もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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7章 世界が広がっていくよ

260.ダンジョン突入だー

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 ダンジョンの中に入ると、人が十人以上寛げそうな空間が広がっていた。岩壁には五つの扉がある。

「おお、これは完全に鉱山っぽくない……」

 マジマジと扉を観察した。
 扉はそれぞれ赤・青・緑・紫・黄色の五色になっている。ルト曰く、入った扉ごとにダンジョン内のマップと出現モンスターが少し違うらしい。

 つまり、ダンジョン内マップとモンスター図鑑は、すべての扉から入って調査しなければならないということだ。

「この色になんの意味があるんだろうなー」

 単純に考えれば、魔術の基本五属性な気がする。
 赤は火、青は水、緑は風、黄色は土、かな? 紫はちょっと微妙だけど、残ってる木属性? 色のイメージだと闇っぽい気もするなぁ。

 基本五属性を示してるとしても、だからなんだという話だけど。
 ルトからの情報では、バフ・デバフがかかるというわけでもないらしいし。

「きゅぃ(とりあえず進む?)」
「そうだねー。どこからにしようか?」

 スラリンと話している間にも、他のプレイヤーさんが入ってきて扉の向こうに消えていった。
 ここから先は、パーティごとに独立した環境になってるんだよ。それは廃工場のダンジョンと一緒だ。

「きゅーきゅい(あら……?)」

 扉を見比べていたナッティが、ぴょんぴょんと赤色の扉へと近づいていく。そして、なにかを調べるような素振りを見せた後、青・緑・黄・紫の順に扉を観察して回った。

「ナッティ、なにか気になったの?」
「きゅーきゅい(たぶんこの順番に攻略した方がいいと思うわ。始点はどこでもいいんだけど)」
「始点と順番……属性……?」

 こんなようなこと、ゲームの序盤で考えた気がする。確か、魔術は使用する順番でダメージ量の増減があるんだったよね?
 僕は最近そんなこと気にせず、敵モンスターに一番効果的な魔術を使ってるけど。

「――ナッティが言った順番の色を属性に当てはめたら、火→水→風→土→木かな」

 なるほどー、とわかったような全然わからないような曖昧な感じで頷き、赤い扉に近づく。
 僕はどの扉から始めてもいいし、ナッティが最初に見たこの扉を進もう。

「みんな、準備はいーい?」
「くまま(いいよー)」

 ショコラたちが頷いたのを確認し、赤い扉を押し開ける。
 その先には先程よりも狭い通路が続いていた。背後で扉が閉まる音を聞きながら、前方を凝視する。

 一定間隔でろうそくが置かれてるんだけど、やっぱり薄暗い。さらに足場もあまり整ってないから、慎重に進んだ方がいいかも。

「ユキマルとナッティが先頭でお願いね。ユキマルは泡光ソフライト使っちゃって。ナッティは罠とか怪しいところがあったら教えてね」
「ぴぅ(任せて!)」
「きゅーきゅい(はーい、私のすごいところ見せちゃうわ!)」

 気合い十分の二体の後ろにスラリンとペタを配置する。最後尾は僕とショコラだ。

「では、レッツゴー!」
「きゅぃ(ごー!)」

 ユキマルとナッティがぴょんぴょんと跳ねて洞窟を進む。ナッティはたまに立ち止まり、周囲を見渡す素振りをするから、進む速度は遅い。まぁ、のんびり行きましょー。

 僕もナッティを真似して、周囲を観察して全鑑定スキルを使ってみた。
 ほぼずっと『岩壁』などの見たままの鑑定結果だけど。たまに『石の欠片(?)が埋まっている』という結果が出てきて、ちょっと気になる。

「掘ってみたら出てくる? でも、ここ採掘ポイントじゃないしなぁ」
「きゅーきゅい(ここ? たぶん、特別なアイテムがあれば掘れるわよ)」
「え!?」

 僕が凝視していたところをチラリと横目で確認したナッティが、あっさりと驚きの事実を呟いた。

「アイテムってツルハシとか?」

 はじまりの街ノース街道の廃坑で使ったツルハシを取り出してナッティに見せると、「きゅーきゅい?」と首を傾げられた。これじゃ無理らしい。

「新たなアイテムが必要なのかなぁ」

 レシピを検索してみようかな、と思ったところで、ユキマルが赤色の光を発した。スキル【警戒色】の効果だ。つまり、敵のモンスターが接近してきてる。

「みんな、バトルだよ! ペタは水噴射で牽制してね」
「くるる!」

 僕が指示を出したところで、暗がりから滲み出るようにモンスターが現れた。甲冑を着た人形のようなものが三体。
 ペタが水噴射を放ち接近させないようにしている隙に、鑑定をする。

――――――
土兵アースソルジャー
 ダンジョン内で生まれたモンスター。土属性。
――――――

 情報少ない! ダンジョン内って外とは違うこと多いんだなぁ。
 土属性なのが確定しただけ良い? 物理攻撃はどれくらい効くのかなぁ。

「スラリン、ユキマル、ナッティ、体当たり!」
「きゅぃ!」
「ぴぅ!」
「きゅーきゅい!」

 三体がそれぞれに土兵アースソルジャーを攻撃する。これまでの経験上でのダメージ量を考えたら、土兵アースソルジャーにも物理攻撃は効くっぽい。

「ペタは水噴射継続、ショコラは岩槍ね」
「くるる!」
「くままー」
「スラリンは周囲の岩吸収からの発射、ユキマルは謎光線ミステリレイ、ナッティは噛みつく攻撃をよろしく!」

 それぞれに指示を飛ばしてから、僕は火魔術を選択。土属性のモンスターに普通に効果があるはずだし、早くレベル5の魔術を手に入れるためにも鍛えなきゃいけないからね。

「【火の矢ファイアーアロー】!」

 三本の火の矢がモンスターに突き刺さり燃やす。複数の敵を一気に攻撃できるのって楽しいよねー。

「きゅーきゅいっ(きゃ……!?)」
「きゅぃ!(あっぶなーい!)」

 土兵アースソルジャーが突き出した槍に貫かれそうになったナッティを、スラリンが体当りするようにして跳ね飛ばして回避させる。

「スラリン、ナイスフォロー!」
「ぴぅ(この槍がいけないんだ……!)」

 ぴょんと跳ねたユキマルが槍にひっつき、吸収を始めた。敵の武器を吸収できるってすごくない!?
 驚いてたところで、別の土兵アースソルジャーがユキマルに槍を突き出そうとしているのが見えた。

「【炎爆烈フレイムバースト】!」

 咄嗟に新しく習得したばかりの火魔術を放つ。
 炎の渦が敵へと突き進み、直撃したかと思うと勢いよく炎上した。

「ひえっ、想像以上に派手ー!」

 土兵アースソルジャーを火傷状態にできたみたいだ。
 他の二体もユキマルの謎光線ミステリレイで毒状態になってるから、ダメージを与えやすくなった。

「畳み込めー!」

 敵三体とも体力が三分の一を切っているのを見て、指示を飛ばす。
 攻撃を激しくするスラリンたちに加え、僕も火魔術を放った。

 今さらだけど、閉ざされた洞窟内で火魔術を使っても大丈夫だよね?

 ちょっぴり不安が芽生えたけど、今のところ問題なさそう。ガンガンいくぞー!

「あ、最後の攻撃――」

 敵が残り一体になり、僕が魔術を放つ前に、ナッティが跳び上がって回転し、尻尾で敵を殴打した。そんな攻撃スキル持ってたっけ?

 ポカンとしてたら、モンスター討伐アナウンスが聞こえてくる。ラストアタックはナッティにとられたなぁ。よくがんばりました!

〈ナッティがスキル【回転尾】を覚えました〉

 え、スキル習得!? しかも、初めて見たスキルだ。
 スキル【回転尾】の効果は『体を回転しながら尻尾で敵を殴打する。攻撃力に+10の物理ダメージを与える』だって。結構強そう。

「ナッティ、新スキル習得おめでとー!」
「きゅーきゅい(攻撃が当たりかけたのが悔しかったからがんばったんだけど、良い成果に繋がって嬉しいわ)」

 ナッティが尻尾を揺らして喜んでる。もふもふで可愛い。
 スラリンたちも祝福してる。みんなでわちゃわちゃしてるの和むなぁ。ダンジョンの中にいるから、油断は禁物だってわかってるけどね。

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