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1-3.もふもふダンジョンの作り方〈公開前3日目〉
27.獣人たち大丈夫?
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俺が呆れていると、難しい表情で黙っていた女性が口を開いた。
[卵から孵った古竜にはどう対応するの?]
だよな! それが一番重要なはず!
心から共感して強く頷いていたら、リルとエンドに不思議そうに見つめられた。この二体は古竜の影響力の強さをいまいち理解してない。
古竜って災害級の魔物なんだぞ? 人里を襲えば、壊滅させること間違いなしなんだぞ? 国ごと滅びてもおかしくないんだぞ?
……さすがに、獣人たちはこの恐ろしさを理解してるよな?
そこはかとない不安を感じるのはなぜだろう。
モニターの方を確認する。
獣人の男たちは顔を見合わせて困った顔をしていた。
[そう言われてもなぁ。ここにいないなら、俺たちじゃどうしようもないし]
[というか、ここにいたとしても逃げるしかねぇし]
[いなくて良かったじゃん]
頷き合っている男たちはあまりにお気楽だ。
女性も俺と同じことを思っているのか、呆れた表情をしてる。
めちゃくちゃこの女性に同情しちゃうよ。
[バカね。私たちがきちんと報告をしなかったら、どこかの街が警戒することもできずに襲われるかもしれないでしょ。どこに行ったかわからないのよ? 報告をして、国を挙げて探すべきよ]
正論だ。それなのに男たちは納得してなさそうな顔をしてる。
[古竜に警戒とか、意味なくないか?]
[報告したところで、国が動いてくれるとは思えないなぁ。俺らが責任取らされる可能性すらあるぜ? 超理不尽]
[ここの監視任務だって、形骸化してただろ。どっかが襲われたら最後、諦めるしかない]
[そもそも、どこかの街が古竜に襲われたからって、その個体がここにあった卵から生まれたなんて証明できないし]
彼らの言い分には一理ある。
古竜とは、この世界において抗いようのない脅威であり、災厄だ。人間の対策なんて意味ない。
まぁ、たまたま勇者が遭遇したら、討伐できるのかもしれないけど。
[でも、古竜被害が生じたら、必ずここに確認しに来るでしょ。虚偽報告がバレたら私たち全員が咎められるよ?]
[報告なんて一年に一回程度なんだし、そんな状況が来てから報告すればいいだろ]
女性が口を閉ざした。表情が『確かに』と言ってるように見える。ズルに負けるな!
[……そうね]
負けちゃった。古竜の情報が隠されることが決定したようだ。
いや、俺はそれでいいんだけどさ。警戒されたら、ダンジョンにも影響あるかもしれないし。
今後この山で魔物狩りをしても、古竜のせいってことで見逃してもらえるかもしれないな。
多少警戒はされても、見に来ることはないだろう。獣人だって、古竜と戦いたくはないはず。
『んー……この山の中なら、自由に行動しても良さそう? マスターは人間と敵対したくないんだもんね?』
「そうだな。麓まで近づかなきゃ大丈夫かも」
リルに答えたら、目が輝いた。エンドも嬉しそうに羽ばたいている。……やり過ぎる気がして不安だ。
『狩り、楽しみだな~』
『狩りの仕方、教えるね』
『うん? わかった。よろしく!』
たぶんエンドは生まれながらに戦い方を知ってると思う。リルだってそうだったし。でも、きちんとリルを上位者として尊重して頷くところが大人だ。
『マスター、どうする? 彼らを消した方がいいかしら?』
不意にアリーの声が聞こえた。すごく物騒なこと言ってる。
「いや、消すな。俺たちに不干渉な感じで不利益はないし。むしろ、きちんと卵のことを街に報告してもらって、この場と距離を置いてくれる方がありがたい」
『あら、そうなのね。わかったわ』
頷いたアリーが飛んで移動する。獣人たちも帰るようだ。いつ古竜が襲ってくるかわからないんだから、山にいるのは怖いもんな。
『マスター、狩りに行ってくるね! 良いDP探してくるよ』
「えっ」
パッと振り返った時にはリルの姿がなかった。エンドがきょとんとしてる。
『えっと……ボクも行ってきていい?』
「待て。つーか、リルも今はダメなんだけど……」
慌ててダンジョンゲートに向かうと、すでにリルの姿は外にあった。
「あー……神狼を目撃されたら、それはそれで騒ぎになるだろ……」
額を押さえて俯く。
古竜と比べたら、あまり脅威扱いされないとはいえ、神狼も十分に恐れられる魔物なはずなのに。
『リルくんの気配がこっちにあるんだけれど?』
「……うん、今、そっちに狩りに行った」
『そうなの。合流した方がいいかしら?』
「頼んだ。リルが暴れて、獣人たちに見つかることがないようにしてくれ」
アリーには荷が重いかもしれないけど、とりあえず頼んでみる。アリーがクスクスと微笑む音が聞こえた。
『できる限りがんばってみるわ——あら?』
「……何があった?」
問いかけに答えが返るより先に、リルを目指して飛んでいたアリーの視界に驚きの光景が映った。
リルがいる。その足元には巨大な猪のような魔物が倒れていた。早速魔物を倒していたのか。
まぁ、それだけなら大して驚くことではなかったんだけど……
「——なんっで、リルの周りで獣人が跪いてんの!?」
先ほど古竜の卵跡地で見た狼族獣人たちが、リルの前で両膝を地面につけ、頭を低く下げていた。まるで神に平伏すように。
いったい、この短時間で何があったんだ……?
[卵から孵った古竜にはどう対応するの?]
だよな! それが一番重要なはず!
心から共感して強く頷いていたら、リルとエンドに不思議そうに見つめられた。この二体は古竜の影響力の強さをいまいち理解してない。
古竜って災害級の魔物なんだぞ? 人里を襲えば、壊滅させること間違いなしなんだぞ? 国ごと滅びてもおかしくないんだぞ?
……さすがに、獣人たちはこの恐ろしさを理解してるよな?
そこはかとない不安を感じるのはなぜだろう。
モニターの方を確認する。
獣人の男たちは顔を見合わせて困った顔をしていた。
[そう言われてもなぁ。ここにいないなら、俺たちじゃどうしようもないし]
[というか、ここにいたとしても逃げるしかねぇし]
[いなくて良かったじゃん]
頷き合っている男たちはあまりにお気楽だ。
女性も俺と同じことを思っているのか、呆れた表情をしてる。
めちゃくちゃこの女性に同情しちゃうよ。
[バカね。私たちがきちんと報告をしなかったら、どこかの街が警戒することもできずに襲われるかもしれないでしょ。どこに行ったかわからないのよ? 報告をして、国を挙げて探すべきよ]
正論だ。それなのに男たちは納得してなさそうな顔をしてる。
[古竜に警戒とか、意味なくないか?]
[報告したところで、国が動いてくれるとは思えないなぁ。俺らが責任取らされる可能性すらあるぜ? 超理不尽]
[ここの監視任務だって、形骸化してただろ。どっかが襲われたら最後、諦めるしかない]
[そもそも、どこかの街が古竜に襲われたからって、その個体がここにあった卵から生まれたなんて証明できないし]
彼らの言い分には一理ある。
古竜とは、この世界において抗いようのない脅威であり、災厄だ。人間の対策なんて意味ない。
まぁ、たまたま勇者が遭遇したら、討伐できるのかもしれないけど。
[でも、古竜被害が生じたら、必ずここに確認しに来るでしょ。虚偽報告がバレたら私たち全員が咎められるよ?]
[報告なんて一年に一回程度なんだし、そんな状況が来てから報告すればいいだろ]
女性が口を閉ざした。表情が『確かに』と言ってるように見える。ズルに負けるな!
[……そうね]
負けちゃった。古竜の情報が隠されることが決定したようだ。
いや、俺はそれでいいんだけどさ。警戒されたら、ダンジョンにも影響あるかもしれないし。
今後この山で魔物狩りをしても、古竜のせいってことで見逃してもらえるかもしれないな。
多少警戒はされても、見に来ることはないだろう。獣人だって、古竜と戦いたくはないはず。
『んー……この山の中なら、自由に行動しても良さそう? マスターは人間と敵対したくないんだもんね?』
「そうだな。麓まで近づかなきゃ大丈夫かも」
リルに答えたら、目が輝いた。エンドも嬉しそうに羽ばたいている。……やり過ぎる気がして不安だ。
『狩り、楽しみだな~』
『狩りの仕方、教えるね』
『うん? わかった。よろしく!』
たぶんエンドは生まれながらに戦い方を知ってると思う。リルだってそうだったし。でも、きちんとリルを上位者として尊重して頷くところが大人だ。
『マスター、どうする? 彼らを消した方がいいかしら?』
不意にアリーの声が聞こえた。すごく物騒なこと言ってる。
「いや、消すな。俺たちに不干渉な感じで不利益はないし。むしろ、きちんと卵のことを街に報告してもらって、この場と距離を置いてくれる方がありがたい」
『あら、そうなのね。わかったわ』
頷いたアリーが飛んで移動する。獣人たちも帰るようだ。いつ古竜が襲ってくるかわからないんだから、山にいるのは怖いもんな。
『マスター、狩りに行ってくるね! 良いDP探してくるよ』
「えっ」
パッと振り返った時にはリルの姿がなかった。エンドがきょとんとしてる。
『えっと……ボクも行ってきていい?』
「待て。つーか、リルも今はダメなんだけど……」
慌ててダンジョンゲートに向かうと、すでにリルの姿は外にあった。
「あー……神狼を目撃されたら、それはそれで騒ぎになるだろ……」
額を押さえて俯く。
古竜と比べたら、あまり脅威扱いされないとはいえ、神狼も十分に恐れられる魔物なはずなのに。
『リルくんの気配がこっちにあるんだけれど?』
「……うん、今、そっちに狩りに行った」
『そうなの。合流した方がいいかしら?』
「頼んだ。リルが暴れて、獣人たちに見つかることがないようにしてくれ」
アリーには荷が重いかもしれないけど、とりあえず頼んでみる。アリーがクスクスと微笑む音が聞こえた。
『できる限りがんばってみるわ——あら?』
「……何があった?」
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リルがいる。その足元には巨大な猪のような魔物が倒れていた。早速魔物を倒していたのか。
まぁ、それだけなら大して驚くことではなかったんだけど……
「——なんっで、リルの周りで獣人が跪いてんの!?」
先ほど古竜の卵跡地で見た狼族獣人たちが、リルの前で両膝を地面につけ、頭を低く下げていた。まるで神に平伏すように。
いったい、この短時間で何があったんだ……?
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