もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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8章 新たな地へ

306.ヒスイ紹介します

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 農地での収穫や種まきなどの作業も終わらせてから、またルトたちとのんびりおしゃべりする。

 最近は友だちと過ごすことが少なかったから、久しぶりで楽しい。スラリンたちとはたくさんおしゃべりしてたけど。

「そういや、モモはサーバー合流空間でのイベントに参加するのか?」

 ふとルトが思い出した感じで言い、首を傾げる。

「するよー! アイリーンに新曲作ってもらう予定なんだ♪」

 僕がルンルンと弾んだ声で返事をすると、リリがにこにこと微笑み「はーい」と手を挙げた。

「私、衣装作りたい!」
「お願いしたい!」

 間髪入れずに答える。
 リリなら可愛い衣装作ってくれそうだもん。楽しみー。

「キラキラした感じの衣装にしたいなー」
「じゃあ、これ使える?」

 はい、と青鱗セイリンをリリに渡す。

「わっ、綺麗! 薄い宝石?」
「ううん、魚の鱗ー。綺麗だよね。スタ島で結構重要なアイテムでもあるけど、手に入れるのは簡単なんだよ」

 スタ島で起きたことを順に話していく。
 リリとルトは驚いたり笑ったり呆れたり、表情の変化が目まぐるしい。しっかりとリアクションしてくれるから、話すのも楽しいよ。

「——っていう感じで、いろいろ発見したんだ~」

 報告ついでに、宝箱から入手した剣をルトにプレゼントした。リリには始魔草スタマソウで作った魔力回復薬をあげるねー。

「お、めっちゃいい剣じゃん!」
「わぁ、この魔力回復薬、効果凄そう!」

 二人とも喜んでくれて、僕も嬉しい。
 キラキラした目で剣を眺めていたルトが、視線を上げて「んじゃ——」と口を開く。そして、ポンッと何かを投げてきた。

「おっと……これ、何?」

 ルトがくれたのは虹色の石がついたイヤリング。石がハートの形をしてて可愛い。

「隠れ里のミッションクリアでもらったんだけど、俺は使わないからモモにやるよ」
「ありがとう?」

 隠れ里っていうのは、各街の外側、バトルフィールドのどこかに存在してる人里のことだ。
 僕は行ったことないなー。冒険者ギルドで依頼を受けるとたまに見つけられるらしい。

 とりあえず、イヤリングの鑑定だー。

——————
【友好のイヤリング】レア度☆☆☆
 装備すると、フレンドに対して一時的にステータスを貸与できる
 貸与できる上限値は最大20
——————

 ステータスを貸与?
 いまいち意味がわからなかったから、早速試してみることにした。

「【召喚】ヒスイ!」
「にゃ(……ここどこにゃー?)」

 現れたヒスイがきょろきょろと周囲を見渡す。
 その様子を見たリリの目がキラッと輝いた。

「ネコちゃん! 可愛いー!」
「にゃ(どうもにゃー)」

 褒められて嬉しそうなヒスイが、尻尾をふよふよと動かす。リリの表情が笑みでゆるゆるになった。

 リリって、猫好きって言ってたね。ルトが「あーあ」って感じで苦笑してる。リリの猫好き度合い、結構ひどいの?

「こりゃ、リリまで貢ぎ始めるかもなぁ」
「あ、そういうこと? うーん、ヒスイはイカが好きだよ」

 僕がそう言った途端、リリが不思議そうに首を傾げる。

「ネコちゃんなのに?」
「猫だけど、妖怪モンスターらしいから大丈夫なんでしょ。ショコラだって、普通にチョコ食べるし」

 普通の猫にイカは体に悪いからあげちゃダメなんだよねー。
 まぁ、ここにいるのは動物じゃなくてモンスターだから問題なし!
 僕がそう答えると、リリとルトは納得した感じで頷いた。

「そっか。イカっつーと、前に獲ってきたことあったよな? 黒いやつ」
「うーん、でも、ヒスイにあげたのは海賊モンスターの海賊烏賊パイレイカだよ」
「……突然船を襲ってくるっていう海賊モンスターか……」

 なぜかルトが遠くを見つめた。
 海賊モンスターを食べて何か問題でもある? 美味しいよ。漁村の人たちにはビックリされたけど。

「ねーねー、モモ、この子妖怪モンスターなんだよね?」
「うん。風虎フウガーっていう神魔の眷属だよ」

 僕がリリに答えると、二人が「はっ!?」「えっ?」と固まった。
 そういえば、ヒスイの説明をあんまりしてなかったかも?

 改めて教えたら、リリが感心した様子で「さすモモー」と呟く。それどういう意味?

 ルトは頭を抱えて「はぁー」と大きく息を吐いてた。大丈夫? お薬いる?
 うさぎ印の回復薬を渡す。始薬草スタヤクソウを使ってるから効果抜群だよー。精神疲労に効くかは知らぬ!

「……神使召喚だけでも驚きだったけど、そっか、きっちりと眷属まで仲間にしてたのか……」
「にゃ(強くなるための修行にゃー!)」

 ヒスイがやる気いっぱいな様子で答える。
 強くなる計画立てようねー。とりあえず、ダンジョン行っちゃう?

「あ、イヤリングの効果確かめるために喚んだんだった」

 強くなる、で思い出したよ。
 装備したイヤリングを意識しながらヒスイを見つめる。

「にゃ(どうしたにゃ?)」

 不思議そうなヒスイの声に重なるように、アナウンスが聞こえてきた。

〈フレンドモンスター【ヒスイ】に【友好のイヤリング】を使用できます〉

 ポンッと僕とヒスイのステータス画面が現れた。

 なるほどー?
 ひとまず、物理攻撃力と防御力を貸与してみる。

〈【ヒスイ】に物理攻撃力10、防御力10を貸与しました〉

 おっ、ヒスイのステータスに(+10)、僕のステータスに(-10)の表示ができた。
 こういう感じで使えるのかー。これ、レベリングする時にすごく便利なんじゃない?

「にゃ(すごく強くなった気がするにゃー!)」

 ヒスイが嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。
 一時的な力だけど、喜んでもらえて嬉しいよ。自力で強くなれるようにがんばろうね!

「ルト、いいアクセサリーくれてありがとう!」
「ん。いつもモモには世話になってるからな」

 フッと微笑んだルトに「感謝のハグー」と抱きついたら、背中をポンポンと叩かれた。
 ルトってば、照れ屋さんなんだからー。

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