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♯1
4. ラジオの生放送に集合できない
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赤いランプが灯る。
スタジオの空気が一瞬で切り替わり、背筋に緊張が走った。
「はい、時刻は21時を回りました!TOMARIGIの『ことりの羽やすめ』今夜は生放送でお送りします!」
伊勢の声がマイクを通して弾む。彼の明るいトーンは、一瞬で華やかなムードを室内に広げる。
「こんばんは、伊勢優です!」
「片倉理久です。最後まで、今夜も楽しんでね」
「浅見蒼真です。たくさんのメッセージ待ってます」
順番に自己紹介を終える。
「そして今夜は特別ゲスト! わたし伊勢の主演映画でご一緒した、俳優の桐生翔さんをお迎えしています!拍手!」
「こんばんは。おじゃましまーす」
桐生が涼しげな笑顔で答える。その瞬間、伊勢と桐生の目が合い、親しげなアイコンタクトが交わされた。
「桐生さん、なんか久しぶりですね」
「え、そう?舞台挨拶出会ったの先週だよ?」
「撮影、ほんと毎日ずっと一緒だったからなぁ」
番組序盤は、映画の裏話で盛り上がった。
撮影現場のエピソード、緊張感のあるシーンの工夫など。伊勢は楽しそうに、まるで撮影が続いているかのように熱を込めて語る。桐生もそれに乗り、二人のトークは息がぴったりだった。
蒼真が合間に冷静な相槌を挟み、会話をスムーズに回す。番組は順調に進んでいた。
「さて、たくさんメッセージが届いてますね」
「みんな、ありがとう」
メッセージの書かれた紙が渡され、目を落とす。オレは小さく息を吐いた。
「ラジオネーム・ひまわりさん。TOMARIGIのみなさん、桐生さん、こんばんは」
「こんばんはーー」
全員の声が揃う。
「伊勢くんと桐生さんのラブシーン、ドラマよりもパワーアップして、鳥肌が立つほどでした。お二人の呼吸がぴったりで、まるで本物の恋人みたいでしたーー、とのことです」
「あーー、ラブシーンね」
伊勢と桐生が顔を見合わせて笑う。スタジオの空気が和やかに揺れた。
だが、その直後。伊勢はふと、すぐ隣に座るオレに視線を移した。
「片倉も映画を見たんだよね、どうだった?」
唐突な問いに、理久の心臓が大きく跳ねた。マイクが目の前にある。逃げ場はない。
「え?ラ、ラブシーンのこと?」
頭の中に、二人の熱を帯びた視線、距離の近さ、触れ合う指先が鮮明に蘇る。――胸が苦しくて、最後までまともに直視できなかった。
「それは、その、なんていうか……」
しまった。言葉がでない。
「つまり、言葉に出ないほど、良かったのかな?」
桐生がサラリと言った。彼の声は、ヘッドホン越しにひどく甘く、そして挑発的に響いた。
「そんな素敵なシーンに流れていたのが、俺たちの新曲だよね」
蒼真がサラッと会話をさらう。ディレクターが、曲の紹介をするようカンペを出している。
「それでは聞いてください。映画の劇中歌、TOMARIGIの新曲です」
イントロが流れ出す。全員がフーーッと息を吐く。
「急いでトイレ行ってくる」
「あ、俺も」
伊勢と蒼真がブースを出ていった。スタッフもいなくなり、桐生と2人きりになった。
「片倉くん」
「はい」
「このあと、2人で飲みに行かない?」
「え?」
「これ、僕の電話番号」
小さなカードがテーブルの上を滑る。ガラス越しに、伊勢と蒼真がもどってくるのが分かった。
咄嗟にシャツの胸ポケットへ滑り込ませた。
「ふふ、すぐに考えておいて」
桐生に微笑まれる。その笑みもまた、映画のワンシーンのように過り、オレは何も言えなかった。
スタジオの空気が一瞬で切り替わり、背筋に緊張が走った。
「はい、時刻は21時を回りました!TOMARIGIの『ことりの羽やすめ』今夜は生放送でお送りします!」
伊勢の声がマイクを通して弾む。彼の明るいトーンは、一瞬で華やかなムードを室内に広げる。
「こんばんは、伊勢優です!」
「片倉理久です。最後まで、今夜も楽しんでね」
「浅見蒼真です。たくさんのメッセージ待ってます」
順番に自己紹介を終える。
「そして今夜は特別ゲスト! わたし伊勢の主演映画でご一緒した、俳優の桐生翔さんをお迎えしています!拍手!」
「こんばんは。おじゃましまーす」
桐生が涼しげな笑顔で答える。その瞬間、伊勢と桐生の目が合い、親しげなアイコンタクトが交わされた。
「桐生さん、なんか久しぶりですね」
「え、そう?舞台挨拶出会ったの先週だよ?」
「撮影、ほんと毎日ずっと一緒だったからなぁ」
番組序盤は、映画の裏話で盛り上がった。
撮影現場のエピソード、緊張感のあるシーンの工夫など。伊勢は楽しそうに、まるで撮影が続いているかのように熱を込めて語る。桐生もそれに乗り、二人のトークは息がぴったりだった。
蒼真が合間に冷静な相槌を挟み、会話をスムーズに回す。番組は順調に進んでいた。
「さて、たくさんメッセージが届いてますね」
「みんな、ありがとう」
メッセージの書かれた紙が渡され、目を落とす。オレは小さく息を吐いた。
「ラジオネーム・ひまわりさん。TOMARIGIのみなさん、桐生さん、こんばんは」
「こんばんはーー」
全員の声が揃う。
「伊勢くんと桐生さんのラブシーン、ドラマよりもパワーアップして、鳥肌が立つほどでした。お二人の呼吸がぴったりで、まるで本物の恋人みたいでしたーー、とのことです」
「あーー、ラブシーンね」
伊勢と桐生が顔を見合わせて笑う。スタジオの空気が和やかに揺れた。
だが、その直後。伊勢はふと、すぐ隣に座るオレに視線を移した。
「片倉も映画を見たんだよね、どうだった?」
唐突な問いに、理久の心臓が大きく跳ねた。マイクが目の前にある。逃げ場はない。
「え?ラ、ラブシーンのこと?」
頭の中に、二人の熱を帯びた視線、距離の近さ、触れ合う指先が鮮明に蘇る。――胸が苦しくて、最後までまともに直視できなかった。
「それは、その、なんていうか……」
しまった。言葉がでない。
「つまり、言葉に出ないほど、良かったのかな?」
桐生がサラリと言った。彼の声は、ヘッドホン越しにひどく甘く、そして挑発的に響いた。
「そんな素敵なシーンに流れていたのが、俺たちの新曲だよね」
蒼真がサラッと会話をさらう。ディレクターが、曲の紹介をするようカンペを出している。
「それでは聞いてください。映画の劇中歌、TOMARIGIの新曲です」
イントロが流れ出す。全員がフーーッと息を吐く。
「急いでトイレ行ってくる」
「あ、俺も」
伊勢と蒼真がブースを出ていった。スタッフもいなくなり、桐生と2人きりになった。
「片倉くん」
「はい」
「このあと、2人で飲みに行かない?」
「え?」
「これ、僕の電話番号」
小さなカードがテーブルの上を滑る。ガラス越しに、伊勢と蒼真がもどってくるのが分かった。
咄嗟にシャツの胸ポケットへ滑り込ませた。
「ふふ、すぐに考えておいて」
桐生に微笑まれる。その笑みもまた、映画のワンシーンのように過り、オレは何も言えなかった。
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