もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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11章 夏の海ではしゃいじゃお

443.バトル後ってお腹空くよね

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 草原から現れるスライムたちが敵集めを手伝ってくれるから、戦う相手が途切れることはない。
 その状態にタマモは「あれ? スライム……なんで?」と混乱してた。

 えへへ、スライムが味方になってくれてる理由は内緒だよー。変な称号の話をするのは、ちょっと恥ずかしいからね!

「ラッタン、頭突きだー」
「らぴゅ(【頭突き】)」

 空から急降下したラッタンが跳兎ジャンプラビに頭突きをすると、星が散るエフェクトと共に、跳兎ジャンプラビの体力バーが一気にゼロになって弾けた。
 また一発KOだ。ラッタン、カッコいー!

「すごーい!」
「らぴゅ(ラッたん、すごいんだよぉ)」

 ラッタンと二人でイェーイとハイタッチ。褒められて嬉しそうにニコニコしてるラッタン可愛いな~。

 タマモが「もふもふ尊い……!」と悶えてるのをよそに、ラッタンとほのぼのしてたら、スライムが跳兎ジャンプラビを連れてきてくれた。
 索敵する必要がないのって、ほんと楽でいいよね。

「ラッタン、跳兎ジャンプラビ水矢アクアロー!」
「らぴゅ(【水矢アクアロー】だよぉ)」

 ラッタンが水でできた矢を二本放つ。
 跳兎ジャンプラビは回避しようとしたけど、素早さが足りなくて失敗した。でも、急所に当たるのは防いだみたいで、体力バーが赤表示のまま薄っすらと残ってる。

「おっと、今回は一発じゃなかったかぁ」
「らぴゅ(遠いと難しいよぉ)」

 ラッタンはちょっと残念そう。遠距離攻撃は今後の課題だね。
 フラフラしてる跳兎ジャンプラビを足蹴スキルで攻撃して倒し、僕はラッタンを次の敵に向かわせる。

「そっちの跳兎ジャンプラビ翼撃ウィングインパクトを使ってみて!」
「らぴゅ(はぁい、【翼撃ウィングインパクト】いくよぉ)」

 小さな翼がビュンッと力強く羽ばたき、二つの刃のような風が跳兎ジャンプラビに襲いかかった。

「ギュッ──」
「お、今度は回避する間を与えなかったね。よくできました!」

 消えていく跳兎ジャンプラビを見て、パチパチと拍手をする。ラッタンは「らぴゅ(やったねぇ)」と僕の拍手の真似をした。

「……見かけはほわほわ可愛くて、バトルはつよつよカッコいい! さすがはモモさんのテイムモンスですね。ギャップ萌え最高!」

 いつの間に作ったのか、タマモが『モモさん♡ラッタン』『もふもふ最&高』と書かれたうちわを振っていた。
 タマモって無駄に意味わからないスキル持ってるよね。スルーします。

「あ、ラッタン、次の跳兎ジャンプラビきたよー。攻撃スキルの最後は光輪キラリングを使ってみてー」
「らぴゅ(さいご行くよぉ。【光輪キラリング】~)」

 ラッタンが両手を天に向け、「らぴゅ(きらきらぁ)」と言いながら振り下ろす。
 その瞬間、天使の輪のようなものがパァッと光を放ちながら跳兎ジャンプラビに突き進み、囲い込んだ。跳兎ジャンプラビはギョッとした顔をしながら消えていく。

「そっか。固定ダメージ50だから、行動阻害する必要もなく倒せちゃうんだね」

 スキルの行動阻害効果を確かめるのは、今後に期待。
 クールタイムは五分だし、便利なスキルであることは間違いない。いいね、いいねー。

「らぴゅ(キラキラ消えたぁ……)」

 ラッタンが『どこ~?』という感じでキョロキョロと見回してる。

「倒し切れたから、キラキラはなくなったんだよぉ。また後で使ってみようね」
「らぴゅ(わかったぁ)」

 頷いたラッタンがふと野生のスライムに視線を向けた。見つめられたスライムは『えっ。なんですか……?』とぷるぷる震える。
 これはまさか……

「──らぴゅ(食べていいかなぁ?)」
「駄目です。スライムの生食禁止!」

 ヒエッと硬直したスライムとラッタンの間に入って、腕でバッテンを作って阻止。
 相変わらずラッタンの食欲が凄まじい。
 これまでの傾向を考えると、ラッタンは丸いものを見ると食べたくなるのかな。

「代わりにこれあげるよ~」

 アイテムボックスから飴やクッキー、お煎餅、ロールケーキ、桃、林檎、マスカット、大福を取り出してみた。
 とりあえず、円形か丸いものでラッタンの反応を見ようと思って。

「らぴゅ(これ美味しそうだねぇ)」

 ラッタンが手に取ったのはマスカットだ。
 黄緑色の皮は瑞々しく輝き、見るからに美味しそうだもんね。僕も食べちゃおーっと。

「はい、どうぞ」
「らぴゅ(うままぁ)」

 ぽい、とマスカットを口に放り込み、ラッタンが両頬を手で押さえながら幸せそうに目を細める。気に入ってもらえてよかったよ。

 続いて林檎や桃を食べ始めて、大福は『なぁにこれぇ?』という顔をしながらパクッとかじった。

「大福はどう?」
「らぴゅ(もちもち、あまあまぁ)」

 果物ほどじゃないけど、ラッタンの舌にも合ったみたいだ。
 でも、ラッタンはクッキーや煎餅、ロールケーキには手を伸ばさない。円形のものはダメみたいだ。

「あ、あの、ラッタンはラッコをモチーフにしてるモンスターだと思うんですが」
「そうだね?」

 ソワソワとした様子で話しかけてきたタマモに、僕はコテッと首を傾げる。どうしたのかな~?
 するとタマモは、「これ、どうぞ!」と何かを差し出してきた。
 茶色くて丸い揚げ物に見えるけど……?

「イカボールです! イカのミンチを丸めて揚げた料理ですよ。ラッコはイカが好きだって聞いたことがあるので、試してみてください」

 キラキラとした目で言われた。早速タマモの貢ぎ癖が発揮されてるね。
 僕は頷こうとして、ハッと止まる。

「……それ、誰が作ったのかな?」
「私──と言いたいところですが、お友だちです。猫好きな方で、いつかヒスイさんに貢ぎたいと、イカ狩りからイカ料理研究まですごくがんばってるんですよ。これは試作品になります」
「おっと……ヒスイにも熱烈ファンがいたのかー」

 猫好きってリアルでも多いしね。ヒスイはバトルジャンキーだけど、見た目はふわふわしてて可愛いし、ファンがいて当然だ。

「おっけー。ラッタンにあげてみて」
「私があげていいんですか!?」
「うん──ラッタンがすごく期待して待ってるから、はやくあげてー」

 キラキラした目をタマモに向けて、『ちょうだぁい』と手を伸ばしながら、ラッタンがぴょこぴょこと跳ねていた。
 飛べるのに、こういう時はちゃんともらえるまで待ってるの、お行儀よくていい子だね~。

「はわわ……かわゆい……どうぞ、お召し上がりください~」

 わざわざ膝をついてイカボールを両手で恭しく差し出すタマモに、ラッタンは『変な人ぉ』と言いながら受け取って、すぐさまパクッと食べた。

 ラッタンが『うままぁ!』と喜んでる。
 変と感じる人から差し出されたものは警戒なく食べないように、って注意するのはまた今度にしよう。
 いい気分なところを邪魔するのはよくないもんね。

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