412 / 555
10章 海は広くて冒険いっぱい
386.楽しい鑑賞会♪
しおりを挟む
映像を最初からちゃんと見ました。
ホラー&サスペンス&アクションな感じで楽しかったよー。
特に暗黒の魔術士の「フハハッ、我が主は海さえも支配する!」という勝ち誇った宣言に対し、凛々しい顔の海エルフが「そんなことさせるものか! 絶対に俺が止めてみせるッ!」と言い返してバトルが始まったところは、手に汗握る展開で興奮した。
もちろん、海エルフが勝ちました! むふー、海エルフのオーシャンさん、カッコよかったー!
「オーシャンさんのファンクラブに入りたい」
「おい、モモ、入り込みすぎだろ……」
ルトに呆れられたけど、僕は本気だよ?
リオさんに「さすがにオーシャン様はもう生きておられないですねー」とにこやかに言われたから諦めるけど。
「この映像って、実際の光景とは違うんですよね?」
リリが尋ねると、リオさんはすぐに頷く。
「当時の者たちの記憶を参照に作り上げた記録です」
「それにしても、映画っぽくする必要はないような……」
「様式美です」
「なんだソレ……」
ルトが半眼でリオさんを見つめるけど、リオさんはニコニコと楽しそうに「ロマンです」と答えるだけだ。
さっきもその言葉を言っていた気がする。海エルフってロマン重視するタイプ?
「とりあえず、昔の呪いについてはわかったね。名前が呪いにかかるきっかけとは知ってたし、新情報はなかった気がする?」
「まぁ、昔のリュウグウが今より広かったっていうのはなんとなく理解できたけどな」
リリとルトが話し合っている。確かに新情報らしきものはなかった?
暗黒の魔術士が黒のローブを被った謎の男で、最終的に倒されることなく逃げただけとか。
主と呼ばれていた人が黒幕だったらしいとか。
使われた呪いに関する情報は現在禁術指定されて、イノカン国王都神殿最奥に保管されているとか。
呪い解除のために、海底都市リュウグウが保有していた秘宝が使用されたとか。
──という情報はあったけど。
……こうして思い出してみたら、結構新情報があった気がするよ?
それはそれとして、僕にとって一番重要な情報はもちろん——
「オーシャンさんはカッコいいっていう情報がわかったよ! 僕もあの魔術使ってみたーい!」
暗黒の魔術士を退けるために使われた、大量の海水を龍のような形にしてぶつける魔術はカッコよかった。習得できないかなー。
ニコニコしてる僕をルトが見下ろし、「気持ちはわからないでもないけど、注目すべきところはそこじゃなかった気がする」と呟いた。
「あれは魔術ではなく水術という海エルフ独自の技術ですよ。知りたいのでしたら、水術士【スイナ】を訪ねてみてください」
リオさんがニコニコと笑いながら二枚貝の貝殻の片割れを差し出してくる。この展開、さっきもあったよ。
ルトがちょっと遠い目をしてるのを視界の端に捉えながら、遠慮なく受け取る。
〈司書・リオルから紹介状【水術士・スイナ】を受け取りました。シークレットエリア【水術鍛錬場】に行けるようになりました〉
マップにしっかりと場所が記されていた。
これでカッコいい技を習得できるようになったねー。
ニコニコと微笑み合う僕とリオさんを見て、ルトが「相性よすぎて展開がガンガン進んでる気がする……」とぼやいた。
リリはちゃっかり「私も欲しいです!」と紹介状をもらってる。ルトにもあげてね。
「水術はともかく、これでシークレットミッションは達成したのか? そのわりには、アナウンスがないけど」
ルトが不思議そうに呟いた。そういえば、まだ達成してないっぽいね? 何か足りてないのかなー?
首を傾げる僕たちを見て、ズズッとレモネードを飲みながらリオさんがパチパチと目を瞬かせる。
「ミッション、ですか?」
「うん。僕たち、過去の呪いが今もこの国を蝕んでるっていう話を聞いて、情報を探しにここに来たんだ。でも、まだなんか情報が足りてないみたいなんだよねー」
シークレットミッションの内容を教えてみると、リオさんは「なるほど」と頷いた。深刻そうな顔だけど、残っていたポップコーンを口に放り込む感じがマイペースでシュール。
ルトに『似た者同士だな』って目で見られるけど、僕ってこんな風かな?
「もぐもぐ……そういえば、年々海エルフの出生率が下がっているのは、過去の呪いのせいじゃないかって言っている人がいましたねー。まだ完全に呪いが解除できていないせいなら、どうしたらいいのか……」
「おお、人口減少は大問題」
リオさんの明るい口調では問題の重さがわかりにくいけど、きっと困っている人が多いはず。
シークレットミッションでは『過去の出来事を調べたら、新たな道が開けるはず』的なことが書いてあったし、なんか解決策がありそう。
つまり、このミッションは、ゆくゆくは過去の呪いを完全に解けってことだよね?
ルトたちとコソコソと話し合って、意見が一致した。
とりあえず、呪いの解除方法については、イノカン国王都神殿に聞きに行かないと情報がなさそうだ。
「宝物庫にある秘宝が呪い解除に使用されたと聞いてますし、一度見に行かれてみては? 問題を解決してもらえると、私たちも助かりますし」
にこやかに微笑んだリオさんから、キラキラと輝く赤珊瑚のようなものを渡された。
〈シークレットミッション【海底都市の呪い調査】をクリアしました。報酬としてアイテム【宝物庫立ち入り許可証】が贈られます。シークレットエリア【宮殿・宝物庫】に行けるようになりました〉
〈シークレットミッション【救いの道を求めて】が開始しました〉
——————
シークレットミッション【救いの道を求めて】
海底都市リュウグウにかけられた呪いの残滓を消し去る手段とは——?
探索の先に明るい未来が待っている!
〈クリア報酬〉
???
——————
ミッションをクリアしたと思ったら新たなミッションが始まりましたー。
……うん、引き続きクリアできるようにがんばるよ。
ホラー&サスペンス&アクションな感じで楽しかったよー。
特に暗黒の魔術士の「フハハッ、我が主は海さえも支配する!」という勝ち誇った宣言に対し、凛々しい顔の海エルフが「そんなことさせるものか! 絶対に俺が止めてみせるッ!」と言い返してバトルが始まったところは、手に汗握る展開で興奮した。
もちろん、海エルフが勝ちました! むふー、海エルフのオーシャンさん、カッコよかったー!
「オーシャンさんのファンクラブに入りたい」
「おい、モモ、入り込みすぎだろ……」
ルトに呆れられたけど、僕は本気だよ?
リオさんに「さすがにオーシャン様はもう生きておられないですねー」とにこやかに言われたから諦めるけど。
「この映像って、実際の光景とは違うんですよね?」
リリが尋ねると、リオさんはすぐに頷く。
「当時の者たちの記憶を参照に作り上げた記録です」
「それにしても、映画っぽくする必要はないような……」
「様式美です」
「なんだソレ……」
ルトが半眼でリオさんを見つめるけど、リオさんはニコニコと楽しそうに「ロマンです」と答えるだけだ。
さっきもその言葉を言っていた気がする。海エルフってロマン重視するタイプ?
「とりあえず、昔の呪いについてはわかったね。名前が呪いにかかるきっかけとは知ってたし、新情報はなかった気がする?」
「まぁ、昔のリュウグウが今より広かったっていうのはなんとなく理解できたけどな」
リリとルトが話し合っている。確かに新情報らしきものはなかった?
暗黒の魔術士が黒のローブを被った謎の男で、最終的に倒されることなく逃げただけとか。
主と呼ばれていた人が黒幕だったらしいとか。
使われた呪いに関する情報は現在禁術指定されて、イノカン国王都神殿最奥に保管されているとか。
呪い解除のために、海底都市リュウグウが保有していた秘宝が使用されたとか。
──という情報はあったけど。
……こうして思い出してみたら、結構新情報があった気がするよ?
それはそれとして、僕にとって一番重要な情報はもちろん——
「オーシャンさんはカッコいいっていう情報がわかったよ! 僕もあの魔術使ってみたーい!」
暗黒の魔術士を退けるために使われた、大量の海水を龍のような形にしてぶつける魔術はカッコよかった。習得できないかなー。
ニコニコしてる僕をルトが見下ろし、「気持ちはわからないでもないけど、注目すべきところはそこじゃなかった気がする」と呟いた。
「あれは魔術ではなく水術という海エルフ独自の技術ですよ。知りたいのでしたら、水術士【スイナ】を訪ねてみてください」
リオさんがニコニコと笑いながら二枚貝の貝殻の片割れを差し出してくる。この展開、さっきもあったよ。
ルトがちょっと遠い目をしてるのを視界の端に捉えながら、遠慮なく受け取る。
〈司書・リオルから紹介状【水術士・スイナ】を受け取りました。シークレットエリア【水術鍛錬場】に行けるようになりました〉
マップにしっかりと場所が記されていた。
これでカッコいい技を習得できるようになったねー。
ニコニコと微笑み合う僕とリオさんを見て、ルトが「相性よすぎて展開がガンガン進んでる気がする……」とぼやいた。
リリはちゃっかり「私も欲しいです!」と紹介状をもらってる。ルトにもあげてね。
「水術はともかく、これでシークレットミッションは達成したのか? そのわりには、アナウンスがないけど」
ルトが不思議そうに呟いた。そういえば、まだ達成してないっぽいね? 何か足りてないのかなー?
首を傾げる僕たちを見て、ズズッとレモネードを飲みながらリオさんがパチパチと目を瞬かせる。
「ミッション、ですか?」
「うん。僕たち、過去の呪いが今もこの国を蝕んでるっていう話を聞いて、情報を探しにここに来たんだ。でも、まだなんか情報が足りてないみたいなんだよねー」
シークレットミッションの内容を教えてみると、リオさんは「なるほど」と頷いた。深刻そうな顔だけど、残っていたポップコーンを口に放り込む感じがマイペースでシュール。
ルトに『似た者同士だな』って目で見られるけど、僕ってこんな風かな?
「もぐもぐ……そういえば、年々海エルフの出生率が下がっているのは、過去の呪いのせいじゃないかって言っている人がいましたねー。まだ完全に呪いが解除できていないせいなら、どうしたらいいのか……」
「おお、人口減少は大問題」
リオさんの明るい口調では問題の重さがわかりにくいけど、きっと困っている人が多いはず。
シークレットミッションでは『過去の出来事を調べたら、新たな道が開けるはず』的なことが書いてあったし、なんか解決策がありそう。
つまり、このミッションは、ゆくゆくは過去の呪いを完全に解けってことだよね?
ルトたちとコソコソと話し合って、意見が一致した。
とりあえず、呪いの解除方法については、イノカン国王都神殿に聞きに行かないと情報がなさそうだ。
「宝物庫にある秘宝が呪い解除に使用されたと聞いてますし、一度見に行かれてみては? 問題を解決してもらえると、私たちも助かりますし」
にこやかに微笑んだリオさんから、キラキラと輝く赤珊瑚のようなものを渡された。
〈シークレットミッション【海底都市の呪い調査】をクリアしました。報酬としてアイテム【宝物庫立ち入り許可証】が贈られます。シークレットエリア【宮殿・宝物庫】に行けるようになりました〉
〈シークレットミッション【救いの道を求めて】が開始しました〉
——————
シークレットミッション【救いの道を求めて】
海底都市リュウグウにかけられた呪いの残滓を消し去る手段とは——?
探索の先に明るい未来が待っている!
〈クリア報酬〉
???
——————
ミッションをクリアしたと思ったら新たなミッションが始まりましたー。
……うん、引き続きクリアできるようにがんばるよ。
1,215
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。