時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ

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第二十節「心よ強く在れ 事実を乗り越え 麗龍招参」

~魔装と魔甲~

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 福留の笑顔が浮かび、それを聴いた各々が驚きの顔を浮かべる中……外から「ガラガラ」と音を立ててズーダー達が姿を現した。

 彼等が押し運ぶのは台車に乗った段ボール箱数個。

 複数人で会議室内に箱を運ぶと、福留が小さな声で「ありがとうございます」と彼等を労う。
 そして運んできた中の一つへ手を伸ばすと……中に入った物を取り出し持ち上げた。



 そこに出されたのは、魔特隊のジャケットに似た服であった。



「いいですねぇ、しっかり出来ている様ですねぇ」

 満足げにその服を眺め……「ウンウン」と頷く。

「これは命力伝達力を持たせた新ジャケットです。 先日茶奈さんの服が戦闘中に破れてしまったので少し考えましてね……なので、折角だからちゃんと防具として使える、そんな物を作ってみようかと思いまして」
「このジャケットの繊維には非常に命力伝達効果の高い素材が編み込まれてるッス。 そんで各所に3ヶ所極小の命力珠を備えているんで、簡単な攻撃であれば弾く事が出来るッス。 勿論魔剣相手だと大した効果は無いッスけどね」
「マヴォさんが銃弾を受けたという話もありますし、不意な攻撃には耐えられる様にと思いましてねぇ……勿論魔者の方々にもこの魔装の力は有効だと聞いています」
「命力との親和性も高いッスから、命力の盾の展開速度も格段に上がるッス。 『致せ尽くせ』って事ッスね」



 『あちら』側の者達にとって、「魔装」という概念は存在しない。
 もし存在した事もあるとすれば、心輝のグワイヴの様な攻撃をメインとした物やラクアンツェのウーグィシュの様な自身に埋め込む様な物だろう。

 では何故存在しないのか……。

 それは魔剣が本来魔者の武器であり、戦う相手が人間であるという事……それはつまり、自身を守る防壁の加護があるからこそ、防具を纏う必要が無いからである。
 人間は魔剣を製造する事も出来ないからこそ、結果的に魔剣が優遇され防具は淘汰されていったのだろう。



「日々魔者達も我々に対して何かしらの対策を打って来る可能性がありますから……少なくとも人間にとってはこの様な防具がある事は非常に有益になるはずです」
「たまげたな……成程、それならば納得もいこう」

 話を聞いたアージも首を縦に振り納得を示し、彼等がネックだったのだろう……アージ達に向ける福留の顔が大きな笑顔を浮かばせていた。

「納得頂けて何よりです……さて、更にここから勇君に少し可能性を広げる物を作ってみました……えぇと、これですねぇ」

 ガサガサと再び段ボールへ腕を伸ばし中をまさぐると……そこから何かを取り出す。
 そこから現れたのは……ガントレットの様な物であった。
 手の甲から肘まで届く程に伸びきった外装部、腕甲と言うには腕よりも幅の広い作り……ガントレットと言うには僅かに大きい感じの様相を見せているが。

「これは簡単に言えば『盾』です」
「盾?」
「えぇ、バックラーと呼ばれる軽装用の盾と、柔軟性に富んだグローブの特性を併せ持った『魔甲まこう』です。 是非手に取ってみてください」

 そう言われると、勇は恐る恐る立ち上がり福留の下へ歩き出す。
 差し出された魔甲を受け取ると……勇はその出来映えに堪らず唸り声を上げた。

 盾と言うにはとても軽く、かつ外装を指で突いてみると非常に硬さを感じさせる。
 装着部はと言えば、柔軟性にも富んだ造りで手の動きに追従するようになっていた。

「カーボンファイバー製の内装にクッション材を仕込み、チタンと鉄板の複合材で外装を固めています。 命力珠も付いていますので、攻撃にも転用出来ます。 この技術はまだ造りたてで技術的な検証はまだ出来ていませんが、理論上は今まで不可能だった『魔剣を受け止める』等の防御も出来るハズです」
「成程……わかりました」

 魔甲に引き続き魔装ジャケットを受け取ると、勇が元の席に戻っていく。
 そんな彼を見送ると、福留は他の隊員達に向けて声を掛けた。

「皆さんの分のジャケットと各々の強化パーツもこちらに入っていますので、それぞれ受け取ってくださいねぇ」

 その言葉を聞いた途端、心輝が待ってましたと言わんばかりに駆け出す。
 福留の下へと一番乗りすると、それに続き他の者達が立ち上がり、たちまち列を作った。
 手馴れた様にズーダー達が箱から対応した物を取り出し受け渡していくと、それぞれが周りに散って各々の魔剣に強化パーツを付け、ジャケットを着こんでいく。

 あっという間に受け渡しが済み、各々が魔剣を構える。
 その姿はまさに新生の姿。

「っしゃ!! 念願のパワーアップきたぜッ!!」

 心輝が声を張り上げ喜びを表す。
 その腕に嵌められた二つのグワイヴは心輝の心に反応し、今にも炎を吐きそうな程に眩い光を放っていた。

 そして他の者達もそれぞれの服を着こんだ姿を見せあい和気藹々とした姿を見せていた。
 最初は乗り気でなかった者も、納得してしまえば受け入れるのは早いものだ。

 そんな皆の満足そうな顔付きを前に、福留とカプロも万遍の笑みを浮かべ彼等を静かに見守っていた。



 騒ぎが静まり始めると、それを察した福留が声を上げ彼等の注目を作る。

「皆さん満足して頂けたでしょうか? 各々の装備の調整や感覚を得る為に多少はその装備を使って動いてみてください。 あ、ちなみにまだ替えは無いのでご了承くださいねぇ。 それでは皆さんお疲れさまでした、これで解散としましょう」

 福留の言葉を聞くと、隊員達は会議室から揃い退室していく。
 勇もまた福留に軽く礼を含めた会釈をすると……福留もまた「ウンウン」と頷き彼等を見送った。

「勇君もこれから大変ですからねぇ……少しでも助けになればいいのですが」

 一人会議室に残った福留はそう呟き……遅れて彼等に続き会議室を後にしたのだった。


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