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第二十節「心よ強く在れ 事実を乗り越え 麗龍招参」
~ダゴニア族のギオ~
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勇達が揃い訓練施設へと向かい悠々と歩く。
受け取ったばかりの新装備の具合を確かめる為にテストを行おうという事になったのだ。
「効率も上がってしかも両腕……かぁーッ!! たまんねぇなぁ!!」
心輝が始まる前からウズウズが止まらない様子を見せる。
例えその様子を体現しなくとも、幾人かの表情はどこか嬉しそうで……どうやら彼の仕草に対しまんざらではない視線を向けていた。
すると、グラウンドを横切り真っ直ぐ歩く一行に向けて歩く一人の人影……剣聖である。
「おっ、おめぇらいい所に来たなぁ……丁度おめぇらを呼びに行こうと思ってたんだぁよぉ」
「えっ、剣聖さんが俺達を?」
剣聖が人を呼ぶなど珍しい事もあったものだと誰しもが思う中、首を傾げつつもそんな彼と不意に目が合った気がした勇は面を向かい合わせる。
「おう、おめぇだよ。 おめぇに用があってなぁ」
目が合った事に気付いたのだろう、そう言い放つと「ガハハ」と声を荒げて笑いを飛ばす。
妙に機嫌が良さそうな剣聖を前に自然と勇達も笑顔を浮かべていた。
そんな剣聖が手招きする仕草を見せると……勇も何なのかわからず、再び首を傾げながら近づいていく。
剣聖が背が低い勇に合わせる様に腰を落とし屈むと、彼だけに聞こえる様な小さい声でぼそぼそと話し始めた。
「おう、悩めるおめぇにちょっと面白いサプライズを用意してやったぜ、感謝しな」
「え?」
サプライズと言われると、勇にとっては嫌な思い出しか思い浮かばない。
例え嫌な思い出が無くとも……勇の真横に映る剣聖の歯をニタァと見せつけるいやらしい笑顔が嫌な予感しか感じさせなかった。
「何企んでるんですか……」
「だからよぉ~おめぇの命力が―――」
そう言い掛けた時、突然剣聖の顔から笑顔が消え……不意に立ち上がり空を見上げる。
それに釣られる様に……そこに居る他の者達も同様に青い空を見上げた
「来たか」
ボソリ……そう呟く声が聞こえた。
途端、空の彼方から黒い一点が現れ……それが徐々に大きくなっていった。
「何かが……来るッ!?」
ドォーーーーーーンッ!!
激しい衝撃音、そして湿気を含む土煙が舞い上がりグラウンドに吹き荒れた。
グラウンドに膝を突き佇む黒い影。
人影にも見えるその姿には、二つの大きな何かが備わり軽やかな動きを見せていた。
するとその二つの「それ」は急に収縮を始め、あっという間にその体へと納まっていく。
「何……あれ……」
人の丈にも等しい物が二つも同等の大きさ程しかない体へ埋まっていく光景。
その異様さは見ている者達を畏怖させるには十分過ぎるインパクトがあった。
そんな彼等の視線を受けている事を気付いているのかいないのか……「人型」へと変わったその者はゆっくりと立ち上がり、背筋を伸ばす様に体を起こした。
その顔立ち、背筋、手や足に至るまでの姿はまるで人そのもの……強いて言うのであれば耳が魔者と同様、僅かに細長く伸びている所だけが異なると言えよう。
「やっば……イケメンじゃん……」
つい漏れる瀬玲の本音。
それ程までに整った顔付きでセミロングの深緑の髪、背の高さは2メートルあるか無いか。
それでいて頭と肩のバランスが絶妙に整っており、脚の長さもモデルの様に整っている……まさに彼女の言う所のイケメン。
服装はラフであり、胴回りのみのシャツとハーフパンツだけではあるが。
すると突然……その男が声を高らかに上げた。
「やぁ剣聖……君の誘いに乗ってはるばるやってきたよ!!」
その男が挙げた名前の通り……彼の視線の先にあるのは剣聖の姿。
「俺ぁ会いたいたぁ思ってないがなぁ」
「おやおや……相変わらず君は連れないなァ……久々に会ったっていうのに。 出来るなら酒でも酌み交わしたい所なんだけどね」
そう言いながら歩み寄る男の笑顔を浮かべながら歩く姿はまるでモデルの様。
離れ立つ茶奈達集団に向けて笑顔で手を振ると、つい茶奈と瀬玲が手を振り返してしまう……それ程に自然な様相で。
「おう、おめぇを呼んだのはよ、こいつとやり合って欲しいと思ってよぉ~」
そう言うと、力強く勇の肩を叩き「こいつ」が勇である事を示す。
そんな彼の言動を受け、男が勇をじっと見据えた。
だが途端にその瞳は細り……みるみる口元の口角が下がっていく。
「……剣聖、君が冗談を言うなんて珍しいね。 僕が彼とやり合っても、彼には何もメリットは無いんじゃあないかな」
「んなこたぁねぇよ、やってみなきゃわかんねぇ。 もしかしたら満足いく戦いが出来るかもしれんぜ?」
「はは、そうかもしれないけど、僕は止めた方がいいと思うなぁ」
妙に否定的な所を見ると……恐らく彼は勇を見下している。
そう思えなくも無い言動にも感じられた。
「剣聖さん、何なんですかこの人……もしかして魔者……?」
「あぁ、そうだぁよ。 ダゴニア族のギオってんだ」
「こんな人間に近い魔者も居るんですね……」
見れば見る程、人にそっくりな姿を見せるギオ。
そんな彼を遠巻きに見つめる瀬玲の目は既にハートマークを浮かばせていた。
「お陰で人間の街に普通に入れたり、人間に間違われて襲われる事もあるから一長一短だけどね」
自然に二人の会話に紛れ込んでくるギオ……その会話能力からも、彼がそういった世界で生きてきた事の証明と成り得るだろう。
「驚いたな……剣聖さんも魔者と仲良くなる事があるんですね」
「こいつぁ特別だよぉ~……面倒臭ぇ奴だからよぉ~……」
「ひどいなぁ剣聖……君と戦った時程、生を感じた事は無かったっていうのに」
「ったく、御託ぁいいんだよォ~……とっとと戦えってんだ、おら」
ギオの言葉を遮り、勇の背を叩きながら彼を押し出し戦いを強制する。
「え、ちょ……剣聖さんそんな投げ遣りな……それに敵意が無きゃ俺だって戦えませんよ!?」
突然降って沸いた出来事に勇も戸惑いを隠せない様子を見せていた。
受け取ったばかりの新装備の具合を確かめる為にテストを行おうという事になったのだ。
「効率も上がってしかも両腕……かぁーッ!! たまんねぇなぁ!!」
心輝が始まる前からウズウズが止まらない様子を見せる。
例えその様子を体現しなくとも、幾人かの表情はどこか嬉しそうで……どうやら彼の仕草に対しまんざらではない視線を向けていた。
すると、グラウンドを横切り真っ直ぐ歩く一行に向けて歩く一人の人影……剣聖である。
「おっ、おめぇらいい所に来たなぁ……丁度おめぇらを呼びに行こうと思ってたんだぁよぉ」
「えっ、剣聖さんが俺達を?」
剣聖が人を呼ぶなど珍しい事もあったものだと誰しもが思う中、首を傾げつつもそんな彼と不意に目が合った気がした勇は面を向かい合わせる。
「おう、おめぇだよ。 おめぇに用があってなぁ」
目が合った事に気付いたのだろう、そう言い放つと「ガハハ」と声を荒げて笑いを飛ばす。
妙に機嫌が良さそうな剣聖を前に自然と勇達も笑顔を浮かべていた。
そんな剣聖が手招きする仕草を見せると……勇も何なのかわからず、再び首を傾げながら近づいていく。
剣聖が背が低い勇に合わせる様に腰を落とし屈むと、彼だけに聞こえる様な小さい声でぼそぼそと話し始めた。
「おう、悩めるおめぇにちょっと面白いサプライズを用意してやったぜ、感謝しな」
「え?」
サプライズと言われると、勇にとっては嫌な思い出しか思い浮かばない。
例え嫌な思い出が無くとも……勇の真横に映る剣聖の歯をニタァと見せつけるいやらしい笑顔が嫌な予感しか感じさせなかった。
「何企んでるんですか……」
「だからよぉ~おめぇの命力が―――」
そう言い掛けた時、突然剣聖の顔から笑顔が消え……不意に立ち上がり空を見上げる。
それに釣られる様に……そこに居る他の者達も同様に青い空を見上げた
「来たか」
ボソリ……そう呟く声が聞こえた。
途端、空の彼方から黒い一点が現れ……それが徐々に大きくなっていった。
「何かが……来るッ!?」
ドォーーーーーーンッ!!
激しい衝撃音、そして湿気を含む土煙が舞い上がりグラウンドに吹き荒れた。
グラウンドに膝を突き佇む黒い影。
人影にも見えるその姿には、二つの大きな何かが備わり軽やかな動きを見せていた。
するとその二つの「それ」は急に収縮を始め、あっという間にその体へと納まっていく。
「何……あれ……」
人の丈にも等しい物が二つも同等の大きさ程しかない体へ埋まっていく光景。
その異様さは見ている者達を畏怖させるには十分過ぎるインパクトがあった。
そんな彼等の視線を受けている事を気付いているのかいないのか……「人型」へと変わったその者はゆっくりと立ち上がり、背筋を伸ばす様に体を起こした。
その顔立ち、背筋、手や足に至るまでの姿はまるで人そのもの……強いて言うのであれば耳が魔者と同様、僅かに細長く伸びている所だけが異なると言えよう。
「やっば……イケメンじゃん……」
つい漏れる瀬玲の本音。
それ程までに整った顔付きでセミロングの深緑の髪、背の高さは2メートルあるか無いか。
それでいて頭と肩のバランスが絶妙に整っており、脚の長さもモデルの様に整っている……まさに彼女の言う所のイケメン。
服装はラフであり、胴回りのみのシャツとハーフパンツだけではあるが。
すると突然……その男が声を高らかに上げた。
「やぁ剣聖……君の誘いに乗ってはるばるやってきたよ!!」
その男が挙げた名前の通り……彼の視線の先にあるのは剣聖の姿。
「俺ぁ会いたいたぁ思ってないがなぁ」
「おやおや……相変わらず君は連れないなァ……久々に会ったっていうのに。 出来るなら酒でも酌み交わしたい所なんだけどね」
そう言いながら歩み寄る男の笑顔を浮かべながら歩く姿はまるでモデルの様。
離れ立つ茶奈達集団に向けて笑顔で手を振ると、つい茶奈と瀬玲が手を振り返してしまう……それ程に自然な様相で。
「おう、おめぇを呼んだのはよ、こいつとやり合って欲しいと思ってよぉ~」
そう言うと、力強く勇の肩を叩き「こいつ」が勇である事を示す。
そんな彼の言動を受け、男が勇をじっと見据えた。
だが途端にその瞳は細り……みるみる口元の口角が下がっていく。
「……剣聖、君が冗談を言うなんて珍しいね。 僕が彼とやり合っても、彼には何もメリットは無いんじゃあないかな」
「んなこたぁねぇよ、やってみなきゃわかんねぇ。 もしかしたら満足いく戦いが出来るかもしれんぜ?」
「はは、そうかもしれないけど、僕は止めた方がいいと思うなぁ」
妙に否定的な所を見ると……恐らく彼は勇を見下している。
そう思えなくも無い言動にも感じられた。
「剣聖さん、何なんですかこの人……もしかして魔者……?」
「あぁ、そうだぁよ。 ダゴニア族のギオってんだ」
「こんな人間に近い魔者も居るんですね……」
見れば見る程、人にそっくりな姿を見せるギオ。
そんな彼を遠巻きに見つめる瀬玲の目は既にハートマークを浮かばせていた。
「お陰で人間の街に普通に入れたり、人間に間違われて襲われる事もあるから一長一短だけどね」
自然に二人の会話に紛れ込んでくるギオ……その会話能力からも、彼がそういった世界で生きてきた事の証明と成り得るだろう。
「驚いたな……剣聖さんも魔者と仲良くなる事があるんですね」
「こいつぁ特別だよぉ~……面倒臭ぇ奴だからよぉ~……」
「ひどいなぁ剣聖……君と戦った時程、生を感じた事は無かったっていうのに」
「ったく、御託ぁいいんだよォ~……とっとと戦えってんだ、おら」
ギオの言葉を遮り、勇の背を叩きながら彼を押し出し戦いを強制する。
「え、ちょ……剣聖さんそんな投げ遣りな……それに敵意が無きゃ俺だって戦えませんよ!?」
突然降って沸いた出来事に勇も戸惑いを隠せない様子を見せていた。
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