時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ

文字の大きさ
578 / 1,197
第二十一節「器に乗せた想い 甦る巨島 その空に命を貫きて」

~灼炎吼えて、宙の激闘~

しおりを挟む
 鳥は己の体の体重を支える為に強靭な翼を持つ。
 極限まで軽量化された体と、強靭なまでに鍛えられた翼。

 そしてここに命力が加わる事により、彼等カラクラ族は空中での戦いにおいて多種族の追随を許さない生命と化したのだ。



 途端、急降下するメズリ。
 完全な力が籠められた強い光を放つ脚が心輝へと襲い掛かる。

 地上で戦った時よりも断然早い速度で降下するメズリに、心輝が慌て前に飛び込み間一髪で躱した。

「うおあああっ!?」

 勢い余り転がる心輝。
 だがメズリはそのまま滑空を続け、凄まじい速度で旋回し一直線に心輝へと襲い掛かっていった。

 未だ体勢の整わない心輝に、光輝いたままの狂気の脚が再び飛び込む。

「ッキショオ!!」

 再び飛び出し躱すも……まるでその軌道を読んだかの如く、メズリが素早い動きで回り込む様に襲い掛かる。

「ハハハハ!!」

 攻撃直後の空中での強制的な軌道変更から幾度と無く繰り出される奇襲攻撃。
 何とか躱し続けるが……徐々にその攻撃の間隔が短くなっていく。



 人間は人体構造上、空中に対する視認能力が弱い。



 それを逆手に取る様な死角を刺すが如き攻撃を繰り出され、心輝が追い詰められていく。



―――ヤベェ……このままじゃやられちまう!?―――



 そう、思った時……一瞬、心輝の足が止まった。



 その隙をメズリが逃すはずも無かった。



「終わりだッ!!」

 メズリの光り輝く脚が今までにない程の速度で心輝の真上から襲い掛かる。



だが―――



「んああああーーーーーー!!」



バオウッ!!



 その瞬間……グワイヴから轟音と共に炎が噴き出し、心輝の体が高速で飛び上がった。

「何ィーーー!?―――」

 メズリの攻撃を躱し空へ飛び上がった心輝の体は、強引に炎を撒き散らし宙を舞っていく……まるでそれは茶奈が空を飛ぶのと似た様な構図。

「人間が飛ぶだとォ!?」

 信じられない光景を前に、メズリが驚きの声を上げる。

 彼女は茶奈の事も知らないのだろう。
 だが目の前に居る者が己の想像を超えた者であるという事には変わりはない。

「じゃが……魔剣で飛ぶという事は、攻撃は出来ぬという事よッ!! わらわの優位には変わらぬッ!!」

 心輝を追い掛ける様にメズリが力強く羽ばたき、広場上空を急加速していく。

 凄まじい速度で互いが空中を舞い、時折交差を起こし火花が飛び散る。
 さながらそれは戦闘機同士のドッグファイト。

 広いながらも狭さすら感じる程の大きい空間を使用した攻防が絶えずその空間に響き渡る。



バオウンッ!!

ギィィーーーンッ!!



 互いが交差するごとに、爆音が、閃光が、所せましと響き、その戦闘の激しさを物語っていた。

「何なのだ彼奴は……何故そこまで力を出してまだ耐えられる!?」

 少なからず、命力は消耗し力を減少させている事には変わりはない。
 だが、新しいグワイヴとして生まれ変わったグワイヴ・ヴァルトレンジは今までの比ではない程に命力の消耗が少ない。
 魔剣に刻まれた古代紋様が彼の命力を増幅し、力と変えているのだ。



 それが【迸りし灼炎ヴァルトレンジ】。



「何故だぁーーーーーーッ!!」

 機動力は僅かにメズリが上……心輝の背後から一気に攻め詰め襲い掛かる。



ッバオウッ!!



 途端、再び彼女の視界を塞ぐが如く炎が舞い散り火花を散らす。

「こんな小細工がぁッ!!」

 怯む事無く飛び込み、炎の壁を突き抜けた。



 しかしその先には誰も居ない……それどころか周囲から襲い掛かる気配すら感じない。



 だが……メズリは気付いてしまった。



 それすらも心輝にとってはただの時間稼ぎに過ぎなかったのだ、と。



 気付いた時……既に遅し。
 その目に映る、地上で心輝が両手を組み構える姿。



「クゥアアアッーーー!?」



 その腕に篭められた力は、ずっと溜め込み続けていた……滑空用とは別の力。
 「空中戦でも勝てないなら……その道を作るのみ」、心輝の心が強くそう叫ぶ。





「ぶっ飛びやがれェェェーーーーーー!!!!」





 その瞬間……部屋が炎の光に包まれた。



ズオオオオオオーーーー―――



 グワイヴから放射されたのは巨大な炎の渦。
 激しく渦巻く潮流が一直線にメズリへと襲い掛かる。
 メズリがそれを辛うじて躱すも、天井に突き刺さり穴を構築していく程の勢いに揉まれ、炎の渦へと引き込まれていった。
 なお業炎とも言える炎の渦は大部屋の天井を貫き続ける。



――――オオオンッ……!!



 炎の潮流が途切れ、轟音轟く空間に静けさを呼ぶ。

 灼熱の渦が天井を溶かすかの様にただらせ、巨大な穴を構築していた。
 その周囲は余りの熱により蒸気と陽炎が揺らめき、その熱気を絶えず放出する……まさに灼炎を冠するに相応しい力が呼び込んだ光景と言えよう。



シュオオオ……



 だが、それは余りにも強烈過ぎる一撃であった。
 それ故に、心輝の腕からも煙が立ち込め、威力の程を物語る。

 だらりと腕がぶら下がり、膝を突く……その力は既に限界が見え始めていた。

「ハァ……ハァ……でもあのヤロォ……これで終わりじゃねェハズだ……!!」

 そう呟くと、残った力を振り絞り……宙へと飛び上がる。

 進む先は自身が開けた大穴……その先には青白い光が差し込み、外へと続いていた。


しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

処理中です...