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嫌な事は向こうからやってくる
#73 面倒な縁は既に構築されているのデス
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SIDE都市アルバス:魔法ギルド
「うーむ…‥‥」
都市アルバスの魔法ギルド、執務室にて、ギルド長のウルトラブロッコリーマンことベルモートは今、ある報告書を読んでうなっていた。
その報告書に書かれていたのは、都市アルバスへ向けてある軍が迫ってきているという内容であった。
「まさか、ヌルダニアン王国からの軍とはな‥‥‥」
先日、遂に宣戦布告してきたと聞くヌルダニアン王国の持つ軍が、どうやら都市アルバスへ向けて進軍してきているらしいという情報なのである。
ギルドは国とは異なる独立した機関のような物であり、ある程度の諜報活動なども独自に行ったりするのだが、その諜報の中で今回の進軍の件が浮上したために、都市アルバスの魔法ギルドのギルド長の下へ届けられたのであった。
情報によれば、ヌルダニアン王国の軍は進撃が早いそうで、予想では二日後にこの都市アルバスへ到達し、そのうえ最悪な事に、ヌルダニアン王国軍はただの進軍どころか略奪行為まで行っているそうなのである。
つまり、この都市へ到達したとなれば、行われる行為もまたその略奪であることが容易に想像できた。
「まったく、あの国は何を考えて…‥‥いや、確か聖女とやらを召喚した話があったな。それがあるからこそ、今回の進軍に踏み切ったのか」
大体の予想をつけるベルモート。
確かに、聖女を利用して戦争を仕掛けてくるところまでの予想であれば、当たってはいた。
だがしかし、その聖女が逆に国を利用して戦争を仕掛け、略奪も指示しているとまでは流石に想像つかなかったのである。
「しかし不可解だな…‥‥どうしてか女性たちが大勢逃げ出しているようだ」
男女比率の変化も書かれていたが、その変化の内容にベルモートは疑問を抱く。
どうもヌルダニアン王国から女性たちが大勢逃げ出し…‥‥いや、何方かと言えば追放同然のように追い出されているのだ。
原因は不明だが、ギルド長としての勘ではこの聖女が怪しいと思えた。
何にしても、その男女比率の変化や、聖女の影響などを考えるのはきりがない。
いま優先すべきものを整理するのであれば、やはり進軍をどうにかしなければいけないことであろう。
とは言え、都市の戦力では太刀打ちできず、やれるとすれば、せいぜい避難の誘導ぐらいだ。
とりあえず、この進軍に関しての情報を公開し、避難誘導をギルド長は行い始めるのであった‥‥‥
――――――――――――――――――
SIDEシアン
あの馬車の手助けをした翌日、僕らは都市アルバスの魔法ギルドにて、特別なお知らせが貼りだされていたので、その内容を読んでいた。
「『ヌルダニアン王国軍の侵攻を確認。ゆえに、現都市からの早急な避難』‥‥‥か」
「どうやら戦争が始まりそうデス。本格的な進軍があったようですネ」
【うわぁ‥‥‥かなりシャレにならなさそうですよね】
ヌルダニアン王国の聖女もとい性女なる噂話という事であれば前に聞いたが、進軍‥‥‥戦争なんて規模になるとは、少し予想できていたが、まさかこんなにも早く事が起こるとは思わなかった。
何を目的にしているのかと思いきや、どうやら内容によればヌルダニアン王国軍は各自で略奪行為を行っているらしく、この都市でも同様の事を行う可能性が高いらしい。
まぁ、こういう戦争では略奪行為が行われる可能性が0ではないことを理解してはいるが‥‥‥それにしても、ここまではっきりと詳細が書かれているほどになると、よっぽどひどそうなのが目に見てうかがえた。
何にしても、このような事が起こるのであれば、避難しておいた方が良いだろう。
…‥‥とは言え、都市の全員が避難できるわけではない。
避難する宛もない人はいるだろうし、到達されれば蹂躙され、そこで生涯を終えてしまう可能性もある。
こういう時にこそ、このボラーン王国の軍隊が迎撃できればいいのだが、生憎ながら軍とはそう簡単に動かせるものではない。
武器の調達に食料、医療班の構成や相手の軍の情報収集など、様々な工程がいるのだ。
ゆえに、早く見積もっても三日はかかるそうだが‥‥‥‥
「到達予想は二日後か…‥‥どう考えても間に合わないな」
あと一日は欲しい所かもしれないが、ここ最近平和だったというのもあってそううまいこと行かないのだろう。
「一応、ハルディアの森へ戻ればおそらくは大丈夫かと思われマス」
僕らが住まう森はフェンリル一家によって結界らしいものが構築されており、軍勢が来ようともそうたやすくは侵入させないそうだ。
まぁ、森へわざわざ軍が向けられるかどうかという疑問もあるが…‥‥面倒事はなぜこうも向こうからやってくるのだろうか?
とにもかくにも、こううだうだと考えている場合ではなさそうである。
都市の住民たちの中には逃げられない人がいるだろうけれども、僕らは全てを救えるわけでもないし、冷淡かもしれないが義理があるわけでもない。
この世界は弱肉強食。どうしようもないことだってあるのだ。
「まぁ、さっさとポチと合流して森へ逃げようか」
【ええ、そうした方が良いでしょう】
「逃げたほうが楽な時もあるのデス」
今日の依頼を受ける事を一旦取りやめ、僕らはこの争いごとから逃げる事を選択した。
こんな戦況をひっくり返せるのってそれこそ無茶でもしない限り無理だろう。
「ちなみに聞くけどさ、ワゼならなんとかできる?」
「流石に無理デス。軍勢相手は流石に分が悪すぎマス」
「だよね、その返答は分かっていたよ」
「まぁ、私があと2体、もしくはミニワゼシスターズを2~3体増やせればどうにかなりマス」
「‥‥‥え?」
思い付きで聞いてみただけであったが、まさかの回答であった。
「ですが、残念ながら材料不足デス」
【では、それが解消すれば大丈夫なのでしょうか?】
「ええ、間違いなくデス。とはいえ、戦闘経験も浅いですし、完全に可能という訳でもないのデス」
とは言え、やろうと思えばこの状況をどうにかできてしまうのか…‥‥今更だけど、ワゼって本当にどれだけの力を秘めているのだろうか?
「まぁ、材料がないと無理な話しか」
「…‥‥では、その材料がそろえればどうにかできるのでしょうか?」
「ハイ。そうで…‥‥アレ?今のはどなたでしょうカ?」
ふと会話に入ってきた声にワゼが答えかけ、その声の主を探す。
すぐに見つかったが、その主よりもその傍にいる人たちを、僕らは見たことがあった。
あれは、昨日の盗賊たちに襲撃されていた、馬車の護衛の人達‥‥‥‥ってことは、その声の主らしい女性って、その主なのだろうか?
「話を盗み聞きして申し訳ありませんが、どうにかできそうなのであれば、少々こちらでお話をさせてもらいたいのです」
どうしようかと僕らは顔を見合わせつつ、とりあえず話をしてみることにしたのであった…‥‥
「うーむ…‥‥」
都市アルバスの魔法ギルド、執務室にて、ギルド長のウルトラブロッコリーマンことベルモートは今、ある報告書を読んでうなっていた。
その報告書に書かれていたのは、都市アルバスへ向けてある軍が迫ってきているという内容であった。
「まさか、ヌルダニアン王国からの軍とはな‥‥‥」
先日、遂に宣戦布告してきたと聞くヌルダニアン王国の持つ軍が、どうやら都市アルバスへ向けて進軍してきているらしいという情報なのである。
ギルドは国とは異なる独立した機関のような物であり、ある程度の諜報活動なども独自に行ったりするのだが、その諜報の中で今回の進軍の件が浮上したために、都市アルバスの魔法ギルドのギルド長の下へ届けられたのであった。
情報によれば、ヌルダニアン王国の軍は進撃が早いそうで、予想では二日後にこの都市アルバスへ到達し、そのうえ最悪な事に、ヌルダニアン王国軍はただの進軍どころか略奪行為まで行っているそうなのである。
つまり、この都市へ到達したとなれば、行われる行為もまたその略奪であることが容易に想像できた。
「まったく、あの国は何を考えて…‥‥いや、確か聖女とやらを召喚した話があったな。それがあるからこそ、今回の進軍に踏み切ったのか」
大体の予想をつけるベルモート。
確かに、聖女を利用して戦争を仕掛けてくるところまでの予想であれば、当たってはいた。
だがしかし、その聖女が逆に国を利用して戦争を仕掛け、略奪も指示しているとまでは流石に想像つかなかったのである。
「しかし不可解だな…‥‥どうしてか女性たちが大勢逃げ出しているようだ」
男女比率の変化も書かれていたが、その変化の内容にベルモートは疑問を抱く。
どうもヌルダニアン王国から女性たちが大勢逃げ出し…‥‥いや、何方かと言えば追放同然のように追い出されているのだ。
原因は不明だが、ギルド長としての勘ではこの聖女が怪しいと思えた。
何にしても、その男女比率の変化や、聖女の影響などを考えるのはきりがない。
いま優先すべきものを整理するのであれば、やはり進軍をどうにかしなければいけないことであろう。
とは言え、都市の戦力では太刀打ちできず、やれるとすれば、せいぜい避難の誘導ぐらいだ。
とりあえず、この進軍に関しての情報を公開し、避難誘導をギルド長は行い始めるのであった‥‥‥
――――――――――――――――――
SIDEシアン
あの馬車の手助けをした翌日、僕らは都市アルバスの魔法ギルドにて、特別なお知らせが貼りだされていたので、その内容を読んでいた。
「『ヌルダニアン王国軍の侵攻を確認。ゆえに、現都市からの早急な避難』‥‥‥か」
「どうやら戦争が始まりそうデス。本格的な進軍があったようですネ」
【うわぁ‥‥‥かなりシャレにならなさそうですよね】
ヌルダニアン王国の聖女もとい性女なる噂話という事であれば前に聞いたが、進軍‥‥‥戦争なんて規模になるとは、少し予想できていたが、まさかこんなにも早く事が起こるとは思わなかった。
何を目的にしているのかと思いきや、どうやら内容によればヌルダニアン王国軍は各自で略奪行為を行っているらしく、この都市でも同様の事を行う可能性が高いらしい。
まぁ、こういう戦争では略奪行為が行われる可能性が0ではないことを理解してはいるが‥‥‥それにしても、ここまではっきりと詳細が書かれているほどになると、よっぽどひどそうなのが目に見てうかがえた。
何にしても、このような事が起こるのであれば、避難しておいた方が良いだろう。
…‥‥とは言え、都市の全員が避難できるわけではない。
避難する宛もない人はいるだろうし、到達されれば蹂躙され、そこで生涯を終えてしまう可能性もある。
こういう時にこそ、このボラーン王国の軍隊が迎撃できればいいのだが、生憎ながら軍とはそう簡単に動かせるものではない。
武器の調達に食料、医療班の構成や相手の軍の情報収集など、様々な工程がいるのだ。
ゆえに、早く見積もっても三日はかかるそうだが‥‥‥‥
「到達予想は二日後か…‥‥どう考えても間に合わないな」
あと一日は欲しい所かもしれないが、ここ最近平和だったというのもあってそううまいこと行かないのだろう。
「一応、ハルディアの森へ戻ればおそらくは大丈夫かと思われマス」
僕らが住まう森はフェンリル一家によって結界らしいものが構築されており、軍勢が来ようともそうたやすくは侵入させないそうだ。
まぁ、森へわざわざ軍が向けられるかどうかという疑問もあるが…‥‥面倒事はなぜこうも向こうからやってくるのだろうか?
とにもかくにも、こううだうだと考えている場合ではなさそうである。
都市の住民たちの中には逃げられない人がいるだろうけれども、僕らは全てを救えるわけでもないし、冷淡かもしれないが義理があるわけでもない。
この世界は弱肉強食。どうしようもないことだってあるのだ。
「まぁ、さっさとポチと合流して森へ逃げようか」
【ええ、そうした方が良いでしょう】
「逃げたほうが楽な時もあるのデス」
今日の依頼を受ける事を一旦取りやめ、僕らはこの争いごとから逃げる事を選択した。
こんな戦況をひっくり返せるのってそれこそ無茶でもしない限り無理だろう。
「ちなみに聞くけどさ、ワゼならなんとかできる?」
「流石に無理デス。軍勢相手は流石に分が悪すぎマス」
「だよね、その返答は分かっていたよ」
「まぁ、私があと2体、もしくはミニワゼシスターズを2~3体増やせればどうにかなりマス」
「‥‥‥え?」
思い付きで聞いてみただけであったが、まさかの回答であった。
「ですが、残念ながら材料不足デス」
【では、それが解消すれば大丈夫なのでしょうか?】
「ええ、間違いなくデス。とはいえ、戦闘経験も浅いですし、完全に可能という訳でもないのデス」
とは言え、やろうと思えばこの状況をどうにかできてしまうのか…‥‥今更だけど、ワゼって本当にどれだけの力を秘めているのだろうか?
「まぁ、材料がないと無理な話しか」
「…‥‥では、その材料がそろえればどうにかできるのでしょうか?」
「ハイ。そうで…‥‥アレ?今のはどなたでしょうカ?」
ふと会話に入ってきた声にワゼが答えかけ、その声の主を探す。
すぐに見つかったが、その主よりもその傍にいる人たちを、僕らは見たことがあった。
あれは、昨日の盗賊たちに襲撃されていた、馬車の護衛の人達‥‥‥‥ってことは、その声の主らしい女性って、その主なのだろうか?
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