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最終章 人質でなくなった女王と忘れない王太子
最終回:2
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「あのー、前におっしゃってた、ランバラルドが大国になることの弊害はどうなるのでしょうか? 戦争になるのは、一番困ります」
おずおずと私が手を上げると、みんなが私に注目した。
ディリオン様が、額に手をあて、深い深いため息をついた。
「陛下、まさかそれも言ってないのか」
「いや、あの、そんな事も言えないくらい、オレは動揺してだね」
「だから最初から告白していれば問題なく話ができたはずだが?」
「うっ、ごめんなさい」
項垂れるライリー陛下をよそに、フレッド様が私に一枚の書状を見せた。
「シャーロットちゃん。今日の訪問が、敢えて正式な物と銘打ってあったのはこれがあるからなんだよ」
テーブルに置かれた書状には、「同盟国としての宣誓」と書かれていた。
ライリー陛下がその意味を説明してくれる。
「ランバラルドだけが大きくなれば、世界の均衡は壊れる。だが、ランバラルドだけではなく、全体が底上げされたらどうだろう。ランバラルドはどこの国とも戦争をする気はない。だから、ザーランド、エルシアの両国と同盟を結んだんだ。ランバラルドとボナールは統一国、もしくは連邦国になる予定だから、オレたちと同盟を組みませんかって、誘ったんだよ」
対帝国との戦争が勃発した場合は、例えどこの国が標的になったとしても協力国となり、同盟を組んだ国は助けに向かうということを約束するものだ。
例えば、帝国がザーランドに戦争をふっかけたとする。
その場合、ランバラルド、ボナール、エルシア、ザーランドの4国を相手に、帝国は戦争をしなければならないこととなる。
ランバラルドに戦争を挑んだ場合も、もちろん同じだ。
いくら帝国が、大きな国であっても、4カ国と戦争をすれば負けの可能性も見えてくる。
軍事力も帝国がずば抜けてはいるものの、4カ国相手にして必ず勝てるほどではないはずだ。
ただ、同盟には条件があり、先に手を出した場合はその限りではない。
他国の侵略にのみ、活かされる同盟だ。
これによって、各国にどんな利益が生まれるのかと言うと、今まで帝国の顔色を伺って行っていた外交・貿易などが、帝国にお伺いを立てるまでもなく、好きなようにできるということだ。
では、何故今までそうしなかったのか。
誰も、いくつもの国をまとめられる者がいなかったからだ。
「だからオレは即位を予定より早めた。積極的にいろいろと動き回り、地固めをし、満を持して即位したんだ」
照れくさそうに笑うライリー陛下。
「シャーロットちゃん、ライリー陛下は、シャーロットちゃんと結婚したいがために、ここまでやったんだよ」
フレッド様も笑う。
「まったくだ。結婚のためだけにな。だが、同盟は組んだだけで終わりではない。このあとも大変なことがたくさんあるだろう」
ディリオン様も、口調はあきれているようなものだけれど、笑っている。
「それでも、オレたちの王子、いや陛下は苦難を乗り越えるだろうよ。嫁のために」
コンラッド様も、からかうように、笑い出す。
「そうそう」
ジェイミー様も笑ってる。って、私、ジェイミー様の声、初めてお聞きしましたわ。
ライリー陛下も微笑んで私を見る。
「オレは、あれから1日だってシャーロットのことを忘れた日はなかった。シャーロットとまた笑い合いたいから、それだけを希望にここまでやってきた」
「ライリー陛下、ありがとうございます」
私がまたうるうると瞳に涙を溜めてライリー陛下を見ると、ライリー陛下は書状を指差した。
「シャーロット女王陛下。どうかこの同盟にご参加を。こちらにサインをお願いします」
「もちろんですわ!!」
私はすぐさまテーブルにあった羽ペンを持ち、サインをした。
これで、晴れて4国が同盟国となったのだ。
ランバラルドの国王がボナールを訪れた日。
今までで一番大きな虹が、ランバラルドとボナールをつなぐように空にかかったと言う。
ボナールとひとつになったランバラルドにも、豊穣の恵みがもたらされた瞬間だった。
………fin………
*****************
人質姫と忘れんぼ王子を、最後までお読みいただきありがとうございました。
拙い作品ではございましたが、予想を遥かに越えた多くの方々にお読みいただき、とても感激しております。
お気に入り登録してくださったみなさま、しおりにはさんで続きをお読みくださったみなさま、本当にありがとうございました。
また、本編は完結いたしましたが、番外編を考えております。
では、最後になりますが、本当にありがとうございました!
お読みくださいましたみなさまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
雪野 結莉
おずおずと私が手を上げると、みんなが私に注目した。
ディリオン様が、額に手をあて、深い深いため息をついた。
「陛下、まさかそれも言ってないのか」
「いや、あの、そんな事も言えないくらい、オレは動揺してだね」
「だから最初から告白していれば問題なく話ができたはずだが?」
「うっ、ごめんなさい」
項垂れるライリー陛下をよそに、フレッド様が私に一枚の書状を見せた。
「シャーロットちゃん。今日の訪問が、敢えて正式な物と銘打ってあったのはこれがあるからなんだよ」
テーブルに置かれた書状には、「同盟国としての宣誓」と書かれていた。
ライリー陛下がその意味を説明してくれる。
「ランバラルドだけが大きくなれば、世界の均衡は壊れる。だが、ランバラルドだけではなく、全体が底上げされたらどうだろう。ランバラルドはどこの国とも戦争をする気はない。だから、ザーランド、エルシアの両国と同盟を結んだんだ。ランバラルドとボナールは統一国、もしくは連邦国になる予定だから、オレたちと同盟を組みませんかって、誘ったんだよ」
対帝国との戦争が勃発した場合は、例えどこの国が標的になったとしても協力国となり、同盟を組んだ国は助けに向かうということを約束するものだ。
例えば、帝国がザーランドに戦争をふっかけたとする。
その場合、ランバラルド、ボナール、エルシア、ザーランドの4国を相手に、帝国は戦争をしなければならないこととなる。
ランバラルドに戦争を挑んだ場合も、もちろん同じだ。
いくら帝国が、大きな国であっても、4カ国と戦争をすれば負けの可能性も見えてくる。
軍事力も帝国がずば抜けてはいるものの、4カ国相手にして必ず勝てるほどではないはずだ。
ただ、同盟には条件があり、先に手を出した場合はその限りではない。
他国の侵略にのみ、活かされる同盟だ。
これによって、各国にどんな利益が生まれるのかと言うと、今まで帝国の顔色を伺って行っていた外交・貿易などが、帝国にお伺いを立てるまでもなく、好きなようにできるということだ。
では、何故今までそうしなかったのか。
誰も、いくつもの国をまとめられる者がいなかったからだ。
「だからオレは即位を予定より早めた。積極的にいろいろと動き回り、地固めをし、満を持して即位したんだ」
照れくさそうに笑うライリー陛下。
「シャーロットちゃん、ライリー陛下は、シャーロットちゃんと結婚したいがために、ここまでやったんだよ」
フレッド様も笑う。
「まったくだ。結婚のためだけにな。だが、同盟は組んだだけで終わりではない。このあとも大変なことがたくさんあるだろう」
ディリオン様も、口調はあきれているようなものだけれど、笑っている。
「それでも、オレたちの王子、いや陛下は苦難を乗り越えるだろうよ。嫁のために」
コンラッド様も、からかうように、笑い出す。
「そうそう」
ジェイミー様も笑ってる。って、私、ジェイミー様の声、初めてお聞きしましたわ。
ライリー陛下も微笑んで私を見る。
「オレは、あれから1日だってシャーロットのことを忘れた日はなかった。シャーロットとまた笑い合いたいから、それだけを希望にここまでやってきた」
「ライリー陛下、ありがとうございます」
私がまたうるうると瞳に涙を溜めてライリー陛下を見ると、ライリー陛下は書状を指差した。
「シャーロット女王陛下。どうかこの同盟にご参加を。こちらにサインをお願いします」
「もちろんですわ!!」
私はすぐさまテーブルにあった羽ペンを持ち、サインをした。
これで、晴れて4国が同盟国となったのだ。
ランバラルドの国王がボナールを訪れた日。
今までで一番大きな虹が、ランバラルドとボナールをつなぐように空にかかったと言う。
ボナールとひとつになったランバラルドにも、豊穣の恵みがもたらされた瞬間だった。
………fin………
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人質姫と忘れんぼ王子を、最後までお読みいただきありがとうございました。
拙い作品ではございましたが、予想を遥かに越えた多くの方々にお読みいただき、とても感激しております。
お気に入り登録してくださったみなさま、しおりにはさんで続きをお読みくださったみなさま、本当にありがとうございました。
また、本編は完結いたしましたが、番外編を考えております。
では、最後になりますが、本当にありがとうございました!
お読みくださいましたみなさまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
雪野 結莉
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