俺の婚約者は悪役令息ですか?

SEKISUI

文字の大きさ
12 / 40

12

しおりを挟む

 解呪ってなんだよ
 ロイが胸を張ってクッキーにあり得ないキーワードを口にした
 念でも籠もってるの?
 あの阿呆従者大丈夫って言い切ったけど信用性ゼロだからね
 殴っていいかな?
 クッキーなのに異界のものに視えてきた
 嫌だ持ちたくない
 手が震える
 マジで
 「ローレン食べないのか?」
 長いまつ毛に彩られた瞳に戸惑いの色を浮かべセドが小首を傾げる
 その瞳には悪意は感じられなかった
 クッキーは禍々しいけど
 罠か?
 「私が作ったものは嫌か?」
 中々手を付けない俺にセドは悲しげに瞳を地面へ落としシュンと哀愁を漂わせる
 ヤダわぁなまじ顔がいいだけに罪悪感が湧く
 やばい……ない尻尾が力無く垂れ下がる幻覚まで見えてくる……ぁあどうしたら………
 「そっか……嫌なのか……あの女のは食べようとしたのに」
 モタモタしてたら違う方向でやばくなった
 「ちっ違う……俺はただセドの初めての作業を聞きたかっただけなんだ。セドが俺の為に作ってくれたクッキーでしょ?セドの奮闘を知って噛み締めて味わって食べたかったんだ。それに俺もセドの為に作ってみたいかなぁなんて、だからあくまで参考までに聞きたかっただけで、クッキーが食べたくないとかじゃないから。なあロイ、近くでセドの頑張りを見てたお前なら過程とやらを包み隠さず俺に教えてくれるだろ?」
 これならばクッキーを拒否してるようには聞こえまい
 俺の言葉に『好き、可愛い、天使…』とかブツブツいいながら頬を蒸気させて喜ぶセド
 取り敢えず何とかなった
 ほっとこう
 ロイは相変わらず視線を合わせない
 俺は低く低くゆっくりと全てを知ってる者の名を呼ぶ
 「ロイ」
 ロイの肩がビクリと揺れて青褪める
 逃さない
 俺はあのやばいのを絶対に体内に入れなくてはならないのだ
 少しでも情報が欲しい
 どうゆうことか説明して貰おうか!
 クッキーが何故こんな色になったのか、どうしたらこんなに重いクッキーになるのかを詳しく!
 「絶対怒らない、引かない、クッキーを食べると約束してくれるなら話ます」
 ロイがここまで渋るとは………あのクッキーに何が…………?!
 「………分かった」
 たかがクッキー、されどクッキー、クッキーとは奥深いものだ
 知らんけど

 
 苦虫を噛み潰したような顔でロイは話はじめた
 「クッキーの材料はさっきも言った通り小麦や玉子などの基本となるモノしか使用しておりません。塩と砂糖を間違えるドジっ子系古典的な落ちも残念ながらありませんでした」
 おい、そんな落ちいらんから
 誰も求めてないし
 「ここまではまだ変化は見られません。少々お待ち下さい」
 渋ってたわりに饒舌だな、おぃ
 「小麦を入れ、泡だて器からヘラに換えさっくり3回程混ぜ合わせた時までは良かった。セイクリード様もまだ普通でした」
 まで、まだとなればここからがブツを生み出したのか?
 「セイクリード様が美味しくなあれ、美味しくなあれ、と唱えながら生地をさっくりペタ、さっくりペタと混ぜ合わせていたら、オレの中でなんか違う感がしました。ですがまだ食べれる段階でしたので、そっと見守っておきました」
 すっごく殴りてぇ
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。 男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。 メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。 奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。 pixivでは既に最終回まで投稿しています。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

婚約破棄された悪役令息は隣国の王子に持ち帰りされる

kouta
BL
婚約破棄された直後に前世の記憶を思い出したノア。 かつて遊んだことがある乙女ゲームの世界に転生したと察した彼は「あ、そういえば俺この後逆上して主人公に斬りかかった挙句にボコされて処刑されるんだったわ」と自分の運命を思い出す。 そしてメンタルがアラフォーとなった彼には最早婚約者は顔が良いだけの二股クズにしか見えず、あっさりと婚約破棄を快諾する。 「まぁ言うてこの年で婚約破棄されたとなると独身確定か……いっそのこと出家して、転生者らしくギルドなんか登録しちゃって俺TUEEE!でもやってみっか!」とポジティブに自分の身の振り方を考えていたノアだったが、それまでまるで接点のなかったキラキライケメンがグイグイ攻めてきて……「あれ? もしかして俺口説かれてます?」 おまけに婚約破棄したはずの二股男もなんかやたらと絡んでくるんですが……俺の冒険者ライフはいつ始まるんですか??(※始まりません)

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。

竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。 男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。 家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。 前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。 前世の記憶チートで優秀なことも。 だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。 愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。

処理中です...