時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ

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第十一節「心拠りし所 平の願い その光の道標」

~どぉぉぉーーーんッ!!~

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 ちゃなは今までに自分を含め、色んな人から色んなアイディアを得て来た。
 どの様な攻撃方法なら相手に通じるのか。
 環境に合った攻撃手段をどう選ぶか、と。

 その末に【超高熱線砲ヒートライン】や飛行能力を得るに至って。
 それでも採用されなかったアイディアは多かっただろう。

 しかしちゃなはそのアイディア達を忘れなかった。
 いつか必ず自分の力になってくれるはずなのだと。

『弾丸とか熱線みたいなのが反動無しで撃てたらなぁ』
『砲撃魔剣を扱うならば柔らかな発想が必要と』
『燃費度外視でいいなら核爆発みたいなのはどうだ?』
『敵の懐でエネルギーを収束させてドカーンって感じでよ』

 特にこんなアイディアは、後で必ず役に立つと思えてならなくて。
 だから化学の参考書まで買って、暇な時に読んだりもした。
 お陰で、完璧に理解は出来なくても仕組みだけは何となく。

 後は、想い描いた力を形に出来るかどうか。
 自分の持つ命力で本当に実現出来るのか、と。

 そこでまた一つ思い出したのだ。
 かつて四国で【オンズ族】と戦った時の事を。

 あの時、ちゃなはふと思うままに魔剣二つを重ねていて。
 そうして力を少し解き放った結果、とてつもない程の砲撃を実現した。

 あの果てにまで貫いた光線を。

 なら、今回も同様に魔剣を重ねたらどうだろうか。
 その上で今までのアイディアと知識を合わせ、放ったらどうなるだろうか。
 
 その想起がちゃなの心を押し上げた。
 もしも成功すれば【グリュダン】さえ打ち砕く事が可能なのではないか、と。

 だからこそ今、ちゃなは魔剣を十字に構えていた。
 【ドゥルムエーヴェ】と【アメロプテ】、その二本を重ね合わせて。



 その形こそ【クロッシング】。
 今までの知識と経験を重ねて生まれた、全く新しい砲撃スタイルである。



 【ドゥルムエーヴェ】の杖先が巨人を狙い定め。
 【アメロプテ】が杖柄中腹へと充てられて。
 するとたちまち光が迸り、ちゃなの増幅された命力が解き放たれる事に。

 そこからはもう、全てが一瞬だった。
 あの【グリュダン】でさえ抗えぬ程に。

キィィィーーーーーーン……ッッ!!!

 光が収束する。
 巨大な頭部目掛けて。
 無数の閃筋を大気へ刻み込みながら。

 しかも同時に、頭部亀裂からも閃光が溢れ始めていて。
 たちまち熱が、衝撃が、圧力が、頭部を揺らして震わせる。
 まるで叫んでいるかの如く。

 更には亀裂が走る。
 遂には岩片が弾ける。
 『バヅン、バヅン!!』と炸裂音が響くまま。
 
 そしてとうとう、光が頭部全体を包み込む事に。

 とてつもない圧力だった。
 剣聖でさえ砕ききれなかった頭部が崩壊し、凝縮し、赤化融解する程に。
 それも只の熱溶解などではない。

 原子崩壊である。
 それも命力の超圧縮作用によっての。
 その力が【グリュダン】の物質構造そのものを溶かしていたのだ。

 その結果をもたらしたのは――小規模の核融合。



 なんとちゃなは命力を仮想核物質化し、核反応を起こさせていたのである。



 そうして生まれた力はもはや実物と相違無し。
 例え強靭無比な岩体だろうと関係無い。
 解き放たれれば最後、破壊の力で焼き尽くそう。

 その力に名など必要無い。
 想いが迸る言葉ならば、それが最も力となるのだから。
 かつて、そう剣聖より教えられたままに。

 ならばその想いを叫びへと換えて。
 可能性に全てを賭けて。

 今こそ秘めたる力を解き放たん。





「――どぉぉぉーーーーーーんッッッ!!!!!」





 これがちゃなにとっての魂の叫びだった。
 全てが始まるきっかけだった。

 するとその途端、想像を絶する事が勇達にまで襲い掛かる。

 何もかもが、突如として【グリュダン】に向けて吸い込まれていた。
 大気も、熱も、光も、そして勇達もが。
 景色を歪ませる程の力で。

 爆縮インプロージョンである。

 それ程までの内向圧力が生まれていたからこそ。
 今の叫びはこう出来る程の超力を開放する鍵だったのだ。

 そしてこれは同時に、次なる現象への兆候ともなる。



 ――そう、核爆発である。



 その瞬間、輝きが周囲を覆い尽くした。
 それもとてつもない大爆発を引き起こすと共に。



ドッッッギャオォォォーーーーーーンッッッ!!!!!



 これこそ、ちゃなが誇る最高の切り札。
 仲間の想いを重ねて生んだ一撃だった。

 その名も【核熱崩閃光メルティングバースト】。

 命の輝きは範囲全ての物質を溶かし尽くす。
 無慈悲に、無情に、そして何も残さず。

 それはただただ、単純なる破壊の為に。

 凄まじいまでの大爆発だった。
 【グリュダン】の上半身全てが爆熱煙で包まれる程に。
 更には離れていたはずの勇達をも巻き込む程に。
 
ゴゴゴゴ……!!

 その威力はもはや常軌を逸している。
 余りの熱力、余りの圧力、余りの衝撃をも重ね合わせていたからこそ。
 故に、破壊し尽くされた【グリュダン】はもうその身体を傾けていて。
 ぐらりと揺らし、遂には倒れ込んでいくという。

 するとその最中、黒煙の中から一つの塊が飛び出す事に。

 勇達である。

 なんとこれだけの大爆発にも耐えきってみせた。
 勇がちゃなを包む様に抱いて守っていたのだ。
 それも己に薄く命力を張り巡らせ、防護膜とする事で。

 ただ、このままでは二人とも大地に激突してしまう。
 そうなったら最後、どちらも潰れてしまいかねない。

 だから今、勇は決死の覚悟でちゃなを抱きかかえる。
 〝ここまでやれたんだ、なら後は俺がなんとしてでも守ってみせる〟と。

 まだ力は残されているから。
 ならその力を、共に助かる為に振り絞るのだと。

 ちゃなを抱いたままに体を丸め、残り少ない命力を灯らせる。
 強靭な肉体を盾として、大地への激突に耐える為にも。

「守るんだッ!! 絶対にッ!! 耐えきってみせろよ、俺えーーーッ!!」
「ううう~~~~~~!!」

 風を裂き、大地へ向けて回り行く。
 まるで貫き抜ける弾丸の如く。

 なれば到達するのもまたあっという間の事だった。 

ドッガァァァッッ!!!

 肉弾が大地を打ち、乾いた岩々が跳ね上がる。
 二人はそれほど落下加速していたが故に。

 しかも更には一度二度と跳ね上がっていて。

 でもそこまでだ。
 またしても大地へ到達しようとした時、突如として肉弾が大きく開かれる。

 そう、勇達は耐えきったのだ。
 その上で、ようやく二つの足で降り立ったのである。

「フゥッ、フゥッ……ッ!! よぉしッ!!」

 その様子は決して無事とは言えないだろう。
 背中は落ちた衝撃で大アザが出来ていて。
 それが見えるくらいに衣服は揃って焼けてボロボロだ。
 肌も焼け、煤にもまみれてとても見せられたものではない。

 だけど、やり遂げた。

 そのかつてない達成感が二人を奮い立たせていたのだ。
 力を出し尽くしたにも拘らず。
 それでも、立って喜ばずにはいられなくて。

 お陰で今、二人は顔を合わせて笑い合う事が出来ていた。



 二人の力で生き残れたから。
 ならもう何も恐い物は何も無いんだって。

 そう思えてならなかったから。


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