もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
539 / 555
12章 美味しいもの大好き!

493.ルンルンル…ン!?

しおりを挟む
 遠くを見つめたくなる気分をなんとか立て直し、詳細を確認する。

——————
スキル【部位識別】
 モンスターの弱点を視覚的に識別する
 モンスターの部位を分けて食材として入手可能
——————

 説明を見てもよくわからないなぁ。
 里で宝果ジュエルフルーツを食べようと言われて、スラリンたちと一緒にハカセの後について歩きながら、僕は首を傾げた。

「ねぇ、ハカセ」
「なんだにゃー?」
「部位識別っていうスキルを知ってる?」
「もちろんにゃ。我輩はモンスターを食材という観点で研究しているから、よく使ってるスキルにゃあ」

 当然と言いたげに頷いたハカセが説明を続けた。

 部位識別スキルを使うとモンスターの弱点となる部位が青く見えるらしい。
 また、肉の特定部位などをゲットしたい時は、モンスターに浮かぶ赤い点を重点的に攻撃すると、ドロップすることがあるようだ。

「──例えば、ホルモンをゲットしたいなら、腹のあたりにある赤い点を攻撃するにゃ」
「ホルモン……そういうのは手に入れたことがないかも」
「部位識別スキルを持ってないと、特殊なモンスター食材はゲットできないにゃあ」
「なるほどー」

 ハカセのおかげで、なんとなくスキルを理解できた。
 スキルで部位を識別できて、さらに欲しいモンスター食材があったら、バトル時に攻撃方法を工夫しなきゃいけないってことだね。

 肉と言っても、ロースとかバラとかヒレとか種類はいろいろ。
 種類が違えば味わいも変わるし、美味しい料理を作ろうと思ったら、食材の種類からこだわる必要がある。
 料理って奥深い。

「──部位識別スキルで珍しい食材をゲットできたら、グルメ大会で役に立ちそう!」

 いいスキルをもらえた気がする。
 僕がご機嫌にルンルンと鼻歌を歌うと、ハカセは「楽しそうだにゃー」と微笑ましそうに言った。

 ラッタンやヒスイたちも歌に加わり、ハカセも「にゃっにゃっにゃ~♪」と歌を覚えてきた頃に、長靴猫ナガグツニャンコ族の里に到着。

 そこは、地面にボコボコと穴ができている開けた場所だった。
 木々さえなく、ちょっと殺風景。
 でも、いくつか机らしきものが並んでいたり、井戸があったり、かろうじて生活している雰囲気がある。

「……ここが里?」
「そうにゃあ。我輩たち長靴猫ナガグツニャンコ族は、【特殊錬成】を使って料理やアイテムを作るから、失敗した時に爆発するにゃ」
「爆発……つまり、あの穴凹は、失敗した跡?」
「そうだにゃ。そのまま作業場として使ってるにゃあ。生活空間も、爆発跡を利用してるにゃ」

 なんでもないようにハカセは言ってるけど、何かを作る度に爆発の危機があるのは、どう考えても普通じゃないよ。

 顔を引き攣らせる僕の横で、スラリンとユキマルが「きゅぃ(危ない猫だ……!)」「ぴぅ(怖い……)」と震えて抱き合ってる。

 ヒスイは「にゃ(爆発は攻撃ならカッコいいのににゃー)」と残念そう。
 でも、ヒスイが何かを爆発させて攻撃するようになったら、僕は泣いちゃうよ? 爆弾魔ニャンコはヤダ!

 イマジナリー・ルトが「爆弾魔ウサギも大概ヤベェぞ?」とツッコミを入れてきた気がしたけども。
 そんな称号を持ってる事実は、記憶からポポーイと投げ捨ててください。

 ラッタンは「らぴゅ(ばーんっ、で、どかーん!)」と楽しそうに言ってる。
 いつかラッタンが爆発スキルを覚えそうでヒヤヒヤしちゃうから、そういうことを言うのはやめてほしいな……。

「もふ(穴いっぱい~)」

 ピアが近くの穴を覗き込んで耳をピクピクと動かす。
 そして、暫く固まったかと思うと、ソッと穴から距離を取った。

 ──ドガンッ!

 直後に地中から聞こえてきた爆発音に、僕は思わずビクッと震えた。
 ピアはちゃんと安全圏まで退避してたけど、さっきまでピアが覗き込んでいた穴からは、もくもくと煙が上がっている。

「ピア、危ないから穴を覗くのはやめよう……」

 おいでー、と手招きすると、ピアがふわ~と近づいてくる。

「もふ(危ないと思ったら逃げるから大丈夫だよ~?)」
「いや、万が一があるし」
「もふ(察知できるから大丈夫~)」
「うん? でも、ピアはそういうスキル持ってないよね?」
「もふ(幸運値が高いから、スキルがなくても察知できるよ~)」
「なんですと!?」

 のほほんとしたピアから思いがけない情報を聞いて、僕は固まった。
 幸運値って危機察知的な能力にも関係するの?

「もふ(なんか避けた方がいいかも~って思ったら逃げるの~)」
「そ、そうなんだ……?」

 ピアの説明はよくわからないけど、幸運値が高いと本能的に危険を避けるよう行動できるらしい。

 僕はモンスターのアバターだけど、本物のモンスターとは違うから、ピアと同じような本能的回避力をゲットするのは難しそう。
 とりあえず、ピアは凄いってことにしておこう。

「きゅぃ(違う穴からも煙が出てるよ?)」

 スラリンに言われて見ると、爆発した穴の近くにある複数の穴からも煙が出ている。
 爆発音は一回だったんだけどな?

「他の穴でも失敗したのかな?」
「一つの穴はいろんな穴と繋がってるにゃ。爆発する度に、他の穴に開通することがあるからにゃー。地下に迷路のような巨大な空間があると思ってくれていいにゃ」

 え、それって、長靴猫ナガグツニャンコ族の里は、地下帝国の一種ってこと? すごいね!?
 それが爆発で作られてると思ったら、めっちゃ怖いけど!

しおりを挟む
感想 2,531

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。