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3章 商人への道?
75.流れに身を任せます
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市場で念入りにコーヒーを探してみたけど、見当たらない。そうこうしてる内に、商業ギルドに着いちゃった。
「……コーヒーについても聞いてみよう」
自力で探すことを諦めて、商業ギルドへ。中は以前と変わらず賑わっていた。
「相談、相談~」
カウンターの上に書かれている表示を見ながら歩く。『買取』とか『販売』の窓口は多い。
目的としてた『相談窓口』は端の方に一つだけあった。人が並んでないって運が良い!
「こんにちは~」
「あら、こんにちは。異世界の旅人の方ですね」
ふわっと微笑む女性は「はじめまして。初心者相談窓口担当のリエインです」と名乗った。おっとりした優しい雰囲気で、相談しやすそう。
「僕はモモだよ。普段は冒険者しながら、農作業とか釣りとかしてるんだ。あと、錬金術と料理も!」
「そうなんですね。今回のご相談はなんでしょう?」
「えーっと……あ、コーヒーってこの街で手に入る?」
ここで聞くことじゃない気がするけど、まぁいいでしょ。
じぃっとリエインを見つめたら、きょとんと目を丸くした後、小さく頷いた。
「コーヒーは第三の街から届く交易品ですね。取り扱っているのは、商業ギルドの販売部と【コーヒー豆専門店・カフィ】です。地図がご入用ですか?」
「ください!」
商業ギルドで買えるみたいだけど、もらっておいて損はないよね。というか、コーヒーって第三の街の生産品なのかー。農地で育てられないのかな?
リエインから地図を受け取るとアナウンスが聞こえた。
〈【専門店】情報を入手しました。第二の街マップ、専門店エリアがオープンになります〉
なんと……これもシークレットエリアだったの?
マップを確認したら、中央部より南側の住宅街だと思っていた場所に【専門店エリア】という表記が出ていた。いろんなお店がありそう。
というか、この調子だと、もっとたくさんシークレットエリアありそうだよね? なんか楽しくなってきたぞ~!
「相談は以上ですか?」
「ううん。あと、お店屋さんをするにはどうしたらいいか教えてほしいんだ」
「開業ということですね。どのような商品を取り扱うご予定ですか?」
「料理とか、錬金術アイテムとかかな? 薬も置くかも。野菜とか果物も売れたらいいかな」
僕が今作れるものってそれくらいだよね。
リエインはメモを取りながら「随分幅広い商品の種類ですね」と呟く。まぁ、興味が赴くままにいろいろとやってる結果なので。
「まずお教えすると、店舗を開業するには市場での屋台実績が必要です」
「それって、どういうの?」
「屋台を出して売上が五十万リョウに達すると、店舗開業許可を申請できるんですよ」
五十万リョウ。
魚介類の販売で儲けたことがあるけど、それでも結構な金額だ。
「貯まるまで、ずっと手元にお金を置いておくの?」
それはちょっと厳しいかも。
このゲームでは、バトルフィールドとかで死に戻りすると、所持金や所持アイテムが一部没収されるんだ。
何十万リョウものお金を持って、冒険に出るのは躊躇しちゃう。
「屋台を出す際に、商業ギルドの銀行システムに口座を開設できますよ」
「銀行!」
ずっと待ち望んでいたものだった。いつか出てくると思ってたんだよね。
僕が思わず身を乗り出したら、リエインは驚いた感じで目を瞬かせた。
「え、ええ……。口座の開設を行いますか? 自動的に屋台を開く場所の割り当てもされますが」
「銀行口座はほしいけど、もうちょっと説明お願い。銀行ってどういうシステム? 屋台を開くには、お金とか必要?」
矢継ぎ早に尋ねたら、パンフレットのようなものを見せられた。
「銀行の普通口座は、単純に入出金できるものです。どの街の商業ギルドでも利用できます。預けたお金に対して利息は付きませんが、代わりに管理料もかかりません」
「なるほど。生産ギルドのストレージをお金版にした感じだね」
単純でわかりやすい。
うんうん、と頷いてたら、リエインがにこりと微笑む。
「そうですね。――もう一つ、運用口座というものもございます。こちらは利息が付きますが、管理料もいただきます。一千万リョウを超える資産をお持ちの場合におすすめしています」
「いっせんまんりょう……」
今の僕には想像もできない額だ。運用とかもよくわからないし。とりあえず、現時点では忘れてても良さそう。
「――屋台についての説明は?」
「屋台出店申請をすると、市場の一部が割り当てられます。二十八日(現実での一週間)を一回の契約期間として、初回は無料でその場所を利用できますが、その後は契約を更新する度に五千リョウかかります。契約料は口座からの自動引き落としです。解約する場合は、更新になる前に商業ギルドで手続きが必要です」
「五千リョウかぁ……うん、払えないことはないね。屋台で儲けられたらなおさら」
現実味がある。やってみてもいいかもしれない。
ただ、気になるのは、ログアウト中は場所を借りてても屋台の営業ができないことだ。思ったより儲けられない可能性もある。
「――人を雇える?」
「屋台の場合は、一回の契約期間に一万リョウを追加することで、バイトを一人募集・雇用することが可能です。一日中働かせるのは労働法違反になりますので、不在時間が多い場合は二人以上雇うことをおすすめしています」
つまり、終日営業するには、二万以上追加で払う必要があるってことか。
商品の売上との兼ね合いが必要だなぁ。でも、店番をしてもらえるのは便利!
「屋台自体はどこで買えるの? ただのテーブルと屋根だけでもいい?」
「設備は自由ですが、商品を並べる台と、看板を用意していただいた方が良いかと」
よく見かける屋根付きタイプの屋台は結構お高そうだもんなぁ。
リエインが「建築ギルドで移動式屋台の設備を販売していますよ」と教えてくれたので、後で見に行ってみよう。
「屋台では何を売ってもいいの?」
「錬金術で製作したアイテムを売る場合は、錬金術ギルドで品質保証認定を受けていると、お客様も安心してお買い物ができるでしょう。その他のアイテムにつきましては、法に触れるものでなければ、自由に販売可能です」
錬金術ギルドで品質保証認定なんてあるんだ? これも、後で行ってみないと。
ただ気になるのが『法に触れる』って言葉だけど……。
「どういうアイテムがダメなの?」
「一番有名なのは毒物ですね」
「あー、ドロップアイテムにあるのかな?」
「はい。そのようなアイテムを取り扱えるのは、冒険者ギルドか商業ギルドだけになっております。解毒剤を製作するために必要な場合などは、申請してご購入いただいていますので」
そんなシステムがあるのは知らなかった。そもそも、毒の効果があるアイテムを入手したことなかったもんなぁ。
「――基本的に、人の害になるようなアイテムを販売するのは不可であるとご理解いただければ問題ありません。モンスター討伐に使われるアイテムは販売可のものもあります。不安な場合は都度ご相談ください」
「わかったよ。教えてくれてありがとう!」
僕が考えてる販売アイテムなら問題なさそうだ。
そうとなれば、早速屋台を開いてみたい。とりあえず一ヶ月は試用期間みたいなものだね。
「大まかな説明は以上になりますが、さらに詳細が必要ですか?」
「ううん。大体わかったから、銀行口座と屋台を開く手続きをお願い。あと、バイトさんを一人雇ってみようかな」
「承知いたしました。では手続きに移ります」
リエインに言われるがままに契約を進める。
銀行口座ゲット! 割り当てられる屋台の場所は、日付が変わったら自動的にマップに表記されるんだって。明日が屋台開業日ってことだね。
バイトさんも明日までには集められるとか。明日以降に面接するから、商業ギルドに来てね、って言われた。
というわけで、明日までに屋台小屋をどうするか考えないとね!
******
◯NEWシステム
【専門店エリア】
第二の街のシークレットエリアの一つ。専門店の情報を入手すると、マップがオープンになる。
【屋台】
市場でアイテムを販売できる。金銭のやり取りは【販売システム】で管理されている。
初めて屋台をする場合、割り当てられた場所は初月(二十八日:現実時間で一週間)無料で使用可能。契約を更新する度に五千リョウかかる。口座から自動引落。
バイトを雇うことが可能になる。
【バイト】
一人を一ヶ月(二十八日:現実時間で一週間)雇うのに一万リョウかかる。契約更新可能。就業環境が悪い場合、更新を断られる場合がある。労働法に違反すると、商業ギルドから罰則を与えられることがある。
【銀行】
銀行口座を作ると、どの街の商業ギルドでも入出金が可能になる。死に戻りしても、口座内のお金は減少しない。
普通口座は利子・管理料なし。運用口座は利子・管理料あり。
【店舗開業】
所有するホームを店舗にできる。このシステムを利用するには、市場での屋台営業で五十万リョウの売上を達成する必要がある。
******
「……コーヒーについても聞いてみよう」
自力で探すことを諦めて、商業ギルドへ。中は以前と変わらず賑わっていた。
「相談、相談~」
カウンターの上に書かれている表示を見ながら歩く。『買取』とか『販売』の窓口は多い。
目的としてた『相談窓口』は端の方に一つだけあった。人が並んでないって運が良い!
「こんにちは~」
「あら、こんにちは。異世界の旅人の方ですね」
ふわっと微笑む女性は「はじめまして。初心者相談窓口担当のリエインです」と名乗った。おっとりした優しい雰囲気で、相談しやすそう。
「僕はモモだよ。普段は冒険者しながら、農作業とか釣りとかしてるんだ。あと、錬金術と料理も!」
「そうなんですね。今回のご相談はなんでしょう?」
「えーっと……あ、コーヒーってこの街で手に入る?」
ここで聞くことじゃない気がするけど、まぁいいでしょ。
じぃっとリエインを見つめたら、きょとんと目を丸くした後、小さく頷いた。
「コーヒーは第三の街から届く交易品ですね。取り扱っているのは、商業ギルドの販売部と【コーヒー豆専門店・カフィ】です。地図がご入用ですか?」
「ください!」
商業ギルドで買えるみたいだけど、もらっておいて損はないよね。というか、コーヒーって第三の街の生産品なのかー。農地で育てられないのかな?
リエインから地図を受け取るとアナウンスが聞こえた。
〈【専門店】情報を入手しました。第二の街マップ、専門店エリアがオープンになります〉
なんと……これもシークレットエリアだったの?
マップを確認したら、中央部より南側の住宅街だと思っていた場所に【専門店エリア】という表記が出ていた。いろんなお店がありそう。
というか、この調子だと、もっとたくさんシークレットエリアありそうだよね? なんか楽しくなってきたぞ~!
「相談は以上ですか?」
「ううん。あと、お店屋さんをするにはどうしたらいいか教えてほしいんだ」
「開業ということですね。どのような商品を取り扱うご予定ですか?」
「料理とか、錬金術アイテムとかかな? 薬も置くかも。野菜とか果物も売れたらいいかな」
僕が今作れるものってそれくらいだよね。
リエインはメモを取りながら「随分幅広い商品の種類ですね」と呟く。まぁ、興味が赴くままにいろいろとやってる結果なので。
「まずお教えすると、店舗を開業するには市場での屋台実績が必要です」
「それって、どういうの?」
「屋台を出して売上が五十万リョウに達すると、店舗開業許可を申請できるんですよ」
五十万リョウ。
魚介類の販売で儲けたことがあるけど、それでも結構な金額だ。
「貯まるまで、ずっと手元にお金を置いておくの?」
それはちょっと厳しいかも。
このゲームでは、バトルフィールドとかで死に戻りすると、所持金や所持アイテムが一部没収されるんだ。
何十万リョウものお金を持って、冒険に出るのは躊躇しちゃう。
「屋台を出す際に、商業ギルドの銀行システムに口座を開設できますよ」
「銀行!」
ずっと待ち望んでいたものだった。いつか出てくると思ってたんだよね。
僕が思わず身を乗り出したら、リエインは驚いた感じで目を瞬かせた。
「え、ええ……。口座の開設を行いますか? 自動的に屋台を開く場所の割り当てもされますが」
「銀行口座はほしいけど、もうちょっと説明お願い。銀行ってどういうシステム? 屋台を開くには、お金とか必要?」
矢継ぎ早に尋ねたら、パンフレットのようなものを見せられた。
「銀行の普通口座は、単純に入出金できるものです。どの街の商業ギルドでも利用できます。預けたお金に対して利息は付きませんが、代わりに管理料もかかりません」
「なるほど。生産ギルドのストレージをお金版にした感じだね」
単純でわかりやすい。
うんうん、と頷いてたら、リエインがにこりと微笑む。
「そうですね。――もう一つ、運用口座というものもございます。こちらは利息が付きますが、管理料もいただきます。一千万リョウを超える資産をお持ちの場合におすすめしています」
「いっせんまんりょう……」
今の僕には想像もできない額だ。運用とかもよくわからないし。とりあえず、現時点では忘れてても良さそう。
「――屋台についての説明は?」
「屋台出店申請をすると、市場の一部が割り当てられます。二十八日(現実での一週間)を一回の契約期間として、初回は無料でその場所を利用できますが、その後は契約を更新する度に五千リョウかかります。契約料は口座からの自動引き落としです。解約する場合は、更新になる前に商業ギルドで手続きが必要です」
「五千リョウかぁ……うん、払えないことはないね。屋台で儲けられたらなおさら」
現実味がある。やってみてもいいかもしれない。
ただ、気になるのは、ログアウト中は場所を借りてても屋台の営業ができないことだ。思ったより儲けられない可能性もある。
「――人を雇える?」
「屋台の場合は、一回の契約期間に一万リョウを追加することで、バイトを一人募集・雇用することが可能です。一日中働かせるのは労働法違反になりますので、不在時間が多い場合は二人以上雇うことをおすすめしています」
つまり、終日営業するには、二万以上追加で払う必要があるってことか。
商品の売上との兼ね合いが必要だなぁ。でも、店番をしてもらえるのは便利!
「屋台自体はどこで買えるの? ただのテーブルと屋根だけでもいい?」
「設備は自由ですが、商品を並べる台と、看板を用意していただいた方が良いかと」
よく見かける屋根付きタイプの屋台は結構お高そうだもんなぁ。
リエインが「建築ギルドで移動式屋台の設備を販売していますよ」と教えてくれたので、後で見に行ってみよう。
「屋台では何を売ってもいいの?」
「錬金術で製作したアイテムを売る場合は、錬金術ギルドで品質保証認定を受けていると、お客様も安心してお買い物ができるでしょう。その他のアイテムにつきましては、法に触れるものでなければ、自由に販売可能です」
錬金術ギルドで品質保証認定なんてあるんだ? これも、後で行ってみないと。
ただ気になるのが『法に触れる』って言葉だけど……。
「どういうアイテムがダメなの?」
「一番有名なのは毒物ですね」
「あー、ドロップアイテムにあるのかな?」
「はい。そのようなアイテムを取り扱えるのは、冒険者ギルドか商業ギルドだけになっております。解毒剤を製作するために必要な場合などは、申請してご購入いただいていますので」
そんなシステムがあるのは知らなかった。そもそも、毒の効果があるアイテムを入手したことなかったもんなぁ。
「――基本的に、人の害になるようなアイテムを販売するのは不可であるとご理解いただければ問題ありません。モンスター討伐に使われるアイテムは販売可のものもあります。不安な場合は都度ご相談ください」
「わかったよ。教えてくれてありがとう!」
僕が考えてる販売アイテムなら問題なさそうだ。
そうとなれば、早速屋台を開いてみたい。とりあえず一ヶ月は試用期間みたいなものだね。
「大まかな説明は以上になりますが、さらに詳細が必要ですか?」
「ううん。大体わかったから、銀行口座と屋台を開く手続きをお願い。あと、バイトさんを一人雇ってみようかな」
「承知いたしました。では手続きに移ります」
リエインに言われるがままに契約を進める。
銀行口座ゲット! 割り当てられる屋台の場所は、日付が変わったら自動的にマップに表記されるんだって。明日が屋台開業日ってことだね。
バイトさんも明日までには集められるとか。明日以降に面接するから、商業ギルドに来てね、って言われた。
というわけで、明日までに屋台小屋をどうするか考えないとね!
******
◯NEWシステム
【専門店エリア】
第二の街のシークレットエリアの一つ。専門店の情報を入手すると、マップがオープンになる。
【屋台】
市場でアイテムを販売できる。金銭のやり取りは【販売システム】で管理されている。
初めて屋台をする場合、割り当てられた場所は初月(二十八日:現実時間で一週間)無料で使用可能。契約を更新する度に五千リョウかかる。口座から自動引落。
バイトを雇うことが可能になる。
【バイト】
一人を一ヶ月(二十八日:現実時間で一週間)雇うのに一万リョウかかる。契約更新可能。就業環境が悪い場合、更新を断られる場合がある。労働法に違反すると、商業ギルドから罰則を与えられることがある。
【銀行】
銀行口座を作ると、どの街の商業ギルドでも入出金が可能になる。死に戻りしても、口座内のお金は減少しない。
普通口座は利子・管理料なし。運用口座は利子・管理料あり。
【店舗開業】
所有するホームを店舗にできる。このシステムを利用するには、市場での屋台営業で五十万リョウの売上を達成する必要がある。
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