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ステージ 1 〈高校編〉
14. 会えない寂しさ
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新メンバー選考が始まった。
1次予選はファン投票で決まるという。期間は1ヶ月。5人が選ばれ、その後。メンバー投票で2人が新メンバーに選ばれる。
候補生はそれぞれ、SNSでライブ配信、日々の練習風景を投稿し、自分をアピールしている。
オレも例外ではなく、ファンからの質問に答えたりする。コメント欄には、たくさんの質問や応援メッセージが溢れた。
ただ、蒼真先輩からの連絡はないまま。スマホを見るたびに、胸の奥がチクリと痛む。
ライブの熱狂、先輩の言葉、そして候補生たちからの突き刺すような視線。全てが、まるで夢だったかのように遠く感じられた。
自分の進むべき道が、どこにあるのか、わからなくなっていた。
「あれ?ツバサ君、進路面談だったよね」
下駄箱で靴を履き替えていると、同じクラスの女の子が隣に立った。
「あ、しまった、忘れてた」
「わたし、ツバサ君に投票したからね!蒼真先輩と同じように、アイドルになってね」
彼女の無邪気な言葉が、胸に刺さる。
「え、あ、いや」
「応援してるね、バイバイ!」
そう言って、彼女は笑顔で手を振り、校門へと向かっていった。
進路相談室に入ると、担任が穏やかな口調で尋ねてきた。
「ツバサは、このままプロの道に進むのか?」
2年前、蒼真先輩の担任でもあったその人は、オレの芸能活動に、理解を示してくれる。
「はい、そのつもりです」
「この成績なら、目指していた大学に行けそうだったが……、本当にいいのか?」
「はい」
「そうか。まだ、時間はある。よく考えなさい」
先生の言葉に、胸の奥がざわついた。
決めたはずなのに、心は揺れる。進路指導のこと、ライブのこと、そして蒼真先輩のこと。頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。
校門を出ると、秋らしい風が肌に当たる。スマホを握りしめて何度も画面を見つめる。
「はぁ、会いたいのにな」
つぶやくと、
「誰に会いたいって?」
歩道に横付けされた濃紺のセダン。その運転席には、蒼真先輩がいた。
真っ直ぐに俺を見つめる彼の瞳は、ライブの時と同じ、熱を帯びた光を放っていた。
「なんで、ここに…」
言葉が出ない。彼の突然の登場に、頭の中が真っ白になる。
「今日はファン投票の結果発表だから、今から事務所に行くんだろう?迎えに来た」
助手席のドアが開いた。オレはレザーシートに滑り落ちるように座った。から、微かに蒼真先輩の香水の匂いがした。
1次予選はファン投票で決まるという。期間は1ヶ月。5人が選ばれ、その後。メンバー投票で2人が新メンバーに選ばれる。
候補生はそれぞれ、SNSでライブ配信、日々の練習風景を投稿し、自分をアピールしている。
オレも例外ではなく、ファンからの質問に答えたりする。コメント欄には、たくさんの質問や応援メッセージが溢れた。
ただ、蒼真先輩からの連絡はないまま。スマホを見るたびに、胸の奥がチクリと痛む。
ライブの熱狂、先輩の言葉、そして候補生たちからの突き刺すような視線。全てが、まるで夢だったかのように遠く感じられた。
自分の進むべき道が、どこにあるのか、わからなくなっていた。
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下駄箱で靴を履き替えていると、同じクラスの女の子が隣に立った。
「あ、しまった、忘れてた」
「わたし、ツバサ君に投票したからね!蒼真先輩と同じように、アイドルになってね」
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「え、あ、いや」
「応援してるね、バイバイ!」
そう言って、彼女は笑顔で手を振り、校門へと向かっていった。
進路相談室に入ると、担任が穏やかな口調で尋ねてきた。
「ツバサは、このままプロの道に進むのか?」
2年前、蒼真先輩の担任でもあったその人は、オレの芸能活動に、理解を示してくれる。
「はい、そのつもりです」
「この成績なら、目指していた大学に行けそうだったが……、本当にいいのか?」
「はい」
「そうか。まだ、時間はある。よく考えなさい」
先生の言葉に、胸の奥がざわついた。
決めたはずなのに、心は揺れる。進路指導のこと、ライブのこと、そして蒼真先輩のこと。頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。
校門を出ると、秋らしい風が肌に当たる。スマホを握りしめて何度も画面を見つめる。
「はぁ、会いたいのにな」
つぶやくと、
「誰に会いたいって?」
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「なんで、ここに…」
言葉が出ない。彼の突然の登場に、頭の中が真っ白になる。
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