拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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森での生活

#3 数日経過したのデス

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SIDEシアン

‥‥‥‥ワゼを拾ってから3日ほど。

 共に過ごして、分かったことがいくつかあった。大まかに分けると2つかな?


 まず一つ目。

「…‥‥朝食が既にできているね」
「ハイ、仕込みは完璧ですからネ」

 流石というか、こういう所はメイドらしいというか、毎日三食、きちんと用意してくれており、家事などもやってくれるということである。

 とはいえ、着ている衣服の幾つかは、前までは自作だったりしたのだが…‥‥

「木の皮を繊維状にしてやったとか言うけどさ、僕が作ったやつよりも格段に肌触りが良いんだけど」
「色々と試行錯誤し、データを集めたうえで最適なものにしただけデス。本当は普通の布などが欲しい所ですが、流石に無いデス。ゆえに、私のメイド服の一部を流用したりもしていマス」
「それって大丈夫なの?」
「このメイド服は、自己再生しますので問題無いデス」

‥‥‥‥自己再生するメイド服ってなんだ。前世にもないようなオーバーテクノロジーじゃないか?


 この辺りにツッコミを入れるといろいろややこしい事になるので放棄しつつ、とにもかくにも、衣服のレパートリーが増え、森の中ゆえに動きやすい格好でいることができるようになったのは良いだろう。


 とはいえ、問題は2つ目であった。



ドォォン!!
【グマァァァ!】

ズドン!!
【ゴブバァァァ!!】

ズダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!
【【【ボウブベェェェェェ!!】】】

「…‥‥一方的な蹂躙だなぁ」
「ご主人様の身の安全を確保するには、仕方がない事なのデス。あ、あちらにも反応を感知しましたので、狩ってまいりマス」


…‥‥戦闘が可能な面が活きているのか、この森にいた熊や狼みたいな獰猛な生き物たちを、索敵と殲滅サーチアンドデストロイをしていることである。

 安全の確保とか言っているけど‥‥‥‥血なまぐさい話になるだろうし、もうここは彼女に任せよう。

 何事も平穏に過ごせさえすればいいのだから…‥‥決して、僕の処理能力に余るからという訳ではない。

 それに、きちんとその遺体は解体され、調理されて食卓に並ぶから良いだろう。

「という訳で、本日の昼食として、こちらをご用意いたしました」
「豪勢な肉料理だな‥‥‥‥」

 この森の中では調味料の確保が難しいので、シンプルな味付け…‥‥木の実の汁を絞ったり、素材そのものを組み合わせて調理されているが、それでもかなりおいしい。

 今日は熊の頭が転がっているので、あの肉を使ったのだろう‥‥‥‥後できちんと、調理に使えなかった部分は焼却するらしい。

 何にせよ、用意された料理を食べていて、ふと僕は思った。

「ねぇ、ワゼ。ワゼってそう言えばここに来てから食べる動作とか見たことがないけれど、やっぱり何も食べなくて大丈夫な感じなのかな?それとも充電式なのかな?」
「‥‥‥そうですね、お答えしマス。私は一度稼働してしまえば、体内にある永久エネルギー回路が作動するので、わざわざ摂取する必要がないのデス。しかし、それでは調理する際に味見などが出来なかったりするので、一応口に入れた物を分析・分解することができるようになっているのデス」

 つまり、万が一にでもそのエネルギー回路とか言う部分が壊れても、食べて補う事が可能なようだ。

「あと、ご主人様から魔力の供給をいただければ、それでも活動が可能デス。攻撃手段にビーム打ち放題も追加されますネ」
「それは必要な追加装備なのか?」
「サァ?」

 首を傾げたワゼであったが、とりあえずこれは気にしない方が良いだろう。

「そう言えばご主人様、食事の後はお風呂が沸いていますので、入浴をどうゾ。命じられればお背中もお流しいたしマス」
「そこまでしなくていいって」

 一応、ゴーレムとは言えワゼの見た目は綺麗な女性だからなぁ…‥‥風呂場に入られたらこっちが困る。

 そう言えば、風呂場もワゼが昼間に改造を施していたっけ。なんでも、ワゼの開発者のデータの一部が復旧したらしいけれども、その中に風呂は拘るべしとかあったとか…‥‥僕と同じ転移者のような人かな?いや、転生者という可能性もあるなぁ…‥‥。


 とはいえ、正直なところどうなのかは不明である。

 まぁ、何にせよこれ以上ごたごたと問題なく、平和に過ごせるのが一番良いだろう。



 そう思いながら、僕は風呂場へ向かうのであった。

 こういう時こそ、温かい湯に浸かって考えを放棄する方が楽だもんね…‥‥




―――――――――――――――――――――――――
SIDEワゼ

…‥‥ホー、ホーっと外で梟の鳴くような声が聞こえる深夜、この時間帯でワゼは自分が眠る用意を始めていた。

 シアンが建設した家は、現在ワゼによって改良され、素人設計のものから本格的建築士によってつくられたかのように、部屋数が増えたりしているのである。

 
 そしてその部屋の中には、当然ワゼが過ごすための部屋も作られていた。


「よっと、これで明日の仕込みも完了しましたし、そろそろシャットダウンデス。タイマーをセットしまして…‥‥」

 ワゼはゴーレムであり、本来は眠る必要性がないとはいえ、流石に今はまだ・・・・必要性のない深夜の仕事はせずに、機能をシャットダウンし、翌朝起動するために自身の調整を行っていた…‥その時であった。


ピンッ
「ン?」

 ふと、ワゼの耳に当たるイヤホンのような形状をした部分から、アンテナが伸びた。

「‥‥‥‥ふむ、何かやって来たようデス」


 シアンを起こさないように、そっと家から出て、玄関前に立ち…‥‥そのやって来たものの正体をワゼは見た。


 それはとても大きな狼のような生物であり、真夜中だというのにほんのりと緑色に輝いていた。


「データ照合……完了。獣ではなくモンスター、それも神獣と呼ばれる中の一体、『フェンリル』デスカ」
【‥‥‥ほぅ、我が種族名を正確に答えるとは、何者だ】

 ワゼのつぶやきに、目の前の狼……いや、フェンリルはそう声に出した。

 どうやら長年生きている個体のようであり、人の言語を習得しているらしい。


「私はこの家を、いえ、ご主人様を守るメイドのワゼと申し上げマス。そちらこそ、何者であり、ここに何か用があるのでしょうカ?」
【ふむ、ならば答えてやろう。我はこの森を統括しているのだが、ここ最近やけに獣たちが怯えていてな、その原因を探っていたのだが…‥‥どうやら貴様らのせいのようだと分かったから、出向いてきたのだ】
「‥‥‥どうなさる気でしょうカ?」
【それはもちろん‥‥‥‥我が縄張りでもあるこの森で暴れた責任として、ここで消し飛んでしまぇぇぇ!!】














……5分後、フェンリルの姿はそこにはなくなっていた。

「‥‥‥ふぅ、静かに仕留められたのは幸いデス」

 汗をかいていないが、気分的に拭うような動作をワゼは行う。

「さてと、流石に神獣と呼ばれるほどの相手でしたので、殺害はやめましたが…‥‥これで十分懲りてくれたでしょうか?」

 首を傾げながらも、とりあえず周辺があれていたので再生させ、ワゼは家の中に戻る。

 しっかりと抱えた戦利品…‥‥剃りに剃りまくったフェンリルの毛皮をどのように生かすか考えつつ、翌日、何事もなかったかのようにふるまった。

「ご主人様、まだ季節的には早いですが、冬用のコートを作ってみましタ」
「お、なんかすごいフワフワのモコモコだな。これ何の毛だ?」
「ただの狼の毛皮デス。生え変わるので、剃らせていただいたのデス」

 とりあえず、シアンご主人様に喜んでもらえたようなので、ワゼは満足するのであった‥‥‥
 

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