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14 夢じゃなかった
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「アーシュ……?」
振り向いた翡翠の瞳と目が合った。
「あ、ディー。おかえりなさい……」
あれ? 夢じゃないの……?
「あぁ、ただいま」
「アーシュ何していたの?」
手を引き戻そうとしても、力強いディートハルトではびくともしなかった。
「俺の体触ってなかった?」
頬がカッと熱くなり、目が泳いでしまった。
「夢かとおもったの……。それで確かめようと思って」
ディートハルトは面白そうに、口角を上げた。
「それで夢、だったの?」
ディートハルトが掴んだ手を、自身の胸の押し当てた。
「ひっ!」
ディートハルトの心臓の鼓動がドクドクと手を通して伝わってきた。
「夢じゃないみたい……」
「うん。夢じゃないよ」
「ええっ!夢じゃないの!?どうして?あれ?私確か、職場で討伐が終わったって聞いて、それで机に伏して寝たような……。なのに、ディーがここにいて、なぜか宿舎のベッドに寝てて……」
なにがそうなって、ディートハルトとここにいるのだろうか……。頭を整理したいのに、全くできずうろたえてしまった。
「ははは」と、ディートハルトがまたお腹を抱えて笑っている。
「そうだよな、びっくりしてパニックになるよな」
ディートハルトが私の肩を掴んだと思ったら、グイっと自分の方に引き寄せた。トクントクン……と耳に心地よい音がする。
さらにぎゅっと抱きしめられ、汗と消炎の香りがした。
「帰ってきたよ、やっと……。ずっと、アーシュに会いたかった」
「うん……。私も……。ずっとディーに会いたかった。ケガしてない?」
「うん、かすり傷位でほぼ無傷だよ」
私は上を見た。日焼けしたディートハルトの顔があり、少し野性味が増していた。そんな姿もかっこいいと思ってしまい、私はの鼓動が増していく。
翡翠の瞳が私を捕らえた。
「アーシュは少し痩せた?なんか持った時、軽くなった気がした」
「あー……。うん、そうかも。なんせ、不眠不休だったから……。って、持った時って……?それにどうやって帰ってきたの?」
最後の討伐地は辺境の山間部だったはず。そこから、帰るには二週間はかかる。
「あー……、バーデン様が転移魔法で先に帰るって聞いて、便乗したんだ。それでその足で、魔道具課に行ったら、イヴェッタがアーシュが机で寝ちゃってるから、宿舎に持って帰れって。だから、そのまま抱えてここにきたって訳。アーシュよっぽど疲れてたんだね。全く起きなかったよ」
「えっ……、ええっ!!そんな……」
きっと平日の昼間だったから、他の部署の職員にも見られてる!!しばらく、社員食堂行きたくないかも……。
それより、疲れて帰ってきたディートハルトに何させちゃってるのよ!
「ディーも疲れてるのに、本当にごめんね!おかげで、良く眠れました。イヴェッタのお兄様と仲が良かったのね、知らなかったわ」
「今回の討伐で、一緒に戦う機会が多くて、イヴェッタの同級生だよねって声をかけてくれたんだ。雲の上の存在だと思ったから、すごくうれしかったよ。バーデン様は多忙だから、転移魔法で魔法省に戻られるって聞いて、お願いしたら快諾してくれたんだよ」
バーデン様の転移魔法!いいなぁ……。あんな豊富な魔力があったら、どんないい魔道具作れるだろう。
「他のメンバーも2~3日中には帰ってこれるだろうから」
「え?そんなに早く?」
「うん、イヴェッタがバーデン様と作っていた、転移魔道具が試験的に使われる事になったんだ」
イヴェッタは魔道具課一の魔力量の持ち主。大勢の人や、馬、馬車を転移魔法のように移動できないか、入職してからずっと研究していた。
それがとうとう試験的に導入されたのか……!すごいなぁ……。私のつくるおもちゃのような魔道具とは大違いだ……。
転移魔道具は、バーデン様が作る魔法陣を魔道具に入れたもの。五メートル程の円盤状の平たい魔道具で、対になっている。
本体は王宮に保管されている。移動先で使うものなので、バーデン様が魔法で小さくして待って行ったのだろう。
それがとうとうつかわれるのかぁ……。絶対見る!!
「今、絶対見るって思ったでしょう」
破顔したディートハルトに言われた。なんでもお見通しのようだ……。
「あ、お風呂入りたいよね!宿舎のお風呂まだ使えるから、入ってきたら?今夜はここに泊まるよね?もう遅いし……」
「あー……、でも着替えもないから、騎士団の宿舎に帰ろうかと思ったんだけど……」
着替えかぁ……、私のじゃ入らないし……。あっ……。
「バスローブだけもって行って!洋服は洗って乾かしておくから」
コンシェルジェがいるとはいえ、宿舎にいる時は洗濯は自分でしていた。簡易ワンピースだった為、割とすぐ乾いたのだ。
それに、早く乾かす魔道具パウダーもある。
「えっ!バスローブで廊下歩くの?さすがに……」
「大丈夫よ!こんな遅い時間に入る人いないから」
「じゃあ、洋服脱いでくれる?」
「わかったよ……」ディートハルトは観念したとばかりに溜息をついて、洋服を脱いだ。
前に見た時より、一回り大きくなったと思う位筋肉がついていた。背中には所々大小の傷がついていた。中にはまだ治っていない傷もあり、痛々しかった。
私はその傷跡にそっと触れていた。ビクッとディートハルトが反応した。
「ア、アーシュ?」
私はその背中にそっと抱き着いた。とてもおおきな背中だった。
こんな傷だらけになるまで、市民の為に戦ってくれたんだ。おじいちゃんとの約束を守ってくれた。
無事に帰ってきてくれた。一番に会いに来てくれた。目の奥がツンとしてきて、その波をおさえる事ができなかった。
「ありがとう……。本当にありがとう……」そう言った時に、一滴頬を伝った。
「うん……。アーシュもありがとう」
とめどなく流れ出るものを抑えきれず、声を殺して泣いた。
なんて、義理堅くて優しい人なんだろう。
ディートハルトが振り向いて、私の顎に手を当てて自分の顔の方に向けた。
「やっぱり、泣いてた」
翡翠のやさしい瞳と目があった。
涙に口づけられた。少し乾いた唇が、チクチクした。
そしてまた美しい瞳と目が合い、ディートハルトの顔が近づいてきた。
私はそっと瞳を閉じた。
振り向いた翡翠の瞳と目が合った。
「あ、ディー。おかえりなさい……」
あれ? 夢じゃないの……?
「あぁ、ただいま」
「アーシュ何していたの?」
手を引き戻そうとしても、力強いディートハルトではびくともしなかった。
「俺の体触ってなかった?」
頬がカッと熱くなり、目が泳いでしまった。
「夢かとおもったの……。それで確かめようと思って」
ディートハルトは面白そうに、口角を上げた。
「それで夢、だったの?」
ディートハルトが掴んだ手を、自身の胸の押し当てた。
「ひっ!」
ディートハルトの心臓の鼓動がドクドクと手を通して伝わってきた。
「夢じゃないみたい……」
「うん。夢じゃないよ」
「ええっ!夢じゃないの!?どうして?あれ?私確か、職場で討伐が終わったって聞いて、それで机に伏して寝たような……。なのに、ディーがここにいて、なぜか宿舎のベッドに寝てて……」
なにがそうなって、ディートハルトとここにいるのだろうか……。頭を整理したいのに、全くできずうろたえてしまった。
「ははは」と、ディートハルトがまたお腹を抱えて笑っている。
「そうだよな、びっくりしてパニックになるよな」
ディートハルトが私の肩を掴んだと思ったら、グイっと自分の方に引き寄せた。トクントクン……と耳に心地よい音がする。
さらにぎゅっと抱きしめられ、汗と消炎の香りがした。
「帰ってきたよ、やっと……。ずっと、アーシュに会いたかった」
「うん……。私も……。ずっとディーに会いたかった。ケガしてない?」
「うん、かすり傷位でほぼ無傷だよ」
私は上を見た。日焼けしたディートハルトの顔があり、少し野性味が増していた。そんな姿もかっこいいと思ってしまい、私はの鼓動が増していく。
翡翠の瞳が私を捕らえた。
「アーシュは少し痩せた?なんか持った時、軽くなった気がした」
「あー……。うん、そうかも。なんせ、不眠不休だったから……。って、持った時って……?それにどうやって帰ってきたの?」
最後の討伐地は辺境の山間部だったはず。そこから、帰るには二週間はかかる。
「あー……、バーデン様が転移魔法で先に帰るって聞いて、便乗したんだ。それでその足で、魔道具課に行ったら、イヴェッタがアーシュが机で寝ちゃってるから、宿舎に持って帰れって。だから、そのまま抱えてここにきたって訳。アーシュよっぽど疲れてたんだね。全く起きなかったよ」
「えっ……、ええっ!!そんな……」
きっと平日の昼間だったから、他の部署の職員にも見られてる!!しばらく、社員食堂行きたくないかも……。
それより、疲れて帰ってきたディートハルトに何させちゃってるのよ!
「ディーも疲れてるのに、本当にごめんね!おかげで、良く眠れました。イヴェッタのお兄様と仲が良かったのね、知らなかったわ」
「今回の討伐で、一緒に戦う機会が多くて、イヴェッタの同級生だよねって声をかけてくれたんだ。雲の上の存在だと思ったから、すごくうれしかったよ。バーデン様は多忙だから、転移魔法で魔法省に戻られるって聞いて、お願いしたら快諾してくれたんだよ」
バーデン様の転移魔法!いいなぁ……。あんな豊富な魔力があったら、どんないい魔道具作れるだろう。
「他のメンバーも2~3日中には帰ってこれるだろうから」
「え?そんなに早く?」
「うん、イヴェッタがバーデン様と作っていた、転移魔道具が試験的に使われる事になったんだ」
イヴェッタは魔道具課一の魔力量の持ち主。大勢の人や、馬、馬車を転移魔法のように移動できないか、入職してからずっと研究していた。
それがとうとう試験的に導入されたのか……!すごいなぁ……。私のつくるおもちゃのような魔道具とは大違いだ……。
転移魔道具は、バーデン様が作る魔法陣を魔道具に入れたもの。五メートル程の円盤状の平たい魔道具で、対になっている。
本体は王宮に保管されている。移動先で使うものなので、バーデン様が魔法で小さくして待って行ったのだろう。
それがとうとうつかわれるのかぁ……。絶対見る!!
「今、絶対見るって思ったでしょう」
破顔したディートハルトに言われた。なんでもお見通しのようだ……。
「あ、お風呂入りたいよね!宿舎のお風呂まだ使えるから、入ってきたら?今夜はここに泊まるよね?もう遅いし……」
「あー……、でも着替えもないから、騎士団の宿舎に帰ろうかと思ったんだけど……」
着替えかぁ……、私のじゃ入らないし……。あっ……。
「バスローブだけもって行って!洋服は洗って乾かしておくから」
コンシェルジェがいるとはいえ、宿舎にいる時は洗濯は自分でしていた。簡易ワンピースだった為、割とすぐ乾いたのだ。
それに、早く乾かす魔道具パウダーもある。
「えっ!バスローブで廊下歩くの?さすがに……」
「大丈夫よ!こんな遅い時間に入る人いないから」
「じゃあ、洋服脱いでくれる?」
「わかったよ……」ディートハルトは観念したとばかりに溜息をついて、洋服を脱いだ。
前に見た時より、一回り大きくなったと思う位筋肉がついていた。背中には所々大小の傷がついていた。中にはまだ治っていない傷もあり、痛々しかった。
私はその傷跡にそっと触れていた。ビクッとディートハルトが反応した。
「ア、アーシュ?」
私はその背中にそっと抱き着いた。とてもおおきな背中だった。
こんな傷だらけになるまで、市民の為に戦ってくれたんだ。おじいちゃんとの約束を守ってくれた。
無事に帰ってきてくれた。一番に会いに来てくれた。目の奥がツンとしてきて、その波をおさえる事ができなかった。
「ありがとう……。本当にありがとう……」そう言った時に、一滴頬を伝った。
「うん……。アーシュもありがとう」
とめどなく流れ出るものを抑えきれず、声を殺して泣いた。
なんて、義理堅くて優しい人なんだろう。
ディートハルトが振り向いて、私の顎に手を当てて自分の顔の方に向けた。
「やっぱり、泣いてた」
翡翠のやさしい瞳と目があった。
涙に口づけられた。少し乾いた唇が、チクチクした。
そしてまた美しい瞳と目が合い、ディートハルトの顔が近づいてきた。
私はそっと瞳を閉じた。
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