もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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3章 商人への道?

76.僕らしさ全開で!

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 流れで深く考えずに屋台をすることを決めちゃったけど、するからにはちゃんとやりたい。

 ということで、牧場とかを見に行きたい気持ちをグッとこらえて、建築ギルドに来てみた。建築ギルドは、トンカチとノコギリのイラストが描かれた看板が目印になってる。

 屋台設備、どんなのがあるかな~。できればお安いのがあるといいんだけど。

 中に入った途端、厳つい男の人にじろりと見られた。緊張する……。

「こんにちは……?」
「……ああ。うちになんのようだ」
「屋台を始めたくて、カウンターとか、どんなのがあるかなーって思ったんだけど……」

 おずおずと話しかけてみたら、無言の頷きが返ってきた。そのまま男の人はカウンターの奥にある部屋に行っちゃったんだけど、僕はどうしてたらいいの?

 手持ち無沙汰でギルド内を観察する。
 商品棚っぽいところに、小さな模型がたくさん並んでた。値札に書かれてるゼロが多いよ……。これ、家とか工房みたい。この模型通りに家を建ててくれるってことかな。

「これが屋台模型だ」
「ぴゃっ! ぁ、そうなんだ……ありがとう……」

 男の人が帰ってきてる気配を感じなかったから、跳びはねて驚いちゃった。無意識で飛翔フライを使ってた気がする。

 ちょっぴり恥ずかしくなりながら、模型が置かれたカウンターを見るために、椅子に乗った。

「……俺はガント。建築ギルドの大工だ」
「僕はモモだよ。よろしくね」

 あれ、思ったより優しい?
 窺うようにガントさんを見たら、ほんの少し目が微笑んでいる気がする。……気のせいかもしれないけど。

 ……もふもふの魅力は絶大だぞ? ってことでいいですか。怒られはしなさそう。

「ああ。ここに出している模型のものなら、即日引き渡し可能だ。ある程度、組み合わせを変更することもできる」

 カウンターに置かれた模型は三つ。
 一つ目は、ビーチパラソルっぽい屋根と小さめのカウンターがセットになったやつ。
 二つ目は、ラーメンの屋台みたいにしっかりとした木の屋根とカウンターが一体になったやつ。
 三つ目は、『もはや店舗では?』と思うくらいしっかりとした小屋っぽいやつ。

「お値段は?」
「この簡易型で五千リョウ」

 ガントさんが指したのは、ビーチパラソルっぽい屋根がついた屋台模型。
 二つ目と三つ目は、それぞれ一万リョウと十万リョウだって。……十万は高すぎだよ。

「商品を置ける数は決まってるの?」
「それぞれのカウンターに、アイテムボックスを流用した機能がついている。簡易型から順に、30種×99個まで、50種×99個まで、100種×500個までアイテムを登録して販売できる」
「おお! 便利!」

 僕がこまめにログインしなくても、ある程度在庫を置いて、バイトさんに営業してもらえるってことだね。
 それにしても、小屋型のは機能が破格だなぁ。さすが十万リョウ。

「――うーん……商品にするアイテム、まだあんまり数がないし、少ないのでいいかな?」

 五千リョウのか、一万リョウのか……。大は小を兼ねるで、一万リョウのにしてもいいかも? 今のところ所持金に余裕あるし。

「カウンター機能は、簡易型以外は一度だけ積み増して倍にすることが可能だ」
「いいね! 商売を続けるなら、将来性も考えないといけないし、二番目のにする」
「オーソドックス型だな」

 ガントさんが頷いて、他の二つを仕舞った。模型に代わって、カタログが取り出される。

「――色や装飾の変更はどうする? 看板も追加料金で付けられる」
「いっぱいあるね……」

 分厚いカタログは屋根やカウンターの色・形などがたくさん載ってた。こだわる人はすごく時間使っちゃいそう。
 でも僕は、こういうのは「えいやっ」て勢いで決めちゃうタイプ。

「――これとこれ!」
「……屋台主の特徴がわかりやすいな」

 屋根はピンクベージュのウサギ耳がついてるものにして、カウンターは白色でちょっと丸みがあるやつ。
 こういう屋根、市場で見たことないんだけど、使ってる人いるのかな? デザイナーがお遊びで用意してない?

 ガントさんがちょっと笑った気がする。「これは在庫があるから、追加料金なしでいけるぞ」と言われて、僕もにこにこ。

「看板は『うさぎのなんでも屋』にしてください!」
「売り物がわかりやすい方が、客が増える傾向があるが……モモにそういうアドバイスはいらなそうだな。おまけで、うさぎのイラストを載せよう」
「ありがとう!」

 ガントさん、良い人だ! 人は見かけによらない、っていうのは失礼かな。
 うさぎ尽くしの僕の屋台。お客さん来てくれるかな。男性は近づきにくいかもしれない?

「看板が五百リョウだ。屋台と合計して、一万五百リョウだな」
「はい、どーぞ」

 差し出された丸い板をタッチして、ちゃりーんとお支払い。

「確かに受け取った。商品は一時間後に引き渡せる。ホームがあるなら配送も可能だ」
「配送?」
「ああ。不在時は玄関に置き配する」
「んー……じゃあ、配送でお願い」

 これから商品を作るためのアイテムを集めたり、牧場に行ったりするかもしれないから、念の為。無料でしてくれるみたいだし。
 ホームの場所を教えて配送の手配をしてもらったら、建築ギルドでの用は終わった。思ってた以上に早く済んだなぁ。

「――あ、そうだ。工房を店舗に改装しようってなったら、どれくらいの料金でできるの?」

 屋台の後のことを思い出して聞いてみる。
 家を建てる料金の高さを見ると、ちょっと難しい気がしてきたんだよね……。料金次第では、屋台をずっと続けるか、商売をやめるっていうのも考えないといけない。

「改装する広さにもよるが、大体十万リョウくらいからだな」
「んー……お安い、のかな?」

 少なくとも、家を一から建てるよりは破格なくらい安い。
 店舗で開業するのに、五十万リョウは稼がないといけないわけだし、その頃には簡単に払える感じになってるかも?

「どの程度の設備を置くかでも変わってくる。改装を考える時に相談してくれ」

 今は詳しいことを教えてくれないっぽい。僕がまだ店舗開業の条件を満たしてないからかな。

「わかったよー。その時が来たら、またよろしくね。説明してくれてありがと! 屋台の配送お願いしまーす」
「ああ。……モモの商売の成功を祈る」

 椅子からぴょんっと飛び降りて、少しだけ微笑んでるガントさんに手を振る。ちょっぴり仲良くなれた気がして嬉しい。

 建築ギルドを出て、マップを見てから「よし」と呟く。

 時間に余裕ができたから、シークレットエリアを探索するぞー。面白そうなものはもちろん、商品になるアイテム作りに使えそうなものもみつかるといいな!


******

◯NEWシステム
【屋台設備・カウンター】
 商品を登録し、アイテムボックス同様に大量のアイテムを在庫として保管できる。カウンターの大きさによって、保管できるアイテム数が異なる。
 販売機能を持ち、アイテムとお金のやりとりを自動的に行う。支払側の所持金が足りない場合、注文はキャンセルされる。

******
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