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完結後 番外編 元人質姫と忘れんぼ王の結婚式
2. ギルバート、一足先にボナールへ到着
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シャーロットがギルバートに用意した部屋を訪ねる。
コンコンとドアをノックして開けると、部屋の中にはソファに座って紅茶を片手に寛ぐギルバートがいた。
「ギルバート様、ようこそおいでくださいました!」
シャーロットは満面の笑みで、ギルバートの向かい側へと腰を下ろす。
「シャーロット、久しぶりだな。元気であったか?」
「はい。ギルバート様もお元気そうで」
柔らかく微笑むギルバートの前には、アップルパイとスイートポテトが並んでいた。
「今日のオヤツもうまいな。シャーロットが作ったのであろう? なんだこのアップルパイとスイートポテトのコンボは。私をボナールに永住させる気か。ランバラルドに帰りたくなくなるではないか」
シャーロットはギルバートのために、忙しい合間を縫ってお菓子を作ったのだ。
いつも気難しい顔をしているギルバートが、微笑んで食べているのを見ると、作った甲斐があったというもの。
「そうだ、シャーロット。今日はサプライズな土産がある」
ギルバートが部屋の隅に控えていたランバラルドの侍女に目線で合図を送ると、侍女は隣の部屋へと行き、すぐに戻ってきた。
隣の部屋から先ほどとは別の侍女がふたり、シャーロットとギルバートの側にやって来る。
「お呼びでしょうか、ギルバート様」
ふたりの侍女が顔を上げると、ソファに座るシャーロットとギルバートを見て目を見開く。
「シャーロット、ランバラルド城のリサとルーシーだ。面識があるだろう?」
リサとルーシーは、ゆっくりとつぶやく。
「シャーロット、さま? え? ロッテ? え?」
リサとルーシーは、ギルバートから何も聞かされずにボナールまで連れてこられたのだ。
「シャーロットはリサとルーシーと仲が良かっただろう? 結婚式はお前の晴れ姿だ。連れてきてみた」
ギルバートは悪びれずに、スイートポテトを頬張りながらシャーロットに告げた。
シャーロットはふたりに事情を告げずにボナールに帰国していたので、ふたりを目の前にして申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「リサさん、ルーシーさん、ごめんなさいね。何も言わずに帰ってしまって。実は、私は離宮に住んでいたシャーロットだったの。侍女のロッテに姿を変えていた時は、とても良くしていただいて、感謝してもしきれないくらい。また会えて嬉しいです」
立ち上がり、シャーロットはふたりの側に行き、ふたりの手を取った。
リサとルーシーは、一国の女王が自分と同じ高さで話すどころか、親しげに歩み寄って手を取ったことに動揺する。
リサはギルバートに救いを求めて視線を向けた。
「リサ、臆することはない。そこにいるのは一国の女王ではあるが、間抜けなロッテだ。対外的には敬う必要があるが、身内だけのここならば、何も言わずに帰国したことを責めても問題ないぞ」
ギルバートはすました顔をして、リサとルーシーに言った。
「ロ、ロッテ。ほんとにロッテなの……?」
ルーシーはおずおずと話しかける。
「ええ、ロッテよ。調子に乗って厨房でジャガイモの皮をむき過ぎて、料理長にしこたま怒られたことのあるロッテよ」
リサとルーシーはがばりとシャーロットに抱きついた。
「心配したんだからね~! そそっかしいロッテがちゃんとやっているのか、いつも心配してたの。まったく、ロッテは側にいなくても心配させるよねって、いつも2人で話してたのよ」
ギルバートはスイートポテトを頬張りながらそれを見ている。
「シャーロットは結婚したらランバラルドにまた来ることになるだろう。見知った侍女がいるといないでは大違いだからな。そんな訳で連れてきた」
「ギルバート様、ありがとうございます!」
ひとしきり再会を喜んだ後、ジュディもこの場に呼ばれてその輪に加わった。
「2人とも久しぶりね」
ジュディは笑顔で2人にハグをする。
感動の抱擁が終わったところで、ルーシーはジュディをジロリと睨んだ。
「それにしても、ひどいわ。わたしたちにまでロッテのことを隠すなんて。打ち明けてくれたら何か力になれることもあったのに」
「ごめんね。でも、わたしも言えなかったのよ。側妃であり、ボナールの王女でもある姫様が、あんなに粗忽なメイドをやっているなんて」
メイド3人の視線がシャーロットに集まる。
「な、なによ」
「うん。確かに、あの時にロッテがシャーロット様だって言われても、わたしは信じる自信がないわ」
「そうでしょ」
何故か納得している3人に、シャーロットは顔を赤くして怒る。
「もぉっ! あなたたち、失礼だわ! 私だってちゃんとお掃除もお料理もしていましたもの!立派なメイドだったはずよ」
ぷんぷんと頭から湯気を出しそうなシャーロットの様子に、リサはくすくすと笑いながらシャーロットの手を取った。
「ごめんなさい、ロッテ。ちょっとからかっただけよ。あなたがシャーロット様だったなんて驚いたけれど、ライリー様とご結婚なさる王女様があなたでよかった。わたしは、シャーロット様に誠心誠意、尽くさせていただきます」
「リサさん……」
シャーロットはリサの言葉に胸が熱くなった。
腰を折り、忠誠の意を表していたリサとルーシーだったが、ふと、リサが顔を上げて今度は厳しい表情でシャーロットを見た。
「ただし、今度からは王妃として相応しくない、例えばスカートをまくって廊下を走るなどの行為をした場合は、厳しくご注意させていただきます。これは、愛のムチですからね」
「……へ?」
ルーシーも、ずいっと前に歩み寄る。
「そうですとも! 王妃様ともあろうお方が、ふくらはぎを見せて廊下を走るなんて!」
「……は?」
最後に、ジュディもそれに加わる。
「もちろん、わたしも今まで通り、厳しく注意させてもらいますよ」
「……え?」
「「「わたしたちは、シャーロット様が立派な王妃様にお成りあそばすまで、ご協力いたします!!!」」」
「えー……」
シャーロットは嬉しいやら悲しいやら。
だが、これからランバラルドでの生活でも、頼もしい仲間ができたことを素直に喜んだのだった。
ひとしきり、昔話に花を咲かせた後、シャーロット以外の3人はボナール城の侍女室へと姿を消した。
きっと、侍女室の中でも、話に花を咲かせることだろう。
シャーロットもそろそろギルバートの部屋を退出しようとしたところで、侍従が来客を告げる。
「帝国、ジルベール陛下がお見えです。間も無く、こちらにいらっしゃるとのことです」
コンコンとドアをノックして開けると、部屋の中にはソファに座って紅茶を片手に寛ぐギルバートがいた。
「ギルバート様、ようこそおいでくださいました!」
シャーロットは満面の笑みで、ギルバートの向かい側へと腰を下ろす。
「シャーロット、久しぶりだな。元気であったか?」
「はい。ギルバート様もお元気そうで」
柔らかく微笑むギルバートの前には、アップルパイとスイートポテトが並んでいた。
「今日のオヤツもうまいな。シャーロットが作ったのであろう? なんだこのアップルパイとスイートポテトのコンボは。私をボナールに永住させる気か。ランバラルドに帰りたくなくなるではないか」
シャーロットはギルバートのために、忙しい合間を縫ってお菓子を作ったのだ。
いつも気難しい顔をしているギルバートが、微笑んで食べているのを見ると、作った甲斐があったというもの。
「そうだ、シャーロット。今日はサプライズな土産がある」
ギルバートが部屋の隅に控えていたランバラルドの侍女に目線で合図を送ると、侍女は隣の部屋へと行き、すぐに戻ってきた。
隣の部屋から先ほどとは別の侍女がふたり、シャーロットとギルバートの側にやって来る。
「お呼びでしょうか、ギルバート様」
ふたりの侍女が顔を上げると、ソファに座るシャーロットとギルバートを見て目を見開く。
「シャーロット、ランバラルド城のリサとルーシーだ。面識があるだろう?」
リサとルーシーは、ゆっくりとつぶやく。
「シャーロット、さま? え? ロッテ? え?」
リサとルーシーは、ギルバートから何も聞かされずにボナールまで連れてこられたのだ。
「シャーロットはリサとルーシーと仲が良かっただろう? 結婚式はお前の晴れ姿だ。連れてきてみた」
ギルバートは悪びれずに、スイートポテトを頬張りながらシャーロットに告げた。
シャーロットはふたりに事情を告げずにボナールに帰国していたので、ふたりを目の前にして申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「リサさん、ルーシーさん、ごめんなさいね。何も言わずに帰ってしまって。実は、私は離宮に住んでいたシャーロットだったの。侍女のロッテに姿を変えていた時は、とても良くしていただいて、感謝してもしきれないくらい。また会えて嬉しいです」
立ち上がり、シャーロットはふたりの側に行き、ふたりの手を取った。
リサとルーシーは、一国の女王が自分と同じ高さで話すどころか、親しげに歩み寄って手を取ったことに動揺する。
リサはギルバートに救いを求めて視線を向けた。
「リサ、臆することはない。そこにいるのは一国の女王ではあるが、間抜けなロッテだ。対外的には敬う必要があるが、身内だけのここならば、何も言わずに帰国したことを責めても問題ないぞ」
ギルバートはすました顔をして、リサとルーシーに言った。
「ロ、ロッテ。ほんとにロッテなの……?」
ルーシーはおずおずと話しかける。
「ええ、ロッテよ。調子に乗って厨房でジャガイモの皮をむき過ぎて、料理長にしこたま怒られたことのあるロッテよ」
リサとルーシーはがばりとシャーロットに抱きついた。
「心配したんだからね~! そそっかしいロッテがちゃんとやっているのか、いつも心配してたの。まったく、ロッテは側にいなくても心配させるよねって、いつも2人で話してたのよ」
ギルバートはスイートポテトを頬張りながらそれを見ている。
「シャーロットは結婚したらランバラルドにまた来ることになるだろう。見知った侍女がいるといないでは大違いだからな。そんな訳で連れてきた」
「ギルバート様、ありがとうございます!」
ひとしきり再会を喜んだ後、ジュディもこの場に呼ばれてその輪に加わった。
「2人とも久しぶりね」
ジュディは笑顔で2人にハグをする。
感動の抱擁が終わったところで、ルーシーはジュディをジロリと睨んだ。
「それにしても、ひどいわ。わたしたちにまでロッテのことを隠すなんて。打ち明けてくれたら何か力になれることもあったのに」
「ごめんね。でも、わたしも言えなかったのよ。側妃であり、ボナールの王女でもある姫様が、あんなに粗忽なメイドをやっているなんて」
メイド3人の視線がシャーロットに集まる。
「な、なによ」
「うん。確かに、あの時にロッテがシャーロット様だって言われても、わたしは信じる自信がないわ」
「そうでしょ」
何故か納得している3人に、シャーロットは顔を赤くして怒る。
「もぉっ! あなたたち、失礼だわ! 私だってちゃんとお掃除もお料理もしていましたもの!立派なメイドだったはずよ」
ぷんぷんと頭から湯気を出しそうなシャーロットの様子に、リサはくすくすと笑いながらシャーロットの手を取った。
「ごめんなさい、ロッテ。ちょっとからかっただけよ。あなたがシャーロット様だったなんて驚いたけれど、ライリー様とご結婚なさる王女様があなたでよかった。わたしは、シャーロット様に誠心誠意、尽くさせていただきます」
「リサさん……」
シャーロットはリサの言葉に胸が熱くなった。
腰を折り、忠誠の意を表していたリサとルーシーだったが、ふと、リサが顔を上げて今度は厳しい表情でシャーロットを見た。
「ただし、今度からは王妃として相応しくない、例えばスカートをまくって廊下を走るなどの行為をした場合は、厳しくご注意させていただきます。これは、愛のムチですからね」
「……へ?」
ルーシーも、ずいっと前に歩み寄る。
「そうですとも! 王妃様ともあろうお方が、ふくらはぎを見せて廊下を走るなんて!」
「……は?」
最後に、ジュディもそれに加わる。
「もちろん、わたしも今まで通り、厳しく注意させてもらいますよ」
「……え?」
「「「わたしたちは、シャーロット様が立派な王妃様にお成りあそばすまで、ご協力いたします!!!」」」
「えー……」
シャーロットは嬉しいやら悲しいやら。
だが、これからランバラルドでの生活でも、頼もしい仲間ができたことを素直に喜んだのだった。
ひとしきり、昔話に花を咲かせた後、シャーロット以外の3人はボナール城の侍女室へと姿を消した。
きっと、侍女室の中でも、話に花を咲かせることだろう。
シャーロットもそろそろギルバートの部屋を退出しようとしたところで、侍従が来客を告げる。
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