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「お母様!」
「母上!」
国王陛下の寝室での騒ぎを聞きつけてか、ホセの姉であるエマ・フェルナンデスと弟のミケル・フェルナンデスがタイミング良く駆け付け、倒れたブランカ王太后を抱き起した。
全てを見ていたわけではないけれど、母親が倒れているというのに、それを見ているだけのホセが何かしたのだろうと判断したエマは、ホセを睨みつけた。
「ホセ! お母様に何をしているの!」
「行こう、パウラ」
エマの声を無視して、ホセはパウラの肩を引き寄せると、そのまま自室から出て行く。
「兄上!」
「そうだパウラ、君の好みを聞かせてくれ」
ミケルの引き留める声など聞こえていないかのように、ホセはパウラと着替えのドレスをどんなものにするか、王妃の部屋をどうするかなど楽しそうな話題を口にしながら。
そんな二人を、エマとミケルは軽蔑を込めた視線で睨みつけた。
「あぁ……この国は終わりよ……」
「お母様……」
「母上……」
王太后という身分を翳していても、一人の人間だ。
この国の行く末を危惧して涙を流す母親に、エマとミケルはそっと寄り添いながら立ち上がらせた。
いくら急な事だったとは言え、ホセが国王陛下となってしまったのだ。王太子であったとはいえ、国王となってすぐに、こんな事を仕出かすなど言語道断。
「私の教育が悪かったのね……」
「母上、少し休みましょう」
「あとはミケルと何とかするから」
次々と涙を流しながら自身を攻めるブランカ王太后を自室へと連れて行き、休ませた二人は、お互い視線を交わしながら頷き合った。
◇◆◇
――一ヵ月前。全てはそこから変化したと言っても過言ではないだろう。
ホセ・フェルナンデス王太子殿下とラウラ・ナバーロ侯爵令嬢の婚約を結んだ末に、婚姻させた二人。国王陛下とラウラの父、アンドレス・ナバーロ侯爵が、共に出かけた視察先で馬車の事故にあい、亡くなってしまったのだ。
二人は幼い時に婚約が結ばれたが、仲は良好とは言えず……むしろホセ王太子殿下は、ずっとラウラの妹であるパウラに懸想していた事は周知の事実だ。
ホセ王太子殿下が何度苦言を呈して、この婚約を白紙撤回しようとしても、国王陛下とナバーロ侯爵は頑なとして首を縦に振らなかった。
そして……王命に近いもので、二人を結婚させた。
その反動や反抗心からなのだろう。
国王不在が長く続くわけにも行かないと、葬儀が終わるとすぐに戴冠式の準備が執り行われ、国中が喪に服す中でホセの戴冠式が始まった。
王太子から正式に国王へとなった瞬間、ホセはパウラを王城へ呼び寄せ、ラウラを追い出したのだ。
――この時、すでにラウラが妊娠していたという事は、二人の不貞は前からあったという事に変わりはないのだけれど。
「母上!」
国王陛下の寝室での騒ぎを聞きつけてか、ホセの姉であるエマ・フェルナンデスと弟のミケル・フェルナンデスがタイミング良く駆け付け、倒れたブランカ王太后を抱き起した。
全てを見ていたわけではないけれど、母親が倒れているというのに、それを見ているだけのホセが何かしたのだろうと判断したエマは、ホセを睨みつけた。
「ホセ! お母様に何をしているの!」
「行こう、パウラ」
エマの声を無視して、ホセはパウラの肩を引き寄せると、そのまま自室から出て行く。
「兄上!」
「そうだパウラ、君の好みを聞かせてくれ」
ミケルの引き留める声など聞こえていないかのように、ホセはパウラと着替えのドレスをどんなものにするか、王妃の部屋をどうするかなど楽しそうな話題を口にしながら。
そんな二人を、エマとミケルは軽蔑を込めた視線で睨みつけた。
「あぁ……この国は終わりよ……」
「お母様……」
「母上……」
王太后という身分を翳していても、一人の人間だ。
この国の行く末を危惧して涙を流す母親に、エマとミケルはそっと寄り添いながら立ち上がらせた。
いくら急な事だったとは言え、ホセが国王陛下となってしまったのだ。王太子であったとはいえ、国王となってすぐに、こんな事を仕出かすなど言語道断。
「私の教育が悪かったのね……」
「母上、少し休みましょう」
「あとはミケルと何とかするから」
次々と涙を流しながら自身を攻めるブランカ王太后を自室へと連れて行き、休ませた二人は、お互い視線を交わしながら頷き合った。
◇◆◇
――一ヵ月前。全てはそこから変化したと言っても過言ではないだろう。
ホセ・フェルナンデス王太子殿下とラウラ・ナバーロ侯爵令嬢の婚約を結んだ末に、婚姻させた二人。国王陛下とラウラの父、アンドレス・ナバーロ侯爵が、共に出かけた視察先で馬車の事故にあい、亡くなってしまったのだ。
二人は幼い時に婚約が結ばれたが、仲は良好とは言えず……むしろホセ王太子殿下は、ずっとラウラの妹であるパウラに懸想していた事は周知の事実だ。
ホセ王太子殿下が何度苦言を呈して、この婚約を白紙撤回しようとしても、国王陛下とナバーロ侯爵は頑なとして首を縦に振らなかった。
そして……王命に近いもので、二人を結婚させた。
その反動や反抗心からなのだろう。
国王不在が長く続くわけにも行かないと、葬儀が終わるとすぐに戴冠式の準備が執り行われ、国中が喪に服す中でホセの戴冠式が始まった。
王太子から正式に国王へとなった瞬間、ホセはパウラを王城へ呼び寄せ、ラウラを追い出したのだ。
――この時、すでにラウラが妊娠していたという事は、二人の不貞は前からあったという事に変わりはないのだけれど。
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