「‥‥‥あーあ、結局のところあの馬鹿たちはみーんな逝っちゃったか☆」

 深夜、処刑された者たちが集められる墓場、本日できたてのその墓の前に手、その女はそうつぶやいた。


「ま、今まで良い思いをしてきただろうし文句はないでしょ!」
「いや、最終的に狂気に見舞われたのはどうかと思うぞ、ズーバッレ‥‥‥」

 ビッと指を立ててそう自己満足をつぶやくその女、ズーバッレに対して、いつの間にかその背後に立っていたその人物は呆れたような声を出した。

「だってしょうがないじゃん。この世界の安定のために、わざわざ厳選した屑共を生贄にする形で、起きていた歪みを押しつけたんだもーん。人間がその歪みをまともに受け入れたら、そりゃおかしくなるって」

 何にも気にしていないように、くるりと回りながら、ズーバッレはそう言った。





‥‥‥そう、実はズーバッレはただの鬼畜屑王妃というわけではなかった。

 元から王子たちを犠牲にして、この世界の安定を図るために神から送られてきたものだったのだ。



 世界には、何かしらの不安定要素があって、それが原因で歪みと言う物が生じ、そこから世界が壊れてしまう事がある。

 ある程度までなら大丈夫なのだが、その許容量を超えてしまうと完全にアウトなのだ。



 この世界を作った神が干渉できれば修正は可能なのだが、生憎神は一度世界を作るとそうやすやすとその世界に干渉できなくなる。


 
 そこで、この世界を作った神は考えた。

 
『じゃぁ、その歪みを誰かに押し付けて死んでもらうのはどうか?』と。


 この世界では、人間は死んだあと、その魂は神の下へもっていかれる。

 ならば、その魂にくっつけてしまえば歪みも一緒に来るので、そこで何とかしてやれば容易いのだ。


 だがしかし、そう簡単に誰かをそんな歪みをもっていかせるだけのために殺すのはだめだ。



 考えに考え、神はズーバッレを生み出すことに決めた。

 歪みを生み出す不安定要素…‥‥人間でいうところの屑野郎というのも当てはまり、ならばそいつらを利用してやればいいと結論づけたのだ。


 なぜか神もよくわからないが、この世界では国が出来た後に、必ずどこかの段階で、救いようのない大馬鹿野郎が国を治める者たちの中に出来る様なので、素質を狙って、ズーバッレを送り込み、堕落させ、最終的に歪みを押しつけるのである。



 もちろん、ただ堕落させるようなことはしない。

 まだ矯正可能だったり、改心することが出来る者たちがいるので、そのあたりの判断も彼女にゆだねられており、場合によっては彼女が自ら悪女として引き受けて処刑されることによって、死を回避することもできたのである。





…‥‥けれども、あのズービクたちは、彼女のその判断で死を選ばされた。

 改心せず、ろくに人の話も聞かず決めつけ、現状も何も見ない、自分だけが正しいと思い込む、正真正銘の屑野郎と認定され、最終的に彼女からこの世界の歪みを押しつけられ、結果として処刑され、その魂は歪みと一緒に持っていかれることになった。




「そもそもねー、こっちもいい思いというか、宝石買いまくり、食べまくり、快楽を得まくりというのはしたけど‥‥‥やっぱ屑相手だと今一つだったね☆」

 にかっと笑い、生きていれば王子たちはおそらく絶望したかもしれない言葉を、彼女は述べたのであった。



「さーてっと、もう私はまた封印の時だね」

 そうつぶやくと、ズーバッレの周囲に糸が出てきて、まるで繭のように包み始める。



…‥‥世界の歪みが無くなり、再び押しつけるその時が来るまで、彼女はこの世界から一時的に隔離される。

 そして、押しつける時が来た時、再び屑共を選定し、その中で見つけた者に歪みを与え、またそれを繰り返す。



 一生をずっと、そんな屑の仲間の不利をして過ごすように作られたズーバッレ。

 彼女自身、この人生も楽しいと思うとはいえ、また同じような事の繰り返しにはうんざりしているのだ。


「あーあ、せめて本当に真実の愛を見せてくるような人がいれば面白いんだけどな」
「見せてくれれば、解放されて…‥‥神の下へ行けるんだろう?」
「そういうこと。元からそうなることも見越してできているようだし、早めに介抱してもらいたいよまったく」


 明るくズーバッレは、その人物がつぶやいた言葉に同意して、溜息を吐いた。


「何度も何度も何度も、結局は同じ結末。でも、そろそろ後任者とか作ってほしいし、解放されてほしいよ…‥‥」


 どこか、本当に悲しいような声色の最後の一言を言い終え、繭が出来上がり、彼女の姿は消え去った。





 再び歪みの許容限界と屑が現れたときに彼女は復活し、また同じことを繰り返す。

 いつの日か、彼女を解放してくれるような、真実の愛とやらを持つ者たちが現れるその時まで…‥‥




「‥‥‥ズーバッレ、お前が解放を望むのであれば、次こそそうであるように祈ろう」

 そうつぶやき、その人物はその場から姿を消した。


 
 恨みも買い、何もかもを滅茶苦茶にするという面がありながら、本当は世界のために生きている少女。

 そんなズーバッレが、いつの日か、本当にその役目から解放されることを願い、その人物はずっと祈り続けるのであった‥‥‥




-----fin----




―――――――――――
作者です。
息抜きの突発的な婚約破棄物をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
たまにこういうのを書きたくなるし、そろそろまたこれを元ネタに作品を作りたくなったので、この作品を作りました。
最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。


しおりを挟む
感想 13

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(13件)

mnm
2026.01.14 mnm
ネタバレ含む
解除
シュシュ
2025.10.16 シュシュ

誤字、脱字の多さに意味が通じないところが多々ありました。
せっかく面白い内容なのに残念。しっかり確認してから発表して欲しいものです。

解除
ERI
2025.10.12 ERI
ネタバレ含む
2025.10.12 志位斗 茂家波

…かなり昔の作品だから、甘い部分も多かった
でもまず、確かにそれもあるんだよなぁ

心配して調査して、ざまぁの加担させたり、
陛下や王妃が知ってどうにかする前にやらかされていた李、
何かしらの権限をうっかり持たせたり…


…今にして思えば、今の王道系ざまぁに使えるシーンが結構多いのに、使えていないのが悔やまれるか

解除

あなたにおすすめの小説

王子、婚約破棄してくださいね《完結》

アーエル
恋愛
望まぬ王子との婚約 色々と我慢してきたけどもはや限界です 「……何が理由だ。私が直せることなら」 まだやり直せると思っているのだろうか? 「王子。…………もう何もかも手遅れです」 7話完結 他社でも同時公開します

不貞の末路《完結》

アーエル
恋愛
不思議です 公爵家で婚約者がいる男に侍る女たち 公爵家だったら不貞にならないとお思いですか?

婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました

ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」  大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。  けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。  王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。  婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。  だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

【完結】死がふたりを分かつとも

杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」  私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。  ああ、やった。  とうとうやり遂げた。  これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。  私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。 自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。 彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。 それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。 やれるかどうか何とも言えない。 だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。 だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺! ◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。 詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。 ◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。 1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。 ◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます! ◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。

婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?

恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢 この婚約破棄はどうなる? ザッ思いつき作品 恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。

婚約破棄されたけど、どうして王子が泣きながら戻ってくるんですか?

ほーみ
恋愛
「――よって、リリアーヌ・アルフェン嬢との婚約は、ここに破棄とする!」  華やかな夜会の真っ最中。  王子の口から堂々と告げられたその言葉に、場は静まり返った。 「……あ、そうなんですね」  私はにこやかにワイングラスを口元に運ぶ。周囲の貴族たちがどよめく中、口をぽかんと開けたままの王子に、私は笑顔でさらに一言添えた。 「で? 次のご予定は?」 「……は?」

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。