もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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8章 新たな地へ

307.いろんなことを楽しむよ

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 最高の贈り物にルンルンとしながらお茶とお菓子を用意して、おしゃべりを続ける。

 ヒスイはリリの膝の上に招かれて、撫でられてゴロゴロ言ってた。たくさん撫でてもらえて嬉しそう。さすが猫好きだからか、リリは撫でスキルがすごい。

「ルトたちはなんか報告ないのー?」

 僕ばっかり話してる、と思って聞いてみたら、二人は顔を見合わせた。

「報告、つってもなぁ」
「うーん、普通のプレイヤーはモモみたいに次々にミッションを見つけてクリアできるわけじゃないしね」
「僕が普通じゃないみたいに言わないでー」
「え?」
「は?」
「うん?」

 二人から『普通のつもりだったの?』と言いたげな目を向けられて、僕も首を傾げちゃった。

 僕、普通じゃない? 天兎アンジュラパっていう種族は珍しいと思うけど、行動はそんなに変じゃないと思う。ちょっとみんなより先に進んでる時があるだけで。
 こんなやり取り、前もした気がするなぁ。

「……あ、そういえばもうすぐ転職できそうな人がいるらしいよ」
「上位職にな」
「あれ? 僕の抗議がスルーされた?」

 僕がさらに頭を傾けてる間にも二人の会話が進む。まぁ、いっかー。

「確か、剣士から魔剣士になれそうなんだっけ?」
「だな。俺もなりてーなぁ」
「ふふ。転職機能が解放されても、たぶん転職用ミッションはクリアしないといけないよね」
「おう、がんばる」

 ルトは魔剣士になるつもりらしい。
 物理攻撃に魔力の効果を足せたら、攻撃力アップしそうだもんね。僕の嵐蹴りスキルも、嵐属性の魔力が加わって、普通の蹴り技よりすごい威力になってるし。

 それにしても転職かー。
 僕は魔術士だけど、もうレベル19だし、そろそろどうするか考えた方が良さそう?
 魔術士の上位職って何があるんだろう?

 あ、魔術学院で聞いてみてもよさそうだな。
 入学条件をクリアしたし、今度行ってみよう。

 そんなことを考えていたら、ルトから視線を感じた。

「うん? どうしたの?」
「いや……実はこの前、【曲芸士】っていう職業を発見したやつがいたんだけど、モモはなりたがんのかなーって思ってさ」
「曲芸士!? そんな職業があるんだ?」

 そんなワールドアナウンス聞いてないよ?
 首を傾げてたら、ルトが説明を追加してくれる。

 職業・曲芸士は体術士の人が見つけたらしい。
 と言っても、ワールドミッションクリアの結果じゃなくて、大道芸をしてる異世界の住人NPCと仲良くなった後、体術士の職業レベルが20を超えた時に転職先として見つけたみたいだけど。

 ヘルプに職業詳細が出てる、と教えられてすぐさま自分で確認してみる。

——————
戦闘職【曲芸士】
どの職業からも転職可能な職業
転職する前提として、異世界の住人NPCの曲芸士と仲良くなるか、曲芸的スキルを習得している必要がある
曲芸士になると体術系スキルの機敏さに補正効果がある
曲芸的スキルを習得しやすくなる
——————

 ほえー。
 曲芸的スキル……僕、自由曲芸スキルを持ってるから、前提条件をクリアしてるんじゃないかな。
 つまり、転職可能になれば、曲芸士を選択できる?

「んー、でも、魔術士を捨てたくないし……」
「それなら、またサブリングで増やすか?」
「あ、その手があったね」

 ルトに言われて、ポンッと手を打つ。
 サブリングを使えば、いくらでも職業を増やせるんだった。
 目指せオールラウンダー! 確かあと二つサブ職を増やしたら、オールラウンダーになるっていうミッションをクリアできたはず。

「そのためにはシーズンイベントがないと。ハロウィンの後、クリスマスとか節分とか、イベントがあるかと思ってたけど全然その気配なかったね」

 リリが首を傾げながら言う。
 確かに、シーズンイベントないね?

「次にありそうなのはなんだろ?」
「シーズンモンスターが出てくるやつだろ? ……春なら花見とか?」

 僕が考え込んでいると、ルトがそう言いつつ「……ねぇな」と自分で否定してた。

 桜のモンスターはありでは? え、なし?
 まぁ、モンスターに咲いた花で風流を感じられる気はしないねー。

「春ってモンスターが出てきそうなイベント少ない?」
「そもそもモンスターが出てくるイベントって、ハロウィンくらいだろ」

 リリの言葉にルトが肩をすくめる。
 モンスター的なものが出てくるイベントって、あとは節分くらい? 鬼さん、モンスターっぽいよね? 実際はゲーム内でそんなイベントなかったけど。

「ハロウィンと似たやつで、お盆とか!」
「帰ってきた先祖の霊を倒そうとすんな。罰当たりだろ」

 閃いた、と言いたげにリリが言うと、ルトがジト目で答える。
 思わず僕はリリと声を合わせて「「確かにー!」」と笑っちゃった。

 ハロウィンとお盆は似て非なるものです!

「ま、いつかきっとあるよ! それより、僕は曲芸スキルをもっと増やしたいなー」

 曲芸士にならなくてもスキルは習得できるはず。
 僕がそんなことを考えていると、ルトが「ライブのためだろ」と笑った。

「ざっつ・らいと! もっといいパフォーマンスしたいんだよね」
「モモは十分ダンスとか上手いと思うけど」
「ありがと。でも、いいパフォーマンスに上限はないんだよ!」

 褒めてくれたリリにお礼を言いつつ、アイドルの道を極める厳しさを語って聞かせる。僕もよく知らないけど。

 リリは感心した様子で聞いてくれた。ルトは半眼になりつつも「んじゃ——」と提案してくれる。

異世界の住人NPCの曲芸士に弟子入りしてみたらどうだ?」
「それはいいアイディア!」

 本職の人に教えてもらうのはいいね!
 やる気に満ち溢れる僕を見て、リリが「楽しそうでいいねー」と微笑む。

 うん、僕とっても楽しんでるよ。みんなに喜んでもらえるパフォーマンスを身につけたいな♪

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