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第五節「交錯する想い 友よ知れ 命はそこにある」
~服飾 着付 無知の恥~
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驚愕と困惑渦巻く昼食を済ませ、二人が次に向かうのは当然お買い物だ。
ショッピングモールの強みはその場で大抵の物が揃う事。
その構造は、三階建て構成。
メインストリートと言える中央通路を基本として左右に店舗がズラリと並ぶ。
それが三階に至るまでずっと続くのだ。
もちろん二店と同じブランド店は無く、全てが独立していて幅が広い。
服飾品をメインとして、スーパーとしての役割や、雑貨や電化製品、寝具から家具、更には楽器やエクササイズ器具、パワーストーンと多種多様。
もちろん映画館やゲームセンターもあり、こちらはちゃなも良く知っている。
休憩スポットも各所に置かれ、買い物疲れの客へのサポートもばっちりである。
まさに多目的施設の集合体。
体力的に余り歩けないちゃなにとってはこれとない最適なスポットと言えるだろう。
とはいえ元々が広いので。
要所要所で休憩を挟み、良さそうな店舗を覗き込む事に。
手始めに探すのはちゃなの服から。
一階フロアにはレストランルートだけでなく、女性衣類や雑貨を扱うお店が軒を連ねている。
いちいち上の階から攻めて行くのも体力を考えれば効率も悪い。
という訳でせっかくだからと彼女の服を選ぶ事になったのである。
だが、そこでまたしても勇は困惑する事となる。
如何に彼女が特異な存在なのかという事を思い知らされるのだから。
どうやらちゃなは見立て通り、それほどお洒落には気を遣わない様で。
というよりも気を遣えなかったと言った方が正しいか。
その甲斐(?)あってか、その手に取る物は流行やデザイン性など全く無視した服ばかり。
無地のTシャツやサイズの合わないモノ、果てにはジャージや男性モノにまで手を延ばす有様。
それを静かに見ていた勇も不安が隠せない。
勇自身も言う程ファッションセンスがある訳ではない。
でもこれはさすがにそんな物が無くても異様だとわかるだろう。
しかもそれだけでは無いのだ。
「これかわいい。 勇さんのお母さんに借りた服にもあったキャラのですよね」
「こっ、これは……」
次にちゃなが見つけたのはキャラクターがプリントされたシャツだ。
しかも母親がお気に入りで常日頃買ってくる、シュール系動物キャラクター『うさ』シリーズ。
単純過ぎるデザインでありながら密かな人気を呼んでいるキャラクターである。
「闇の深い瞳から深淵が見える」というキャッチコピーがその手の顧客から絶大な支持を得ているのだそうな。
しかしこの『うさ』シリーズ、藤咲家の男性陣には不評。
その理由は、「暗闇からこのデザインが浮かんでくると言い得ない恐怖心を煽るから」というもの。
そう、割と怖いのだ、このデザインは。
感性が合わない人間としては決してかわいいとは言えず。
故に勇がこうして抵抗感を露わにするのもいざ仕方の無い事なのである。
「田中さん、そういうの好きなの……?」
「あ、えっと、可愛いなって思って」
「類は友を呼ぶ」とはよく言ったものだ。
いや、もしかしたらそういった服を着せられた事で感性を寄せられたのかもしれない。
この一週間ほぼ『うさ』まみれだったのだ、染まりもするだろう。
こうも考えると、全ては母親の策略かとすら思える訳で。
そんな事を思えば、高笑いする母親の姿が目に浮かぶよう。
堪らず頭を抱える勇の姿が。
でもこのままにはしておけない。
そんな想いがこの時、勇の妙な情熱を揺り動かした。
もちろん人の感性にとやかく言う権利など無いのはわかってる事だ。
でもこのまま放置してしまえば、変な趣味に走る子に成ってしまい兼ねない。
今は魔者の戯言すら信じてしまう程に純粋過ぎるのだから。
だからこそせめて感性くらいは普通の人に沿わせてあげたい。
その想いの赴くままに勇がちゃなの手を引いて。
連れて行ったのはすぐ隣のお店。
全体的に明るい白色のイメージした女性用アパレルショップ『Vinus』だ。
清楚な服装を求める女性客に人気の有名ブランド店である。
そこに辿り着くや否や、勇が突如としてその手を力強く翳す。
「すいません店員さん、この子のコーディネイトお願いします!」
そう、例えセンスが無くともこの手があるのだ。
困った時こそこうやって店員さんに任せればいい。
アパレルショップ店の店員ならばこの手の道はプロに近いはず。
そんな人達に見繕って貰えば間違いは無いのだから。
そして勇の見立ては間違いでは無かった。
さすがの人気ショップの女性店員さん、しっかりとしたセンスをお持ちの様で。
価格に糸目は付けないと伝えれば、この店最高の選択肢を導き出す。
ちゃなの雰囲気や体格から良さそうなデザインを考察し、採寸まで抜け目ない。
容姿が元々店の方向性ともマッチしていたという事もあり、予想以上にノリノリだ。
とはいえ店員さんも二人の関係をどこか勘違いしている様にも見えなくはないが。
それでも出て来る服の質が変わる訳ではない。
むしろ選び始めた服はいずれもほんの少しお高めか。
きっと高品質の物を探しているのだろう。
「これで如何でしょう?」
そうして出て来たのは勇の想像を超えた品の数々であった。
まず最初に出て来たのはロングドレスのワンピース。
白を基調としたレース生地で、それでいて僅かに厚手なので透ける心配も無し。
ふわりとした質感が着ている人にも優しさを与えてくれそうな雰囲気を演出している。
スカートの裾にはフリルも付いていて、よく見れば細かい花柄の刺繍も。
首元はオープンになっていて、胸元で膨らむ様に仕立てられた襟がふんわりお洒落。
袖が無く肩に掛けて着るタイプで、これだけだと少し上半身の露出度は多めか。
腰に同色ベルトが付いていて、動く際にも服がヨレる心配は無い。
他の商品と比べれば割高だが、値段相応の出来栄えを十二分に感じさせる一品である。
その次に用意されたのはたんぽぽ色のニット製ショートカーディガン。
ワンピースに羽織る形で露出度を抑える為に用意された物だ。
夏直前という事もあって薄手で、長さはおおよそ腰に掛かる程度。
長袖ではあるが通気性は良く、全体的に軽いので着心地も上々。
輝く様に白いワンピースの派手さを抑え、彩りを加える事で華やかさを演出する。
せっかくなのでとヘアピンも用意してもらう事に。
カーディガンに合わせた淡い黄色の素朴な形の髪留めだ。
早速見繕ってもらった商品を試着する事に。
店員さんの助けを借りて、これまたキチンと仕込む。
お洒落な服を着こなすには着付けも大事なのだ。
そして仕上がった姿を公然と晒した時、勇が思わずその目を凝らす。
それ程までに、新しい服を纏ったちゃなが輝いて見えたのだから。
その様相は白を基調とする店内でも目立つ程。
やはりカーディガンの色合いが存在感を浮かせているのだろう。
更にそこからワンピースの白が店の光を反射して煌めきを生む。
それが堪らなく可愛く見えてならなくて。
「いいですね、素敵だと思いますよ」
「うん……凄い可愛い」
思わずそんな声が漏れる程に。
堪らず見惚れてしまう程に。
「あ、ありがとう……」
その何気無い一言がちゃなに照れを呼び込み、真っ白だった顔が次第に赤く染まっていく。
やはり面と向かってそう言われたのが相当恥ずかしかった模様。
体を縮めてもじもじするその姿が更にその可愛らしさを引き立たせるかの様だ。
店員さんもその一言が聞けて嬉しかった様で。
万遍な笑みを浮かべて二人を見守る姿が。
もちろんその身を一歩引かせるという気遣いを見せながら。
妙な気遣いではあるが、二人がその事に気付く気配は無い。
「これ、ください!」
「ありがとうございます! このまま着て行かれますか?」
「あ、はい!!」
ちゃなもこの服が相当気に入った様だ。
迷いも無く、臆しもせずにそう答える事が出来たから。
勇が褒めてくれたこの服を心の底から欲しいと思えたから。
きっとこんな洋服を着る事にもずっと憧れていたのだろう。
ずっと願っていたのだろう。
でももう憧れじゃない。
こんな素敵な物を纏う事が出来たから。
夢が現実になったから。
気分はもう、昔に見た絵本の中のお姫様のよう。
体を揺らせばドレスのスカートがひらりひらりと揺れ動き。
その様子が堪らなく可愛くて、愛おしくて。
喜びで浮き上がった心が、思わずその身をもくるりと舞い踊らせる。
そうして裾を巻き上げながら回る姿は、まるで微風に揺れるタンポポの様であった。
さっきまではお洒落も知らない地味な子だったけれど。
こうして飾る事の楽しみを知って、それが叶う事も知ったから。
ちゃなはもう『地味系』でも『ズボラ系』でもない。
きっとこれから普通の女の子として生きて行く事が出来るだろう。
好きな物を好きなだけ楽しむ人生を謳歌出来る子として。
勇はそう願わずにはいられない。
「これと同じものを、あと三着いただけますか?」
―――と思っていた矢先にこれである。
これにはもはや勇は愚か、店員ですら目を点にしていて。
二人揃って開いた口が塞がらない。
「田中さん、同じデザインの物ずっと着続ける気なの!?」
「え、ダメなんですか……?」
しかも当人、その意思を変える気はさらさら無さそうで。
ダメかどうかと訊かれてしまえば返す言葉も無く。
店員もちゃなの頑なな意思の前で首を横に振る事も出来ないまま。
こうして結局、ちゃなは同じ洋服を合計四着も買う事になるのだった。
例え格好が可愛くなっても中身はそう簡単には変わらない訳で。
ちゃなが『ズボラ系』から脱する日はいつになる事やら。
このまま清楚系の衣類に目覚めて普通の子になるのが先か。
それとも母親が推す妙な趣向に染まるのが先か。
先に待ち受けているであろう苦難を前に、『お節介系』な勇の悩みは募るばかりである。
ショッピングモールの強みはその場で大抵の物が揃う事。
その構造は、三階建て構成。
メインストリートと言える中央通路を基本として左右に店舗がズラリと並ぶ。
それが三階に至るまでずっと続くのだ。
もちろん二店と同じブランド店は無く、全てが独立していて幅が広い。
服飾品をメインとして、スーパーとしての役割や、雑貨や電化製品、寝具から家具、更には楽器やエクササイズ器具、パワーストーンと多種多様。
もちろん映画館やゲームセンターもあり、こちらはちゃなも良く知っている。
休憩スポットも各所に置かれ、買い物疲れの客へのサポートもばっちりである。
まさに多目的施設の集合体。
体力的に余り歩けないちゃなにとってはこれとない最適なスポットと言えるだろう。
とはいえ元々が広いので。
要所要所で休憩を挟み、良さそうな店舗を覗き込む事に。
手始めに探すのはちゃなの服から。
一階フロアにはレストランルートだけでなく、女性衣類や雑貨を扱うお店が軒を連ねている。
いちいち上の階から攻めて行くのも体力を考えれば効率も悪い。
という訳でせっかくだからと彼女の服を選ぶ事になったのである。
だが、そこでまたしても勇は困惑する事となる。
如何に彼女が特異な存在なのかという事を思い知らされるのだから。
どうやらちゃなは見立て通り、それほどお洒落には気を遣わない様で。
というよりも気を遣えなかったと言った方が正しいか。
その甲斐(?)あってか、その手に取る物は流行やデザイン性など全く無視した服ばかり。
無地のTシャツやサイズの合わないモノ、果てにはジャージや男性モノにまで手を延ばす有様。
それを静かに見ていた勇も不安が隠せない。
勇自身も言う程ファッションセンスがある訳ではない。
でもこれはさすがにそんな物が無くても異様だとわかるだろう。
しかもそれだけでは無いのだ。
「これかわいい。 勇さんのお母さんに借りた服にもあったキャラのですよね」
「こっ、これは……」
次にちゃなが見つけたのはキャラクターがプリントされたシャツだ。
しかも母親がお気に入りで常日頃買ってくる、シュール系動物キャラクター『うさ』シリーズ。
単純過ぎるデザインでありながら密かな人気を呼んでいるキャラクターである。
「闇の深い瞳から深淵が見える」というキャッチコピーがその手の顧客から絶大な支持を得ているのだそうな。
しかしこの『うさ』シリーズ、藤咲家の男性陣には不評。
その理由は、「暗闇からこのデザインが浮かんでくると言い得ない恐怖心を煽るから」というもの。
そう、割と怖いのだ、このデザインは。
感性が合わない人間としては決してかわいいとは言えず。
故に勇がこうして抵抗感を露わにするのもいざ仕方の無い事なのである。
「田中さん、そういうの好きなの……?」
「あ、えっと、可愛いなって思って」
「類は友を呼ぶ」とはよく言ったものだ。
いや、もしかしたらそういった服を着せられた事で感性を寄せられたのかもしれない。
この一週間ほぼ『うさ』まみれだったのだ、染まりもするだろう。
こうも考えると、全ては母親の策略かとすら思える訳で。
そんな事を思えば、高笑いする母親の姿が目に浮かぶよう。
堪らず頭を抱える勇の姿が。
でもこのままにはしておけない。
そんな想いがこの時、勇の妙な情熱を揺り動かした。
もちろん人の感性にとやかく言う権利など無いのはわかってる事だ。
でもこのまま放置してしまえば、変な趣味に走る子に成ってしまい兼ねない。
今は魔者の戯言すら信じてしまう程に純粋過ぎるのだから。
だからこそせめて感性くらいは普通の人に沿わせてあげたい。
その想いの赴くままに勇がちゃなの手を引いて。
連れて行ったのはすぐ隣のお店。
全体的に明るい白色のイメージした女性用アパレルショップ『Vinus』だ。
清楚な服装を求める女性客に人気の有名ブランド店である。
そこに辿り着くや否や、勇が突如としてその手を力強く翳す。
「すいません店員さん、この子のコーディネイトお願いします!」
そう、例えセンスが無くともこの手があるのだ。
困った時こそこうやって店員さんに任せればいい。
アパレルショップ店の店員ならばこの手の道はプロに近いはず。
そんな人達に見繕って貰えば間違いは無いのだから。
そして勇の見立ては間違いでは無かった。
さすがの人気ショップの女性店員さん、しっかりとしたセンスをお持ちの様で。
価格に糸目は付けないと伝えれば、この店最高の選択肢を導き出す。
ちゃなの雰囲気や体格から良さそうなデザインを考察し、採寸まで抜け目ない。
容姿が元々店の方向性ともマッチしていたという事もあり、予想以上にノリノリだ。
とはいえ店員さんも二人の関係をどこか勘違いしている様にも見えなくはないが。
それでも出て来る服の質が変わる訳ではない。
むしろ選び始めた服はいずれもほんの少しお高めか。
きっと高品質の物を探しているのだろう。
「これで如何でしょう?」
そうして出て来たのは勇の想像を超えた品の数々であった。
まず最初に出て来たのはロングドレスのワンピース。
白を基調としたレース生地で、それでいて僅かに厚手なので透ける心配も無し。
ふわりとした質感が着ている人にも優しさを与えてくれそうな雰囲気を演出している。
スカートの裾にはフリルも付いていて、よく見れば細かい花柄の刺繍も。
首元はオープンになっていて、胸元で膨らむ様に仕立てられた襟がふんわりお洒落。
袖が無く肩に掛けて着るタイプで、これだけだと少し上半身の露出度は多めか。
腰に同色ベルトが付いていて、動く際にも服がヨレる心配は無い。
他の商品と比べれば割高だが、値段相応の出来栄えを十二分に感じさせる一品である。
その次に用意されたのはたんぽぽ色のニット製ショートカーディガン。
ワンピースに羽織る形で露出度を抑える為に用意された物だ。
夏直前という事もあって薄手で、長さはおおよそ腰に掛かる程度。
長袖ではあるが通気性は良く、全体的に軽いので着心地も上々。
輝く様に白いワンピースの派手さを抑え、彩りを加える事で華やかさを演出する。
せっかくなのでとヘアピンも用意してもらう事に。
カーディガンに合わせた淡い黄色の素朴な形の髪留めだ。
早速見繕ってもらった商品を試着する事に。
店員さんの助けを借りて、これまたキチンと仕込む。
お洒落な服を着こなすには着付けも大事なのだ。
そして仕上がった姿を公然と晒した時、勇が思わずその目を凝らす。
それ程までに、新しい服を纏ったちゃなが輝いて見えたのだから。
その様相は白を基調とする店内でも目立つ程。
やはりカーディガンの色合いが存在感を浮かせているのだろう。
更にそこからワンピースの白が店の光を反射して煌めきを生む。
それが堪らなく可愛く見えてならなくて。
「いいですね、素敵だと思いますよ」
「うん……凄い可愛い」
思わずそんな声が漏れる程に。
堪らず見惚れてしまう程に。
「あ、ありがとう……」
その何気無い一言がちゃなに照れを呼び込み、真っ白だった顔が次第に赤く染まっていく。
やはり面と向かってそう言われたのが相当恥ずかしかった模様。
体を縮めてもじもじするその姿が更にその可愛らしさを引き立たせるかの様だ。
店員さんもその一言が聞けて嬉しかった様で。
万遍な笑みを浮かべて二人を見守る姿が。
もちろんその身を一歩引かせるという気遣いを見せながら。
妙な気遣いではあるが、二人がその事に気付く気配は無い。
「これ、ください!」
「ありがとうございます! このまま着て行かれますか?」
「あ、はい!!」
ちゃなもこの服が相当気に入った様だ。
迷いも無く、臆しもせずにそう答える事が出来たから。
勇が褒めてくれたこの服を心の底から欲しいと思えたから。
きっとこんな洋服を着る事にもずっと憧れていたのだろう。
ずっと願っていたのだろう。
でももう憧れじゃない。
こんな素敵な物を纏う事が出来たから。
夢が現実になったから。
気分はもう、昔に見た絵本の中のお姫様のよう。
体を揺らせばドレスのスカートがひらりひらりと揺れ動き。
その様子が堪らなく可愛くて、愛おしくて。
喜びで浮き上がった心が、思わずその身をもくるりと舞い踊らせる。
そうして裾を巻き上げながら回る姿は、まるで微風に揺れるタンポポの様であった。
さっきまではお洒落も知らない地味な子だったけれど。
こうして飾る事の楽しみを知って、それが叶う事も知ったから。
ちゃなはもう『地味系』でも『ズボラ系』でもない。
きっとこれから普通の女の子として生きて行く事が出来るだろう。
好きな物を好きなだけ楽しむ人生を謳歌出来る子として。
勇はそう願わずにはいられない。
「これと同じものを、あと三着いただけますか?」
―――と思っていた矢先にこれである。
これにはもはや勇は愚か、店員ですら目を点にしていて。
二人揃って開いた口が塞がらない。
「田中さん、同じデザインの物ずっと着続ける気なの!?」
「え、ダメなんですか……?」
しかも当人、その意思を変える気はさらさら無さそうで。
ダメかどうかと訊かれてしまえば返す言葉も無く。
店員もちゃなの頑なな意思の前で首を横に振る事も出来ないまま。
こうして結局、ちゃなは同じ洋服を合計四着も買う事になるのだった。
例え格好が可愛くなっても中身はそう簡単には変わらない訳で。
ちゃなが『ズボラ系』から脱する日はいつになる事やら。
このまま清楚系の衣類に目覚めて普通の子になるのが先か。
それとも母親が推す妙な趣向に染まるのが先か。
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