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12章 美味しいもの大好き!
493.ルンルンル…ン!?
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遠くを見つめたくなる気分をなんとか立て直し、詳細を確認する。
——————
スキル【部位識別】
モンスターの弱点を視覚的に識別する
モンスターの部位を分けて食材として入手可能
——————
説明を見てもよくわからないなぁ。
里で宝果を食べようと言われて、スラリンたちと一緒にハカセの後について歩きながら、僕は首を傾げた。
「ねぇ、ハカセ」
「なんだにゃー?」
「部位識別っていうスキルを知ってる?」
「もちろんにゃ。我輩はモンスターを食材という観点で研究しているから、よく使ってるスキルにゃあ」
当然と言いたげに頷いたハカセが説明を続けた。
部位識別スキルを使うとモンスターの弱点となる部位が青く見えるらしい。
また、肉の特定部位などをゲットしたい時は、モンスターに浮かぶ赤い点を重点的に攻撃すると、ドロップすることがあるようだ。
「──例えば、ホルモンをゲットしたいなら、腹のあたりにある赤い点を攻撃するにゃ」
「ホルモン……そういうのは手に入れたことがないかも」
「部位識別スキルを持ってないと、特殊なモンスター食材はゲットできないにゃあ」
「なるほどー」
ハカセのおかげで、なんとなくスキルを理解できた。
スキルで部位を識別できて、さらに欲しいモンスター食材があったら、バトル時に攻撃方法を工夫しなきゃいけないってことだね。
肉と言っても、ロースとかバラとかヒレとか種類はいろいろ。
種類が違えば味わいも変わるし、美味しい料理を作ろうと思ったら、食材の種類からこだわる必要がある。
料理って奥深い。
「──部位識別スキルで珍しい食材をゲットできたら、グルメ大会で役に立ちそう!」
いいスキルをもらえた気がする。
僕がご機嫌にルンルンと鼻歌を歌うと、ハカセは「楽しそうだにゃー」と微笑ましそうに言った。
ラッタンやヒスイたちも歌に加わり、ハカセも「にゃっにゃっにゃ~♪」と歌を覚えてきた頃に、長靴猫族の里に到着。
そこは、地面にボコボコと穴ができている開けた場所だった。
木々さえなく、ちょっと殺風景。
でも、いくつか机らしきものが並んでいたり、井戸があったり、かろうじて生活している雰囲気がある。
「……ここが里?」
「そうにゃあ。我輩たち長靴猫族は、【特殊錬成】を使って料理やアイテムを作るから、失敗した時に爆発するにゃ」
「爆発……つまり、あの穴凹は、失敗した跡?」
「そうだにゃ。そのまま作業場として使ってるにゃあ。生活空間も、爆発跡を利用してるにゃ」
なんでもないようにハカセは言ってるけど、何かを作る度に爆発の危機があるのは、どう考えても普通じゃないよ。
顔を引き攣らせる僕の横で、スラリンとユキマルが「きゅぃ(危ない猫だ……!)」「ぴぅ(怖い……)」と震えて抱き合ってる。
ヒスイは「にゃ(爆発は攻撃ならカッコいいのににゃー)」と残念そう。
でも、ヒスイが何かを爆発させて攻撃するようになったら、僕は泣いちゃうよ? 爆弾魔ニャンコはヤダ!
イマジナリー・ルトが「爆弾魔ウサギも大概ヤベェぞ?」とツッコミを入れてきた気がしたけども。
そんな称号を持ってる事実は、記憶からポポーイと投げ捨ててください。
ラッタンは「らぴゅ(ばーんっ、で、どかーん!)」と楽しそうに言ってる。
いつかラッタンが爆発スキルを覚えそうでヒヤヒヤしちゃうから、そういうことを言うのはやめてほしいな……。
「もふ(穴いっぱい~)」
ピアが近くの穴を覗き込んで耳をピクピクと動かす。
そして、暫く固まったかと思うと、ソッと穴から距離を取った。
──ドガンッ!
直後に地中から聞こえてきた爆発音に、僕は思わずビクッと震えた。
ピアはちゃんと安全圏まで退避してたけど、さっきまでピアが覗き込んでいた穴からは、もくもくと煙が上がっている。
「ピア、危ないから穴を覗くのはやめよう……」
おいでー、と手招きすると、ピアがふわ~と近づいてくる。
「もふ(危ないと思ったら逃げるから大丈夫だよ~?)」
「いや、万が一があるし」
「もふ(察知できるから大丈夫~)」
「うん? でも、ピアはそういうスキル持ってないよね?」
「もふ(幸運値が高いから、スキルがなくても察知できるよ~)」
「なんですと!?」
のほほんとしたピアから思いがけない情報を聞いて、僕は固まった。
幸運値って危機察知的な能力にも関係するの?
「もふ(なんか避けた方がいいかも~って思ったら逃げるの~)」
「そ、そうなんだ……?」
ピアの説明はよくわからないけど、幸運値が高いと本能的に危険を避けるよう行動できるらしい。
僕はモンスターのアバターだけど、本物のモンスターとは違うから、ピアと同じような本能的回避力をゲットするのは難しそう。
とりあえず、ピアは凄いってことにしておこう。
「きゅぃ(違う穴からも煙が出てるよ?)」
スラリンに言われて見ると、爆発した穴の近くにある複数の穴からも煙が出ている。
爆発音は一回だったんだけどな?
「他の穴でも失敗したのかな?」
「一つの穴はいろんな穴と繋がってるにゃ。爆発する度に、他の穴に開通することがあるからにゃー。地下に迷路のような巨大な空間があると思ってくれていいにゃ」
え、それって、長靴猫族の里は、地下帝国の一種ってこと? すごいね!?
それが爆発で作られてると思ったら、めっちゃ怖いけど!
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スキル【部位識別】
モンスターの弱点を視覚的に識別する
モンスターの部位を分けて食材として入手可能
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説明を見てもよくわからないなぁ。
里で宝果を食べようと言われて、スラリンたちと一緒にハカセの後について歩きながら、僕は首を傾げた。
「ねぇ、ハカセ」
「なんだにゃー?」
「部位識別っていうスキルを知ってる?」
「もちろんにゃ。我輩はモンスターを食材という観点で研究しているから、よく使ってるスキルにゃあ」
当然と言いたげに頷いたハカセが説明を続けた。
部位識別スキルを使うとモンスターの弱点となる部位が青く見えるらしい。
また、肉の特定部位などをゲットしたい時は、モンスターに浮かぶ赤い点を重点的に攻撃すると、ドロップすることがあるようだ。
「──例えば、ホルモンをゲットしたいなら、腹のあたりにある赤い点を攻撃するにゃ」
「ホルモン……そういうのは手に入れたことがないかも」
「部位識別スキルを持ってないと、特殊なモンスター食材はゲットできないにゃあ」
「なるほどー」
ハカセのおかげで、なんとなくスキルを理解できた。
スキルで部位を識別できて、さらに欲しいモンスター食材があったら、バトル時に攻撃方法を工夫しなきゃいけないってことだね。
肉と言っても、ロースとかバラとかヒレとか種類はいろいろ。
種類が違えば味わいも変わるし、美味しい料理を作ろうと思ったら、食材の種類からこだわる必要がある。
料理って奥深い。
「──部位識別スキルで珍しい食材をゲットできたら、グルメ大会で役に立ちそう!」
いいスキルをもらえた気がする。
僕がご機嫌にルンルンと鼻歌を歌うと、ハカセは「楽しそうだにゃー」と微笑ましそうに言った。
ラッタンやヒスイたちも歌に加わり、ハカセも「にゃっにゃっにゃ~♪」と歌を覚えてきた頃に、長靴猫族の里に到着。
そこは、地面にボコボコと穴ができている開けた場所だった。
木々さえなく、ちょっと殺風景。
でも、いくつか机らしきものが並んでいたり、井戸があったり、かろうじて生活している雰囲気がある。
「……ここが里?」
「そうにゃあ。我輩たち長靴猫族は、【特殊錬成】を使って料理やアイテムを作るから、失敗した時に爆発するにゃ」
「爆発……つまり、あの穴凹は、失敗した跡?」
「そうだにゃ。そのまま作業場として使ってるにゃあ。生活空間も、爆発跡を利用してるにゃ」
なんでもないようにハカセは言ってるけど、何かを作る度に爆発の危機があるのは、どう考えても普通じゃないよ。
顔を引き攣らせる僕の横で、スラリンとユキマルが「きゅぃ(危ない猫だ……!)」「ぴぅ(怖い……)」と震えて抱き合ってる。
ヒスイは「にゃ(爆発は攻撃ならカッコいいのににゃー)」と残念そう。
でも、ヒスイが何かを爆発させて攻撃するようになったら、僕は泣いちゃうよ? 爆弾魔ニャンコはヤダ!
イマジナリー・ルトが「爆弾魔ウサギも大概ヤベェぞ?」とツッコミを入れてきた気がしたけども。
そんな称号を持ってる事実は、記憶からポポーイと投げ捨ててください。
ラッタンは「らぴゅ(ばーんっ、で、どかーん!)」と楽しそうに言ってる。
いつかラッタンが爆発スキルを覚えそうでヒヤヒヤしちゃうから、そういうことを言うのはやめてほしいな……。
「もふ(穴いっぱい~)」
ピアが近くの穴を覗き込んで耳をピクピクと動かす。
そして、暫く固まったかと思うと、ソッと穴から距離を取った。
──ドガンッ!
直後に地中から聞こえてきた爆発音に、僕は思わずビクッと震えた。
ピアはちゃんと安全圏まで退避してたけど、さっきまでピアが覗き込んでいた穴からは、もくもくと煙が上がっている。
「ピア、危ないから穴を覗くのはやめよう……」
おいでー、と手招きすると、ピアがふわ~と近づいてくる。
「もふ(危ないと思ったら逃げるから大丈夫だよ~?)」
「いや、万が一があるし」
「もふ(察知できるから大丈夫~)」
「うん? でも、ピアはそういうスキル持ってないよね?」
「もふ(幸運値が高いから、スキルがなくても察知できるよ~)」
「なんですと!?」
のほほんとしたピアから思いがけない情報を聞いて、僕は固まった。
幸運値って危機察知的な能力にも関係するの?
「もふ(なんか避けた方がいいかも~って思ったら逃げるの~)」
「そ、そうなんだ……?」
ピアの説明はよくわからないけど、幸運値が高いと本能的に危険を避けるよう行動できるらしい。
僕はモンスターのアバターだけど、本物のモンスターとは違うから、ピアと同じような本能的回避力をゲットするのは難しそう。
とりあえず、ピアは凄いってことにしておこう。
「きゅぃ(違う穴からも煙が出てるよ?)」
スラリンに言われて見ると、爆発した穴の近くにある複数の穴からも煙が出ている。
爆発音は一回だったんだけどな?
「他の穴でも失敗したのかな?」
「一つの穴はいろんな穴と繋がってるにゃ。爆発する度に、他の穴に開通することがあるからにゃー。地下に迷路のような巨大な空間があると思ってくれていいにゃ」
え、それって、長靴猫族の里は、地下帝国の一種ってこと? すごいね!?
それが爆発で作られてると思ったら、めっちゃ怖いけど!
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