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第158話:どうだ、なかなか快適だぞ、歯抜けの爺さんが手押し車に乗って走っている姿はシュールっすね、村の人たちも不気味に思ってますよ
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スーイ、スーイ!
「どうだ、なかなか快適だぞ」
「歯抜けのリュウマチ持ちの爺さんが手押し車に乗って村道を走っている姿は、ある意味シュールっすね。往来の村の人たちも不気味に思ってますよ」
「うるさいぞ」
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今は宿屋の屋根裏に住んでいて、副業で猫カフェのオーナーをしている。
修理に出していた手押し車が戻って来た。
そして、今回、いろいろと改良したのだ。
「どうだ、猫カフェで儲けた金で手押し車の車輪を大きくして、全体を頑丈にしたぞ」
「今まではちっこい車輪だったのに、ずいぶん大きいっすね。リーダーの膝くらいまでありますね」
「うむ、それに前方には荷台。下にも足を乗せる台がついている。ここに乗って、片足で地面を蹴るのだ」
俺を乗せた手押し車がスーッと村道を進んでいく。
「おお、なかなか滑らかに進んでいく。新品なので音も小さい。実に気分がいいぞ」
「子供の乗り物にこういうのがありましたね。しかし、乗っているのはリュウマチ持ちの爺さん。薄気味悪いっすね」
「うるさいぞ。だから、外見ではリュウマチとはわからないと十億回は言ってるだろが!」
おっと、緩やかな坂道になった。
俺は手押し車に乗ったままスイスイと道を下っていく。
後ろから相棒がヒイコラ言いながら追いかけてくる。
「ちょっと、速度を出し過ぎですよ。転んでケガしても知らんすよ。もう、骨粗しょう症にでもなっているかもしれない爺さんなんすから、リーダーは」
「うるさいぞ。まだ、そんな年ではない。それにお前は若いのに息があがってるぞ。だらしがない。冒険者としての気構えに欠けてるぞ」
しかし、冒険者が手押し車に乗っていたら、スッ転んで、骨折ってのも情けないな。
俺は取っ手についてるレバーを握る。
「あれ、スピードが落ちましたね」
「このレバーで動きを止めることも出来るのだ。どうだ、優れものだろう」
そのまま速度を調節しながら、手押し車に乗って進んでいく。
「いやあ、面白いぞ」
「本当に子供っすね、リーダーは。子供心のまま冒険者になって、全く成長せずに、気が付いたら今や屋根裏住まいの死ぬ寸前の老人すかね」
「うるさいぞ。気分がいいのは事実なのだ」
さて、冒険者ギルドに到着。
で、頼まれたのが、またもやスライム退治。
しかし、今回は山の麓の洞窟だ。
「おい、久々のダンジョン探索だぞ」
「でも、大した事なさそうっすけどね」
意気揚々と現場に向かう。
しかし、俺は山の緩やかな坂道でへばってしまう。
「おい、この手押し車が重くて疲れたぞ。これはあの性格の悪いギルドの主人の陰謀だな」
「ギルドの主人はその手押し車を見てないじゃないすか。それに大した坂道じゃないのに。だいたい何も考えずに車を大きくするからっすよ」
ヒイヒイ言いながら、俺は手押し車を押して坂道を登っていく。
おっと、洞窟らしき穴が見えたぞ。
「ふう、やっと到着か」
「違いますよ、もっと上っすよ。あれっすよ」
相棒が指さす場所に洞窟の入り口があった。
「でも、ここにも洞窟らしき穴が開いているけどなあ」
「今回は入口から、すぐ近くに三つの穴が開いている洞窟っす」
やれやれ。
またヒイヒイ言いながら手押し車を押してやっと目的の場所に着いた。
洞窟の中では、さすがに手押し車は使えないので坂道の脇に置く。
さて、中に入ると、すぐに三つに道が別れている。
「ギルドの主人から、この一番右側の横穴でスライムが発生したって聞いたっすよ」
「うむ、じゃあ、入るとするか」
俺と相棒は携帯ランプで中を照らしながら洞窟へ入っていく。
お、いきなりスライムが襲い掛かって来た。
バシッ、バシッ、バシッ!
簡単にやっつける。
けっこう多いな。
しかし、迷路ってわけではない。
一本道だ。
気が付くと元の入り口に戻っていた。
「何だ、こんだけか」
「そうすね。じゃあ、帰りましょうか」
「いや、三つ穴が開いていて、そのうち入り口から見て、右と真ん中は一本道でつながっていた。一番左はどうなんだ」
「そっちは何にもない、モンスターも出ないって、ギルドの主人が言ってましたよ」
「本当か。あの性格の悪いギルドの主人が俺に手柄を取らせないようにしているんではないか」
「相変わらず偏見を持ってますね。そんなことをする人じゃないすよ」
「いや、怪しいぞ。この一番左の穴も入ってみよう。大物モンスターに遭遇するかもしれん」
「そんなことありえないすよ」
「うるさいぞ。とにかく確かめてみよう」
俺は洞窟の中を進んでいく。
だんだん下に降りていくぞ。
「ウォ!」
「どうしたんすか!」
「いや、腰痛だ、腰痛」
俺は思わず、剣を杖にしながら、ヘナヘナと歩く。
「何すかね、そのだらしがない歩き方は。リーダー本人が怪しげなモンスターみたいっすよ」
「うるさいぞ」
しかし、何も現れる気配のないまま、出口の光が見えた。
「あれ、ここはさっき来るときに見た穴だな」
「だから、何も出ないって言ったでしょ」
やれやれ。
おもろーない。
あれ、何だか少しだけ身体が揺れているような気がした。
「おい、今、少し揺れたぞ。地震だ。上に気を付けながら、すぐに外に出るんだ」
「大した地震じゃないすよって、イテテ、何か降ってきた」
上から砂が落ちてきて、相棒の両目に入ったらしい。
「地震が起きた時は、すぐに上を確認するんだって、前にも言っただろ。お前は冒険者としての気構えに欠けているぞ」
「単なる砂っすよ」
「いや、常に周囲の注意を怠らず革命的警戒心で行動するのが冒険者なのだ。今、お前は目にゴミが入って見えないじゃないか。その時、モンスターに襲われたらどうするんだ」
「ハゲデブブサイクのリュウマチ持ちの爺さんに説教されてもうざいだけっすね」
「うるさいぞって、ウワー!」
いきなり何者かが背中から襲いかかってきて、ぶっ倒れる俺。
「イテテ、何かが襲ってきたぞ、モンスターか」
「違いますよ。上に置いていた手押し車が、今の地震の影響か知りませんけど、こっちまで坂道を下りてきて、リーダーにぶつかったんすよ」
「おい、手押し車が迫って来たのを教えろよ」
「砂が目に入って、瞑ってたから無理っすよ。しかし、常に周囲の注意を怠らず革命的警戒心で行動しているはずなのに、手押し車にも倒される冒険者。もうリーダーは完全に終わってますね」
相棒に、せせら笑われてしまった。
「くそー、この手押し車が優秀なんで、まったく音を出さないから気づかなかったぞって、ウォ!」
「何すか、また腰痛すか」
イテテ、また、ぎっくり腰だ。
手押し車に倒された衝撃のせいか。
「うーん、立てないぞ」
「しょうがないすねえ」
相棒が俺を手押し車に乗せて、運んでいく。
「確かにこれは丈夫っすね。ハゲデブブサイクのリュウマチ持ちで死んだリーダーを乗せてもビクともしない。なかなか良い改良をしましたね」
「うるさいぞ。俺はまだ死んでないぞ」
しかし、そのまま手押し車で運ばれる俺。
何だか情けないな。
「どうだ、なかなか快適だぞ」
「歯抜けのリュウマチ持ちの爺さんが手押し車に乗って村道を走っている姿は、ある意味シュールっすね。往来の村の人たちも不気味に思ってますよ」
「うるさいぞ」
俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。
今は宿屋の屋根裏に住んでいて、副業で猫カフェのオーナーをしている。
修理に出していた手押し車が戻って来た。
そして、今回、いろいろと改良したのだ。
「どうだ、猫カフェで儲けた金で手押し車の車輪を大きくして、全体を頑丈にしたぞ」
「今まではちっこい車輪だったのに、ずいぶん大きいっすね。リーダーの膝くらいまでありますね」
「うむ、それに前方には荷台。下にも足を乗せる台がついている。ここに乗って、片足で地面を蹴るのだ」
俺を乗せた手押し車がスーッと村道を進んでいく。
「おお、なかなか滑らかに進んでいく。新品なので音も小さい。実に気分がいいぞ」
「子供の乗り物にこういうのがありましたね。しかし、乗っているのはリュウマチ持ちの爺さん。薄気味悪いっすね」
「うるさいぞ。だから、外見ではリュウマチとはわからないと十億回は言ってるだろが!」
おっと、緩やかな坂道になった。
俺は手押し車に乗ったままスイスイと道を下っていく。
後ろから相棒がヒイコラ言いながら追いかけてくる。
「ちょっと、速度を出し過ぎですよ。転んでケガしても知らんすよ。もう、骨粗しょう症にでもなっているかもしれない爺さんなんすから、リーダーは」
「うるさいぞ。まだ、そんな年ではない。それにお前は若いのに息があがってるぞ。だらしがない。冒険者としての気構えに欠けてるぞ」
しかし、冒険者が手押し車に乗っていたら、スッ転んで、骨折ってのも情けないな。
俺は取っ手についてるレバーを握る。
「あれ、スピードが落ちましたね」
「このレバーで動きを止めることも出来るのだ。どうだ、優れものだろう」
そのまま速度を調節しながら、手押し車に乗って進んでいく。
「いやあ、面白いぞ」
「本当に子供っすね、リーダーは。子供心のまま冒険者になって、全く成長せずに、気が付いたら今や屋根裏住まいの死ぬ寸前の老人すかね」
「うるさいぞ。気分がいいのは事実なのだ」
さて、冒険者ギルドに到着。
で、頼まれたのが、またもやスライム退治。
しかし、今回は山の麓の洞窟だ。
「おい、久々のダンジョン探索だぞ」
「でも、大した事なさそうっすけどね」
意気揚々と現場に向かう。
しかし、俺は山の緩やかな坂道でへばってしまう。
「おい、この手押し車が重くて疲れたぞ。これはあの性格の悪いギルドの主人の陰謀だな」
「ギルドの主人はその手押し車を見てないじゃないすか。それに大した坂道じゃないのに。だいたい何も考えずに車を大きくするからっすよ」
ヒイヒイ言いながら、俺は手押し車を押して坂道を登っていく。
おっと、洞窟らしき穴が見えたぞ。
「ふう、やっと到着か」
「違いますよ、もっと上っすよ。あれっすよ」
相棒が指さす場所に洞窟の入り口があった。
「でも、ここにも洞窟らしき穴が開いているけどなあ」
「今回は入口から、すぐ近くに三つの穴が開いている洞窟っす」
やれやれ。
またヒイヒイ言いながら手押し車を押してやっと目的の場所に着いた。
洞窟の中では、さすがに手押し車は使えないので坂道の脇に置く。
さて、中に入ると、すぐに三つに道が別れている。
「ギルドの主人から、この一番右側の横穴でスライムが発生したって聞いたっすよ」
「うむ、じゃあ、入るとするか」
俺と相棒は携帯ランプで中を照らしながら洞窟へ入っていく。
お、いきなりスライムが襲い掛かって来た。
バシッ、バシッ、バシッ!
簡単にやっつける。
けっこう多いな。
しかし、迷路ってわけではない。
一本道だ。
気が付くと元の入り口に戻っていた。
「何だ、こんだけか」
「そうすね。じゃあ、帰りましょうか」
「いや、三つ穴が開いていて、そのうち入り口から見て、右と真ん中は一本道でつながっていた。一番左はどうなんだ」
「そっちは何にもない、モンスターも出ないって、ギルドの主人が言ってましたよ」
「本当か。あの性格の悪いギルドの主人が俺に手柄を取らせないようにしているんではないか」
「相変わらず偏見を持ってますね。そんなことをする人じゃないすよ」
「いや、怪しいぞ。この一番左の穴も入ってみよう。大物モンスターに遭遇するかもしれん」
「そんなことありえないすよ」
「うるさいぞ。とにかく確かめてみよう」
俺は洞窟の中を進んでいく。
だんだん下に降りていくぞ。
「ウォ!」
「どうしたんすか!」
「いや、腰痛だ、腰痛」
俺は思わず、剣を杖にしながら、ヘナヘナと歩く。
「何すかね、そのだらしがない歩き方は。リーダー本人が怪しげなモンスターみたいっすよ」
「うるさいぞ」
しかし、何も現れる気配のないまま、出口の光が見えた。
「あれ、ここはさっき来るときに見た穴だな」
「だから、何も出ないって言ったでしょ」
やれやれ。
おもろーない。
あれ、何だか少しだけ身体が揺れているような気がした。
「おい、今、少し揺れたぞ。地震だ。上に気を付けながら、すぐに外に出るんだ」
「大した地震じゃないすよって、イテテ、何か降ってきた」
上から砂が落ちてきて、相棒の両目に入ったらしい。
「地震が起きた時は、すぐに上を確認するんだって、前にも言っただろ。お前は冒険者としての気構えに欠けているぞ」
「単なる砂っすよ」
「いや、常に周囲の注意を怠らず革命的警戒心で行動するのが冒険者なのだ。今、お前は目にゴミが入って見えないじゃないか。その時、モンスターに襲われたらどうするんだ」
「ハゲデブブサイクのリュウマチ持ちの爺さんに説教されてもうざいだけっすね」
「うるさいぞって、ウワー!」
いきなり何者かが背中から襲いかかってきて、ぶっ倒れる俺。
「イテテ、何かが襲ってきたぞ、モンスターか」
「違いますよ。上に置いていた手押し車が、今の地震の影響か知りませんけど、こっちまで坂道を下りてきて、リーダーにぶつかったんすよ」
「おい、手押し車が迫って来たのを教えろよ」
「砂が目に入って、瞑ってたから無理っすよ。しかし、常に周囲の注意を怠らず革命的警戒心で行動しているはずなのに、手押し車にも倒される冒険者。もうリーダーは完全に終わってますね」
相棒に、せせら笑われてしまった。
「くそー、この手押し車が優秀なんで、まったく音を出さないから気づかなかったぞって、ウォ!」
「何すか、また腰痛すか」
イテテ、また、ぎっくり腰だ。
手押し車に倒された衝撃のせいか。
「うーん、立てないぞ」
「しょうがないすねえ」
相棒が俺を手押し車に乗せて、運んでいく。
「確かにこれは丈夫っすね。ハゲデブブサイクのリュウマチ持ちで死んだリーダーを乗せてもビクともしない。なかなか良い改良をしましたね」
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