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第十二節「折れた翼 友の想い 希望の片翼」
~暇な彼女は無駄に器用~
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本日、世間は土曜日。
なので交通量が少ない割に、人の出は普段よりも多い。
特に勇の家の近所はモールが近くにあるともあってそれなりに。
休みの日らしい日常の風景と言えるだろう。
そんな今日だけど、ちゃなは残念ながら自宅療養中だ。
というのも戦いから一週間は安静、学業以外は自重しろと言われているから。
なので勇が京都に赴いている事にはちょっとばかり不満そう。
昨夜の食事中に「勇さんばっかりずるいです」と愚痴が出たのはご愛敬である。
という訳で現在はリビングで一人ボーっとしている最中。
エウリィは今は何かをしている様で連絡が付かないらしい。
愛希達もバイトがあるらしいので控えている。
それなら勉強くらいはしていても良いはずなのだけれど。
するとその時、目前に置いてあったスマートフォンが振動する。
それに気付いて手に取ると、まさかの表示名で「あっ」と声を漏らす事に。
勇である。
いま丁度「何してるんだろうなぁ」なんて思っていた相手だ。
そんな事もあって反応は早かった。
暇だったという事もあったから。
「もしもし? 勇さんですか?」
『うん。それでいきなりだけどごめん、田中さん今って何かしてる?』
「いえ、とても暇です」
という事もあって答えはとても正直に。
ここで「勉強しようと思っていた」と答えられれば学生としてはベストなのだけれども。
しかし勇にとって、この答えは何よりも好都合だった。
『ならお願いがあるんだ。今すぐグゥさんの日誌を持ってアルライの里まで来て欲しい。お医者さんからは自宅療養って言われてるだろうけど、そこを何とか――』
「えっ!? はい、わかりました。いいですよ」
『ほんとに!? ありがとう田中さん! じゃあ俺、里で待ってるから!』
「はぁい」
そしてこんな展開はちゃなにとっても好都合だった。
まだ午前中だけど、暇で暇で仕方が無かったもので。
おまけに勉強するという意識が無いから本当にやる事が無い。
そこでこうして京都へのお誘いが来たのだ。
アルライの里にも行きたいと思っていたからなお丁度良い。
それに勇のお願いだから反故にする訳にもいかない。
――なんていう言い訳を脳内で張り巡らせ、自分を納得させる。
医者には悪いけどこれは仕事の一環なのだ、とも言い聞かせて。
でもやっぱり誘われたのは嬉しくて堪らなかったらしい。
電話が終わってからというものの浮かれっぱなしだ。
勇の部屋からグゥの日誌を持ち出すのにも鼻歌交じりな程に。
しかも準備行動はそれだけに留まらない。
今度は何故か【ドゥルムエーヴェ】まで持ち出して。
更には家の工具入れから養生テープまで取り出すという。
それを持って何を思ったのかと言えば。
なんとスマートフォンを魔剣の柄先に貼り付け始めたではないか。
もちろん画面が見える様に端部だけをしっかりと。
おまけにちゃんと起動テストまでやって抜かりはない。
これを全部あっという間に、鼻歌を歌いつつテキパキとやってのけていて。
この圧倒的なる謎の行動力。
よほど退屈だったに違いない。
そんな訳で、いつものうさぎ鞄に日誌を入れて準備は万端。
後は勇に言われた通り、急いでアルライの里に向かうだけだ。
今ここから、直接現地へと飛ぶ事によって。
それは「今すぐ来て」と言われたから。
理由はわからないけれど、緊急性を大いに感じて。
だから最も早く辿り着ける手段を迷わず選んだのだ。
最近身に付けた飛行能力はとても速い事が実証されている。
福留立ち合いの下で行われた試験の結果にて。
その計測数値はおおよそ時速一三三〇キロメートル。
すなわち、音速越えである。(音速は時速一二二五キロメートル)
要するに、ちゃなより速い乗り物は今この日本に存在しない。
何よりもずっと早く、そして直接目的地に辿り着ける事だろう。
全ては、勇に頼まれた事を成し遂げる為に。
故に今、ちゃなは自宅前の道路にて空を見上げる。
遥か空の彼方、京都にて待つ者へと想いを馳せて。
その足をアスファルトに突いた杖先へと乗せながら。
さぁ今こそ青空の向こうへ。
――と、思ったのだけれども。
間も無く、ちゃなの前を小学生くらいの子供が通りかかる事に。
異様な様相を見せる彼女へ不思議そうな視線を向けながら。
そう、今日は不幸にも人通りが多いのだ。
直接家の前を通らなくとも、表通りがすぐ近くにあるもので。
その中で飛ぶ姿を見られてしまえば大問題になりかねない。
まだ飛び上がった後なら言い訳は出来るのだけど。
「む~、これじゃ飛べない……」
いざ表通りに視線を向ければ人の姿が。
反対側を覗き込んでも同様に。
これではタイミングさえ計れない。
だからといって道路以外で飛ぼうとしても恐らく不可能だ。
軒先だと家が炎で焼かれて燃えかねないし、屋根などでも同様だろう。
学校の校庭ともなれば広々とし過ぎて逆に目立ってしまう。
そんな思わぬ自己フライトの欠点露呈に苛立ちが募る。
これなら素直に新幹線を使った方がまだマシかもしれない。
なのですごすごと引き下がろうとした――その時だった。
「おっ、田中ちゃんどうしたんだ?」
道に背を向けたちゃなの耳に聞き慣れた声が。
そうして振り返って見ると、なんと道の先から心輝達が歩いてきていて。
「あ、皆さんおはようございまーす」
「ん、おはよ」
「おはよー!」
どうやら状況を確認しに来たらしい。
この数日、勇達はずっと休み通しだったから。
となると勇が京都に居る事は知らないのだろう。
「もしかしてその格好、これからフライトとか~?」
「そうなんです。勇さん今は京都に居て、それで届けて欲しいって物があって」
「マジかよ!? アイツ戦いに行ってたんじゃねぇの!?」
でもこうして聞いてしまえば興奮を隠せない。
京都という事はアルライの里に居るのは当然な訳で。
つい最近までカプロと遊んでいただけに、今度は赴きたいとさえ思っていて。
で、勇が抜け駆けして行ってるのだとすれば納得もいかない。
どうして自分達を呼ばなかったのか、と。
もっとも、学校があるから行ける訳も無いのだけれども。
「けどぉ、人が多くて飛べそうになくて……」
「あ~そうね、人通り多いもんね、ここ」
ただその勇が呼んでるとわかれば話は別だ。
何かしらの緊急性を感じたのはちゃなだけではなかった。
心輝も瀬玲もそう察して考えを巡らせていたのだ。
傍であずーが魔剣を前にキャッキャと騒ぐ中で。
「田中さんを飛ばせればいいのよね?」
「そういう事ならよ、俺達が協力するぜ」
「おっおー! フライト見たい見たい!」
「はわぁ……!」
やはり持つべき物は友達か。
事情を察した心輝達がこうして協力してくれる事に。
とはいえ半ば好奇心で。
だけど今のちゃなにとってはこれ以上無い強力な助っ人と言えるだろう。
きっと今ほど三人が頼りになると思った事は無いに違いない。
思わず両手を握り合わせてしまうくらいに。
これでようやく飛ぶ為の算段が出来るようになった。
後はどうやって誰にも見つからずにちゃなを飛ばさせるかだ。
しかしこんな時こそ心輝の無駄な知恵が輝く時。
果たして、ちゃなの空への道程はその知恵でどの様にして拓かれるのだろうか。
なので交通量が少ない割に、人の出は普段よりも多い。
特に勇の家の近所はモールが近くにあるともあってそれなりに。
休みの日らしい日常の風景と言えるだろう。
そんな今日だけど、ちゃなは残念ながら自宅療養中だ。
というのも戦いから一週間は安静、学業以外は自重しろと言われているから。
なので勇が京都に赴いている事にはちょっとばかり不満そう。
昨夜の食事中に「勇さんばっかりずるいです」と愚痴が出たのはご愛敬である。
という訳で現在はリビングで一人ボーっとしている最中。
エウリィは今は何かをしている様で連絡が付かないらしい。
愛希達もバイトがあるらしいので控えている。
それなら勉強くらいはしていても良いはずなのだけれど。
するとその時、目前に置いてあったスマートフォンが振動する。
それに気付いて手に取ると、まさかの表示名で「あっ」と声を漏らす事に。
勇である。
いま丁度「何してるんだろうなぁ」なんて思っていた相手だ。
そんな事もあって反応は早かった。
暇だったという事もあったから。
「もしもし? 勇さんですか?」
『うん。それでいきなりだけどごめん、田中さん今って何かしてる?』
「いえ、とても暇です」
という事もあって答えはとても正直に。
ここで「勉強しようと思っていた」と答えられれば学生としてはベストなのだけれども。
しかし勇にとって、この答えは何よりも好都合だった。
『ならお願いがあるんだ。今すぐグゥさんの日誌を持ってアルライの里まで来て欲しい。お医者さんからは自宅療養って言われてるだろうけど、そこを何とか――』
「えっ!? はい、わかりました。いいですよ」
『ほんとに!? ありがとう田中さん! じゃあ俺、里で待ってるから!』
「はぁい」
そしてこんな展開はちゃなにとっても好都合だった。
まだ午前中だけど、暇で暇で仕方が無かったもので。
おまけに勉強するという意識が無いから本当にやる事が無い。
そこでこうして京都へのお誘いが来たのだ。
アルライの里にも行きたいと思っていたからなお丁度良い。
それに勇のお願いだから反故にする訳にもいかない。
――なんていう言い訳を脳内で張り巡らせ、自分を納得させる。
医者には悪いけどこれは仕事の一環なのだ、とも言い聞かせて。
でもやっぱり誘われたのは嬉しくて堪らなかったらしい。
電話が終わってからというものの浮かれっぱなしだ。
勇の部屋からグゥの日誌を持ち出すのにも鼻歌交じりな程に。
しかも準備行動はそれだけに留まらない。
今度は何故か【ドゥルムエーヴェ】まで持ち出して。
更には家の工具入れから養生テープまで取り出すという。
それを持って何を思ったのかと言えば。
なんとスマートフォンを魔剣の柄先に貼り付け始めたではないか。
もちろん画面が見える様に端部だけをしっかりと。
おまけにちゃんと起動テストまでやって抜かりはない。
これを全部あっという間に、鼻歌を歌いつつテキパキとやってのけていて。
この圧倒的なる謎の行動力。
よほど退屈だったに違いない。
そんな訳で、いつものうさぎ鞄に日誌を入れて準備は万端。
後は勇に言われた通り、急いでアルライの里に向かうだけだ。
今ここから、直接現地へと飛ぶ事によって。
それは「今すぐ来て」と言われたから。
理由はわからないけれど、緊急性を大いに感じて。
だから最も早く辿り着ける手段を迷わず選んだのだ。
最近身に付けた飛行能力はとても速い事が実証されている。
福留立ち合いの下で行われた試験の結果にて。
その計測数値はおおよそ時速一三三〇キロメートル。
すなわち、音速越えである。(音速は時速一二二五キロメートル)
要するに、ちゃなより速い乗り物は今この日本に存在しない。
何よりもずっと早く、そして直接目的地に辿り着ける事だろう。
全ては、勇に頼まれた事を成し遂げる為に。
故に今、ちゃなは自宅前の道路にて空を見上げる。
遥か空の彼方、京都にて待つ者へと想いを馳せて。
その足をアスファルトに突いた杖先へと乗せながら。
さぁ今こそ青空の向こうへ。
――と、思ったのだけれども。
間も無く、ちゃなの前を小学生くらいの子供が通りかかる事に。
異様な様相を見せる彼女へ不思議そうな視線を向けながら。
そう、今日は不幸にも人通りが多いのだ。
直接家の前を通らなくとも、表通りがすぐ近くにあるもので。
その中で飛ぶ姿を見られてしまえば大問題になりかねない。
まだ飛び上がった後なら言い訳は出来るのだけど。
「む~、これじゃ飛べない……」
いざ表通りに視線を向ければ人の姿が。
反対側を覗き込んでも同様に。
これではタイミングさえ計れない。
だからといって道路以外で飛ぼうとしても恐らく不可能だ。
軒先だと家が炎で焼かれて燃えかねないし、屋根などでも同様だろう。
学校の校庭ともなれば広々とし過ぎて逆に目立ってしまう。
そんな思わぬ自己フライトの欠点露呈に苛立ちが募る。
これなら素直に新幹線を使った方がまだマシかもしれない。
なのですごすごと引き下がろうとした――その時だった。
「おっ、田中ちゃんどうしたんだ?」
道に背を向けたちゃなの耳に聞き慣れた声が。
そうして振り返って見ると、なんと道の先から心輝達が歩いてきていて。
「あ、皆さんおはようございまーす」
「ん、おはよ」
「おはよー!」
どうやら状況を確認しに来たらしい。
この数日、勇達はずっと休み通しだったから。
となると勇が京都に居る事は知らないのだろう。
「もしかしてその格好、これからフライトとか~?」
「そうなんです。勇さん今は京都に居て、それで届けて欲しいって物があって」
「マジかよ!? アイツ戦いに行ってたんじゃねぇの!?」
でもこうして聞いてしまえば興奮を隠せない。
京都という事はアルライの里に居るのは当然な訳で。
つい最近までカプロと遊んでいただけに、今度は赴きたいとさえ思っていて。
で、勇が抜け駆けして行ってるのだとすれば納得もいかない。
どうして自分達を呼ばなかったのか、と。
もっとも、学校があるから行ける訳も無いのだけれども。
「けどぉ、人が多くて飛べそうになくて……」
「あ~そうね、人通り多いもんね、ここ」
ただその勇が呼んでるとわかれば話は別だ。
何かしらの緊急性を感じたのはちゃなだけではなかった。
心輝も瀬玲もそう察して考えを巡らせていたのだ。
傍であずーが魔剣を前にキャッキャと騒ぐ中で。
「田中さんを飛ばせればいいのよね?」
「そういう事ならよ、俺達が協力するぜ」
「おっおー! フライト見たい見たい!」
「はわぁ……!」
やはり持つべき物は友達か。
事情を察した心輝達がこうして協力してくれる事に。
とはいえ半ば好奇心で。
だけど今のちゃなにとってはこれ以上無い強力な助っ人と言えるだろう。
きっと今ほど三人が頼りになると思った事は無いに違いない。
思わず両手を握り合わせてしまうくらいに。
これでようやく飛ぶ為の算段が出来るようになった。
後はどうやって誰にも見つからずにちゃなを飛ばさせるかだ。
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