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第394話 塀を超えたその先には
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「で、自分を縛って何を宣言してたんだよ?」
クリスは冷たい目でロープを解いて自由になったトウマを見ながら、改めて問いかけた。
「それはだな」
トウマは誤解を解く為と思い、これまでの事情を話そうとしたがそれをすると自分も一緒に女湯を覗こうとしていたと教えてしまうと気付く。
そんな事をすれば、関係性が終わってしまうと思い直ぐに口をつぐむ。
「? それは、何だよトウマ」
「……いや、あのだな、その……やっぱり言えん」
そのまま軽く俯くトウマに対して、クリスはジト目で見つめるが直ぐに小さくため息をつく。
「まあ、何でもいいけどさ。誰しも言えない事の一つや二つはあるもんだし」
「(あー言いたい、この場で次期寮長として頑張っている事を伝えれば変な誤解も解けるのに。だがそれを言うと、クリスの中で俺の立ち位置が暴落するから言えない。あーもどかしい! こうなったのもライラックが変な事企むからだ!)」
トウマは少しやけくそ気味に全てをライラックのせいにするのだった。
その後トウマは、さっさとこの一件を片付けてしまうと立ち上がり、ライラックの後を追う為に部屋の出口へと向かう。
「トウマどこ行くんだ?」
「それは言えない。が、一つだけ一つだけ言える」
クリスがその場で軽く首を傾げると、トウマは立ち止まり顔だけクリスに向けて言い放つ。
「さっきのあれは、決して趣味とかじゃないから! 絶対に勘違いしないでくれー!」
「……あ、ああ」
「今俺が言えるのはそれだけだ」
トウマは何かを言いたいが言えない表情をチラッと見せた後、走ってその場から立ち去って行くのだった。
残されたクリスは一人状況が理解出来ず、少し開いた口が塞がらない表情をしていた。
「な、なんだったんだ今の時間は……よく分かんないけど、トウマにも色々あるんだろうな」
クリスはそう呟いた後、部屋から出て自室へと戻り始めた時にふとある事を思い出す。
「(そう言えば、ルークの奴途中まで皆と遊技場に居たのに、途中からいなくなっていたな。どこ行ったんだ? まぁいっか。それより、あのマッサージしてくれる最新の椅子型の魔道具凄かったな~また明日行こうかな)」
そんな事を思いつつ、クリスはホテルの廊下を歩いて行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「よしお前ら、心の準備はいいか?」
ライラックは男湯の脱衣所にて服を全て脱ぎ腰にタオルだけを巻いた状態で、同じく状態の同志たちに声を掛けると騒がしくせず「おー!」と返事をする。
「それでは突入だ!」
その言葉と共に皆が温泉へと入って行く。
今回のライラックが立てた作戦は至ってシンプルであった。
男湯と女湯は少し離れているが露天風呂からだと塀を数枚超えると繋がっている事を、ライラックはリーガと共に事前に調べて見つけていたのである。
その為、今回は怪しまれる事無く露天風呂から数名で協力し塀を超えた後、楽園への道を確保し、小さな隙間を見つけそこを目に焼き付けようという作戦であった。
元々は外側から進行し、直接反対側の露天風呂近くまで接近しそこで同様の作戦を行う予定であったが、それは密告者のトウマにより事前に教員たちへと伝わっていると考えたライラックは、代理案として用意していた内部からの進行に変更したのだった。
「(作戦が漏れたのは残念だが、逆に外側に目が行きやすくなった分こちらからの進行は誰も予期していないものだろう。この勝負、俺たちの勝利だ!)」
ライラックは心の中で既に勝利宣言をし、お風呂を抜け露天風呂へと移動する。
そこは複数の露天風呂からの湯気で周囲が見えずらくなっていたが、彼らは前日に道筋を把握している為真っすぐに塀の方へと進んで行く。
「よし、それじゃ早速作戦開始だ」
ライラックの言葉で、数名が塀の前で座るとその上へと別の人が乗り始める。
そして組体操の様に次々と安定させつつ人が乗りあがって行く。
「(そう、これが地味だが確実に塀を乗り越える方法! 周囲の湯気のお陰で俺たちも隠してくれており最高の状況だ。いける、いけるぞこれは!)」
既にライラックから笑みがこぼれ始めていたが、リーガに軽く肘を突かれて「まだ気を抜くのは早い」と小声で注意される。
リーガの言葉にライラックは「悪い」と返し、直ぐに真剣な表情へと戻す。
その後、遂に塀を乗り越えられるまでの足場が完全に完成し、ライラックが一歩踏み出した時だった。
「は~い、全員そこで止まれ」
「っ!?」
突然の声にその場の全員が一斉に振り返ると、湯気の中から現れたのは腰にタオル一枚だけ巻いたタツミであった。
「な、何でここにタツミ先生が!?」
「そんなの決まってるだろ、お前らを現行犯で捕まえる為だ」
「馬鹿な! この作戦は漏れてないはず! どうして!」
「いや、普通に周辺で警戒するし、お前らならこんなバカな事も考えるかもと思って俺がここで見張ってたって訳。風呂にも入れるしな」
「っぐ……くそ!」
「(そんな悔しがる所か?)」
ライラックを筆頭に、その場にいた数名が同じ様に見つかってバレてしまった事にとてつもない悔しさを表していた。
「とりあえず、未遂だがお前らがやろうとしてることは分かってる。このまま全員連行だからな」
タツミがそう言って近付き始めると、ライラックは「ここまでなのか……」と葛藤した表情を見せるとリーガが肩を叩いて来た。
するとリーガはライラックを庇って前に立つ。
「リーガ、お前」
「ここは俺に任せて、行けライラック」
「何を!?」
「皆で命がけで作った道だ。誰も使わずにこのまま終わる訳には行かないだろ! だから行け! ライラック!」
「っリーガ」
リーガの言葉に後ろで塀を乗り越えられる為に乗りあがっていた人らも、ライラックに声を掛け始める。
「そうだ! お前だけでも行ってくれライラック!」
「俺たちの分まで楽園を見て来てくれ!」
「何も成し遂げずに終わる僕たちじゃないだろ!」
「皆……」
そんな光景を目の当たりにしたタツミは小さくため息をつく。
「(何なんだ、この状況? こいつら覗きをしようとしているんだよな)」
タツミはそのまま気にせずに取り押さえようと手を伸ばして魔法で身動きを止めようとしたが、その前にライラックが動き始め、リーガがタツミへと突っ込んで来たのだ。
「行けライラック!」
「っ!?」
「皆! すまない!」
「行け!」
「行ってくれライラック!」
ライラックはそのまま足場となっている皆を乗り越えて塀の頂点を目指す。
一方でリーガはタツミの足止めとして動きを止めていたが、タツミは直ぐにリーガに手をつき、そのまま風魔法で近くの露天風呂へと押し入れる。
更には、足場になっている奴らを全員身動きさせない為に突風を塀目掛けて放ち、塀に押し付ける。
しかしそんな中ライラックは突風にも負けずに、登り続ける。
「後、少し。後少しなんだ! 行け俺!」
「(全く懲りない奴だ)」
タツミが再び魔法を使おうとした瞬間だった。
背後から声を上げながら近付いて来る人に気付く。
「やめーろーライラック!」
「?」
直後、タツミの背後にトウマが動きを止める様に両腕を掴む。
「早まるなライラック! まだ、まだ戻るれるんだ!」
「おい」
「大丈夫! 俺も一緒に謝ってやるから!」
「おい、聞け」
「俺がもっと早くこう言ってればよかったんだ」
「聞けって言っているだろ、トウマ!」
「へぇ?」
そこでようやくトウマが顔を上げ、自分が取り押さえているのがライラックではなくタツミだと理解する。
「あれ? 何でタツミ先生が?」
「はぁ~お前な……」
するとその間にライラックは塀の頂上付近に辿り付くのだった。
「トウマ! お前のお陰で助かった! ありがとう!」
「!? え? ちょ、ちょっとどういう状況!?」
「お前がライラックに時間を与えて、今塀を乗り越える所だ」
「えー!? それってやばいじゃないですか! どうするんですか?」
そのままライラックはトウマとタツミに背を向けて、塀を乗り越える為に飛び上がった。
「逃がしたのはお前のせいでもある」
「うっ……」
「が、心配いらん。あそこから先には絶対に行けないからな」
「へぇ?」
その直後、飛び越えた塀の先からライラックが吹っ飛んで来たのだ。
タツミをそれを見て風魔法でライラックを受けとめ、そのままリーガを放った露天風呂へと叩き落とす。
「え? え!? 何が起きてるんですか?」
「助っ人さ」
トウマの疑問にタツミはそれしか答えず、塀に押し付けられている皆を一人ずつ捕まえるために歩き出す。
一方で露天風呂へと落とされたライラックは風呂で浮かびながら小さく呟く。
「何で、何でお前がそこにいるんだよ、ルーク……」
そう呟き風呂に沈むのだった。
その後、タツミ以外の教員もやって来て女湯除き未遂事件として関わった全員が連れていかれ、こっぴどく全員が教員から叱られるのであった。
幸いこの事件は女子側には漏れておらず男子側だけの問題になり、大事にならずに済んだのだった。
そしてタツミは、全員を捕らえた後に塀の奥に潜んでもらっていた助っ人の元へと行き声を掛ける。
「お疲れ、ルーク」
「お疲れじゃない。何で俺がこんな寒い所で、あんな事をしないといけなかったんだよ、タツミ」
「いや~人手が足りなくてな。念の為だったが、居てもらって良かったよルーク」
「はぁ~全く何やってるんだよあいつ等は……」
ライラックの行動に呆れるルークに対し、タツミが軽く肩を叩く。
「何にせよ事件解決だ。本当に助かったよ、次期副寮長」
「調子いい事言うな」
タツミはその後、ルークに対して温かい飲み物を奢る為にホテルの中へと共に戻って行くのだった。
そんな未遂事件が解決した頃、とあるホテルに一室にてクリスが待たされていると、部屋の扉が開き二人の人物が入ってくる。
「悪い、待たせたなクリス」
そう声を掛けて来たのは、レオンでありその後ろに立っていたもう一人の人物は、ジュリルであった。
クリスは冷たい目でロープを解いて自由になったトウマを見ながら、改めて問いかけた。
「それはだな」
トウマは誤解を解く為と思い、これまでの事情を話そうとしたがそれをすると自分も一緒に女湯を覗こうとしていたと教えてしまうと気付く。
そんな事をすれば、関係性が終わってしまうと思い直ぐに口をつぐむ。
「? それは、何だよトウマ」
「……いや、あのだな、その……やっぱり言えん」
そのまま軽く俯くトウマに対して、クリスはジト目で見つめるが直ぐに小さくため息をつく。
「まあ、何でもいいけどさ。誰しも言えない事の一つや二つはあるもんだし」
「(あー言いたい、この場で次期寮長として頑張っている事を伝えれば変な誤解も解けるのに。だがそれを言うと、クリスの中で俺の立ち位置が暴落するから言えない。あーもどかしい! こうなったのもライラックが変な事企むからだ!)」
トウマは少しやけくそ気味に全てをライラックのせいにするのだった。
その後トウマは、さっさとこの一件を片付けてしまうと立ち上がり、ライラックの後を追う為に部屋の出口へと向かう。
「トウマどこ行くんだ?」
「それは言えない。が、一つだけ一つだけ言える」
クリスがその場で軽く首を傾げると、トウマは立ち止まり顔だけクリスに向けて言い放つ。
「さっきのあれは、決して趣味とかじゃないから! 絶対に勘違いしないでくれー!」
「……あ、ああ」
「今俺が言えるのはそれだけだ」
トウマは何かを言いたいが言えない表情をチラッと見せた後、走ってその場から立ち去って行くのだった。
残されたクリスは一人状況が理解出来ず、少し開いた口が塞がらない表情をしていた。
「な、なんだったんだ今の時間は……よく分かんないけど、トウマにも色々あるんだろうな」
クリスはそう呟いた後、部屋から出て自室へと戻り始めた時にふとある事を思い出す。
「(そう言えば、ルークの奴途中まで皆と遊技場に居たのに、途中からいなくなっていたな。どこ行ったんだ? まぁいっか。それより、あのマッサージしてくれる最新の椅子型の魔道具凄かったな~また明日行こうかな)」
そんな事を思いつつ、クリスはホテルの廊下を歩いて行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「よしお前ら、心の準備はいいか?」
ライラックは男湯の脱衣所にて服を全て脱ぎ腰にタオルだけを巻いた状態で、同じく状態の同志たちに声を掛けると騒がしくせず「おー!」と返事をする。
「それでは突入だ!」
その言葉と共に皆が温泉へと入って行く。
今回のライラックが立てた作戦は至ってシンプルであった。
男湯と女湯は少し離れているが露天風呂からだと塀を数枚超えると繋がっている事を、ライラックはリーガと共に事前に調べて見つけていたのである。
その為、今回は怪しまれる事無く露天風呂から数名で協力し塀を超えた後、楽園への道を確保し、小さな隙間を見つけそこを目に焼き付けようという作戦であった。
元々は外側から進行し、直接反対側の露天風呂近くまで接近しそこで同様の作戦を行う予定であったが、それは密告者のトウマにより事前に教員たちへと伝わっていると考えたライラックは、代理案として用意していた内部からの進行に変更したのだった。
「(作戦が漏れたのは残念だが、逆に外側に目が行きやすくなった分こちらからの進行は誰も予期していないものだろう。この勝負、俺たちの勝利だ!)」
ライラックは心の中で既に勝利宣言をし、お風呂を抜け露天風呂へと移動する。
そこは複数の露天風呂からの湯気で周囲が見えずらくなっていたが、彼らは前日に道筋を把握している為真っすぐに塀の方へと進んで行く。
「よし、それじゃ早速作戦開始だ」
ライラックの言葉で、数名が塀の前で座るとその上へと別の人が乗り始める。
そして組体操の様に次々と安定させつつ人が乗りあがって行く。
「(そう、これが地味だが確実に塀を乗り越える方法! 周囲の湯気のお陰で俺たちも隠してくれており最高の状況だ。いける、いけるぞこれは!)」
既にライラックから笑みがこぼれ始めていたが、リーガに軽く肘を突かれて「まだ気を抜くのは早い」と小声で注意される。
リーガの言葉にライラックは「悪い」と返し、直ぐに真剣な表情へと戻す。
その後、遂に塀を乗り越えられるまでの足場が完全に完成し、ライラックが一歩踏み出した時だった。
「は~い、全員そこで止まれ」
「っ!?」
突然の声にその場の全員が一斉に振り返ると、湯気の中から現れたのは腰にタオル一枚だけ巻いたタツミであった。
「な、何でここにタツミ先生が!?」
「そんなの決まってるだろ、お前らを現行犯で捕まえる為だ」
「馬鹿な! この作戦は漏れてないはず! どうして!」
「いや、普通に周辺で警戒するし、お前らならこんなバカな事も考えるかもと思って俺がここで見張ってたって訳。風呂にも入れるしな」
「っぐ……くそ!」
「(そんな悔しがる所か?)」
ライラックを筆頭に、その場にいた数名が同じ様に見つかってバレてしまった事にとてつもない悔しさを表していた。
「とりあえず、未遂だがお前らがやろうとしてることは分かってる。このまま全員連行だからな」
タツミがそう言って近付き始めると、ライラックは「ここまでなのか……」と葛藤した表情を見せるとリーガが肩を叩いて来た。
するとリーガはライラックを庇って前に立つ。
「リーガ、お前」
「ここは俺に任せて、行けライラック」
「何を!?」
「皆で命がけで作った道だ。誰も使わずにこのまま終わる訳には行かないだろ! だから行け! ライラック!」
「っリーガ」
リーガの言葉に後ろで塀を乗り越えられる為に乗りあがっていた人らも、ライラックに声を掛け始める。
「そうだ! お前だけでも行ってくれライラック!」
「俺たちの分まで楽園を見て来てくれ!」
「何も成し遂げずに終わる僕たちじゃないだろ!」
「皆……」
そんな光景を目の当たりにしたタツミは小さくため息をつく。
「(何なんだ、この状況? こいつら覗きをしようとしているんだよな)」
タツミはそのまま気にせずに取り押さえようと手を伸ばして魔法で身動きを止めようとしたが、その前にライラックが動き始め、リーガがタツミへと突っ込んで来たのだ。
「行けライラック!」
「っ!?」
「皆! すまない!」
「行け!」
「行ってくれライラック!」
ライラックはそのまま足場となっている皆を乗り越えて塀の頂点を目指す。
一方でリーガはタツミの足止めとして動きを止めていたが、タツミは直ぐにリーガに手をつき、そのまま風魔法で近くの露天風呂へと押し入れる。
更には、足場になっている奴らを全員身動きさせない為に突風を塀目掛けて放ち、塀に押し付ける。
しかしそんな中ライラックは突風にも負けずに、登り続ける。
「後、少し。後少しなんだ! 行け俺!」
「(全く懲りない奴だ)」
タツミが再び魔法を使おうとした瞬間だった。
背後から声を上げながら近付いて来る人に気付く。
「やめーろーライラック!」
「?」
直後、タツミの背後にトウマが動きを止める様に両腕を掴む。
「早まるなライラック! まだ、まだ戻るれるんだ!」
「おい」
「大丈夫! 俺も一緒に謝ってやるから!」
「おい、聞け」
「俺がもっと早くこう言ってればよかったんだ」
「聞けって言っているだろ、トウマ!」
「へぇ?」
そこでようやくトウマが顔を上げ、自分が取り押さえているのがライラックではなくタツミだと理解する。
「あれ? 何でタツミ先生が?」
「はぁ~お前な……」
するとその間にライラックは塀の頂上付近に辿り付くのだった。
「トウマ! お前のお陰で助かった! ありがとう!」
「!? え? ちょ、ちょっとどういう状況!?」
「お前がライラックに時間を与えて、今塀を乗り越える所だ」
「えー!? それってやばいじゃないですか! どうするんですか?」
そのままライラックはトウマとタツミに背を向けて、塀を乗り越える為に飛び上がった。
「逃がしたのはお前のせいでもある」
「うっ……」
「が、心配いらん。あそこから先には絶対に行けないからな」
「へぇ?」
その直後、飛び越えた塀の先からライラックが吹っ飛んで来たのだ。
タツミをそれを見て風魔法でライラックを受けとめ、そのままリーガを放った露天風呂へと叩き落とす。
「え? え!? 何が起きてるんですか?」
「助っ人さ」
トウマの疑問にタツミはそれしか答えず、塀に押し付けられている皆を一人ずつ捕まえるために歩き出す。
一方で露天風呂へと落とされたライラックは風呂で浮かびながら小さく呟く。
「何で、何でお前がそこにいるんだよ、ルーク……」
そう呟き風呂に沈むのだった。
その後、タツミ以外の教員もやって来て女湯除き未遂事件として関わった全員が連れていかれ、こっぴどく全員が教員から叱られるのであった。
幸いこの事件は女子側には漏れておらず男子側だけの問題になり、大事にならずに済んだのだった。
そしてタツミは、全員を捕らえた後に塀の奥に潜んでもらっていた助っ人の元へと行き声を掛ける。
「お疲れ、ルーク」
「お疲れじゃない。何で俺がこんな寒い所で、あんな事をしないといけなかったんだよ、タツミ」
「いや~人手が足りなくてな。念の為だったが、居てもらって良かったよルーク」
「はぁ~全く何やってるんだよあいつ等は……」
ライラックの行動に呆れるルークに対し、タツミが軽く肩を叩く。
「何にせよ事件解決だ。本当に助かったよ、次期副寮長」
「調子いい事言うな」
タツミはその後、ルークに対して温かい飲み物を奢る為にホテルの中へと共に戻って行くのだった。
そんな未遂事件が解決した頃、とあるホテルに一室にてクリスが待たされていると、部屋の扉が開き二人の人物が入ってくる。
「悪い、待たせたなクリス」
そう声を掛けて来たのは、レオンでありその後ろに立っていたもう一人の人物は、ジュリルであった。
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