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オマケの話
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「‥‥‥あーあ、結局のところあの馬鹿たちはみーんな逝っちゃったか☆」
深夜、処刑された者たちが集められる墓場、本日できたてのその墓の前に手、その女はそうつぶやいた。
「ま、今まで良い思いをしてきただろうし文句はないでしょ!」
「いや、最終的に狂気に見舞われたのはどうかと思うぞ、ズーバッレ‥‥‥」
ビッと指を立ててそう自己満足をつぶやくその女、ズーバッレに対して、いつの間にかその背後に立っていたその人物は呆れたような声を出した。
「だってしょうがないじゃん。この世界の安定のために、わざわざ厳選した屑共を生贄にする形で、起きていた歪みを押しつけたんだもーん。人間がその歪みをまともに受け入れたら、そりゃおかしくなるって」
何にも気にしていないように、くるりと回りながら、ズーバッレはそう言った。
‥‥‥そう、実はズーバッレはただの鬼畜屑王妃というわけではなかった。
元から王子たちを犠牲にして、この世界の安定を図るために神から送られてきたものだったのだ。
世界には、何かしらの不安定要素があって、それが原因で歪みと言う物が生じ、そこから世界が壊れてしまう事がある。
ある程度までなら大丈夫なのだが、その許容量を超えてしまうと完全にアウトなのだ。
この世界を作った神が干渉できれば修正は可能なのだが、生憎神は一度世界を作るとそうやすやすとその世界に干渉できなくなる。
そこで、この世界を作った神は考えた。
『じゃぁ、その歪みを誰かに押し付けて死んでもらうのはどうか?』と。
この世界では、人間は死んだあと、その魂は神の下へもっていかれる。
ならば、その魂にくっつけてしまえば歪みも一緒に来るので、そこで何とかしてやれば容易いのだ。
だがしかし、そう簡単に誰かをそんな歪みをもっていかせるだけのために殺すのはだめだ。
考えに考え、神はズーバッレを生み出すことに決めた。
歪みを生み出す不安定要素…‥‥人間でいうところの屑野郎というのも当てはまり、ならばそいつらを利用してやればいいと結論づけたのだ。
なぜか神もよくわからないが、この世界では国が出来た後に、必ずどこかの段階で、救いようのない大馬鹿野郎が国を治める者たちの中に出来る様なので、素質を狙って、ズーバッレを送り込み、堕落させ、最終的に歪みを押しつけるのである。
もちろん、ただ堕落させるようなことはしない。
まだ矯正可能だったり、改心することが出来る者たちがいるので、そのあたりの判断も彼女にゆだねられており、場合によっては彼女が自ら悪女として引き受けて処刑されることによって、死を回避することもできたのである。
…‥‥けれども、あのズービクたちは、彼女のその判断で死を選ばされた。
改心せず、ろくに人の話も聞かず決めつけ、現状も何も見ない、自分だけが正しいと思い込む、正真正銘の屑野郎と認定され、最終的に彼女からこの世界の歪みを押しつけられ、結果として処刑され、その魂は歪みと一緒に持っていかれることになった。
「そもそもねー、こっちもいい思いというか、宝石買いまくり、食べまくり、快楽を得まくりというのはしたけど‥‥‥やっぱ屑相手だと今一つだったね☆」
にかっと笑い、生きていれば王子たちはおそらく絶望したかもしれない言葉を、彼女は述べたのであった。
「さーてっと、もう私はまた封印の時だね」
そうつぶやくと、ズーバッレの周囲に糸が出てきて、まるで繭のように包み始める。
…‥‥世界の歪みが無くなり、再び押しつけるその時が来るまで、彼女はこの世界から一時的に隔離される。
そして、押しつける時が来た時、再び屑共を選定し、その中で見つけた者に歪みを与え、またそれを繰り返す。
一生をずっと、そんな屑の仲間の不利をして過ごすように作られたズーバッレ。
彼女自身、この人生も楽しいと思うとはいえ、また同じような事の繰り返しにはうんざりしているのだ。
「あーあ、せめて本当に真実の愛を見せてくるような人がいれば面白いんだけどな」
「見せてくれれば、解放されて…‥‥神の下へ行けるんだろう?」
「そういうこと。元からそうなることも見越してできているようだし、早めに介抱してもらいたいよまったく」
明るくズーバッレは、その人物がつぶやいた言葉に同意して、溜息を吐いた。
「何度も何度も何度も、結局は同じ結末。でも、そろそろ後任者とか作ってほしいし、解放されてほしいよ…‥‥」
どこか、本当に悲しいような声色の最後の一言を言い終え、繭が出来上がり、彼女の姿は消え去った。
再び歪みの許容限界と屑が現れたときに彼女は復活し、また同じことを繰り返す。
いつの日か、彼女を解放してくれるような、真実の愛とやらを持つ者たちが現れるその時まで…‥‥
「‥‥‥ズーバッレ、お前が解放を望むのであれば、次こそそうであるように祈ろう」
そうつぶやき、その人物はその場から姿を消した。
恨みも買い、何もかもを滅茶苦茶にするという面がありながら、本当は世界のために生きている少女。
そんなズーバッレが、いつの日か、本当にその役目から解放されることを願い、その人物はずっと祈り続けるのであった‥‥‥
-----fin----
―――――――――――
作者です。
息抜きの突発的な婚約破棄物をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
たまにこういうのを書きたくなるし、そろそろまたこれを元ネタに作品を作りたくなったので、この作品を作りました。
最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。
深夜、処刑された者たちが集められる墓場、本日できたてのその墓の前に手、その女はそうつぶやいた。
「ま、今まで良い思いをしてきただろうし文句はないでしょ!」
「いや、最終的に狂気に見舞われたのはどうかと思うぞ、ズーバッレ‥‥‥」
ビッと指を立ててそう自己満足をつぶやくその女、ズーバッレに対して、いつの間にかその背後に立っていたその人物は呆れたような声を出した。
「だってしょうがないじゃん。この世界の安定のために、わざわざ厳選した屑共を生贄にする形で、起きていた歪みを押しつけたんだもーん。人間がその歪みをまともに受け入れたら、そりゃおかしくなるって」
何にも気にしていないように、くるりと回りながら、ズーバッレはそう言った。
‥‥‥そう、実はズーバッレはただの鬼畜屑王妃というわけではなかった。
元から王子たちを犠牲にして、この世界の安定を図るために神から送られてきたものだったのだ。
世界には、何かしらの不安定要素があって、それが原因で歪みと言う物が生じ、そこから世界が壊れてしまう事がある。
ある程度までなら大丈夫なのだが、その許容量を超えてしまうと完全にアウトなのだ。
この世界を作った神が干渉できれば修正は可能なのだが、生憎神は一度世界を作るとそうやすやすとその世界に干渉できなくなる。
そこで、この世界を作った神は考えた。
『じゃぁ、その歪みを誰かに押し付けて死んでもらうのはどうか?』と。
この世界では、人間は死んだあと、その魂は神の下へもっていかれる。
ならば、その魂にくっつけてしまえば歪みも一緒に来るので、そこで何とかしてやれば容易いのだ。
だがしかし、そう簡単に誰かをそんな歪みをもっていかせるだけのために殺すのはだめだ。
考えに考え、神はズーバッレを生み出すことに決めた。
歪みを生み出す不安定要素…‥‥人間でいうところの屑野郎というのも当てはまり、ならばそいつらを利用してやればいいと結論づけたのだ。
なぜか神もよくわからないが、この世界では国が出来た後に、必ずどこかの段階で、救いようのない大馬鹿野郎が国を治める者たちの中に出来る様なので、素質を狙って、ズーバッレを送り込み、堕落させ、最終的に歪みを押しつけるのである。
もちろん、ただ堕落させるようなことはしない。
まだ矯正可能だったり、改心することが出来る者たちがいるので、そのあたりの判断も彼女にゆだねられており、場合によっては彼女が自ら悪女として引き受けて処刑されることによって、死を回避することもできたのである。
…‥‥けれども、あのズービクたちは、彼女のその判断で死を選ばされた。
改心せず、ろくに人の話も聞かず決めつけ、現状も何も見ない、自分だけが正しいと思い込む、正真正銘の屑野郎と認定され、最終的に彼女からこの世界の歪みを押しつけられ、結果として処刑され、その魂は歪みと一緒に持っていかれることになった。
「そもそもねー、こっちもいい思いというか、宝石買いまくり、食べまくり、快楽を得まくりというのはしたけど‥‥‥やっぱ屑相手だと今一つだったね☆」
にかっと笑い、生きていれば王子たちはおそらく絶望したかもしれない言葉を、彼女は述べたのであった。
「さーてっと、もう私はまた封印の時だね」
そうつぶやくと、ズーバッレの周囲に糸が出てきて、まるで繭のように包み始める。
…‥‥世界の歪みが無くなり、再び押しつけるその時が来るまで、彼女はこの世界から一時的に隔離される。
そして、押しつける時が来た時、再び屑共を選定し、その中で見つけた者に歪みを与え、またそれを繰り返す。
一生をずっと、そんな屑の仲間の不利をして過ごすように作られたズーバッレ。
彼女自身、この人生も楽しいと思うとはいえ、また同じような事の繰り返しにはうんざりしているのだ。
「あーあ、せめて本当に真実の愛を見せてくるような人がいれば面白いんだけどな」
「見せてくれれば、解放されて…‥‥神の下へ行けるんだろう?」
「そういうこと。元からそうなることも見越してできているようだし、早めに介抱してもらいたいよまったく」
明るくズーバッレは、その人物がつぶやいた言葉に同意して、溜息を吐いた。
「何度も何度も何度も、結局は同じ結末。でも、そろそろ後任者とか作ってほしいし、解放されてほしいよ…‥‥」
どこか、本当に悲しいような声色の最後の一言を言い終え、繭が出来上がり、彼女の姿は消え去った。
再び歪みの許容限界と屑が現れたときに彼女は復活し、また同じことを繰り返す。
いつの日か、彼女を解放してくれるような、真実の愛とやらを持つ者たちが現れるその時まで…‥‥
「‥‥‥ズーバッレ、お前が解放を望むのであれば、次こそそうであるように祈ろう」
そうつぶやき、その人物はその場から姿を消した。
恨みも買い、何もかもを滅茶苦茶にするという面がありながら、本当は世界のために生きている少女。
そんなズーバッレが、いつの日か、本当にその役目から解放されることを願い、その人物はずっと祈り続けるのであった‥‥‥
-----fin----
―――――――――――
作者です。
息抜きの突発的な婚約破棄物をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
たまにこういうのを書きたくなるし、そろそろまたこれを元ネタに作品を作りたくなったので、この作品を作りました。
最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。
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