子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
163 / 480

青年期 99

しおりを挟む
「…先程はありがとうございました。これから一週間…よろしくお願いします」

「ああ、任せな」

「この王都には頼りになる傭兵団も居ますので…万が一の事態になれば彼らをお呼びしてでもお守り致します」

「…ありがとうございます」


屋敷の中に入ると直ぐにお嬢さんが挨拶代わりにお礼を言って頼み、女性が力強くガッツポーズをしながら返すので…


俺も安心させるように告げるとお嬢さんは少し安堵した様子でもう一度お礼を言う。


「…あんなこと言って大丈夫なのかい…?」

「…団員達への報酬は自腹で払うから大丈夫。陛下のおかげで財布は重いし…」

「…ははっ、なるほどね」


お嬢さんの後をついて行く形で歩きながら女性が小声で聞いてきて、俺が小声で返すと女性は小声で笑いながら返す。


「…とりあえず身の回りの護衛はあたしがやる。近くにずっと男が居ると気が休まらないだろうからね」


お嬢さんが自室に入ると部屋の前で女性が役割分担について提案してくる。


「…確かに。じゃあ俺は庭とか建物の周辺を警戒しとこうかな」

「その方がいいと思う」

「じゃあ何かあったら直ぐに呼んでくれ」

「ソッチもね」


俺の賛同しながらの確認に女性も同意するのでお互いに非常時の対応を話してからその場で分かれた。


「…ま、警備も居るし大丈夫だろ…」


俺は建物の周りや庭を歩いて確認した後に呟いて木陰に腰を下ろし、瞑想でもして時間を潰す。


…結局、その日は夜になっても刺客は現れず…


とりあえず分身の俺は捕まえた刺客の男達を治安部隊に引き渡し、安全確保の意味も含めて一月ぐらいは牢の中で大人しくしててもらう事に。


翌日。


分身の俺を男達の所へと話を聞きに行かせて俺はお嬢さんの護衛として屋敷の庭で瞑想を続ける。


「…寝てんのかい?」

「…ん?どうした?何かあった?」

「これから外出だと」

「ああ、分かった」

「…瞑想なんてもんを長時間維持出来るなんて大した集中力と精神力だ。あたしにも精神力の方を分けて欲しいよ」


昼前に女性に声をかけられたので用件を尋ねたらどうやら仕事らしく…


俺が了承して立ち上がると女性は羨むようにため息を吐きながら言う。


「続かないの?」

「ずっと同じ体勢でジッとしてるってのが性に合わなくてね。5分もすると身体の方が動きたくて疼くのさ」

「ああ…慣れない内はだろうね、よくあるらしい。ソコは慣れるしかないと思うけど」

「だよなぁ…あたしも魔力の質と量を高めたいから瞑想をしなきゃいけないと頭では分かってはいるんだけど…」


なかなかなぁ~…と、女性は困ったように頭を掻きながら呟いた。


「『魔力の質』って良く聞くけど意味あんのかね?魔法は練度で質が上がるんだから魔力は量以外に必要無いと思うんだけど」

「…確かに。言われてみれば魔力の質なんて何に影響するんだ?」


お嬢さんについて行きながら俺が疑問を聞くと女性も納得するかのように疑問に思いながら少し首を傾げる。


「『優れた魔法使いは魔力の質も高い』とかもよく言われてるじゃん?俺は他人の魔力の量すらも見て分からないんだけど、他の人にはある程度分かるものなの?」

「…あたしにも分からないよ。あの大魔導師様に聞いてみたらどうだい?」


俺の問いに女性は困惑したように返してお姉さんを引き合いに出した。


「昔聞いた時には『分からない』って言われた」

「じゃああたしには余計分かるはずもない…そもそもあたしは繊細な探知系統が苦手だからね」


俺がそう返すと女性は呆れたように呟いて微妙な顔で自分の苦手分野に言及する。


「俺も魔力の精密操作は得意だけど探知系統はまた別のスキルツリーだから出来ないし…」

「スキルツリー?」

「いや、なんでもない」


つい前世の記憶からの知識が出てしまい女性が不思議そうに聞くので俺は適当にごまかす。


その後、お嬢さんの買い物に付き合って昼過ぎぐらいに屋敷に戻り…


夜には『夜会』と呼ばれる食事会的なパーティに参加するため伯爵の邸宅へと向かった。


「ん?」

「あ」

「お」


…伯爵の家に着くと警備に猟兵隊の部隊と隊長がいて…


更に別の貴族の護衛としても別の部隊と隊長の姿が。


「まさかこんなトコで会うとはね」

「ははは!確かに奇遇だね」

「…いやしかし、このように会うのは初めてじゃないか?」


入口でお嬢さんの身元照会をしている最中に俺が警備している隊長に話しかけると笑って返し、近くの貴族の護衛をしていた隊長が寄って来る。


「…確かに。団員同士が別々の依頼でたまたま現場で一緒になる、ってのは結構あるけど…まさかリーダーまで一緒…ってのは初めてかな」

「基本的に俺は傭兵の依頼は受けないからねぇ」

「まあ何にせよここまで揃えば警備は万全だな。不測の事態が起きようとも対処は完璧だ」

「だね。今回は楽で助かった~」

「なんかあれば他の団員達も呼べばいいからな」


…俺らが軽く話しているとお嬢さんの確認が済んだようで俺らは軽く挨拶してまた別々に分かれて行動した。


「まさか警備や護衛で猟兵隊まで雇われているとは…」

「このパーティーでは『絶対に問題を起こさないぞ』っていう強い意識が伺えるね」


なんせいくら仕事でも団員同士が争う事は絶対に無いし…と、意外そうに呟く女性に俺も意外に思いながら主催者の伯爵を評価するように返す。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...