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第三十七節「二天に集え 剣勇の誓い 蛇岩の矛は空を尽くす」
~義に敢、腑に懐疑落ちぬ~
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茶奈を送り届けた勇がアルクトゥーンへと帰還する。
すぐ戻った事もあって、管制室はなお混乱に包まれたままであるが。
「莉那ちゃん、状況は?」
「今しがたア・リーヴェさんより話を伺って、チーム編成を考えた所です。 後は皆さんの準備次第ですね」
ただ莉那の方はもう準備万端だ。
〝声〟の領域から離れ、ア・リーヴェさんも再起動を果たしている。
ともなれば、勇と同等の情報を得る事も可能な訳で。
『魔者達が動き始めた事で、異常信号の大まかな発生地点が特定出来ました。 今、そこを莉那さんに教えていた所です』
莉那が持つタブレットの前にア・リーヴェが立ち、表示された地図へと指を差す。
それはまさに、魔者達が最初に大暴れを始めた場所。
ブラジル、エクアドル、チリ、ベネズエラの、南米大陸を東西南北で分けた地点だ。
その各地点から異常信号が電波の如く周辺へと広がり、南米を覆い尽くしているのだろう。
『おおまかな地点しかわかりませんが、そのいずれの場所にも〝何か〟があるはずです。 命脈を狂わせる程に強力な妨害波を出せる物が』
「全部で四箇所、各地点に現状の戦力を分散して送り込みます。 魔者からの抵抗も激しいでしょうが、それを退けつつその目的の物体を破壊する必要があると思います」
そう、おおまかな場所はもうわかっている。
問題は理性を失って襲ってくる魔者達をどう躱していくか。
心輝やマヴォの様にコンスタントに空を飛べれば躱すのも容易なのだが。
しかし茶奈が居ない今、航空戦力はほぼ皆無で。
【命踏身】を使えても、力が無限ではない限り飛び続ける事は叶わない。
それと妨害波を出している物が具体的に何なのか、という事も問題の一つだ。
せめて形だけでもわかれば目星が付けられるのだが。
「壊すべき物が何なのか、それがわかればいいんだけど……」
「勇君、悲観するのはまだ早いかもしれませんよ? 今、私の独自ルートで情報を探っていたのですが……驚きました。 どうやらウロンドさんは最後まで諦めていなかった様です」
「えっ?」
そんな時、福留がタブレットの画面を勇へと向ける。
するとそこには、勇が驚きを上げる様な映像が映り込んでいた。
「これはッ!?」
それは恐らく転送途中だったのだろう。
一枚の画像ではあるのだが、どこかしこが削れた様に欠けていて。
でもハッキリと形がわかる程に映り込んでいたのだ。
木々に寄り掛かって潜む巨大な肉塊の姿が。
「これは私宛のプライベートボックスに向けられて送信されていました。 送信途中で発信元から回線切断されてしまい、断片データしか残っていなかったのですが、つい今しがた有志が復元してくれましたよ」
どうやらウロンドが操られる直前に送信しようとしたのだろう。
そして完了する前に洗脳され、送信設備を破壊したのかもしれない。
ただデータそのものは、こうして観る事が出来る程に中継地点へと蓄積されていた様で。
福留を通して有志とやらがそのデータを解析し、こうして見れる様にしてくれたのだ。
さしずめその有志というのは、あの丸団子の人と言った所か。
「実は例の一件からウロンドさんと少し交流を持ちましてね。 彼等もスマートフォンの扱いをすぐ覚えてくれましたから連絡は楽でしたよ。 おかげ様で、実は影のグランディーヴァ隊員として南米で活躍して頂いていたのです」
「そうだったんですね……」
それにウロンド自身も相当に動いていたらしい。
人情に厚い彼らしく、世界を救うという勇達の志に惹かれた所もあったのだろう。
だからこうして異常を見つけた時も連絡しようとしてくれたのだ。
不幸にも志半ばで途絶えてしまったが、その意思は誇り高いまま。
こうして初めて聞かされる事実に、勇も感動を噛み締めてならない。
「ならなおさら被害を出さない様にしないとな。 少しでも早く、混乱を止めよう……!」
『ええ、そうですね。 ですが少し腑に落ちない点もあります』
「え?」
しかし勇達を包む高揚感がふと、ア・リーヴェの意味深な一言によって塞き止められる事となる。
それは先程から抱いていた妙な違和感が故に。
彼女の中でその違和感が未だ喉に引っ掛かり、どうにも取れそうにない。
『今回の魔者の暴走も、あの蛇岩も、結果がもたらすのは大いなる破壊、生物の大量死滅です。 それはアルトランにとっては大した事の無い損失かもしれませんが、それと同時に不利にもなり得ます』
「どういう事でしょう?」
『この行いそのものに、アルトランへの益が無いのです。 確かに恐怖の対象としては最適でしょう。 ですがその恐怖する存在そのものが消えてしまえば、結果的に負の感情を抱く者が減り、相対的に世界融合の勢いが衰える事となります。 アルトラン・ネメシスの力が弱まるからです』
その違和感の正体、それはすなわち―――この罠そのものの存在意義。
ア・リーヴェの言う通りで、アルトランには全く得が無いのだ。
アルトラン・ネメシスは現状、逃げきるだけで勝利出来るという王手状態で。
でももし怖れる者の数がごっそりと減れば、その力を著しく失う事となる。
そうなれば仮に勇達が今回失敗しても、逆に世界融合が著しく遅れてしまうだろう。
もし今回成功すれば機運が正側に傾き、勇の強化にも繋がってしまう。
つまり、いずれにせよ反抗勢力に付け入る隙を与えるだけなのだ。
『私にはアルトランの考えている事がもうわかりません……。 一体どうする気なのか』
「ア・リーヴェ……気持ちはわかるが、俺達にとってしてみれば選択肢は一つしかない。 今は考えるよりも行動する事が大事なんだ」
こう動いたアルトラン・ネメシスの真意は誰にもわからない。
とはいえ、勇達のやる事に変わりは無いのだ。
魔者を救い、人も救う。
そして世界も救う。
例えどんな罠が待っていようとも、ただ打ち砕くだけなのだから。
そう話している間にも装備を整えた仲間達が次々と管制室に戻って来ていて。
レンネィもカプロの代わりとして目当ての物を持参しての帰還だ。
そして全員が戻れば、遂に作戦説明が行われる事に。
「全員集まりましたね。 では急ぎ作戦を説明します。 二度は言いませんので一発で覚えてください」
すると間も無く、管制室上部モニターに南米全域の地図が映し出される。
それも先程ア・リーヴェが指し示した地点にマーカー付きで。
「現在表示したマーカー地点が、ア・リーヴェさんの導き出してくれた妨害波発信装置のおおまかな場所です。 これは皆さんのリフジェクター機にもデータを送っておきます」
続いて表示されたのは、ウロンドから送られてきた肉塊の画像。
その奇妙醜悪極まりない様相を前に、心輝達の思わず顔をしかめる様子が。
しかしそれでも莉那の会話は止まる事無く続く。
遂にはア・リーヴェまで手すりに乗り上げていて。
「これが恐らくその装置と思われます。 明らかに異質なので見てすぐわかるでしょう。 これからこの四地点に各チームを投下し装置を捜索、もし見つけたら即刻破壊してください」
『破壊する事で操られた者の脳波への悪影響が出る事も考えられますが、そこは【創世の鍵】による復元機能で押し流します。 まずは妨害波の停止だけを最優先してください』
この異常事態を前に、ア・リーヴェの真剣味が深みを帯びる。
もはやア・リーヴェ自身も力を使う事に躊躇いは無い。
微々たる事しか出来ないが、命脈に通じるならば邪気を祓う事くらいは可能だ。
となればやる事は至極単純、勇達が対象物を見つけて叩き潰すのみ。
これが勇の〝難しくない〟と感じていた理由である。
「ただし魔者達に危害は加えないこと。 これを徹底しましょう」
当然、この様な些細な事を念を押して伝えるのも必要だ。
正式に戦闘員として初参加する人員も多いからこそ。
非常に困難な事であるが、相手が操られている以上は手を出してはならない。
魔者達自身に罪は無いのだから。
「レンネィさん、例の道具を魔者の皆さんへ」
「皆、これをイヤホンみたいに付けて。 それだけで妨害波は防げるはず。 ただしカプロから言伝を貰っているわ。 この装備をしている限り、星からの命力供給が遮断される。 つまり、命力回復が出来なくなるって。 だから命力の使い過ぎには注意して!」
「了解した!!」
続くのはレンネィが持ってきた【命力防塞栓】の配布。
集まる魔者勢次々と手渡していく。
その形はまさに耳栓と言った所で、しかも詰め込んでも音はちゃんと聴こえる。
集音器の役割もちゃっかり果たしているのだろう。
この様な便利な物を作ったカプロはと言えば、現在自室に再び引き籠りに。
全てをレンネィ達に託し、自身の目的を進めるのだそうな。
「チームはまず、ブラジルに勇さんと獅堂さん。 ベネズエラに瀬玲さんとイシュライトさんとディックさん。 エクアドルに心輝さんとバロルフさん。 チリにマヴォさんとナターシャさんとアンディさんという編成で行きます。 人間メンバーは魔者メンバーのサポートも考慮してください」
そして最後はチーム編成。
【命力防塞栓】のデメリットを考慮し、人間と魔者の混成で揃えたものだ。
仮に魔者勢が倒れたとしても目的を果たせる様にする為に。
時には非情にならざるを得ない場合もある。
目的を達成する為に、敢えて仲間を置いて行く必要だってあるだろう
見捨てるまではしなくとも、犠牲にしなければ達成出来ない事も有るかもしれないのだから。
「説明は以上です。 それではズーダーさん、発進を。 三〇分程で全箇所回れるはずです。 他の皆さんも降下準備を急いでください」
「よし、皆行くぞッ!!」
でもそうならない為に皆は強くなり続けた。
こうして意思も統一し、掛け声一つで駆け出せる様にもなった。
それはきっと、今の様な事態に備える為だったのだろう。
こんな日の為に、皆は強く成り続けたのだろう。
アルトラン・ネメシスの痕跡が見えた今、その蓄え続けた力を今こそ奮う時。
だから勇達は駆ける。
南米を襲った未曽有の危機を退ける為にも。
だから茶奈は舞う。
想像を絶する蛇岩の行いを食い止める為にも。
だから剣聖は立ち塞がる。
暴走した鋼輝妃を止め、勇達を送り出す為にも。
彼等はこの困難を前にしても、諦めるつもりはまだ微塵も無いのだから。
すぐ戻った事もあって、管制室はなお混乱に包まれたままであるが。
「莉那ちゃん、状況は?」
「今しがたア・リーヴェさんより話を伺って、チーム編成を考えた所です。 後は皆さんの準備次第ですね」
ただ莉那の方はもう準備万端だ。
〝声〟の領域から離れ、ア・リーヴェさんも再起動を果たしている。
ともなれば、勇と同等の情報を得る事も可能な訳で。
『魔者達が動き始めた事で、異常信号の大まかな発生地点が特定出来ました。 今、そこを莉那さんに教えていた所です』
莉那が持つタブレットの前にア・リーヴェが立ち、表示された地図へと指を差す。
それはまさに、魔者達が最初に大暴れを始めた場所。
ブラジル、エクアドル、チリ、ベネズエラの、南米大陸を東西南北で分けた地点だ。
その各地点から異常信号が電波の如く周辺へと広がり、南米を覆い尽くしているのだろう。
『おおまかな地点しかわかりませんが、そのいずれの場所にも〝何か〟があるはずです。 命脈を狂わせる程に強力な妨害波を出せる物が』
「全部で四箇所、各地点に現状の戦力を分散して送り込みます。 魔者からの抵抗も激しいでしょうが、それを退けつつその目的の物体を破壊する必要があると思います」
そう、おおまかな場所はもうわかっている。
問題は理性を失って襲ってくる魔者達をどう躱していくか。
心輝やマヴォの様にコンスタントに空を飛べれば躱すのも容易なのだが。
しかし茶奈が居ない今、航空戦力はほぼ皆無で。
【命踏身】を使えても、力が無限ではない限り飛び続ける事は叶わない。
それと妨害波を出している物が具体的に何なのか、という事も問題の一つだ。
せめて形だけでもわかれば目星が付けられるのだが。
「壊すべき物が何なのか、それがわかればいいんだけど……」
「勇君、悲観するのはまだ早いかもしれませんよ? 今、私の独自ルートで情報を探っていたのですが……驚きました。 どうやらウロンドさんは最後まで諦めていなかった様です」
「えっ?」
そんな時、福留がタブレットの画面を勇へと向ける。
するとそこには、勇が驚きを上げる様な映像が映り込んでいた。
「これはッ!?」
それは恐らく転送途中だったのだろう。
一枚の画像ではあるのだが、どこかしこが削れた様に欠けていて。
でもハッキリと形がわかる程に映り込んでいたのだ。
木々に寄り掛かって潜む巨大な肉塊の姿が。
「これは私宛のプライベートボックスに向けられて送信されていました。 送信途中で発信元から回線切断されてしまい、断片データしか残っていなかったのですが、つい今しがた有志が復元してくれましたよ」
どうやらウロンドが操られる直前に送信しようとしたのだろう。
そして完了する前に洗脳され、送信設備を破壊したのかもしれない。
ただデータそのものは、こうして観る事が出来る程に中継地点へと蓄積されていた様で。
福留を通して有志とやらがそのデータを解析し、こうして見れる様にしてくれたのだ。
さしずめその有志というのは、あの丸団子の人と言った所か。
「実は例の一件からウロンドさんと少し交流を持ちましてね。 彼等もスマートフォンの扱いをすぐ覚えてくれましたから連絡は楽でしたよ。 おかげ様で、実は影のグランディーヴァ隊員として南米で活躍して頂いていたのです」
「そうだったんですね……」
それにウロンド自身も相当に動いていたらしい。
人情に厚い彼らしく、世界を救うという勇達の志に惹かれた所もあったのだろう。
だからこうして異常を見つけた時も連絡しようとしてくれたのだ。
不幸にも志半ばで途絶えてしまったが、その意思は誇り高いまま。
こうして初めて聞かされる事実に、勇も感動を噛み締めてならない。
「ならなおさら被害を出さない様にしないとな。 少しでも早く、混乱を止めよう……!」
『ええ、そうですね。 ですが少し腑に落ちない点もあります』
「え?」
しかし勇達を包む高揚感がふと、ア・リーヴェの意味深な一言によって塞き止められる事となる。
それは先程から抱いていた妙な違和感が故に。
彼女の中でその違和感が未だ喉に引っ掛かり、どうにも取れそうにない。
『今回の魔者の暴走も、あの蛇岩も、結果がもたらすのは大いなる破壊、生物の大量死滅です。 それはアルトランにとっては大した事の無い損失かもしれませんが、それと同時に不利にもなり得ます』
「どういう事でしょう?」
『この行いそのものに、アルトランへの益が無いのです。 確かに恐怖の対象としては最適でしょう。 ですがその恐怖する存在そのものが消えてしまえば、結果的に負の感情を抱く者が減り、相対的に世界融合の勢いが衰える事となります。 アルトラン・ネメシスの力が弱まるからです』
その違和感の正体、それはすなわち―――この罠そのものの存在意義。
ア・リーヴェの言う通りで、アルトランには全く得が無いのだ。
アルトラン・ネメシスは現状、逃げきるだけで勝利出来るという王手状態で。
でももし怖れる者の数がごっそりと減れば、その力を著しく失う事となる。
そうなれば仮に勇達が今回失敗しても、逆に世界融合が著しく遅れてしまうだろう。
もし今回成功すれば機運が正側に傾き、勇の強化にも繋がってしまう。
つまり、いずれにせよ反抗勢力に付け入る隙を与えるだけなのだ。
『私にはアルトランの考えている事がもうわかりません……。 一体どうする気なのか』
「ア・リーヴェ……気持ちはわかるが、俺達にとってしてみれば選択肢は一つしかない。 今は考えるよりも行動する事が大事なんだ」
こう動いたアルトラン・ネメシスの真意は誰にもわからない。
とはいえ、勇達のやる事に変わりは無いのだ。
魔者を救い、人も救う。
そして世界も救う。
例えどんな罠が待っていようとも、ただ打ち砕くだけなのだから。
そう話している間にも装備を整えた仲間達が次々と管制室に戻って来ていて。
レンネィもカプロの代わりとして目当ての物を持参しての帰還だ。
そして全員が戻れば、遂に作戦説明が行われる事に。
「全員集まりましたね。 では急ぎ作戦を説明します。 二度は言いませんので一発で覚えてください」
すると間も無く、管制室上部モニターに南米全域の地図が映し出される。
それも先程ア・リーヴェが指し示した地点にマーカー付きで。
「現在表示したマーカー地点が、ア・リーヴェさんの導き出してくれた妨害波発信装置のおおまかな場所です。 これは皆さんのリフジェクター機にもデータを送っておきます」
続いて表示されたのは、ウロンドから送られてきた肉塊の画像。
その奇妙醜悪極まりない様相を前に、心輝達の思わず顔をしかめる様子が。
しかしそれでも莉那の会話は止まる事無く続く。
遂にはア・リーヴェまで手すりに乗り上げていて。
「これが恐らくその装置と思われます。 明らかに異質なので見てすぐわかるでしょう。 これからこの四地点に各チームを投下し装置を捜索、もし見つけたら即刻破壊してください」
『破壊する事で操られた者の脳波への悪影響が出る事も考えられますが、そこは【創世の鍵】による復元機能で押し流します。 まずは妨害波の停止だけを最優先してください』
この異常事態を前に、ア・リーヴェの真剣味が深みを帯びる。
もはやア・リーヴェ自身も力を使う事に躊躇いは無い。
微々たる事しか出来ないが、命脈に通じるならば邪気を祓う事くらいは可能だ。
となればやる事は至極単純、勇達が対象物を見つけて叩き潰すのみ。
これが勇の〝難しくない〟と感じていた理由である。
「ただし魔者達に危害は加えないこと。 これを徹底しましょう」
当然、この様な些細な事を念を押して伝えるのも必要だ。
正式に戦闘員として初参加する人員も多いからこそ。
非常に困難な事であるが、相手が操られている以上は手を出してはならない。
魔者達自身に罪は無いのだから。
「レンネィさん、例の道具を魔者の皆さんへ」
「皆、これをイヤホンみたいに付けて。 それだけで妨害波は防げるはず。 ただしカプロから言伝を貰っているわ。 この装備をしている限り、星からの命力供給が遮断される。 つまり、命力回復が出来なくなるって。 だから命力の使い過ぎには注意して!」
「了解した!!」
続くのはレンネィが持ってきた【命力防塞栓】の配布。
集まる魔者勢次々と手渡していく。
その形はまさに耳栓と言った所で、しかも詰め込んでも音はちゃんと聴こえる。
集音器の役割もちゃっかり果たしているのだろう。
この様な便利な物を作ったカプロはと言えば、現在自室に再び引き籠りに。
全てをレンネィ達に託し、自身の目的を進めるのだそうな。
「チームはまず、ブラジルに勇さんと獅堂さん。 ベネズエラに瀬玲さんとイシュライトさんとディックさん。 エクアドルに心輝さんとバロルフさん。 チリにマヴォさんとナターシャさんとアンディさんという編成で行きます。 人間メンバーは魔者メンバーのサポートも考慮してください」
そして最後はチーム編成。
【命力防塞栓】のデメリットを考慮し、人間と魔者の混成で揃えたものだ。
仮に魔者勢が倒れたとしても目的を果たせる様にする為に。
時には非情にならざるを得ない場合もある。
目的を達成する為に、敢えて仲間を置いて行く必要だってあるだろう
見捨てるまではしなくとも、犠牲にしなければ達成出来ない事も有るかもしれないのだから。
「説明は以上です。 それではズーダーさん、発進を。 三〇分程で全箇所回れるはずです。 他の皆さんも降下準備を急いでください」
「よし、皆行くぞッ!!」
でもそうならない為に皆は強くなり続けた。
こうして意思も統一し、掛け声一つで駆け出せる様にもなった。
それはきっと、今の様な事態に備える為だったのだろう。
こんな日の為に、皆は強く成り続けたのだろう。
アルトラン・ネメシスの痕跡が見えた今、その蓄え続けた力を今こそ奮う時。
だから勇達は駆ける。
南米を襲った未曽有の危機を退ける為にも。
だから茶奈は舞う。
想像を絶する蛇岩の行いを食い止める為にも。
だから剣聖は立ち塞がる。
暴走した鋼輝妃を止め、勇達を送り出す為にも。
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