もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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8章 新たな地へ

285.海上イベント?

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 フルリーさんに、ディナータイムに歌を歌ってほしいと頼まれたので、「いいよー」と快諾しておいた。
 たくさんの人の前で歌うの好きです。演奏は神殿楽士団がしてくれるんだって。豪華。

 早速みんなで練習すると言うフルリーさんと別れ、甲板に出た。海を見ながら日差しを浴びたかったんだ。

「ペタも喚んじゃおう」

 プールを見て、ペタを召喚。一緒に泳ぎたい。

「くるる(海……じゃないー?)」
「プールだよ。じゃぶーん」

 飛び込んで泳ぐ僕に続いて、スラリンとユキマルもプールにぷかーっと浮いてる。ナッティは濡れたくないって言って、プールサイドのデッキチェアに座ってる。

「くるる(海の上にプールを作る意味がわからないー)」

 そんなことを言いながら、ペタもプールに入ってくる。気持ちよさそうに泳いでるじゃん。

 日差しでキラキラと輝く水面にパシャパシャと波を起こしながら、みんなでワイワイと遊んだ。楽しい!

「きゅーきゅい(毛が乱れるわよ)」
「毛繕いすればいいもーん」

 ナッティに答えながら、一旦プールサイドへ上がる。
 タオルで体を拭いた後に、毛繕いスキルを使った。

「もっふもふ!」

 お日様の香りのするふわふわボディだよ。

「くるる(モモはいつももふもふだよー)」
「そうだねー。ペタももふもふにしてやるー!」

 プールから上がってきたペタにも毛繕いスキルを使う。輝きが増したもふもふになった気がする。アイテムもゲットだー。

 ナッティにも毛繕いスキルを使ったら、嬉しそうに尻尾を揺らしてた。
 綺麗になるのって嬉しいよねー。

「きゅぃ(僕たちは?)」
「拭いてあげるね」

 スラリンとユキマルも布で拭いて、しっかりとアイテムをゲット。

 なんとなく、みんなを綺麗にしたい気分だったので、ショコラとオギンも喚んでみた。
 毛繕い祭りじゃー!

「くまま?」
「キュオ……」

 二体とも不思議そうにしながらも、おとなしく毛繕いさせてくれた。アイテムがもらえなくなるまで毛繕いスキルを繰り返して満足です。

 途中でナッティと交代してピアも喚び出し、毛繕いしたよ。

「ぴぅ(他になにするの?)」

 ユキマルに問いかけられて、「うぅん……」と考える。
 この船にはショッピングエリアもあるらしいから、行ってみるのも楽しそうだけど——

「せっかくディナーで歌を歌うんだし、ちょっとエンターテインメント性を高めてみたいかなぁ」
「キュオ(エンターテインメント……?)」

 不思議そうに呟いたオギンが、近くにいたショコラとなにかを話し合ってる。
 普段が十分エンターテインメント性に富んでるよね、って話してるらしい。

 でも、エンターテインメントに限界はないので! たぶん!

 最近、運営さんがお遊びで用意してる感じのスキルを発見してないなぁ、と思って、ちょっと練習したくなったんだ。

「——とはいえ、どんなことをしたら、エンターテインメントなスキルを覚えられるかなぁ?」

 こてり、と首を傾げる。
 目が合ったペタが、僕と同じように首を傾げた。なんとなく、どっちがより頭を傾けられるか競争しちゃう。

「もふもふが戯れてる……! 遊び方意味わかんないけど、可愛いっ!」

 どっかから、もふもふ教みたいな声が聞こえた。
 振り向くと、騎士服を纏った女性がいた。こんにちはー。

「お姉さん、ここで何してるの?」
「あ、その……海上の見張りです」
「見張りが必要なの?」

 スッと海を指し示される。
 なんだろう? と思いながら指された方を見ると、遠くの方で何かがジャンプした。バシャーンッ、と大きな波が起きる。小さな船だったら、転覆しちゃいそうだ。

「あのようなモンスターがいるので。それに、たまに船を襲おうとしてくる個体もいるので、即座に対処できるように控えています」
「ほーう、大変だね」

 船を襲われるなんて、こわーい。
 でも、騎士さんが守ってくれるなら安全なのかな。

「申し遅れましたが、私は魔術騎士団所属のマチルダです。よろしくお願いいたします」
「僕はモモです。よろしくー」

 続けてスラリンたちも紹介する。マチルダさんは律儀に一体ずつに挨拶を返していた。

「もう外洋に出ましたので、海賊が襲ってくる可能性もありますが、私たちがお守りしますのでご心配なさらず」

 ビシッと敬礼したマチルダさんの言葉に、
僕は「え」と声を漏らす。
 この海、海賊がいるんです?

「海賊って、何するの?」
「船を襲って、荷物と……を奪います」

 すっごく濁されて聞こえなかったんだけど、もしや人とかも荷物扱いされて奪われちゃったりする? 怖っ!

「海賊、多いの?」
「一時ほどではないですね。昔はたくさんの船が襲われた結果、外洋の航路を使用できなくなったくらいでしたが」

 船着き場が閑散としてた理由ってそれなのかな。海賊に襲われるんじゃ、船を出すこと事態、したがらなくなるだろうからねぇ。

 まさか、この船が海賊に襲われるなんてイベントは起きないよね……?

 ちょっぴり不安がよぎったところで、どこかからカンカンカンッとけたたましい音が聞こえてきた。
 マチルダさんがハッと海へと視線を向ける。

「なに!?」
「国旗を掲げていない違法船を発見したようです。海賊の可能性があります。モモさんは船内にどうぞ!」

 え、どうしよう?
 海賊なら、僕も一緒に戦った方がいいのでは?
 スラリンたちと顔を見合わせる。

〈船上イベント【海賊との交戦】が開始しました。参加しますか?〉

 やっぱりイベントだったー!
 もしかして、マチルダさんと話すのがトリガーになってた?

 うーん、せっかくだし——

「僕たちも一緒に戦う!」

 初の海上戦だー!

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