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第五節「交錯する想い 友よ知れ 命はそこにある」
第五節 後日談 ~ちゃなーず・えくすとりーむ~
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※このお話は後日談につき、物語となんら関係はありませんので読み飛ばしても支障ありません。
///第五節 後日談 ~ちゃなーず・えくすとりーむ~///
この話は、俺が人生で初めて男として敗北を喫した屈辱の日だ。
出来うる事ならこの話は誰にも聞かれる事無く胸の内に仕舞って置きたい……そう願う。
福留さんから桁外れの報酬を貰った俺達は妙に浮足立っていたんだ。
折角だから、おいしい物でも食べに行こうって。
体育会系の部活に入っていたから食べる量にも自信はあったし、給料が入ったお祝いとして両親は回転寿司を勧めてくれた。
寿司は正直大好物だ。
回転寿司と言われれば、そんな安物……そう思われるかもしれないが、量と味を考えるならかなりのコスパが見込まれる。
俺みたいな寿司好きならなおさらだ。
給料が入ったその次の日、俺達は早速貰ったばかりのアルファーダに乗り込んで回転寿司店へと足を運んでいた。
「寿司を食べに行くのも久しぶりだなぁ」
「そうねぇ……ちゃなちゃんも遠慮せずに好きなだけ食べていいのよ?」
「はい……ありがとうございます」
車内で会話をしながら皆で楽しい時間を過ごした。
きっと田中さんはお寿司も食べた事が無いかもしれない。
ならきっと楽しんでもらえる……そう思うと心も踊らずにはいられない。
「今日は勇どんだけ行けそうだ?」
「そうだな……少なくとも新記録は狙おうかなって思ってる」
「なにぃ……じゃあ30皿越えか!!」
俺は以前空腹時に回転寿司を29皿分平らげた事が有る。
もちろん一皿2貫分だ。
残念ながらその時は大台へと突破する事は出来なかったが、今日は違う。
魔剣を使うようになった事で多分消費カロリーが増えたんだと思う……いつもより余計にお腹に入る……そんな気がしてならない。
アルファーダが駐車場に着くと、俺達は勇み足で回転寿司チェーン店「豪気寿司」へと足を踏み入れた。
一皿100円+税のリーズナブルなお店だ。
家からも近いというのもあって、行く場合は大抵ここを選ぶ。
なんたって醤油がおいしい……自家製を謡ったその醤油は薄味だがまろやかで非常に寿司に合う。
「4名様ですね、こちらへどうぞ」
思ったより今日は客が少ないのかな……すんなりと4人席へと案内してもらった。
いつもは大体人が多くて待つ事が多いんだけど。
「今日はラッキーだったなぁ。」
「そうねぇ、今のうちにじゃんじゃん行きましょうか」
「わぁ……お寿司が回ってる……」
「そこに流れてるお寿司は取ってもいいんだよ。 その代わり戻したりするのは厳禁だよ」
「うん……分かりました」
この店は流れてくる寿司とは別に、タッチパネルを触って食べたい寿司を選んで注文すれば、寿司が流れてくるレーンとは別のレーンから寿司が直接運ばれる形式になっている。
大抵うちの場合はここで寿司を選択して一気に注文する事が多い。
タッチパネルを触りながら何が食べたいのかを選んでいると、早速田中さんは流れているお寿司を皿ごと手に取って自分の席へ持っていった。
「醤油をつけて……ちょんちょんって」
「う、うん……ちょんちょん」
そう口に出して醤油を寿司に漬ける田中さんがなんだか微笑ましい。
でもよく見たらその皿はわさび入りの皿だ。
「あ、田中さんそれわさび入り……」
「んうー!!」
わさびが口に入ったのがきつかったのか……妙な顔をして苦しむ田中さんもなかなかにイイ。
「はは……初めてでわさびはきついなぁ……お、来たぞ」
別レーンから注文した寿司が流れてきた。
俺はこの場合大抵寿司を取って皆に流すのが仕事だ。
手早く流れてきた寿司を家族に配ると、早速一口目……。
「んまいっ!」
大好物のエンガワが俺の口一杯に濃厚な脂の味を広げて食欲の一欠片を満たす。
やはりこれが最高だ。
わさびをおいしく感じるこの舌に感謝しきれない。
次々と注文し、俺の前にある空皿が次々と積まれていく。
親父とオカンは既にギブアップしていた……見てろよ、記録塗り替えて財布を泣かせてやる。
あぁ、払うのは俺か。
注文する度にレーンから俺の大好きなネタを乗せた寿司が流れてくる。
至福の時……好きな物ばかり食べれるこの瞬間は、趣味が少ない俺の数少ない楽しみの一つ。
気付けば記録も近い28皿目。
まだ……余裕はあるッ!!
来い、俺のサーモンッ!!
来たッ!!
サーモン、そしてトロサーモン……これを食べれば記録は更新だ。
流れてきた皿を自分の前に置いてそう確信した俺はふと何か違和感に気付いて手を止めた。
皿の山が何か多い。
30どころか60くらいある気がする。
その瞬間俺は気付いてしまった。
そこは俺のテリトリーではなく……向かいに座っている田中さんのテリトリー。
俺の記録の事などよく知る筈も無く……田中さんはゆっくりと箸で掴んだ寿司をパクパクと咥えながらゆっくりと食べているではないか。
え……まだ……食べてる……!?
本当に1個1個ゆっくり食べている。
けど食べ終わったらすぐにグルグルと回って流れてくる寿司に手を出して自分の机へ運ぶ。
タイムラグの無い食べ方……彼女は一体何皿食べているんだ!?
1,2,3――――――28,29,30,31……はぁ!?
既に俺の記録を超えているだと……!?
数え間違いをしているわけでもない……じゃあ何故……?
その時ふと、俺はオカンに目を向けた……。
しかしその顔は何らいつも通りの表情を映している……田中さんの食べる量を見て異常だと思わないのか?
その時俺は気付いてしまった。
そう……最近……田中さんが家に来る事になってから、夕食の残りがまったく無くなっていた事に。
いつもは何かしら残りが有って、夜お腹が空いたら夕食の残りを温め直して食べる事が有った。
―――
――
―
「あれ、今日の晩御飯の残りは?」
「全部食べちゃったわよー」
『―――全部食べちゃったわよー―――』
―
――
―――
あの時の言葉が二重に響く。
そうだ……あの時、何故か唐揚げの量は尋常じゃなかったのに残りが無くなってた。
いつも最後まで食べているのは……田中さんだ。
全部田中さんが食べたのか……!?
俺はその瞬間ハッとして我に返った。
サーモンとトロサーモンを前にたじろぐ俺を見た両親は何か不安そうな顔つきだ。
いや、行けないわけじゃない……だが……負ける訳にはいかない。
だから……俺はッ!!
パクッ!パクッ!
軽快に俺はサーモンとトロサーモンを口に運んで記録を更新した!
だが、もはや俺にはそんな記録など眼中に無かった。
ただ……それは田中さんに負ける訳にはいかないという意思……それだけだ。
その戦いは更に過激さを増した……。
記録を塗り替える為と言うよりも、男としてのメンツを維持する為に……俺は戦わなければいけないんだ……。
壮絶な戦いだった。
たかが寿司、されど寿司。
もはや味や値段などどうでもよかった。
ただ、量を食べさえすればそれでよかった。
でも俺は……その量ですら……負けた……完敗だ。
結局俺は勢いを乗せる事が出来ず、35皿が限度だった。
しかし田中さんは……そのペースのまま42皿を食べきったのだ……。
ぶっちぎりの大台突破……一体彼女の細い体のどこにそんな量が入るスペースが存在するというのだ。
後で気付いた事だけど……その秘密の一つは彼女の食べ方にあったらしい。
彼女は寿司の米粒一つ一つを細かく噛み砕いてから飲み込んでいた。
炭水化物は唾液と混ざると溶ける。
それが消化され栄養となるのだが……彼女はよく噛む事で消化の促進をしていた様だ。
胃袋の容量までは説明付かないが、そこは彼女の底力なのかもしれない。
こうして俺の黒歴史は終わりを迎えた。
それ以来、俺は食事量の面で彼女に戦いを挑む事は無くなった。
恐るべしは……これぞまさに、 ―ちゃなーず・えくすとりーむ―
///第五節 後日談 ~ちゃなーず・えくすとりーむ~///
この話は、俺が人生で初めて男として敗北を喫した屈辱の日だ。
出来うる事ならこの話は誰にも聞かれる事無く胸の内に仕舞って置きたい……そう願う。
福留さんから桁外れの報酬を貰った俺達は妙に浮足立っていたんだ。
折角だから、おいしい物でも食べに行こうって。
体育会系の部活に入っていたから食べる量にも自信はあったし、給料が入ったお祝いとして両親は回転寿司を勧めてくれた。
寿司は正直大好物だ。
回転寿司と言われれば、そんな安物……そう思われるかもしれないが、量と味を考えるならかなりのコスパが見込まれる。
俺みたいな寿司好きならなおさらだ。
給料が入ったその次の日、俺達は早速貰ったばかりのアルファーダに乗り込んで回転寿司店へと足を運んでいた。
「寿司を食べに行くのも久しぶりだなぁ」
「そうねぇ……ちゃなちゃんも遠慮せずに好きなだけ食べていいのよ?」
「はい……ありがとうございます」
車内で会話をしながら皆で楽しい時間を過ごした。
きっと田中さんはお寿司も食べた事が無いかもしれない。
ならきっと楽しんでもらえる……そう思うと心も踊らずにはいられない。
「今日は勇どんだけ行けそうだ?」
「そうだな……少なくとも新記録は狙おうかなって思ってる」
「なにぃ……じゃあ30皿越えか!!」
俺は以前空腹時に回転寿司を29皿分平らげた事が有る。
もちろん一皿2貫分だ。
残念ながらその時は大台へと突破する事は出来なかったが、今日は違う。
魔剣を使うようになった事で多分消費カロリーが増えたんだと思う……いつもより余計にお腹に入る……そんな気がしてならない。
アルファーダが駐車場に着くと、俺達は勇み足で回転寿司チェーン店「豪気寿司」へと足を踏み入れた。
一皿100円+税のリーズナブルなお店だ。
家からも近いというのもあって、行く場合は大抵ここを選ぶ。
なんたって醤油がおいしい……自家製を謡ったその醤油は薄味だがまろやかで非常に寿司に合う。
「4名様ですね、こちらへどうぞ」
思ったより今日は客が少ないのかな……すんなりと4人席へと案内してもらった。
いつもは大体人が多くて待つ事が多いんだけど。
「今日はラッキーだったなぁ。」
「そうねぇ、今のうちにじゃんじゃん行きましょうか」
「わぁ……お寿司が回ってる……」
「そこに流れてるお寿司は取ってもいいんだよ。 その代わり戻したりするのは厳禁だよ」
「うん……分かりました」
この店は流れてくる寿司とは別に、タッチパネルを触って食べたい寿司を選んで注文すれば、寿司が流れてくるレーンとは別のレーンから寿司が直接運ばれる形式になっている。
大抵うちの場合はここで寿司を選択して一気に注文する事が多い。
タッチパネルを触りながら何が食べたいのかを選んでいると、早速田中さんは流れているお寿司を皿ごと手に取って自分の席へ持っていった。
「醤油をつけて……ちょんちょんって」
「う、うん……ちょんちょん」
そう口に出して醤油を寿司に漬ける田中さんがなんだか微笑ましい。
でもよく見たらその皿はわさび入りの皿だ。
「あ、田中さんそれわさび入り……」
「んうー!!」
わさびが口に入ったのがきつかったのか……妙な顔をして苦しむ田中さんもなかなかにイイ。
「はは……初めてでわさびはきついなぁ……お、来たぞ」
別レーンから注文した寿司が流れてきた。
俺はこの場合大抵寿司を取って皆に流すのが仕事だ。
手早く流れてきた寿司を家族に配ると、早速一口目……。
「んまいっ!」
大好物のエンガワが俺の口一杯に濃厚な脂の味を広げて食欲の一欠片を満たす。
やはりこれが最高だ。
わさびをおいしく感じるこの舌に感謝しきれない。
次々と注文し、俺の前にある空皿が次々と積まれていく。
親父とオカンは既にギブアップしていた……見てろよ、記録塗り替えて財布を泣かせてやる。
あぁ、払うのは俺か。
注文する度にレーンから俺の大好きなネタを乗せた寿司が流れてくる。
至福の時……好きな物ばかり食べれるこの瞬間は、趣味が少ない俺の数少ない楽しみの一つ。
気付けば記録も近い28皿目。
まだ……余裕はあるッ!!
来い、俺のサーモンッ!!
来たッ!!
サーモン、そしてトロサーモン……これを食べれば記録は更新だ。
流れてきた皿を自分の前に置いてそう確信した俺はふと何か違和感に気付いて手を止めた。
皿の山が何か多い。
30どころか60くらいある気がする。
その瞬間俺は気付いてしまった。
そこは俺のテリトリーではなく……向かいに座っている田中さんのテリトリー。
俺の記録の事などよく知る筈も無く……田中さんはゆっくりと箸で掴んだ寿司をパクパクと咥えながらゆっくりと食べているではないか。
え……まだ……食べてる……!?
本当に1個1個ゆっくり食べている。
けど食べ終わったらすぐにグルグルと回って流れてくる寿司に手を出して自分の机へ運ぶ。
タイムラグの無い食べ方……彼女は一体何皿食べているんだ!?
1,2,3――――――28,29,30,31……はぁ!?
既に俺の記録を超えているだと……!?
数え間違いをしているわけでもない……じゃあ何故……?
その時ふと、俺はオカンに目を向けた……。
しかしその顔は何らいつも通りの表情を映している……田中さんの食べる量を見て異常だと思わないのか?
その時俺は気付いてしまった。
そう……最近……田中さんが家に来る事になってから、夕食の残りがまったく無くなっていた事に。
いつもは何かしら残りが有って、夜お腹が空いたら夕食の残りを温め直して食べる事が有った。
―――
――
―
「あれ、今日の晩御飯の残りは?」
「全部食べちゃったわよー」
『―――全部食べちゃったわよー―――』
―
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―――
あの時の言葉が二重に響く。
そうだ……あの時、何故か唐揚げの量は尋常じゃなかったのに残りが無くなってた。
いつも最後まで食べているのは……田中さんだ。
全部田中さんが食べたのか……!?
俺はその瞬間ハッとして我に返った。
サーモンとトロサーモンを前にたじろぐ俺を見た両親は何か不安そうな顔つきだ。
いや、行けないわけじゃない……だが……負ける訳にはいかない。
だから……俺はッ!!
パクッ!パクッ!
軽快に俺はサーモンとトロサーモンを口に運んで記録を更新した!
だが、もはや俺にはそんな記録など眼中に無かった。
ただ……それは田中さんに負ける訳にはいかないという意思……それだけだ。
その戦いは更に過激さを増した……。
記録を塗り替える為と言うよりも、男としてのメンツを維持する為に……俺は戦わなければいけないんだ……。
壮絶な戦いだった。
たかが寿司、されど寿司。
もはや味や値段などどうでもよかった。
ただ、量を食べさえすればそれでよかった。
でも俺は……その量ですら……負けた……完敗だ。
結局俺は勢いを乗せる事が出来ず、35皿が限度だった。
しかし田中さんは……そのペースのまま42皿を食べきったのだ……。
ぶっちぎりの大台突破……一体彼女の細い体のどこにそんな量が入るスペースが存在するというのだ。
後で気付いた事だけど……その秘密の一つは彼女の食べ方にあったらしい。
彼女は寿司の米粒一つ一つを細かく噛み砕いてから飲み込んでいた。
炭水化物は唾液と混ざると溶ける。
それが消化され栄養となるのだが……彼女はよく噛む事で消化の促進をしていた様だ。
胃袋の容量までは説明付かないが、そこは彼女の底力なのかもしれない。
こうして俺の黒歴史は終わりを迎えた。
それ以来、俺は食事量の面で彼女に戦いを挑む事は無くなった。
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