時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ

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第二十節「心よ強く在れ 事実を乗り越え 麗龍招参」

~夫々の新たな力~

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 カプロが壇上の机の上に置いてあるレーザーポインターを手に取り電源を入れるとたちまち赤く細い光が浮かび上がり、カプロの手に沿って細かく刻む様に動きを見せた。

「んじゃまず軽くざっと言うと、今回行ったのは全体的な強化だけッス。 ちなみに基本強化パーツは皆の魔剣にバチッと嵌めるだけッス。 それだけでパワーアップ出来る優れモンッスよ」

 腰に手を充て「ハッハッハー」と自慢げな笑い声を上げるカプロ……周囲の皆は苦笑いを浮かべ彼の言葉をじっと待っていた。

「その他、シンとジョゾウさんに関しては少し心もとないんで新造魔剣を造ったッス。 恐らくこれで今まで以上にバランスよく戦えるハズッス」

 すると画面が切り替わり、グワイヴに似た魔剣と刀の様な魔剣が映し出された。

「グワイヴはどっちも大差は無いッスが、天之心得に関してはエスカルオールのエリアルエジェクタに似たブースターを付けて見たッス。 使い方次第ではジョゾウさんの機動力アップに貢献出来ると自負するッスよ」

 太めの刀身を持つテオグルと異なり、まさに小太刀という様な様相を持つ天之心得。
 その様相を見たジョゾウが「ホウホウ」と喉を鳴らし頷いていた。

「強化パーツに関してはそのままッス。 命力効率を格段に上昇させる物なんで威力には直結しないッスが、今まで以上に連続戦闘時間が伸びるんで、消費量調節すれば十分威力アップにも繋がるハズッス」

 スライドが切り替わると各々の強化部品が映し出され、順々にその装着方法やその効力が映し出されていく。

 命力量が少ない瀬玲にとってはこれ以上に無い強化であろう。
 彼女が「へぇ~いいじゃん」と小さく呟く姿が見受けられ、カプロも満足そうに笑みを浮かべていた。

「調整モジュールに関しては魔剣の性質をちょっといじらせてもらうッス。 ちょいこいつは面倒なんで時間掛かっちゃって、アージさんの分しか用意出来なかったッス」
「俺は今のままでも充分だがな」
「そうはいかねッス。 アストルディはちょっと気に成る所があるんでこれからもいじらせてもらうッス」

 カプロが口走った事が引っ掛かるのか……アージもそれ以上の事は問う事は無かった。

「んで茶奈さんはまだ試作段階ッスが、ドゥルムエーヴェに代わる魔剣を現在鋭意製造中ッス」

 スライドが切り替わり映し出されたのは、現在製造中の魔剣の姿。
 バラバラの部品が並び、クゥファーライデの様な機械式にも似た魔剣に成る事が想像出来るようであった。

「これは先日茶奈さん達が持ち帰ったパルムナキーンの破片を調査・研究した結果を新型魔剣に盛り込んでみるつもりッス。 もしこれが成功するなら、もしかしたら今後皆の魔剣に古代三十種と同様の特殊性能を盛り込む事が出来る様になるかもしれないッス」

 途端、周囲が騒めき始める。

 古代三十種の持つ特殊性能は、既存のあらゆる魔剣の能力を凌ぐとされている。
 それを使いこなす事が出来れば、己の技能としても使える様になるその力はいわば魔剣使いにとって喉から手が出る程に欲しくなる逸品。

 だが、それを得るという事はすなわち強力な力を増産するという事に他ならない。
 それに対して異を唱える者も当然この中には居る。

「待て……もしその力を持った新造魔剣が邪悪な心の持ち主の手に渡れば、再び古代の争いに似た出来事が起きる可能性がある……俺はそれを簡単に容認する訳にはいかん」

 そう答えるのはアージ……マヴォもまたその隣で静かに首を縦に振っていた。
 だがその言葉を受け、勢いを落とすどころか……カプロは強い視線を向け彼等に返す。

「確かにその通りッス……けどなおさらの事ッス。 ボクは皆が好きッス……好きになれる、心優しい人達だってわかってるから……皆には強くなってもらいたい、そう思ってるッス。 強く成れば……悪用する様な奴に魔剣を奪われる事なんか無いって信じてるッス!!」

 真っ直ぐ見据え、心と心がぶつかる。
 言葉は心を乗せて、人の心を動かす。

 それは彼の精一杯のメッセージ。
 それが伝わる命力という力だからこそ……。

「……そうだな。 貴公がそう言うのであれば、後は我らが負けねば良い事だろう。 なれば勝とう……貴公と俺達が願う形であり続ける為にな」
「信じてくれてありがとうッス。 ボクは皆の為にしかそんな魔剣は作らねッスから安心して欲しいッス」

 その時、その場に居る全員が静かに彼を見つめ頷く。
 そんな彼等を前に、心が一つに成った……そんな気がした福留は「ウンウン」と嬉しそうに頷き笑顔を浮かべていた。

「そんで最後ッスが……勇さんには……実は何も考えてなかったッス!!」
「ハハ……」

 予想だにしていなかった言葉を前に苦笑いを浮かべるが……カプロを見つめる彼の顔は神妙な面持ちを作っていた。

「さて、そこからは私がお話しましょうかねぇ」
「お願いするッス」

 福留の言葉を受けてレーザーポインタを渡すと、それを受け取った福留は早速説明を始める。

「カプロ君の魔剣部品を製造するにあたりまして、政府直属の研究機関から数人技術者を派遣させて頂きましてねぇ、今回彼から魔剣の技術を研究させて頂く事になりました」
「しつこく言ってくるもんで、さすがに折れるしかなかったッスがねぇ」

 しかし、二人の明るいやり取りとは打って変わり、周囲は静かに真剣な目線を向けていた。

 政府……それはつまり日本という国家が魔剣に関する技術を得るという事。
 カプロは元より、魔剣使いの誰しもが「国家」という群生体に対して強力な「武器」を与える事は最も戦争に直結する可能性を催し危険だという事を認識しているからこそ。

 アージが再び口を開こうとした途端、福留が静かに声を上げ言葉を連ねた。



「彼等が技術を学んだ目的は決して『武器』を作る事ではありません。 彼等が作ろうとしたのは……『防具』です」



 予想だにしなかった一言……アージのみならず『あちら側』の者達全員が驚きの声を漏らす。

「防具……だと!?」
「えぇ、防具です。 しいて言うなら……『魔装まそう』……とでも言いましょうか」

 福留の笑顔が浮かび、それを聴いた各々が驚きの顔を浮かべる中……外から「ガラガラ」と音を立ててズーダー達が姿を現した。


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