見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお

文字の大きさ
51 / 108

11-2 アコード王子の再婚約の決意

しおりを挟む
11-2   アコード王子の再婚約の決意 

アコード王子にとって、ディオール家のセリカとの再婚約の提案は特別な意味を持っていた。



彼は幼少期にセリカと一度婚約していたが、その時は彼女が幼すぎたこともあり、正式な取り決めには至らなかった。セリカが幼かったことから、アコード王子は「ただの子ども」だと認識し、次第に彼女に対して興味を失っていったのだ。しかし、時が経つにつれて、セリカの名前がリュミエール王国中に知れ渡り、その活躍ぶりがアコード王子の耳にも届くようになった。ディオール領の繁栄、そして教育改革や産業振興において彼女が主導的な役割を果たしているという話を聞いた王子は、かつて自らの決断で失ったものをようやく理解し始めていた。



ある日、アコード王子はその思いを胸に秘めながら、父王のもとを訪れた。



「父上、ディオール領の件でお話があります。」



アコード王子は慎重に言葉を選びながら、セリカとの再婚約を提案する意向を父に伝えた。父王もまた、ディオール家の成長を知っていたが、アコード王子の話を聞くと少し驚いた表情を見せた。



「セリカとの再婚約か…。お前がそれを言い出すとは思わなかった。かつては幼すぎると感じ、興味を失ったように見えたが。」



アコード王子はうなずき、心中を打ち明けた。



「はい。確かに以前の私は彼女をただの子供として見ていました。ですが、彼女はあれから驚くほど成長し、ディオール領を豊かにした功績を挙げています。彼女の知恵と手腕は、ただの令嬢を超え、もはや領主としての才覚を持っている。彼女こそ、我が王国にとってふさわしい妃であり、共に歩むべき存在だと感じています。」



父王はその言葉を静かに聞きながら、息子の成長を感じていた。アコード王子がただの貴族の娘ではなく、国の将来を見据えた存在としてセリカを考えるようになったことは、父王にとって喜ばしいことでもあった。



「お前がそこまで言うのなら、再婚約の話を進めてみるのも良いだろう。ディオール領が今や王国の重要な拠点として成長していることは、我々にとっても無視できない要素だ。」



父王はそう言いながらも、王子の言葉に込められた感情を読み取っていた。アコード王子にとって、セリカとの再婚約は単なる政治的な戦略ではなく、彼自身が失ったものを取り戻すための大切な決断でもあることが伝わってきたのだ。



「父上、私は再びセリカと向き合い、彼女の隣に立つ覚悟があります。彼女の知恵と共に、リュミエール王国を繁栄へ導くことができると思うのです。」



アコード王子はその決意を胸に、ディオール家との交渉を自らの責任で進める覚悟を固めた。過去の婚約破棄は、彼にとって幼い決断であったが、今では彼女が持つ力を心から必要だと感じていた。そして、それがリュミエール王国全体の利益にもつながると確信していた。



王宮内でも、アコード王子の決断は次第に知れ渡り、彼の再婚約の意向はさまざまな意見を呼んだ。かつての婚約破棄からの再婚約の提案という異例の事態に、貴族たちは驚きの声を上げる一方で、セリカの成長と功績を知る者たちは、この決断を理解し、支持する者も少なくなかった。彼女がディオール領を豊かにするだけでなく、学問や技術を通じて新しい時代を切り開いていることは、王国にとっても重要な意味を持っていたからだ。



「セリカとの再婚約が実現すれば、王国はさらに強固なものになるだろう。」



そう口にする貴族もいれば、逆に「かつて婚約を破棄した相手に戻ることは、王子にとって名誉に関わるのでは?」と懸念する者もいた。しかし、アコード王子にとっては、この再婚約は自らの未来と国家の発展を見据えた重要な決断であり、何よりもセリカという一人の女性を必要と感じていた。



アコード王子は父王の承諾を得た後、早速ディオール公爵家に正式な使者を送り、セリカとの再婚約の意向を伝える手配を整えた。そして、自らもその交渉の席に臨む覚悟を固め、ディオール家との関係をより深めるための準備を進め始めた。
セリカは
「アレからまだ1年…正確には、1年に満たないし、もうすぐ5歳とはいえ、あの時と何も変わってない、どんな心代わりをしたのかしら」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄され追放されましたが、隣国の氷の公爵様に“白い結婚”を提案されましたので、心穏やかに幸せになりますわ

鷹 綾
恋愛
婚約破棄されたその日、私は“追放令”も同時に宣告された。 王太子エドモンド殿下曰く、 「君のように冷たい女はいらない。真実の愛は聖女ローザだ」──と。 ……それなら結構ですわ。 捨ててくださって、ありがとうございます。 行く宛もなく王都を去った私を拾ったのは、 冷徹と噂される若き宰相代理アレクシス様。 「俺と“白い結婚”をしないか。  互いの自由を侵さない、契約だけの結婚だ」 恋愛感情は一切なし。 ――そんなはずだったのに。 料理を褒めてくれる優しい声。 仕事帰りにかけてくれる「ただいま」。 私の手をそっと包む温もり。 気づけば、契約のはずの彼との距離が、少しずつ近づいていく。 そんな折──王太子と偽聖女ローザが私を“罪人”に仕立て上げ、 祝福の儀の場で公開断罪しようと企む。 「セレナに触れるな。……彼女は、俺の妻だ」 アレクシス様が壇上で剣を抜いた瞬間、 私の世界は大きく動き出した。 偽りの聖女は暴かれ、王太子は没落。 追放された令嬢の“ざまぁ”が王都を駆け巡る中、 契約で始まった白い結婚は――本物の夫婦の誓いへと変わっていく。 これは、 捨てられた令嬢が“本当の幸せ”をつかみ取る、 大逆転のラブストーリー。 ---

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜

咲宮
恋愛
私はオルティアナ公爵家に生まれた長女、アイシアと申します。 実は前世持ちでいわゆる転生令嬢なんです。前世でもかなりいいところのお嬢様でした。今回でもお嬢様、これまたいいところの!前世はなんだかんだ忙しかったので、今回はのんびりライフを楽しもう!…そう思っていたのに。 どうして貴方まで同じ世界に転生してるの? しかも王子ってどういうこと!? お願いだから私ののんびりライフを邪魔しないで! その愛はお断りしますから! ※更新が不定期です。 ※誤字脱字の指摘や感想、よろしければお願いします。 ※完結から結構経ちましたが、番外編を始めます!

悪役だから仕方がないなんて言わせない!

音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト オレスト国の第一王女として生まれた。 王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国 政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。 見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。

婚約破棄された令嬢は“図書館勤務”を満喫中

かしおり
恋愛
「君は退屈だ」と婚約を破棄された令嬢クラリス。社交界にも、実家にも居場所を失った彼女がたどり着いたのは、静かな田舎町アシュベリーの図書館でした。 本の声が聞こえるような不思議な感覚と、真面目で控えめな彼女の魅力は、少しずつ周囲の人々の心を癒していきます。 そんな中、図書館に通う謎めいた青年・リュカとの出会いが、クラリスの世界を大きく変えていく―― 身分も立場も異なるふたりの静かで知的な恋は、やがて王都をも巻き込む運命へ。 癒しと知性が紡ぐ、身分差ロマンス。図書館の窓辺から始まる、幸せな未来の物語。

ゲームには参加しません! ―悪役を回避して無事逃れたと思ったのに―

冬野月子
恋愛
侯爵令嬢クリスティナは、ここが前世で遊んだ学園ゲームの世界だと気づいた。そして自分がヒロインのライバルで悪役となる立場だと。 のんびり暮らしたいクリスティナはゲームとは関わらないことに決めた。設定通りに王太子の婚約者にはなってしまったけれど、ゲームを回避して婚約も解消。平穏な生活を手に入れたと思っていた。 けれど何故か義弟から求婚され、元婚約者もアプローチしてきて、さらに……。 ※小説家になろう・カクヨムにも投稿しています。

逆行したので運命を変えようとしたら、全ておばあさまの掌の上でした

ひとみん
恋愛
夫に殺されたはずなのに、目覚めれば五才に戻っていた。同じ運命は嫌だと、足掻きはじめるクロエ。 なんとか前に死んだ年齢を超えられたけど、実は何やら祖母が裏で色々動いていたらしい。 ザル設定のご都合主義です。 最初はほぼ状況説明的文章です・・・

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

処理中です...