とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第223話 レオンの本心

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 レオンに一瞬で見破られた事に私は動揺してしまい、その場で固まってしまう。
 そして私は、とりあえず何か言い返さなければと思ったのか片言で話し出していた。

「クリス? ダレ? ワタシ、チガウヨ」
「何で片言?」

 私の態度にレオンは首を傾げつつ、少し笑っていた。
 私はレオンの方を向かずに、目線を反対方向へと向けていた。
 やばい、どうしよう。
 まさか一発で見破られるとは思わなかった……てか、何ですぐ分かるのよ!
 私は心の中でレオンに対して不満の声を上げた。

「え~と、どうすればいいのかな。クリス……では、ないのか?」

 レオンが困った様な声で訊ねて来たので、私はそれに対して素早く頷いた。
 その反応で、既に自分はクリスだと言っている様なものだったが、私はそんな事は考えずにとりあえずこの場をやり過ごせればいいと思い、そんな態度をとっていた。
 するとレオンは、その私の返答を見て小さく噴き出す様に笑った。

「な、何よ……」

 私は横目でレオンの方を向いた。

「いや、ごめん。クリスではないんだな。それじゃ、君は何て言うんだい?」
「へぇ?」
「名前だよ。何て言うんだい?」

 まさかの問いかけに私はテンパってしまい、右上や左上を交互に見ながら必死に考え始めた。
 名前!? 名前……名前か……アリスじゃ、そのままだし、クリスをもじって……あ~! こう言うの考えるの苦手なんだよね……
 その後目を瞑って少し唸りつつ考えて絞り出し考え付いた名前を、私は口に出した。

「アリ――」
「アリ?」
「アリ、ア……アリアよ」
「……アリア、ね。ふふふ、アリア」
「な、何で笑うのよ!」
「ごめんよ。用意できていない事については、苦手なんだなと思って」
「うっさい……」

 私とレオンがそんな会話をしていると、そこに後ろからトウマが現れて声を掛けて来た。

「おっ、レオン!」

 するとレオンはトウマの声に反応して振り返るが、私はそのまま背を向けたまま顔は向けなかった。

「トウマ。どうしたんだい?」
「あ~すまん。取り込み中だったか?」

 レオンは一瞬私の方を見てから、トウマの問いかけに答えた。

「まぁね。ちょっと口説いていた所」
「そりゃ悪いことした」
「いいや、大丈夫さ。それで、何か僕に用があって声を掛けたんだろ?」

 レオンの返答にトウマは一瞬首を傾げたが、直ぐに終わる用件だったのでそのまま口に出し始めた。

「クリス見なかったか? さっきまで一緒に居たんだが、どこかに行っちまってよ」
「クリスがかい?」
「あぁ。レオンを偶然今見たからよ、こっちの方に居たなら見てないかと思って声を掛けたんだよ」
「なるほどね。でもすまない、クリスは見てないんだ。この子と話をしていたからね」

 そう言ってレオンは、私の方に手を向けてトウマに話した。
 私は顔は向けずに、軽く頭を下げた。

「そうか。いや~変な時に声を掛けてすまないな。それじゃ、邪魔者はもう行くんで。あぁ、もしクリスを見たら俺やルークたちが探してるって言ってくれるか?」
「分かったよ。見かけたら、そう伝えておくよ」
「サンキュー、レオン」

 そのままトウマは、その場から離れて行った。
 そして再びレオンと私だけになると、レオンは私の方を向いて来た。

「だそうだよ、アリア」
「な、何の事だか分からないわ……クリスとかトウマとかルークとか全く知らないわ」
「キャラがブレブレだよ。まぁ、何か色々あってそんな事をしているのは分かったよ、アリア」

 レオンはもう何となく理解したかの様に私に言って来たので、私もこれ以上しらを切るのは難しいと悟った。

「……レオン、見逃してくれたのはどうして?」
「それは、君がクリスじゃないからだよ」
「いや、もう完全に私が誰か分かってるよね」
「まぁね。でも、バラして欲しかった訳じゃないんでしょ?」

 私はその問いかけに少し間を空けてから、ゆっくりと頷いて答えた。

「それに何か想定外の事態になっている様だし、話でも聞かせてくれないか?」

 その優しい問いかけに、私はこのまま1人でこの状況を解決するよりもここまでバレてしまったらレオンを協力者とする方が、いいのではと思い始めたので、この状況に至った経緯を話した。

「そ、そんな事あり得るのかい?」
「あり得るのよ。現に、私がこうなんだから」
「そうか……そうだね……」

 さすがのレオンも、魔道具の実験で体型が変わった事などに驚きを隠せずにいた。
 そりゃそうだよね。
 私も動揺したもん。
 その後レオンは、暫く何を考えた後私にとある提案をして来た。

「とりあえず夕刻まではその姿をするんだよね?」
「えぇ。そのくらいには元に戻るって言ってたし」
「なら、それまで僕とデートをしよう」
「……はぁ?」

 私は突然レオンの口からデートと言う言葉が出て来たので、驚いてしまった。
 デート……デート!? あの男女でどこか一緒に出掛けるあれだよね? 何で!?
 私は頭の中でその理由を懸命に考えたが、分からずハテナマークが頭から出始めていた。

「急だったよね。でも、そのまま1人で校内を歩くよりも、誰かと一緒の方が変に見られないだろ。それに、さっきもトウマにバレてなかったし、一緒に居れば何かあった時に僕も対応できるしいい案だと思うんだけど」
「そう言う事か……急にデートとか言うから焦っちゃったよ」
「デートって言ったのは冗談じゃないよ」
「えっ……どう言う事?」
「ほら、以前に僕にデート相手を頼んで来た時があったろ。結局は出来なかったけど、結構楽しみにしていたんだよデート」

 まさかの発言に、私は急に恥ずかしくなってしまい耳を赤くしてしまう。

「あの時は、僕が原因で迷惑をかけたからね。申し訳なかった。だから、今日あの時のリベンジとしてデートをしたいんだよ、君と」

 私はレオンからの言葉にどう答えていいか分からず、黙ってしまう。
 この時私は以前、レオンに告白の様な事をされた事を同時に思い出していた為、余計にどうしていいか分からずにいた。
 今は眼鏡をかけていたお陰で、少し俯けば目線がキョロキョロしている事がバレないのでその態度をレオンには見せていた。
 何で急にそんな事を言い出すのよ、レオン! まさか、あの時の続きを今されているの!?
 私は勝手に以前の告白まがいの事から逃げた時の続きを今されているのではないかと錯覚し始めていた。
 その為、胸の鼓動が徐々に早くなりつつあった。
 そんな私の様子を見たレオンが、何かを察したのか声を掛けて来た。

「アリア、そんなに重く考えないでいいぞ。告白とかじゃなくて、僕は友達として君の事を知りたいから、以前の事を例えとして言っているだけなんだ。何か勘違いさせてしまったら、悪い……」
「そ、そっか……そうだよね。あははは、ごめん。何か変に考えちゃって、あははは……」
「いいや、僕の方こそ悪かった。それでどうかな? 一緒にアリアとして回るって言う案は?」

 私はその提案に対して、顔の赤さがバレるのが嫌だったのでレオンから視線を外して「それなら、いいよ」と答えた。
 その時耳はまだ赤いままで、髪から少し見えておりレオンにはそれが視界に入っていた。

「(そう言う反応をしてくれるって事は、僕にも脈はゼロじゃないって事かな……また少し攻めすぎた、かな。まぁ、嘘は言っていないし、伝える事は伝えたから良しとするか)」

 その後、私は顔の暑さが治ってからレオンと共に学院祭をクリスでもアリスでもなく、アリアと言う人物として回り始めた。
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