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入学編
第二十三話 魔法実技試験(後編)
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説明を終え、魔法科の教師が生徒を順番に呼ぶ。
名前が呼ばれた生徒達は闘技場の真ん中に立ち、それぞれここ数ヶ月で鍛えた魔法を展開し始めた。
ヨハンが他の生徒達の対戦を見ていると、シェバンニがヨハンの下に来る。
「あれ?先生どうかしましたか?」
どうしたのかと不思議に思う。
「いえ、注意事項の説明ではああ言いましたが、あなたには別の注意が必要と思いまして」
「?」
要領を掴めない中にシェバンニが顔を近づけて来た。
「魔法障壁の件です。もしかしたらですが、あなたが思いきり魔法を使ってしまうと相手が危険なことになりかねません。もちろんあなたのことだからそんなことにはならないとは思いますが、念のためにですね」
「!?」
いきなりの発言に驚き困惑する。
「おや?気付いていないとでも思っていましたか?上級の魔導士が魔力量の探知などを普段から行っていれば、感覚が研ぎ澄まされ相手の魔法に関することがある程度わかるようになるのですよ。もちろん熟練者になればなるほど魔力を抑えるなどして相手に気取られないようにしていますが。あなたはこれからそういうこともしていかなければなりませんね。とにかく、以上のことから今回の実技試験では全力をださないように」
「そうでしたか、もしかして先生方はみんなご存知なのですか?」
「いえいえ、私と校長と一部の先生だけですよ。この技術は実践で培われるものですが、先生の中には実際の戦場を知らない先生もいますしね。何故あなたが控えめにしているのかはわかりませんが、聡明なあなたのことですから考えがあるのでしょう。ではよろしくお願いします」
シェバンニはそう言うと自分の持ち場に戻っていった。
「――ねぇ、ヨハン?シェバンニ先生はどうしたの?」
そこへ試験を終えたモニカがヨハンに尋ねる。
「(うーん、なんて言おうかな)……えっと、試験……頑張って?」
「なにそれ?」
意味がわからずモニカは小さく笑う。
「それより、モニカは試験どうだったの?」
「どうもこうもないわ。対人なら私の風魔法ですぐに倒しちゃったわよ」
えへっとはにかみながらモニカが答える。
「そっか、さすがだね。――あっ、今はエレナがやってるね」
闘技場を見るとエレナが火の魔法で相手を一蹴していたところだった。
ヨハンとモニカが見ていることに気付いたエレナは客席の二人に向かいピースサインをしている。
そうして次に闘技場に出てきたのはレインとゴンザだった。
しばらくレインとゴンザは互いに動き回りながら魔法を放ち続ける。
戦局は互角な様子で、互いに魔法を繰り出しながらもなんとかしようと試みるのだが、最終的には時間切れで引き分けになり、ぜぇぜぇと息を切らせてレインが戻って来た。
「ちょっとレイン情けないわね」
「いやいや待て待て、あいつなんだかんだ言いながら結構やるんだって」
「そうみたいですわね。レインと互角にやりあえるのってそう多くはいないでしょうからね」
「ぐすっ!俺のことを理解するのはあなただけだ!エレナっさぁぁぁぁっん」
レインがエレナに抱き付こうとするがエレナが素早く横に避ける。レインは壁にガンッと音を立てて顔を打ち付けた。
「つぅううううう」
「なにバカなことやってるの。まぁでも確かにそれもそうね。レインもシェバンニ先生の補習とギルドの依頼でだいぶ能力が上がってるしね」
「そうなんだよ!実際あのオニババアの補習ってかーなーりきつかったけど俺もみんなと一緒の所に立ちたいしね!」
額を擦りながら涙目のレイン。
「――あっ、次は僕みたいだ。行ってくるよ」
そうしてヨハンの名前が呼ばれ、闘技場に向かう。
「ヨハン、頑張ってね!」
「頑張ってくださいませ」
モニカとエレナが声を掛ける。
そうしてヨハンの姿が廊下の角を曲がって見えなくなった。
「なぁ、けどさ、ヨハンって魔法の方はどうなんだ?全属性使えるのは知ってるけど、ギルド長の依頼の時も魔法はそんなに使ってないよな?」
「さぁ?詳しくは知らないわ。あんまり目立たないようにしているみたいだしね」
「あら?モニカも気付いていましたか?そのようですわね」
「ん?そうなの??」
レインがきょとんとする。
「「ふぅ」」
レインを横目にモニカとエレナが嘆息する。
「そういうところですわよ?」
「だね」
「えっ?えっ?」
何故今そんな風に見られるのか理解できなかった。
――――ヨハンが闘技場の中央に立ち、目の前にはどこか影の薄い学生が立っている。
「この子が僕の相手か。シェバンニ先生にああ言われたしね。ほどほどにっと」
開始の合図待っている間、目の前の子を見るが、特に見覚えはなかった。
「はじめっ!」
審判をしている教師が合図を出す。
シェバンニの言いつけもあったので控えめに魔法を放とうとしたのだが、目の前の影の薄い学生は既にヨハンに向かって特大の火の玉を放っていた。
「ちょ――――」
ヨハンが居た場所に火の玉は着弾して大きな爆発音を立てた。
名前が呼ばれた生徒達は闘技場の真ん中に立ち、それぞれここ数ヶ月で鍛えた魔法を展開し始めた。
ヨハンが他の生徒達の対戦を見ていると、シェバンニがヨハンの下に来る。
「あれ?先生どうかしましたか?」
どうしたのかと不思議に思う。
「いえ、注意事項の説明ではああ言いましたが、あなたには別の注意が必要と思いまして」
「?」
要領を掴めない中にシェバンニが顔を近づけて来た。
「魔法障壁の件です。もしかしたらですが、あなたが思いきり魔法を使ってしまうと相手が危険なことになりかねません。もちろんあなたのことだからそんなことにはならないとは思いますが、念のためにですね」
「!?」
いきなりの発言に驚き困惑する。
「おや?気付いていないとでも思っていましたか?上級の魔導士が魔力量の探知などを普段から行っていれば、感覚が研ぎ澄まされ相手の魔法に関することがある程度わかるようになるのですよ。もちろん熟練者になればなるほど魔力を抑えるなどして相手に気取られないようにしていますが。あなたはこれからそういうこともしていかなければなりませんね。とにかく、以上のことから今回の実技試験では全力をださないように」
「そうでしたか、もしかして先生方はみんなご存知なのですか?」
「いえいえ、私と校長と一部の先生だけですよ。この技術は実践で培われるものですが、先生の中には実際の戦場を知らない先生もいますしね。何故あなたが控えめにしているのかはわかりませんが、聡明なあなたのことですから考えがあるのでしょう。ではよろしくお願いします」
シェバンニはそう言うと自分の持ち場に戻っていった。
「――ねぇ、ヨハン?シェバンニ先生はどうしたの?」
そこへ試験を終えたモニカがヨハンに尋ねる。
「(うーん、なんて言おうかな)……えっと、試験……頑張って?」
「なにそれ?」
意味がわからずモニカは小さく笑う。
「それより、モニカは試験どうだったの?」
「どうもこうもないわ。対人なら私の風魔法ですぐに倒しちゃったわよ」
えへっとはにかみながらモニカが答える。
「そっか、さすがだね。――あっ、今はエレナがやってるね」
闘技場を見るとエレナが火の魔法で相手を一蹴していたところだった。
ヨハンとモニカが見ていることに気付いたエレナは客席の二人に向かいピースサインをしている。
そうして次に闘技場に出てきたのはレインとゴンザだった。
しばらくレインとゴンザは互いに動き回りながら魔法を放ち続ける。
戦局は互角な様子で、互いに魔法を繰り出しながらもなんとかしようと試みるのだが、最終的には時間切れで引き分けになり、ぜぇぜぇと息を切らせてレインが戻って来た。
「ちょっとレイン情けないわね」
「いやいや待て待て、あいつなんだかんだ言いながら結構やるんだって」
「そうみたいですわね。レインと互角にやりあえるのってそう多くはいないでしょうからね」
「ぐすっ!俺のことを理解するのはあなただけだ!エレナっさぁぁぁぁっん」
レインがエレナに抱き付こうとするがエレナが素早く横に避ける。レインは壁にガンッと音を立てて顔を打ち付けた。
「つぅううううう」
「なにバカなことやってるの。まぁでも確かにそれもそうね。レインもシェバンニ先生の補習とギルドの依頼でだいぶ能力が上がってるしね」
「そうなんだよ!実際あのオニババアの補習ってかーなーりきつかったけど俺もみんなと一緒の所に立ちたいしね!」
額を擦りながら涙目のレイン。
「――あっ、次は僕みたいだ。行ってくるよ」
そうしてヨハンの名前が呼ばれ、闘技場に向かう。
「ヨハン、頑張ってね!」
「頑張ってくださいませ」
モニカとエレナが声を掛ける。
そうしてヨハンの姿が廊下の角を曲がって見えなくなった。
「なぁ、けどさ、ヨハンって魔法の方はどうなんだ?全属性使えるのは知ってるけど、ギルド長の依頼の時も魔法はそんなに使ってないよな?」
「さぁ?詳しくは知らないわ。あんまり目立たないようにしているみたいだしね」
「あら?モニカも気付いていましたか?そのようですわね」
「ん?そうなの??」
レインがきょとんとする。
「「ふぅ」」
レインを横目にモニカとエレナが嘆息する。
「そういうところですわよ?」
「だね」
「えっ?えっ?」
何故今そんな風に見られるのか理解できなかった。
――――ヨハンが闘技場の中央に立ち、目の前にはどこか影の薄い学生が立っている。
「この子が僕の相手か。シェバンニ先生にああ言われたしね。ほどほどにっと」
開始の合図待っている間、目の前の子を見るが、特に見覚えはなかった。
「はじめっ!」
審判をしている教師が合図を出す。
シェバンニの言いつけもあったので控えめに魔法を放とうとしたのだが、目の前の影の薄い学生は既にヨハンに向かって特大の火の玉を放っていた。
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