181 / 187
完結後 番外編 元人質姫と忘れんぼ王の結婚式
1 . 結婚式直前の、ランバラルドとボナールでは
しおりを挟む
ライリーとシャーロットの婚約が成されてから、様々なボナール、ランバラルド両国の話し合いの末、春麗らかな良き日に、両国王の結婚式が行われることとなった。
どちらの国で式を挙げるかは、両国の上層部によって話し合いが続いていたが、やっと、ボナールの大神殿で執り行われるということで、合意されたのだ。
国力として上のランバラルドで行いたいというランバラルド大臣たちと、ボナールで行うべきと言うボナールの神官たちによって、話し合いは時間がかかったが、シャーロット女王陛下と婚約してからのランバラルドの穀物の育ち方を見て、ランバラルドの大臣たちが虹の後継者について考え出したのだ。
ランバラルドでは、シャーロットと婚約をする前までは、穀物があまり育たず、そこそこの収穫量しかなかったため、輸入に頼らざるを得ない部分があったが、今では大幅に輸入する量が減り、自国の収穫だけで国内は凌げるようになった。
まあ、他国との付き合いの関係上、急に輸入は止められないが。
そんな事実があり、虹の後継者たるシャーロットの結婚式だからこそ、ボナールの大神殿で挙げた方が良いとランバラルド側が折れる形となった。
ただし、一般の披露宴にあたるお披露目パーティーはランバラルドで行われる。
結婚後は、国は統一し、拠点はランバラルドにするものの、ボナール城へも執行部を残すため、二人は両国を頻繁に行き来することになっている。
そこまで決めてから、結婚式を執り行うこととなったため、婚約からはかなりな時間が経っていた。
「シャーロット……。シャーロットが足りない……」
ボナールへの移動の馬車の中で、ライリーは俯いてブツブツと呟いていた。
「ええい! うるさい! だから結婚するために、こうしてランバラルドからボナールへと移動しているのだろう。あと2.3日くらい我慢せんか」
結婚式のために準備をし、陣頭指揮にあたっていたディリオンは寝不足でイライラしながらライリーに怒鳴る。
王族が国外で結婚式を挙げるなど前代未聞。
しかも、式はボナールで挙げるが、他国の要人を招いての披露宴はランバラルドで行うため、その調整は困難を極めた。
結局、式と披露宴を分けるということは、ボナールとランバラルドの二箇所で結婚式を挙げるようなものだ。
当然、調整が難航した分、ライリーもしばらくはシャーロットと会えない日々が続いたのだ。
いつもの男3人で、馬車に揺られながらディリオンは考える。
ボナールでシャーロットの面倒を見ているフレッドは、絶対にこんなに苦労してはいない。
国は一つとなるのだ。
できれば、ボナールとランバラルドの宰相役は、フレッドと交互に行うようにしよう。
オレにもたまには楽な役回りが回ってきてもおかしくない。
そして、たまにはフレッドもこの陛下の面倒を見ればいいのだ!と。
一方、ボナールのフレッドは、ディリオンの思うように、のんびりと過ごしていた。
共和制にしようと目論んでいた時には、しっかり決定権を持つ努力をしない内閣に苛立ちがあったものの、王政を続けても良い状況になれば、宰相が出した指示を真面目に執行する内閣は、大変扱いやすく、更にシャーロットはライリーのようにワガママを言ったりしないため、フレッドは自分が計画したように事を運べて、のんびりと結婚式を待っていた。
コンコン。
執務室のドアをノックし、フレッドが中に入るとシャーロットが一人で書類に目を通していた。
「シャーロットちゃん、結婚式はもうすぐなんだから、仕事はこれくらいにして、ジュディにエステでもしてもらえばいいのに」
結婚式が終わると、披露宴の為にすぐにランバラルドに移動しなければならないシャーロットは、出来る限り仕事を残しておかないように、このところ毎日遅くまで執務室に居た。
そんな真面目なシャーロットを、フレッドは微笑ましく見ている。
「フレッド様こそ。これから忙しくなるのですから、ゆっくりなさってくださいな」
シャーロットは書類から顔を上げると、フレッドに笑いかけた。
「ランバラルドからの来賓がボチボチ来始めてるからねー。そうも言ってられないよ。オレはボナールでの式典が終わったら、ランバラルドでゆっくりさせてもらうことにするよ」
そう言って笑うが、ランバラルドに行ってしまえば、ディリオンたちの手伝いをするであろうフレッドの性格は、シャーロットもよく知っていた。
「そうそう。シャーロットちゃん、ギルバート様が先程ボナールに到着したよ。ギルバート様用に用意した部屋で寛いでもらってる。あとで挨拶するといいよ。シャーロットちゃんに会いたがってたから。……あと、何故か帝国のジルベール陛下ももうすぐ到着すると、使者から連絡があったけど……」
「え? ジルベール陛下ですの? フレッド様、ジルベール陛下に招待状はお送りしたのでしょうか?」
シャーロットは首を傾げる。
帝国は海の向こうにある国だ。
移動にも時間がかかるだろうことを考えて、一言添えた上で披露宴の方の招待状だけを送っていたはずだ。
「いや、出していない。勝手にやって来るんだろうな」
「では、ジルベール陛下のお泊まりの部屋も用意しなくてはなりませんわね」
「それはなんとかするからいいんだけど……。ライリーが知ったらめんどくさいね」
ははははは……。
シャーロットにしては珍しく乾いた笑いをもらす。
婚約してからの間で、ライリーがやきもち焼きなのが身に染みてわかっていたからだった。
*****************
大変お待たせいたしました。
番外編になります。
今日から一週間、毎朝7:30に更新いたします。
全7話になります。
あれからのシャーロット達を、どうぞお楽しみくださいませ^ ^
どちらの国で式を挙げるかは、両国の上層部によって話し合いが続いていたが、やっと、ボナールの大神殿で執り行われるということで、合意されたのだ。
国力として上のランバラルドで行いたいというランバラルド大臣たちと、ボナールで行うべきと言うボナールの神官たちによって、話し合いは時間がかかったが、シャーロット女王陛下と婚約してからのランバラルドの穀物の育ち方を見て、ランバラルドの大臣たちが虹の後継者について考え出したのだ。
ランバラルドでは、シャーロットと婚約をする前までは、穀物があまり育たず、そこそこの収穫量しかなかったため、輸入に頼らざるを得ない部分があったが、今では大幅に輸入する量が減り、自国の収穫だけで国内は凌げるようになった。
まあ、他国との付き合いの関係上、急に輸入は止められないが。
そんな事実があり、虹の後継者たるシャーロットの結婚式だからこそ、ボナールの大神殿で挙げた方が良いとランバラルド側が折れる形となった。
ただし、一般の披露宴にあたるお披露目パーティーはランバラルドで行われる。
結婚後は、国は統一し、拠点はランバラルドにするものの、ボナール城へも執行部を残すため、二人は両国を頻繁に行き来することになっている。
そこまで決めてから、結婚式を執り行うこととなったため、婚約からはかなりな時間が経っていた。
「シャーロット……。シャーロットが足りない……」
ボナールへの移動の馬車の中で、ライリーは俯いてブツブツと呟いていた。
「ええい! うるさい! だから結婚するために、こうしてランバラルドからボナールへと移動しているのだろう。あと2.3日くらい我慢せんか」
結婚式のために準備をし、陣頭指揮にあたっていたディリオンは寝不足でイライラしながらライリーに怒鳴る。
王族が国外で結婚式を挙げるなど前代未聞。
しかも、式はボナールで挙げるが、他国の要人を招いての披露宴はランバラルドで行うため、その調整は困難を極めた。
結局、式と披露宴を分けるということは、ボナールとランバラルドの二箇所で結婚式を挙げるようなものだ。
当然、調整が難航した分、ライリーもしばらくはシャーロットと会えない日々が続いたのだ。
いつもの男3人で、馬車に揺られながらディリオンは考える。
ボナールでシャーロットの面倒を見ているフレッドは、絶対にこんなに苦労してはいない。
国は一つとなるのだ。
できれば、ボナールとランバラルドの宰相役は、フレッドと交互に行うようにしよう。
オレにもたまには楽な役回りが回ってきてもおかしくない。
そして、たまにはフレッドもこの陛下の面倒を見ればいいのだ!と。
一方、ボナールのフレッドは、ディリオンの思うように、のんびりと過ごしていた。
共和制にしようと目論んでいた時には、しっかり決定権を持つ努力をしない内閣に苛立ちがあったものの、王政を続けても良い状況になれば、宰相が出した指示を真面目に執行する内閣は、大変扱いやすく、更にシャーロットはライリーのようにワガママを言ったりしないため、フレッドは自分が計画したように事を運べて、のんびりと結婚式を待っていた。
コンコン。
執務室のドアをノックし、フレッドが中に入るとシャーロットが一人で書類に目を通していた。
「シャーロットちゃん、結婚式はもうすぐなんだから、仕事はこれくらいにして、ジュディにエステでもしてもらえばいいのに」
結婚式が終わると、披露宴の為にすぐにランバラルドに移動しなければならないシャーロットは、出来る限り仕事を残しておかないように、このところ毎日遅くまで執務室に居た。
そんな真面目なシャーロットを、フレッドは微笑ましく見ている。
「フレッド様こそ。これから忙しくなるのですから、ゆっくりなさってくださいな」
シャーロットは書類から顔を上げると、フレッドに笑いかけた。
「ランバラルドからの来賓がボチボチ来始めてるからねー。そうも言ってられないよ。オレはボナールでの式典が終わったら、ランバラルドでゆっくりさせてもらうことにするよ」
そう言って笑うが、ランバラルドに行ってしまえば、ディリオンたちの手伝いをするであろうフレッドの性格は、シャーロットもよく知っていた。
「そうそう。シャーロットちゃん、ギルバート様が先程ボナールに到着したよ。ギルバート様用に用意した部屋で寛いでもらってる。あとで挨拶するといいよ。シャーロットちゃんに会いたがってたから。……あと、何故か帝国のジルベール陛下ももうすぐ到着すると、使者から連絡があったけど……」
「え? ジルベール陛下ですの? フレッド様、ジルベール陛下に招待状はお送りしたのでしょうか?」
シャーロットは首を傾げる。
帝国は海の向こうにある国だ。
移動にも時間がかかるだろうことを考えて、一言添えた上で披露宴の方の招待状だけを送っていたはずだ。
「いや、出していない。勝手にやって来るんだろうな」
「では、ジルベール陛下のお泊まりの部屋も用意しなくてはなりませんわね」
「それはなんとかするからいいんだけど……。ライリーが知ったらめんどくさいね」
ははははは……。
シャーロットにしては珍しく乾いた笑いをもらす。
婚約してからの間で、ライリーがやきもち焼きなのが身に染みてわかっていたからだった。
*****************
大変お待たせいたしました。
番外編になります。
今日から一週間、毎朝7:30に更新いたします。
全7話になります。
あれからのシャーロット達を、どうぞお楽しみくださいませ^ ^
2
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー
「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」
微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。
正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。
恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。
そして、屋敷から出ると決め
計画を実行したら
皮肉にも失敗しそうになっていた。
そんな時彼に出会い。
王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす!
と、そんな時に聖騎士が来た
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる