子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 100

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…結局夜会だかのパーティーは問題も襲撃も何もなく平穏に終わる。


「…ん?」

「なんだ?」


そして帰路についてる途中で馬車が軽く揺れるので俺と女性が不思議に思いながら呟くと…


「きゃあ!」

「うわっ!」


馬車がガタン!と大きく揺れた後に横転するような感じになると女性とお嬢さんが悲鳴を上げ、俺はすぐさまお嬢さんの安全を確保するために抱き込む。


「…チッ!敵襲か!?」


女性は舌打ちをして横転したせいで上の方になっているドアを殴り飛ばして確認するために外に出た。


「おや、元気そうですね。アレで気絶でもしてくれれば…と思ったんですが」


お嬢さんに怪我が無い事を確認して俺も外に出ると…


タキシードを着たイケオジのようなおじさんがシルクハットみたいな帽子のツバを摘みながら意外そうに言う。


「…確認するまでも無いと思うが…今のはあんたの仕業かい?」

「その通り。大人しくそこの中に居るお嬢さんを引き渡してくれませんか?お嬢さんには決して危害は加えないと約束いたしましょう」


女性の問いにおじさんは飄々とした態度で紳士的な事を言い出す。


「こっちも仕事なんだ、『はいそうですか』と言うわけにはいかないね」

「…そうですか…不必要な殺生や傷害は割に合わないのですが…邪魔立てするのならお覚悟を」


女性が断るとおじさんはため息を吐いて呟いた後に表情と雰囲気が変わり、威圧感を出しながらステッキのような杖を構える。


「コイツはあたしが引き受ける。あんたは先に戻っててくれ」

「分かった」


女性も身の丈ほどもある大斧を構えて指示をしてくるので俺は了承して横転してる車の中からお嬢さんをお姫様抱っこで抱えて外に出た。


「はっはっは。一人で私を食い止めるつもりですかな?」

「ソッチこそ。あたし相手に一人で大丈夫なのかい?」

「なるほど…ではお相手を」


おじさんは笑って杖をクルクル回すように野球ボールほどの大きさの火球を時計周りに出しながら確認し…


女性が挑発するように聞き返すと納得したように呟いて杖を俺の方に向けて火球を連射するかのごとく一列に飛ばしてくる。


「おっとっと……こりゃすげぇ」

「ほう…!これは…」


俺は全て避けた後に火球が当たってた地面を見ると、割れるどころか焦げ跡ひとつ付いていないので驚嘆するように言うとおじさんも感心したように呟く。


「どこ見てるんだい!」

「おおっと」


女性がおじさんの後ろに回り込んで大斧を振り下ろすも避けられ、大斧の当たった地面が割れた。


「ふむ、素晴らしい力だ。ですが場所を変えませんか?街中で被害が拡大すると後で割に合わなくなるのでね」

「あたしはどこだって構わないよ」

「では外に出ましょうか。王都の外ならばお互いに周りへの被害を気にせず戦えるでしょう?」

「分かった」


おじさんの提案に女性が了承するとおじさんが先に走り出し、女性はそれを追いかけるように移動して行く。


「…炎属性の使い手だろうけど、ありゃ凄腕だな…とんでもねぇ技術だ…よっと」


俺はお嬢さんを下ろした後におじさんが無詠唱で素早く大量の火球を出せた事、そして火球が地面に当たって爆発したのにその痕跡が一切残ってなかった事…を思い出しながら呟いて横転した車を元に戻す。


「では戻りましょうか」

「あの、馬は…?」

「自分が引きます」

「え…!?」


お嬢さんが車に乗り込み、俺が声をかけると不思議そうに呟くのでそう告げるとお嬢さんは驚愕したような反応をする。


…それから10分ぐらい人力車状態で車を引いてお嬢さんの家へと到着した。


「…少なくともあと一人、刺客が残ってますので…彼女が帰ってくるまでは自分が隣に居ます」

「…お願い、します」


車から降りてくるお嬢さんに俺が注意を促しながら言うとお嬢さんは不安そうな顔で返す。


「…大丈夫、でしょうか?」

「え?」

「ヘレネーさん…相手は凄腕だと…」


建物の中に入るとお嬢さんが尋ねてきて、なんだ?と思いながら聞くとお嬢さんは女性を心配しながら呟く。


「さあ?勝っても負けても不思議では無いので自分にはなんとも…」

「あなたは…もしヘレネーさんが負けた場合、あの人に勝てますか?」

「もちろんですよ。逆にそれほど強いんなら是非とも戦ってみたいんで、彼女には悪いですけど…負けて欲しいぐらいですね」


流石に殺す事はしなさそうな人でしたし…と、俺はお嬢さんの確認に不適切だと思いながらも本音を伝える。


「…羨ましいです。よほど自分の強さに自信があるようで…私にも力があれば…」

「これでも日頃から鍛えてますからねぇ…」


お嬢さんの皮肉なのか自虐なのか分からない発言に俺は軽く皮肉を込めて返した。


「そもそも強くなりたいから戦うわけで。本当に自分の強さに自信がある人なら積極的に戦いたいとは思わないのでは?わざわざ他人と戦って確認せずとも、自分の強さを認識出来ているわけですからね」

「…それは…」


俺が自分の考えを言うとお嬢さんは言い淀むように返す。


「それに勝つ事が決まり切っているのならば戦うだけ無意味というものですし」

「…確かにそうですが…」


ゲームで一番弱い雑魚敵を延々と倒し続ける事に意味はあるのか?と思いながら言うとお嬢さんは納得いかなそうに呟く。


「まあそんな事はさて置いて。もう時間も時間ですからお風呂に入って就寝した方がよろしいかと」

「…はい。分かりました…」


俺が話を打ち切って提案するとお嬢さんは素直に受け入れて風呂場へと移動する。
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