933 / 1,197
第三十三節「二つ世の理 相対せし二人の意思 正しき風となれ」
~壊炎と裂空 全てを穿つ白銀拳~
しおりを挟む
今回のア・リーヴェの話を聴く為に参集した関係者達が集まり、アルクトゥーンから出ていく為に列を成す。
未だ誰しもが信じられぬ話を思い起こし、興奮冷めやらぬ様子を見せていた。
その列の先に立つのは福留……こういった事に率先して動くのも彼のいつもの役目だ。
「上昇時と同じく、降下時も十五人づつ案内しますので、押さぬようお願い致しますねぇ」
とはいえ集まったのはほとんどが政治家であり、落ち着きを持った者達ばかり。
そんな声掛けなど不要といったところか。
福留だけでなく他のグランディーヴァ隊員が後に続く者達を誘導しながら復唱し、特に混乱も無く順路を辿っていく。
しかしそんな折、福留がその足を止め……インカムへとその手を伸ばした。
なぜそんな物を付けているのか。
彼は話の終盤で予め、瀬玲に付けるよう言われていたのだ。
「もしもの時の為に付けておいて欲しい」、と。
「―――感じはどうでしょうか?」
インカムから流れるのは当然彼女の声。
たった数言、福留に向けて放たれた。
途端、誰にも見えぬ彼の表情が僅かに曇る。
「そうですか、では状況を見て判断する事にしましょう」
その一言を返すと共に、再び歩を進め。
後に続く者達に悟られぬよう、先程と何ら変わらぬ対応を続けていた。
やはり居住エリアも相当広い所為か、歩くにもそれなりに時間は掛かる。
大人数ともなれば当然歩みも遅くなり、拍車が掛かるものだ。
何せ大半は老人……福留も含めてだが。
速足で行くのも憚れるようなメンツともあって歩みはどこか普通よりも遅い。
まるでわざと遅く歩いているのではないかと思う程に、進みは緩やかだったのだ。
居住エリアとその地下の多目的施設エリアの中心を貫く様に、観覧室への幅広の階段がロータリー状に続く。
直径十メートル程もある大きな縦穴式ともあり、そこに見える人数は余りにも多い。
それだけの人数が乗っても壊れない程に頑丈に出来ているのだろう。
先頭がとうとう観覧室へと辿り着き、退出の時を待つ。
しかしそんな中でも、福留は降ろそうとする事無く……観覧室の外側、窓の傍へと寄って真下を覗き込んでいた。
その先に覗き見えるのは……激しく打ち上がる白の竜巻。
「ふぅむ……やはりこうなってしまいましたかぁ」
表情に零す事無く、声だけが小さく漏れ出る。
恐らくそれは瀬玲の通信に起因する事。
彼もまた少なからず危惧していたからこその……予想通りの展開だった。
「福留さん、どうしましたか?」
そんな様子を前に鷹峰が疑念を抱き、思わず声を上げる。
さすがに付き合いも長いであろう二人……隠す事も叶わぬようだ。
「ああ、いえね、ほんの少しデモンストレーションを敢行しようという話が出ておりましてねぇ。 宜しければ皆さん最後に御観覧願えればと思います」
それは当然嘘だ。
その場にいる者達を心配させない為の。
先程の話からの仲違いとわかれば、事情を知らぬ者達にとっては動揺に繋がる。
その不安は言わば負の要素、勇達側にとってのマイナスの感情に他ならない。
僅かであろうとも禍根を残さず、希望を持つ事……それが今必要な事なのだから。
「そういう事でしたか。 どれ……」
鷹峰がさもわざとらしそうな軽快な足取りで福留の傍へと歩み寄り、地表部へと視線を向ける。
すると先程と同じ白の炎が渦巻いているのが見え、彼の驚きを誘った。
「おお、これは凄い」
鷹峰に続いて他の官僚達もが興味を惹かれる様に窓部へと近寄っていく。
するとたちまち現実の物とは思えぬ光景が目に留まり、大きな驚きを見せ始めた。
動画などで魔特隊の戦いを観た事がある者も少なくは無いが、こうして生で見るのは初めてなのが殆どだ。
鷹峰でさえそうなのだ、驚きもするだろう。
「彼等がどの様な力でアルトランに立ち向かうのか。 是非とも目にして頂き、胸に希望を抱きながら帰路に就いて頂ければと思います」
この状況がどの様な経緯で起きたのか、どの様に転ぶのか。
福留は愚か、それを伝えた瀬玲でさえもわかりはしない。
この白の渦が勇を包んでいる事も。
ただ信じるしか無かったのだ。
勇が心輝を押し留める事を。
天士の力が……苦難を退ける事を。
◇◇◇
所変わり地表。
白炎が空高く舞い上がるかの如く、激しく渦巻かせていた。
その激しさは火花を周囲へと撒き散らす程。
命力制御で対象だけを焼き尽くす炎は、周辺の草木には全くの影響を与えていない。
ただ激しいが故に熱風が吹き荒れ……それによって強く煽られてはいるが。
「俺はもう止まる訳には行かねぇんだ。 すまねぇな……」
それは彼にとっての手向けの挨拶。
自らの手で灰塵に帰してしまった一番の親友への。
そうしてしまった事への罪悪感もあるからこそ……軽くも重い一言。
ズグゴゴゴ……!!
だがその時、白炎の渦が歪んだ。
それは、心輝が事実を飲み込む事も出来ぬ束の間。
ズボアアッ!!
なんと炎の渦の側面から、一筋の迸る光が突き出したのだ。
光の筋は途端に二つに分かれ、水平の残光を刻む。
そして瞬く間に……炎の渦を上下に切り裂いたのだった。
余りにも強引に引き千切るが如く。
天地に分かたれた炎の渦は心輝のコントロールを失い、バラバラに千切れ飛ぶ。
欠片となった炎はまるで無数の鼠花火の様に無軌道を描き、火花を撒き散らしながら周囲へと激しく飛び散っていった。
「んな、バカなあッ!?」
渾身の技のはずだった。
これで全てが終わったはずだった。
だが目の前に居るのは……勇。
体に浮かぶ焼け跡すら、皆無。
そして両腕に輝くのは剣ではない。
心輝と同じ……腕甲。
「シィーーーーーーンッ!!!!!」
その瞬間、勇が激しく大地を蹴り上げた。
蹴り上げた場所が大きく抉られ弾ける程の力で。
光り輝く白銀の腕甲が強烈な残光を引きながら。
もはやその残光の巨跡……空間を削り取るが如し。
ドッゴォォォッ!!!!!
それはもはや加減すら無い、本気の一撃。
光速で打ち上げられた拳が隙だらけの心輝の下腹部へと突き刺さる。
「ぐぅおっがあッ!!?」
隙だらけとはいえ、心輝の体には命力による身体強化がなされていた。
しかしその一撃を撃ち込まれた瞬間……心輝の体が激しく「く」の字に曲がる。
たちまち心輝の体を跳ね上げる程に、その威力は凄まじかった。
跳ね上げられた心輝の体は一瞬にして相模湖を覆う木々の上へと打ち上げられ、その姿があっという間に森の中へと消える。
それだけには留まらず、彼の消えた先にあったであろう木々が次々と宙を舞っていた。
それ程までに……強力無比だったのだ。
未だ誰しもが信じられぬ話を思い起こし、興奮冷めやらぬ様子を見せていた。
その列の先に立つのは福留……こういった事に率先して動くのも彼のいつもの役目だ。
「上昇時と同じく、降下時も十五人づつ案内しますので、押さぬようお願い致しますねぇ」
とはいえ集まったのはほとんどが政治家であり、落ち着きを持った者達ばかり。
そんな声掛けなど不要といったところか。
福留だけでなく他のグランディーヴァ隊員が後に続く者達を誘導しながら復唱し、特に混乱も無く順路を辿っていく。
しかしそんな折、福留がその足を止め……インカムへとその手を伸ばした。
なぜそんな物を付けているのか。
彼は話の終盤で予め、瀬玲に付けるよう言われていたのだ。
「もしもの時の為に付けておいて欲しい」、と。
「―――感じはどうでしょうか?」
インカムから流れるのは当然彼女の声。
たった数言、福留に向けて放たれた。
途端、誰にも見えぬ彼の表情が僅かに曇る。
「そうですか、では状況を見て判断する事にしましょう」
その一言を返すと共に、再び歩を進め。
後に続く者達に悟られぬよう、先程と何ら変わらぬ対応を続けていた。
やはり居住エリアも相当広い所為か、歩くにもそれなりに時間は掛かる。
大人数ともなれば当然歩みも遅くなり、拍車が掛かるものだ。
何せ大半は老人……福留も含めてだが。
速足で行くのも憚れるようなメンツともあって歩みはどこか普通よりも遅い。
まるでわざと遅く歩いているのではないかと思う程に、進みは緩やかだったのだ。
居住エリアとその地下の多目的施設エリアの中心を貫く様に、観覧室への幅広の階段がロータリー状に続く。
直径十メートル程もある大きな縦穴式ともあり、そこに見える人数は余りにも多い。
それだけの人数が乗っても壊れない程に頑丈に出来ているのだろう。
先頭がとうとう観覧室へと辿り着き、退出の時を待つ。
しかしそんな中でも、福留は降ろそうとする事無く……観覧室の外側、窓の傍へと寄って真下を覗き込んでいた。
その先に覗き見えるのは……激しく打ち上がる白の竜巻。
「ふぅむ……やはりこうなってしまいましたかぁ」
表情に零す事無く、声だけが小さく漏れ出る。
恐らくそれは瀬玲の通信に起因する事。
彼もまた少なからず危惧していたからこその……予想通りの展開だった。
「福留さん、どうしましたか?」
そんな様子を前に鷹峰が疑念を抱き、思わず声を上げる。
さすがに付き合いも長いであろう二人……隠す事も叶わぬようだ。
「ああ、いえね、ほんの少しデモンストレーションを敢行しようという話が出ておりましてねぇ。 宜しければ皆さん最後に御観覧願えればと思います」
それは当然嘘だ。
その場にいる者達を心配させない為の。
先程の話からの仲違いとわかれば、事情を知らぬ者達にとっては動揺に繋がる。
その不安は言わば負の要素、勇達側にとってのマイナスの感情に他ならない。
僅かであろうとも禍根を残さず、希望を持つ事……それが今必要な事なのだから。
「そういう事でしたか。 どれ……」
鷹峰がさもわざとらしそうな軽快な足取りで福留の傍へと歩み寄り、地表部へと視線を向ける。
すると先程と同じ白の炎が渦巻いているのが見え、彼の驚きを誘った。
「おお、これは凄い」
鷹峰に続いて他の官僚達もが興味を惹かれる様に窓部へと近寄っていく。
するとたちまち現実の物とは思えぬ光景が目に留まり、大きな驚きを見せ始めた。
動画などで魔特隊の戦いを観た事がある者も少なくは無いが、こうして生で見るのは初めてなのが殆どだ。
鷹峰でさえそうなのだ、驚きもするだろう。
「彼等がどの様な力でアルトランに立ち向かうのか。 是非とも目にして頂き、胸に希望を抱きながら帰路に就いて頂ければと思います」
この状況がどの様な経緯で起きたのか、どの様に転ぶのか。
福留は愚か、それを伝えた瀬玲でさえもわかりはしない。
この白の渦が勇を包んでいる事も。
ただ信じるしか無かったのだ。
勇が心輝を押し留める事を。
天士の力が……苦難を退ける事を。
◇◇◇
所変わり地表。
白炎が空高く舞い上がるかの如く、激しく渦巻かせていた。
その激しさは火花を周囲へと撒き散らす程。
命力制御で対象だけを焼き尽くす炎は、周辺の草木には全くの影響を与えていない。
ただ激しいが故に熱風が吹き荒れ……それによって強く煽られてはいるが。
「俺はもう止まる訳には行かねぇんだ。 すまねぇな……」
それは彼にとっての手向けの挨拶。
自らの手で灰塵に帰してしまった一番の親友への。
そうしてしまった事への罪悪感もあるからこそ……軽くも重い一言。
ズグゴゴゴ……!!
だがその時、白炎の渦が歪んだ。
それは、心輝が事実を飲み込む事も出来ぬ束の間。
ズボアアッ!!
なんと炎の渦の側面から、一筋の迸る光が突き出したのだ。
光の筋は途端に二つに分かれ、水平の残光を刻む。
そして瞬く間に……炎の渦を上下に切り裂いたのだった。
余りにも強引に引き千切るが如く。
天地に分かたれた炎の渦は心輝のコントロールを失い、バラバラに千切れ飛ぶ。
欠片となった炎はまるで無数の鼠花火の様に無軌道を描き、火花を撒き散らしながら周囲へと激しく飛び散っていった。
「んな、バカなあッ!?」
渾身の技のはずだった。
これで全てが終わったはずだった。
だが目の前に居るのは……勇。
体に浮かぶ焼け跡すら、皆無。
そして両腕に輝くのは剣ではない。
心輝と同じ……腕甲。
「シィーーーーーーンッ!!!!!」
その瞬間、勇が激しく大地を蹴り上げた。
蹴り上げた場所が大きく抉られ弾ける程の力で。
光り輝く白銀の腕甲が強烈な残光を引きながら。
もはやその残光の巨跡……空間を削り取るが如し。
ドッゴォォォッ!!!!!
それはもはや加減すら無い、本気の一撃。
光速で打ち上げられた拳が隙だらけの心輝の下腹部へと突き刺さる。
「ぐぅおっがあッ!!?」
隙だらけとはいえ、心輝の体には命力による身体強化がなされていた。
しかしその一撃を撃ち込まれた瞬間……心輝の体が激しく「く」の字に曲がる。
たちまち心輝の体を跳ね上げる程に、その威力は凄まじかった。
跳ね上げられた心輝の体は一瞬にして相模湖を覆う木々の上へと打ち上げられ、その姿があっという間に森の中へと消える。
それだけには留まらず、彼の消えた先にあったであろう木々が次々と宙を舞っていた。
それ程までに……強力無比だったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます!
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる