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第七節「絆と絆 その信念 引けぬ想い」
~Pure <純粋>~
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「平たく言やぁ、バカの色っちゅうこっちゃ」
「まじか……」
バノは相手の心の色を読む事が出来るという。
その力が読んだ勇の心の色―――それは空色。
しかしその意味はと言えば、予想を超えたガッカリな回答で。
言われた当人、もはや放心状態。
真っ白に干からび尽きた模様。
「ほんまわかりやすいのぉ。 空色らしい反応じゃわい」
「せやの、これ以上に無いくらい空色やわ」
しかも二人の容赦ない追い打ちが真っ白になった勇の心をガンガン叩きまくり。
これにはもはや先程までの自信も完膚なきまでに崩れ去る。
おまけにカプロもが隣で「うぴぴ」と笑う始末である。
とはいえ、これはジヨヨとバノのおふざけな訳だが。
「……ま、良い意味で言やぁ『純粋』っつうこった。 空の様に明るく、何もかもを包む程に大らかで、雨の様に泣いたり夕暮れの様に黄昏る、感情の起伏に溢れた心の色じゃ」
そうして放たれた穏やかな一言が勇を別の意味で惚けさせる。
自分の心の在り方、それが充分な程に理解出来る一言だったから。
「俺が、純粋……?」
「おう、これ以上に無い程のな」
「せやのぉ、ここまで濃い空色らしいモンなんざ見た事無いわ」
そう語る二人には愉快そうな笑みが浮かんでいて。
今までとは比べ物にならない程の愉快そうな笑いが、勇に思わぬ感動をもたらす事となる。
「これが俺の見たかった二人の本音なんだな」と。
「でもなんで今のやりとりで俺の心の色がハッキリ出来たんですか? 正直に言うと空色になるんでしょうか……」
ただ、勇には一つだけ疑問が残っていた模様。
それは先程の石碑の話をした時の二人の様子だ。
石碑に書かれた文字の意味はカプロから聞いて本当の事を知っていた。
だから正直に答えて、それが空色だからと言えば理解も出来るだろう。
でも二人の反応は明らかに、勇の答えに対して驚いていて。
その様子はどう見ても不自然極まりなく。
それが勇には不思議でならなかったのだ。
といっても、それは実に意外な理由であるが。
「そらおめぇ、あの石碑にゃそんな大それた事なんざ一言も書かれてねぇもんよ」
「……はい?」
「書いてあんのはただの村の掟よ。 朝起きたら歯を磨け。 挨拶は必ず元気よく。 食べるもんは皆で分け合え。 困った時は仲間に頼れ。 村を守る時は皆で守れ。 皆家族で争いはご法度よ。 ってのぉ」
どうやらその事実とやらは勇の予想の斜め上を行った様で。
そのまま理性を空の彼方まで飛ばしてしまいそうな程の鋭角具合である。
それに、打ち上げるに最も相応しい弾がすぐ隣にも居るので。
「まぁおめぇさんを試す為に嘘ついたなぁ事実じゃが……まぁさかカプロが二重に嘘ついてるとは思わなんだわ。 そいでカプロの言った嘘を真に受けてあんな堂々と言われて、おまけにここまで濃い空色見せられちゃおめぇ、信じるしかねぇじゃろ」
そんな事を言われて勇がいざ隣に振り向けば、そっぽを向いたカプロの姿が。
不慣れな口笛を吹き、誤魔化そうと必死な模様。
でももはや知らない振りをしても後の祭りな訳で。
その事に気付いたカプロが振り向いて見れば―――
怒髪天を突かんばかりの勇の顔が。
「カ プ ロォ!! 俺に嘘教えてたのかあ!!?」
「い、いやぁ……何言っても信じるなぁと思って言ったら、本当に信じちゃったんで引っ込みつかなくて……うぴぴっ」
「ヒドいじゃないかあああ!!」
たちまち勇が感情のままにカプロの肩を掴み取り、ガクガクと揺すり始め。
抵抗出来る訳も無いカプロ君、されるがままに「んがが」と頭を揺らされる。
そんな勇、もはや怒りと恥ずかしさで感情メーター振り切れ状態。
怒ったその顔は赤面一杯で、今にも穴という穴から湯気が噴き出しそう。
なにせ嘘を真に受けたまま、あれだけ自信満々に語り続けてしまったのだから。
おまけに「もう何も言う事は無い」と言わんばかりに感謝までキメて。
真面目な人間なら恥ずか死ぬレベルである。
「うぱっぱぱ!! 面白いなおぬは!」
「カプロを飛ばすならワシがやったるけぇ、いつでも言えや!」
だがそんな折、ジヨヨ達のそんな明るい声が聴こえて来て。
勇がふと振り向けば、二人の素顔らしい様相が。
カプロに似た笑い声を上げながらパタパタと足を揺らすジヨヨ。
どうにも嬉し気に太い二の腕を見せつけて力強さをアピールするバノ。
どちらも先程までの疑り深い雰囲気はまるで残ってはいない。
そう、二人は認めてくれたのだ。
勇が信頼に値する人物だと。
そして勇の心の在り方を。
「空色、それは純粋、正直もん……その色を貫くという事がおぬにとって最高の力となろうな。 そしてそれが【信念】ならば、おぬの話は聞くに値しよう」
こうして放たれた一言が、怒りと恥に塗れた勇の心を射抜く。
体の隅々にまで痺れをもたらす程の、心に響く一言が。
その時、勇を包んでいた激情がまるで蒸気の様に心から剥がれ。
たちまち一つの感情を呼び起こす。
一滴の涙を零す程の―――感動を。
「そんな勇さん、泣く程感激しなくてもいいんスよ?」
「え、あ……いや、そういうつもりは無いんだけど……あれぇ?」
自覚出来なかったのだろう。
それ程までに唐突だったから。
感情の昂りを感じる前に、心が既に泣いていたから。
こうして実感する事が出来たから。
流した涙は一粒だけ。
でもそれは、勇が純粋だからこその一粒で。
その意味を誰しもが十分理解出来たから―――
その誰しもが、にっこりとした微笑みで返す事が出来たのだ。
正直、それは嘘が無いという事。
嘘が無い、それは口に出した事が全てという事。
人は相手の言葉を疑う生き物で。
相手の言い分に嘘があれば、いつかその嘘が暴かれる事もあるだろう。
それだけで人と人は相容れなくなってしまう。
でももしその言葉に嘘が無ければ。
互いに嘘が無いとわかっていれば。
きっとそこに疑う余地は無くなるだろう。
不要な思考は必要無くなるだろう。
もしも世界がそれだけ純粋ならば、きっと争いは起こらないだろう。
でもそれが出来ないのが人だから。
今は一人でも多く、そんな人が居ればいい。
勇の様な空色の人間が―――こうして想いを繋ぎ続けてくれている限り。
「まじか……」
バノは相手の心の色を読む事が出来るという。
その力が読んだ勇の心の色―――それは空色。
しかしその意味はと言えば、予想を超えたガッカリな回答で。
言われた当人、もはや放心状態。
真っ白に干からび尽きた模様。
「ほんまわかりやすいのぉ。 空色らしい反応じゃわい」
「せやの、これ以上に無いくらい空色やわ」
しかも二人の容赦ない追い打ちが真っ白になった勇の心をガンガン叩きまくり。
これにはもはや先程までの自信も完膚なきまでに崩れ去る。
おまけにカプロもが隣で「うぴぴ」と笑う始末である。
とはいえ、これはジヨヨとバノのおふざけな訳だが。
「……ま、良い意味で言やぁ『純粋』っつうこった。 空の様に明るく、何もかもを包む程に大らかで、雨の様に泣いたり夕暮れの様に黄昏る、感情の起伏に溢れた心の色じゃ」
そうして放たれた穏やかな一言が勇を別の意味で惚けさせる。
自分の心の在り方、それが充分な程に理解出来る一言だったから。
「俺が、純粋……?」
「おう、これ以上に無い程のな」
「せやのぉ、ここまで濃い空色らしいモンなんざ見た事無いわ」
そう語る二人には愉快そうな笑みが浮かんでいて。
今までとは比べ物にならない程の愉快そうな笑いが、勇に思わぬ感動をもたらす事となる。
「これが俺の見たかった二人の本音なんだな」と。
「でもなんで今のやりとりで俺の心の色がハッキリ出来たんですか? 正直に言うと空色になるんでしょうか……」
ただ、勇には一つだけ疑問が残っていた模様。
それは先程の石碑の話をした時の二人の様子だ。
石碑に書かれた文字の意味はカプロから聞いて本当の事を知っていた。
だから正直に答えて、それが空色だからと言えば理解も出来るだろう。
でも二人の反応は明らかに、勇の答えに対して驚いていて。
その様子はどう見ても不自然極まりなく。
それが勇には不思議でならなかったのだ。
といっても、それは実に意外な理由であるが。
「そらおめぇ、あの石碑にゃそんな大それた事なんざ一言も書かれてねぇもんよ」
「……はい?」
「書いてあんのはただの村の掟よ。 朝起きたら歯を磨け。 挨拶は必ず元気よく。 食べるもんは皆で分け合え。 困った時は仲間に頼れ。 村を守る時は皆で守れ。 皆家族で争いはご法度よ。 ってのぉ」
どうやらその事実とやらは勇の予想の斜め上を行った様で。
そのまま理性を空の彼方まで飛ばしてしまいそうな程の鋭角具合である。
それに、打ち上げるに最も相応しい弾がすぐ隣にも居るので。
「まぁおめぇさんを試す為に嘘ついたなぁ事実じゃが……まぁさかカプロが二重に嘘ついてるとは思わなんだわ。 そいでカプロの言った嘘を真に受けてあんな堂々と言われて、おまけにここまで濃い空色見せられちゃおめぇ、信じるしかねぇじゃろ」
そんな事を言われて勇がいざ隣に振り向けば、そっぽを向いたカプロの姿が。
不慣れな口笛を吹き、誤魔化そうと必死な模様。
でももはや知らない振りをしても後の祭りな訳で。
その事に気付いたカプロが振り向いて見れば―――
怒髪天を突かんばかりの勇の顔が。
「カ プ ロォ!! 俺に嘘教えてたのかあ!!?」
「い、いやぁ……何言っても信じるなぁと思って言ったら、本当に信じちゃったんで引っ込みつかなくて……うぴぴっ」
「ヒドいじゃないかあああ!!」
たちまち勇が感情のままにカプロの肩を掴み取り、ガクガクと揺すり始め。
抵抗出来る訳も無いカプロ君、されるがままに「んがが」と頭を揺らされる。
そんな勇、もはや怒りと恥ずかしさで感情メーター振り切れ状態。
怒ったその顔は赤面一杯で、今にも穴という穴から湯気が噴き出しそう。
なにせ嘘を真に受けたまま、あれだけ自信満々に語り続けてしまったのだから。
おまけに「もう何も言う事は無い」と言わんばかりに感謝までキメて。
真面目な人間なら恥ずか死ぬレベルである。
「うぱっぱぱ!! 面白いなおぬは!」
「カプロを飛ばすならワシがやったるけぇ、いつでも言えや!」
だがそんな折、ジヨヨ達のそんな明るい声が聴こえて来て。
勇がふと振り向けば、二人の素顔らしい様相が。
カプロに似た笑い声を上げながらパタパタと足を揺らすジヨヨ。
どうにも嬉し気に太い二の腕を見せつけて力強さをアピールするバノ。
どちらも先程までの疑り深い雰囲気はまるで残ってはいない。
そう、二人は認めてくれたのだ。
勇が信頼に値する人物だと。
そして勇の心の在り方を。
「空色、それは純粋、正直もん……その色を貫くという事がおぬにとって最高の力となろうな。 そしてそれが【信念】ならば、おぬの話は聞くに値しよう」
こうして放たれた一言が、怒りと恥に塗れた勇の心を射抜く。
体の隅々にまで痺れをもたらす程の、心に響く一言が。
その時、勇を包んでいた激情がまるで蒸気の様に心から剥がれ。
たちまち一つの感情を呼び起こす。
一滴の涙を零す程の―――感動を。
「そんな勇さん、泣く程感激しなくてもいいんスよ?」
「え、あ……いや、そういうつもりは無いんだけど……あれぇ?」
自覚出来なかったのだろう。
それ程までに唐突だったから。
感情の昂りを感じる前に、心が既に泣いていたから。
こうして実感する事が出来たから。
流した涙は一粒だけ。
でもそれは、勇が純粋だからこその一粒で。
その意味を誰しもが十分理解出来たから―――
その誰しもが、にっこりとした微笑みで返す事が出来たのだ。
正直、それは嘘が無いという事。
嘘が無い、それは口に出した事が全てという事。
人は相手の言葉を疑う生き物で。
相手の言い分に嘘があれば、いつかその嘘が暴かれる事もあるだろう。
それだけで人と人は相容れなくなってしまう。
でももしその言葉に嘘が無ければ。
互いに嘘が無いとわかっていれば。
きっとそこに疑う余地は無くなるだろう。
不要な思考は必要無くなるだろう。
もしも世界がそれだけ純粋ならば、きっと争いは起こらないだろう。
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