もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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6章 どたばた大騒動?

206.どんどん進むよ

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 地下一階はほぼクリア。残すところは――

「これ、絶対ボスだよね!」

 迷路のようになっていた廊下のゴールに、銀色の扉があった。
 タマモから『各階層毎にボス部屋があって、倒すと次の階層に進めるようになります』って教えられてたから、扉の先がボス部屋で間違いないはず。

「きゅぃ(がんばって倒す!)」
「ぴぅ(ボクも!)」

 二体はやる気いっぱいで良いことです。

 タマモ曰く、ボス部屋前はセーフティエリアになっているらしいので、ここで準備を整えることにした。といっても、一階層のボスはあまり強くないらしいから、天の祈りアンジュプレとかを掛け直して、薬の確認をするだけ。

「二体とも、敵からの攻撃は回避、隙を見て体当たりで攻撃だよ。大きな敵は吸収できないから、無理はしないで。でも部分破壊できそうなら試してみてもいいよ」
「きゅぃ(わかった!)」
「ユキマルは体力が減ってきたら回復ヒールを使ってね。僕も回復薬投げて補助するから、状況を見ながらで」
「ぴぅ(はーい)」

 これまでバトルしてきて、スラリンたちのスキルの特性はなんとなく掴めた。

 スライムの吸収・分解は、基本的に自分より小さい敵に対して効果的なスキルだ。スライムより大きい大丸玉ビッガムーダンに対しては、一部を削り取る感じでダメージを負わせることもできたから、部分破壊のような効果もあるらしい。部分破壊は成功率が低いみたいだけど。

 あまりその能力は過信せず、回避しながら体当たりで地道にダメージを重ねるのがスライムに適した戦い方なんだと思う。
 攻撃力はあまり高くないから、倒すのに時間かかるけど、その辺は僕も協力すれば問題ないはず。

「それじゃ、行こっか」

 えいえいおー、と円陣を組んで気合いを入れてから、扉の前に立つ。

〈この先、ボス部屋です。中へ進みますか? 一度進むと、ボスを倒すまで扉は開きません〉

「そういう感じかー。うん、進むよ」

 もう覚悟はできてるので。
 あっさりと答えた瞬間に、扉がゆっくりと開いていった。天井の高い広々とした空間の中央に、歪な人形のような大きい戦闘ロボットっぽい姿がある。見たことがないタイプのモンスターだ。

 僕たちが中に入ると、背後で扉が閉まった気配がした。途端に、敵がゆっくりと動く。
 まだ攻撃を仕掛けてこないのを察して、その隙に全鑑定スキルを使う。

――――――
機械人形オートマチック・ドール(ゴム製造系)】
 ゴム製造機械が穢れた魔力の影響により変異して生じたモンスター。胸部にある魔石心臓マギ・コアを動力にして生き物のように動く。思考能力がなく、察知範囲内の生物すべてを倒すか、魔石心臓マギ・コアが破壊されるまで動き続ける。
 主な攻撃は【ゴム弾発射】【薙ぎ払い】
――――――

 なるほど。遠距離攻撃もしてくるタイプかな。

「スラリン、ユキマル、飛んでくるゴム弾に注意してね! 長い腕で薙ぎ払い攻撃もしてくるかも」
「きゅぃ(りょうかい!)」

 スラリンが応えたところで、機械人形オートマチック・ドールに動きがあった。頭部にある二つの玉――おそらく目の役割があるものが赤く光ったと思うと、スラリンに赤い点ができる。


「スラリン、回避!」
「きゅぃ(わあっ!?)」

 咄嗟に指示して、スラリンが反応した一瞬後に、床をボールのようなものが抉った。スラリンがさっきまでいたところだ。

「ゴム弾の威力やばっ……回避間に合って良かったー」

 赤い点が次々に僕たちに向けられる。これ、ゴム弾の狙いを示してるんだと思う。
 お互いに警告しあったら、なんとか回避可能だ。

「ぴぅ(次モモ!)」
「おわっ……と!」

 ユキマルからの警告を受けて、回避スキルが発動した。スラリンたちよりスキルレベルが高いから、余裕で避けられる。

「隙を見て、攻撃してねー」

 二体に指示を飛ばしながら、僕も攻撃態勢に移る。やられてばっかりは嫌だもん。
 飛翔フライスキルを使い、機械人形オートマチック・ドールに近づきながら、宙を蹴ってさらに勢いをつける。

「――【嵐蹴り】!」

 ドゴッと音がして、機械人形オートマチック・ドールが後退した。ゴム弾の発射も止まる。
 スラリンたちはその隙を逃さず、体当たりと分解・吸収を始めた。機械人形オートマチック・ドールには腕や足があるから、部分破壊を狙うらしい。

 僕は二体に攻撃がいかないように、ヘイトを集めて攻撃していく。魔術攻撃が楽だな~。

 ゴム弾を避けて、攻撃して――という動きを繰り返していたら、機械人形オートマチック・ドールの片腕が落ちた。スラリンが部分破壊に成功したみたいだ。

 その勢いで、ユキマルが分解・吸収を試みていた方の腕に僕が蹴り技を食らわせようとしていたところで、今までと違う動作があった。

「薙ぎ払い攻撃が来るかも!」
「ぴ、ぅうっ!?」

 振るわれた腕の遠心力でユキマルが吹っ飛ばされる。追撃するようにゴム弾が襲いかかったのを、スラリンが横から体当りして回避させた。

「わわっ! ユキマル、大丈夫?」
「ぴぅー……(回復ヒール)」

 自分を回復させたユキマルを横目で眺めながら、腕で空間を横薙ぎした機械人形オートマチック・ドールに風魔術を放つ。
 薙ぎ払い攻撃の後は、機械人形オートマチック・ドールは一時行動不能になるみたいで、面白いくらいに魔術が狙い通りに決まった。やったね、クリティカル!

「あとちょっとで倒せるよ。最後は誰が行く?」
「ぴぅ(ボク! やられたままじゃイヤ!)」
「オッケー。それじゃあ、機械人形オートマチック・ドールに体当たり決めちゃって!」

 スラリンがユキマルに攻撃を譲ったのを見ながら、指示をする。機械人形オートマチック・ドールの体力は赤表示。これくらいなら、ユキマルの一撃で倒せるはず。

「ぴーう!」

 再び薙ぎ払い攻撃の体勢になった機械人形オートマチック・ドールに、ユキマルが体当たりした。途端に敵の体力バーが弾け飛び、機械人形オートマチック・ドールが光になって消えていく。

〈地下一階ボス機械人形オートマチック・ドールを倒しました。アイテム【機械仕掛けの心臓オートマチック・コア】と【無魔石】【機械の設計図の一部】を入手しました〉

「ボス戦クリアだー」

 機械人形オートマチック・ドールが消えた後には、床の中央部から下へ続く螺旋階段が現れる。

 引き続き、地下二階も攻略しようかな。

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