スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗

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第159話:人間は外見で決められてしまうのかなあ、いや内面も重要っすね、でも外見ビンボーで中身が空っぽのリーダーはもうどうしようもないすね

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 俺と相棒、二人組の冒険者パーティー。
 普段はスライム退治専門のしょぼいパーティーだ。

 今は宿屋の屋根裏に住んでいて、副業で猫カフェのオーナーをしている。

 夜。

「うーん、うーん」
「どうしたんすか、リーダー」

「この前の手押し車から受けた攻撃のせいか、首が痛い」
「なにが攻撃すかね。坂道でぼんやりとしていたら、自分の手押し車が迫って来るのにも気づかないロートル冒険者すね。もう、リーダーは引退したほうがいいすよ」
「うるさいぞ。しかし、手押し車がぶつかったのは腰なのだがなあ」

「だらんとコタツで寝ているからじゃないすかね。でも、首はコタツから出しているから冷えたんじゃないすか。温めたらどうすかね、コタツに全身入って。ついでに酸欠になってあの世に逝って、めでたしめでたしっすね。ああ、いい最終回だなって感じっすね」
「全然めでたくないだろうが」

 さて、首を温めようとするか。
 そうだ、いい事を思いついたぞ。

 俺は屋根裏部屋の隅っこに置いてある箱に近づく。

「おい、ファイアードラゴンモドキよ。猫缶をあげたんだから、協力せい」

 俺は、この前、裏庭で捕まえたファイアードラゴンモドキを枕にしてコタツで寝る。
 こいつの体は温かいんだよな。

「うむ、なかなか快適だぞ。首が温かい」
「ハゲデブブサイクのリュウマチ持ちのリーダーに枕にされてファイアードラゴンモドキも迷惑そうにしてますよ」

「うるさいぞ。エサをあげてるんだから、これくらいいいだろ」
「動物虐待、いや、モンスター虐待で訴えられますよ」

「しかし、モンスターってのは問答無用に倒しても誰も文句は言ってこないな。これが猫やら犬だと猛抗議されるのだがなあ。小説とかで書いても不快だとか言われるようだな、読者から」
「まあ、蛇とかでも同じっすね。別に何も悪い事してない蛇を殺してもあんまり文句はこないっすね。ゴキブリとかもそうすね」

「ひどい差別だよな。ブサイク差別だ」
「結局、外見で決めてんすよ。人間のエゴっすね。それに、リーダーなんて、真っ先に退治されそうな外見すよね。でも、リーダーが倒されても誰も気にしないんじゃないすかね」
「うるさいぞ。俺はゴキブリではない」

 確かに冴えない外見ではあるがな。

「モンスターたちも俺はイケメンとか、俺はブサイクでおもろーないとか考えているのだろうか」
「スライムは何も考えてなさそうっすけどね」

「コボルトとかはどうだろう」
「俺っちから見ると、みんな同じような顔してますね」

「外見で物事を決めるのは人間だけかなあ」
「いや、動物でも角が長いとか外見が重要な場合もありますね」 

「でも人間ほどではないだろう。人間は、結局、外見で決められてしまうのかなあ」
「いや、内面も重要っすね。でも、外見ビンボーでおまけに中身が空っぽのリーダーはもうどうしようもないすね」
「うるさいぞ」

 しかし、自分でもあまり内面を磨いてこなかったなあと思う。

「やれやれ。内面が空っぽでもイケメンならモテるもんなあ」
「まあ、世の中そんなもんすよ。小説でも演劇でも、だいたい美男美女が主役じゃないすか。悪漢小説なんか、けっこう強面の怖い顔した主人公とかいますけど。でも、しょぼくれたハゲデブブサイクのリュウマチ持ちで腰痛肘痛膝痛でやたら便所に行ってる頻尿の病気を患ってるおっさんが主人公なんてありえないっすね。リーダーは主人公にはなれないっすね。そんなの誰も興味を持ちもませんよ」

「うるさいぞと言いたいが、事実ではあるなあ。世知辛い世の中だな。しかし、一度は脚光を浴びたいとも思うんだな。誰しも、生涯に一度は光り輝く瞬間があるって聞いたことがあるぞ」

「あの割と大物の木に化けるモンスターのトレントを目を瞑ったまま倒したのがリーダーの冒険者としての最後の輝きじゃないすかね。後は、ゴキブリにも蚊にもカマドウマにも負ける満身創痍の体になって、ついには手押し車に倒されると情けない人生を歩んでますね。もう、冒険者で成功するのはあきらめたほうがいいんじゃないすかね。猫カフェのオーナーの方があってますよ」
「うるさいぞ。俺はまだ冒険者だ、いつかはドラゴンを倒すぞ」

「実際にはドラゴンモドキに首を温めてもらってる爺さんにすぎませんけどね」
「うるさいぞ。まあ、このファイアードラゴンモドキは外見で差別はしないだろうって……アチチ!」

 枕にしていたファイアードラゴンモドキが急に熱くなった。

「何だよ、こいつ。急に熱くなりやがって。火傷しそうになったぞ」
「ファイアードラゴンモドキもブサイクなおっさんは嫌いみたいっすね」
「うるさいぞ」

 そのファイアードラゴンモドキはのそのそと部屋の隅にある箱に戻っていく。

「もう猫缶分は働いたから、さっさと眠らせろって言ってるんじゃないすかね」
「やれやれ。ドラゴンモドキにも相手にされないわけだ、俺は」

「そうじゃないすかね。もうリーダーの人生は終わってるんすから、このままコタツで寝てた方がいいんじゃないすか。もう誰にも関心を持ってもらえない歯抜けの爺さんなんすから」
「うるさいぞ」

 ああ、全くおもろーないぞ。
 もう寝る。
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